2016/2/5:
●皇学館大教授の博士号取り消し、大学でも懲戒処分
●三重県伊勢市の皇学館大学 神宮皇學館が母体で古くは神宮教院とも
●皇室との関係が深い伊勢神宮 皇学館大学もその近くにある
●不正に甘い日本の伝統文化は守らないでほしいのだけど…
2016/1/18:
●書籍が盗用で出版社がお詫びして絶版、九州保健福祉大で博士号取消
●書籍以外でも多数の剽窃あり…皇學館大学は35箇所「盗用」でも軽い処分
●皇学館大教授の博士号取り消し、大学でも懲戒処分
2019/07/23:あまり読まれなかった皇学館大不正の投稿を消して、皇学館大全般の話にまとめました。ついでに再投稿しています。
2016/2/5:お名前は出ていないものの、以前書いた"書籍盗用絶版で博士号取消の皇學館大学教授、軽い処分で済む"(後半に追加)の件が、大手新聞でも報道されていました。
皇学館大教授の博士号取り消し 授与した九州保健福祉大:朝日新聞デジタル(大畠正吾 2016年2月5日13時13分)によると、九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)は、通信制大学院で博士号を授与した皇学館大学教授学位を取り消したことを明らかにしました。博士論文でほかの研究者の論文やインターネット上の資料を盗用したことが理由です。
九保大は学位を取り消すとともに、指導教官2人を戒告処分に。教授は九保大の調査に盗用を認めているといいます。皇学館大も2015年、この教授が九保大の博士論文を含む論文5本、著書2冊で計35カ所を盗用したとして、停職3カ月の懲戒処分にしています。著書も絶版、回収されているとされていました。
●三重県伊勢市の皇学館大学 神宮皇學館が母体で古くは神宮教院とも
当時気になって一度検索してみようと思っていたのが、皇学館大のことです。最初、何となく聞いたことある気がして、都内の私立大なんだと思ったのですが、上記のように三重県伊勢市にあるとのこと。個性的な名前なので興味を感じていました。
皇學館大学 - Wikipedia 最終更新 2015年9月21日 (月) 13:06
皇學館大学(こうがっかんだいがく、英語: Kogakkan University)は、三重県伊勢市神田久志本町1704に本部を置く日本の私立大学である。1962年に設置された。大学の略称は皇學館大だが、大学スポーツでは皇學大も使用している。非公式には系列校と同じく「學館」(がっかん)と呼ばれることもある。
Wikipediaを見てみると、私が知らなかっただけで歴史ある大学みたいですね。それは「1962年に設置」という意味ではなく、前身組織を見ての話です。
1882年(明治15年)に伊勢神宮祭主であった久邇宮朝彦親王の令旨によって林崎文庫に設置された神宮皇學館を母体とする[1]。主として神職や教員の養成にあたり、1903年(明治36年)に官立の旧制専門学校(内務省所管の宗教系旧制専門学校)を経て、1940年(昭和15年)には旧制の官立大学(文部省所管)になるが、第二次世界大戦終結後は国家神道を推進した機関の一つとして、いわゆる神道指令を受けて廃学・解散した。現在の大学は1962年(昭和37年)に私立大学として、旧制神宮皇學館の関係者が中心となって「再興」したものである。
さらに「神宮皇學館」(1882年)より前に、「神宮教院」というものもあったそうです。
明治維新以前、伊勢神宮では神職の養成や神道・学問の研究、文書の保存などを神宮文庫の前身にあたる豊宮崎文庫や林崎文庫が主に担っていたが(神宮文庫・沿革の項を参照)、大教宣布[4]や近代社格制度の整備に代表される、新政府の神道国教化の推進政策の影響を受け、神宮でも本格的な教導職の養成機関を作り、全国への神道の布教をはかる動きが起こった。そこで、当時神宮少宮司の地位にあった浦田長民らが中心となって設立したのが神宮教院であるが、これが皇學館の源流である[5][6]。1872年(明治5年)10月28日、教部省に「神宮教院開設届」が提出され、翌1873年(明治6年)には全国からの新入生を集めて神宮教院が開校した。
●皇室との関係が深い伊勢神宮 皇学館大学もその近くにある
何で「皇」って字がつくのかと思ったら、ここらへんの伊勢神宮関係の関係かもしれません。皇室との関係が深いところです。Wikipediaでは、"神宮皇學館大学は国家神道を担ってきた"ともありました。
(
多くの神社を廃止、明治政府の伝統文化破壊と国家神道の捏造 あの南方熊楠も「神社合祀」に猛反対でやったように、三重県で多くの神社の破壊されたのも伊勢神宮との関係があるかもしれません)
伊勢神宮 - Wikipedia
皇室の氏神として、天皇以外の奉幣は禁止された(私幣禁断)[6]。天武天皇の時代に斎宮が制度化され、『扶桑略記』によれば天武天皇の皇女である大伯皇女が初代とされる。
先のWikipediaによれば、"伊勢神宮の外宮と内宮のほぼ中間の倉田山に大学本部(伊勢学舎、文学部・教育学部・現代日本社会学部)校地が所在する"とのことで、所在地もモロに伊勢神宮という感じのところにあります。
なお、文学部に神道学科・国文学科などがあるのは本当ですが、他に教育学部・現代日本社会学部もあるために、文学部のみではありませんでした。ここの神道学科の存在や前述の歴史に関する記述を読むと、他にあまりないユニークな大学だと感じられます。
●不正に甘い日本の伝統文化は守らないでほしいのだけど…
Wikipediaを眺めていると、"神宮皇學館は、当時の文明開化、旧物破壊の風潮に対して、日本古来の歴史と伝統に基づいた学問の維持発展を目指した"という記述も目につきました。旧物破壊の風潮というのは、前述した三重県の神社破壊活動を考えると微妙な気持ちになります。
また、古来の伝統とは全然関係ないんでしょうが、"書籍盗用絶版で博士号取消の皇學館大学教授、軽い処分で済む"(この後掲載)で書いたように不正への処分が軽くなってしまったというのも、モヤモヤした気分にさせられます。
皇學館大に限らず、日本は研究不正に対する態度が甘い気がするんですよね。今の処分の傾向だと不正にチャレンジする価値は十分にあるという状態なので、もっともっと厳しくして欲しいです。
●書籍が盗用で出版社がお詫びして絶版、九州保健福祉大で博士号取消
2016/1/18:ニュースになっていないので知りませんでしたが、皇學館大学で不正の処分があったそうです。研究不正の専用サイトらしき
研究公正: 1月 2016で知りました。1月は今のところ他に2件の投稿があります。
どうも発端は書籍の盗用みたいですね。2015年3月1日に出版社がお詫びを出していました。教授は2002年の時点で既に教授になっているのですが、経歴を見ると比較的最近になって博士号を取ったようです。
で、これが盗用とされた書籍を元にした博士号だったみたいなのです。ベースとなったものが盗用で絶版となれば、当然お咎め無しとは行きません。博士号も取り消されました。
●書籍以外でも多数の剽窃あり…皇學館大学は35箇所「盗用」でも軽い処分
上記は2015年12月18日。さらに1週間後に在籍する皇學館大学でも発表が出ました。ただ、不可解なのはこの後です。処分がたいへん軽かったことに驚きます。
"学校法人皇學館賞罰規程により、停職3ヶ月(期間:平成27年6月1日~同8月31日)の処分とした。(平成27年6月1日発令)"
博士号取り消しと言うと、早稲田大学です。
小保方晴子が早稲田大を初期化?全博士論文のコピペ不正など調査へ で書いたように、まともに調査すると博士号剥奪者が多数出ると予想されていました。
そして、その場合、興味があったのは現職への影響があるかどうか?というところだったのですが、ご存知の通り、小保方晴子さんの博士号を取り消しただけで、他の多くの方はそのまま。小保方さんはもともと無職でしたので、影響があるかどうかはわからず終いでした。
今回のケースも教授となった後に得た博士であり、結局、私が想定していたのと違う形ですので、やはり博士号取り消しの影響を見るには良い例ではありませんでした。ただ、関連する調査の中でこれだけ多数の剽窃が認められながら軽い処分で済ませてしまったというのは、別の意味で非常に問題があります。
ここまで掲載した話は大学や出版社側の発表であり、教授側の反論はわかりません。ですので、実際には不正ではないという可能性もあります。とはいえ、大学としての調査で多数の盗用を認めてしまった以上、厳格な処分を与えなくては辻褄が合いません。
冒頭で書いたように全然ニュースになっている話ではありませんでした。しかし、早稲田大学同様に皇學館大学のやったことは大学の自殺行為だと言え、かなり深刻な内容です。
【本文中でリンクした投稿】
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多くの神社を廃止、明治政府の伝統文化破壊と国家神道の捏造 あの南方熊楠も「神社合祀」に猛反対 ■
小保方晴子が早稲田大を初期化?全博士論文のコピペ不正など調査へ 【関連投稿】
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