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テクノロジーの発展で貧富の格差が拡大 ネオ・ラッダイト運動に繋がるか?


 社会人の方でしたら、もう記憶の遥か彼方かもしれない産業革命に関するクイズ。

【クイズ】産業革命は、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった工場制機械工業の導入による産業の変革と、それに伴う社会構造の変革のことを言う。では、産業革命が始まったとされる国はどこか?

(1)アメリカ
(2)イギリス
(3)フランス


●将棋よりずっとすごい囲碁での人工知能の勝利

 またグーグルのプロジェクトが快挙を成し遂げたようです。
グーグル傘下開発のAI、囲碁プロ棋士に勝利:朝日新聞デジタル 山崎啓介 2016年1月28日07時51分

 英グーグル・ディープマインド社が開発した人工知能(AI)が、ハンディキャップなしで囲碁のプロ棋士に初勝利した。

 将棋でよくある話じゃん!というものですが、"チェスや将棋はすでにコンピューターが勝っているが、囲碁は盤面が広く、難しいとされてきた"とのこと。全然すごさが違うそうです。
 28日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載される。研究チームは「人間に勝つのは少なくとも10年後と言われていた囲碁で、AIが初めてプロに勝った瞬間だ」と成果を誇った。

 グーグルらしいと思うのが、"自ら打ち方を学ぶ手法で克服した"というところです。確か画像認識でも自己学習で画期的な成果を出していましたよね。
 開発されたAIは、有段者らによる過去の対戦データから打ち方を学習。さらに自分同士で対戦する自習で腕を磨いた。対戦相手は中国出身で日本のプロ棋士とも同等の実力をもつ、2015年の欧州王者(二段)。5回の対戦で全勝の成績を収めた。従来の囲碁プログラムにも、99・8%の勝率をあげたという。

●「10年」の壁を破ったディープラーニング

 日経ビジネスオンラインでは、囲碁の難しさについて以下のように書いていました。
グーグル、囲碁で「人間超え」の衝撃:日経ビジネスオンライン 広岡 延隆 2016年1月29日

将棋の着手数が10の220乗なのに対して、囲碁は10の360乗に上るとされる。着手を決めるための局面の形勢判断も難しく、囲碁AIの棋力はアマチュア六段程度に留まってきた。

 「早くても10年かかる」(公立はこだて未来大学の松原仁教授、人工知能学会会長)と見られていただけに、やはり"人工知能の研究者の間には衝撃が走っている"とのこと。

 こちらの記事でもこの"人工知能学者が予想していた「10年」の壁を一挙に飛び越えた"ことは、やはり今までのソフトの思想の違いだとしています。私が言った画像認識の話も出ていました。
 従来の囲碁ソフトは、「モンテカルロ木探索」と呼ばれる手法をとっていた。まず、人間にはデタラメにも見える手をランダムにAIが考案し、ひたすら終局まで打ち切る作業を大量に繰り返す。そこから逆算して勝率が高かった手を選ぶという考え方だ。前述の通り、囲碁では形勢判断の数値化が困難だが、終局時点なら確実に優劣が分かることを利用したもので、「モンテカルロ法」と呼ばれている。ここに、シミュレーションの途中で発見された「良さそうな手」を、更に深く探索する「木探索」というアルゴリズムを加えて、着手の精度を高めた。 (中略)

 グーグルは「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術を、モンテカルロ木探索と組み合わせた。人間の頭脳を模してコンピューターを連結したネットワーク上で、コンピューター自らが学習する特徴を持つ。画像認識分野でコンピューターが自ら「猫」「人間」などを高精度に識別できるようになった成果により、一気に注目を集めた技術だ。

●ビジネスの世界に広がる人工知能の成果

 もともと囲碁用だったわけでなく、画像認識で使われていた手法だったことでわかるように、この成果は広い分野に応用できると期待されています。
 グーグルは発表分で「普遍的な機械学習技術を使って、囲碁を自らマスターした」と述べ、現実世界への応用が広く可能であることを強調している。将来的に気候モデリングや、複雑な疾病分析などに応用を見込んでいるという。

 グロービス経営大学院の堀義人学長は「囲碁の戦略は経営と通じる部分が多い。将棋やチェスでは、AIと人間が協調する取り組みが始まっており、経営もそうなる可能性がある」と指摘する。

●テクノロジーの発展で貧富の格差が拡大

 囲碁ソフトより前の記事ですが、こういったテクノロジーの進展のめざましさに触れた記事がありました。自動運転車、無人飛行機(ドローン)、高熟練労働者よりも速く正確に仕事ができるソフトウェアの開発、弁護士に代わるEディスカバリー(電子証拠開示)の導入といった例が出ています。

 自動運転やドローンはわかりやすいですけど、高熟練労働者や弁護士まで仕事を奪われてしまうのです。うちで紹介してきた過去の話も、そういった予測に基づいたものでした。

 こういう話ですので、記事自体はポジティブなものではなく、ネガティブな内容に触れたものです。作者のマシュー・バロウズさんは、貧富の格差拡大はテクノロジーの発展によるものが大きいという見方を紹介していました。
テクノロジーの進化は成功する見込みのない底辺層を生み出す|シフト 2035年の未来|ダイヤモンド・オンライン(2015年12月17日 マシュー・バロウズ,藤原朝子 [学習院女子大学] )

ソフトウェアの飛躍的進歩によって、多くの雇用、場合によっては職種がまるまる失われつつある。だとすれば、今後の雇用は増えるよりも減るペースのほうが速いのか。

確実なことは言えないが、いつもは楽観的な見方をするエコノミストも、この点では懸念を示している。最近のOECDの報告書は、いくつかの不快な事実を明らかにしている。過去20年間に世界のGDPにおける労働者の所得は4%減ったが、その約80%が新しいテクノロジーのせいだというのだ。一方、新しいテクノロジー分野で働くひと握りの高熟練労働者(と企業経営者・所有者)の所得は増えている。

●テクノロジーからの脱落者が底辺層に

 作者のバロウズさん自身は、"破壊のなかからまったく新しい職種が生まれると考える楽観派"だとしています。しかし、そのバロウズさんも新しい職種が生まれてくることが"遅れていることと、世界じゅうで格差が拡大していることに不安を感じている"と言います。

 そして、以前、ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?でやったネオ・ラッダイト運動という言葉の元となった、ラッダイト運動の頃を思わせる話を書いています。
第1次産業革命は、とてつもなく広い範囲で豊かさをもたらすプロセスに火をつける一方で、無数の手工業者を貧困に陥れ、19世紀のイギリスの階級を固定した。

ディケンズは多くの小説で、中間層が拡大する一方で、工場労働者などの肉体労働者が不安定な暮らしを強いられたことを描いた。短中期的には状況は見えざる手によって改善されるという楽観論に、歴史は警告を発している。

新しいテクノロジーから疎外された人々は、新しいスキルを身につける機会を必ずしも持たない。アメリカをはじめとする国々は、成功する見込みのない底辺層を生み出すおそれがある。

 ここがクイズに関係あったところです。

【クイズ】産業革命は、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった工場制機械工業の導入による産業の変革と、それに伴う社会構造の変革のことを言う。では、産業革命が始まったとされる国はどこか?

(1)アメリカ
(2)イギリス
(3)フランス

【答え】(2)イギリス

 イギリスでの産業革命は、1760年代から1830年代。ラッダイト運動ももちろんイギリスで、1811年から1817年頃。上記で出てきた作家のチャールズ・ディケンズもやはりイギリスの作家ですが、1812年生まれで1870年に失くなっており、ラッダイト運動や産業革命以降が主な活躍期間みたいですね。


●テクノロジーの進化はネオ・ラッダイト運動に繋がるか?

 先ほどのバロウズさんは、現代のラッダイト運動(機械打ち壊し運動)の出現を予想しているわけではなかったのですが、そういった話がある記事もちょうど最近読みました。

 まあ、"“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏"の話という信頼性のないコンビのものなんですけどね。

 記事のメイン自体は、最低賃金の上昇に関するもの。
喜べない最低賃金引き上げの現実。1500円実現で若者の仕事がなくなるだけ 週プレNEWS / 2016年1月28日 6時0分

ふたりが違和感を覚えたのは、最低賃金が上がった際のデメリット。時給1500円が実現された場合、ロボットのほうが割安になる可能性があるため、返って自分たちの首を絞め、職が無くなっていくのでは?と疑問を呈したのだ。ひろゆき氏がこう指摘する。

「それに地方では最低賃金で人を雇っている企業が多いですよね。例えば、時給700円ぐらいだったのが、いきなり『最低時給は1500円です』ってなったら、多くの企業がやっていけなくなる可能性が高くなりますよ。すると、人を雇わないか廃業しちゃうことになる。

デモに参加してる人たちは『世の中には悪い企業があって、労働者を安い賃金でこき使っている。最低時給を上げれば、みんなが幸せになる』って考えてるんでしょうけど、そんな単純な図式じゃないですよね。物事っていろんな要素が絡み合って成り立っているわけで、それを理解できない人が意外と多いんですよね」

そこで、「それは深く考えずに単純に感情で動いているからじゃないの?」と堀江氏。

 ひろゆきさんらは、もちろん学者ではなく、経済学の説の裏付けもないと思います。最低賃金の引き上げによる影響は?日本は18円・アメリカは750円引き上げで見たように、最低賃金の引き上げの評価はまだ定まっていないようでしたが、上記のような大きなデメリットがあることもまだ確定していません。最低賃金のメリット・デメリットはまだはっきりと断定できないというのが正解でしょう。

 とりあえず、この最低賃金の評価は置いておいて、ネオ・ラッダイト運動に関わる話はこの後出てきます。ひろゆきさんが、テクノロジーを規制するようなものが流行るのではないか?と予想していたのです。

「例えば『自分たちの仕事を守るためにロボットを規制しよう』とか、政府に文句を言ったりヘンな圧力団体をつくったりすると思います。すると、そのうちに海外のロボット技術が格段に進んで、国内産業ごと壊滅するみたいなシナリオも考えられる」(ひろゆき)

 前半で見てきたように、ロボットなどへの代替というのは世界的に進んでいます。最低賃金うんぬんの問題ではなく、必然的な方向性であり、避けられない運命だと思われます。

 そして、こういったテクノロジー発展の煽りを食う人たちによるネオ・ラッダイト運動の盛り上がりというのもまた、予想可能な出来事かもしれません。


 関連
  ■ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?
  ■最低賃金の引き上げによる影響は?日本は18円・アメリカは750円引き上げ
  ■人間を超えるIBMの人工知能ワトソンのできること、さらに増える
  ■増えた職業ランキング・減った職業ランキング それぞれの1位は?
  ■将来なくなる仕事ベスト10 将来性のない職業にコンビニ店員・コックなど
  ■将来なくなる職業ランキング 小売販売員,会計士,事務員,運転手など
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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