消費税関係の話をまとめ。<産経新聞記者が安倍政権批判、消費税増税で大企業には税金免除!>、<日本を代表する大企業が税負担率0・003%、過去には無税企業も>、<納税しない高所得者の国税対策をやれば、消費増税は不要だった?>などをまとめています。
2023/07/14まとめ:
●消費税増税に反対するのは金持ちばかり 増税賛成派が主張(小笠原誠治)
●消費税増税に賛成多いのは庶民か高所得者か?調査ではっきり
●産経新聞記者が安倍政権批判、消費税増税で大企業には税金免除!
2019/09/21:近年産経新聞化が強くなってきた感じの産経新聞社の夕刊フジで、
【お金は知っている】政治も「ガチョウの沈黙」に便乗!? 消費税が「悪魔の税制」といえるワケ 夕刊フジ / 2019年9月20日 17時12分という強烈な安倍政権批判記事があってびっくり。作者も「産経新聞特別記者」となっていて、もろに産経新聞色が強くなっています。
「産経新聞特別記者」と言うと、田村秀男さんを思い出します。なぜか夕刊フジのオフィシャルサイトまで行って確認したものの記載がなく、作者の名前は不明。紙面では載っているのにネット記事にしたときに不備が…というパターンですかね。ああ、でも、「【お金は知っている】」は確か田村秀男さんのシリーズだったので、やっぱり彼が書いているのでしょう。
さて、肝心の批判の中身。元国税マンで税制研究の大家、富岡幸雄・中央大学名誉教授が近著『消費税が国を滅ぼす』(文春新書)によると、大企業がまともに納税すれば約9兆円の税増収となり、消費税増税は不要どころか、消費税減税が可能になるとしていました。
●日本を代表する大企業が税負担率0・003%、過去には無税企業も
以前、
実質賃金は過去数十年間最低 法人税減税分を庶民が消費税で肩代わりで、過去の法人税減税分と消費税増税分が同程度だという話が出ていました。法人税を下げて税金が足りなくなった分を、低所得者層ほど負担が強い消費税でまかなっているような形です。
記事では、実際に驚くほど税金を払っていない企業の例を出していました。富岡幸雄・中央大学名誉教授によると、ソフトバンクグループは税引前純利益1624億2200万円もあるのに、納税額は500万円、税負担率0・003%。日本製鉄はそれぞれ1109億2200万円、16億1500万円、1・46%だそうです。
法定税率はあくまでもみかけだけで、内実は企業規模が大きくなればなるほど実際の税負担率は下がっていることを指摘。忠実に税を納めているのは主に中堅規模の企業だとされていました。
私はトヨタ自動車のことも思い出しましたね。
法人税払ってなかったトヨタ自動車「増税もまた楽しからずやだ」と広告 むしろ消費税増税でボロ儲け?という話をやっています。
●騒ぐとやっかいな人ではなく、黙っているバカな庶民に課税しよう!
元記事のタイトルの「ガチョウの沈黙」というのは、国民が政権を十分批判していないということを示しているようです。ルイ14世の財務総監、ジャン・バティスト・コルベールは、騒ぐとやっかいな貴族や僧職には課税せず、宮廷に出入りすることのない平民を徴税の対象としました。
これについて、このコルベールは自ら「生きているガチョウを騒がせずに、その羽をできるだけ多くむしり採る」と表現していたとのこと。かなり庶民をバカにしていますね。このことは、今の日本人も政治家にバカにされているということを示しているのかもしれません。
安倍政権支持者の中には消費税増税のみ敵視して、安倍政権のことには触れないというパターンもあるのですが、この記事では直接的に批判しています。上記を踏まえて、政治の方も、「ガチョウの沈黙」に便乗しているとした上で、以下のように書いていました。
<安倍晋三政権は消費税率を2014年度にそれまでの5%から8%に引き上げたばかりか、今年10月には10%とするのだが、安倍政権は消費税増税にもほとんど影響されずに安定した世論の支持率を保っている>
また、<ガチョウを太らすことを考えないどころか、やせ細ろうとも、気にしない。そして平然と毛をむしり取る>とも書いています。相当強烈な政権批判になっていました。
●納税しない高所得者の国税対策をやれば、消費増税は不要だった?
2020/02/28:吉本興業所属のお笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実さんが所得隠しと申告漏れしていたことのニュースがありました。なぜかまた元・日経新聞記者(産経新聞の田村秀男さんも元・日経新聞記者)らしいのですけど、作家の鈴木涼美さんがこの話題から予想外の話題に移っていました。「国税対策をしっかりやれば、消費増税は不要だった」という主張です。
「現金を大量に持っているが、面倒くさくてやって(納税して)いない。それでも収入が1億円ほどは無いため、国税局にツッコまれていない人が日本にはいっぱいいる。その対策をしっかりやれば、税収は上がり消費税など上げなくてもよかった。国はお金をかけて対策をやるべきだ」
(
「“納税逃れ”を無くせば、消費増税は不要だった」 鈴木涼美氏「国税にツッコまれていない高所得者は大勢いる」 | AbemaTIMESより)
そういえば、税金の支払いを免れている人の話としては、
クロヨン・トーゴーサン・トーゴーサンピン 政治家優遇の税金制度と熊本県菊池市などの税金優遇といった話もやっています。これによると、どうも増税を決めた政治家自身がガバガバみたいですね。
●減税額4兆円!0.1%すらない大企業が減税の6割を占めるいびつさ
2020/09/22:株価を理由に安倍政権など政治家を肯定する主張があるのですが、株価はいくつかの理由において政治や経済を評価するのに適切ではありません。その理由の一つは、このページと関連するもの。そもそも株価に関連するのはごく一部の企業の利益であり、国民全体の利益ではないということです。
産経新聞特別記者が指摘したような大企業優遇が起これば、大企業の業績期待と関連する株価も上がりやすいでしょう。しかし、それは必ずしも国民の利益とは一致しません。このことと関係する
安倍政権下の政策減税 6割が巨大企業に 13年度以降3兆8千億円 優遇くっきり:東京新聞 TOKYO Web(2020年9月16日 05時50分)という記事も出ていました。
<第2次安倍政権下で租特(引用者注:法人税の一部を政策的に減税する「租税特別措置」)が始まった13年度から、18年度までの減税額の合計は約6兆円。減税額を企業規模別で見ると、企業数では0.1%に満たない巨大企業(資本金100億円超)向けが63%を占めていた。中小企業(1億円以下)向けは約20%、中堅企業(1億円超~10億円以下)向けは約6%だった。
また、税理士の菅隆徳氏が企業の利益に対して納めた法人税の割合を「負担率」として試算したところ、18年度では中小は18%、中堅は20%なのに対し、巨大企業は12%にとどまった。本来、法人税は利益の23%分(地方分を除く)を支払うが、租特による減税効果が巨大企業ほど大きいことを示している。同氏は「巨大企業は利益に見合った税負担をしていない」と指摘する>
<浦野氏(引用者注:立正大の浦野広明客員教授)は「企業規模によって減税の恩恵が偏るのは公平性に反する」と訴える>
●大企業が儲かれば庶民にも利益?実は自民党自ら否定した説
安倍政権は当初トリクルダウンが起きて庶民にも利益が行くと主張しており、これを信じていた人も結構いるでしょう。これが事実なら、大企業優遇でも効果がないわけではないと言えます。ただ、結局、トリクルダウンは起きなかったため、後から安倍首相が「そんな話はしていない」と否定しだす始末に。トリクルダウンが起きないというのを右派も認めた形になりました。
そもそも安倍政権は、ノーベル賞を受賞したリフレ派の教授らの言説をアベノミクスの肯定に使っていたものの、彼らはそろって企業減税やトリクルダウンを否定し、大企業優遇ではなく、一般庶民にお金を流し、格差是正をすることを訴えていました。実は格差是正をする方が経済にプラスであることもわかっています。
あと、今回の話で言う大企業優遇の中小企業潰しというのも、経済にマイナスかもしれませんね。現在の世界トップクラスの企業は短期間で発展してきた新しい企業が多いです。稼げない大企業の退場を促し、伸びている新興企業を伸ばしてやる方が経済にプラスだと思われますが、自民党はわざわざ稼げない企業を優遇している…とも考えられます。
●消費税増税に反対するのは金持ちばかり 増税賛成派が主張(小笠原誠治)
2013/10/2:消費税増税に反対するのは金持ちばかりで、彼らは景気が良くなっても決して賛成することはないと主張している方がいました。それ逆じゃないの?という妙な主張です。小笠原誠治さんという方の<消費税増税が支持されない本当の理由 ブロゴス>(2013年09月30日 11:36)であった話でした。
<何故増税に反対する人が多いのでしょうか? 何故だと思いますか? 景気回復に冷や水をかけるから? 景気がよくなってから増税すべきだから? いろいろな考え方があると思うのですが‥本当の答えは、そんなことではないのです。 真実の答えは‥税金が嫌だから! これが答えです。
ですから、この先、仮にどんなにバカ景気になることがあったとしても、人々はまた増税には反対するでしょう。それは確実なことなのです。だって、
お金持ちや企業の常日頃の発言からすれば容易に想像がつくではないですか?! 所得税が高すぎると、日本から脱出するお金持ちが増えるであろう、と。法人税を下げないと国外に脱出する企業が増えるであろう、と。
要するに、皆税金を払いたくないのです。そして、
お金持ちほど、どうにかして納税額を少なくしようと苦心する。だから、この先、経済成長率が高まって、そして、国民の多くが今よりも豊かになったとしても、そう簡単に増税に賛成することなど考えられないのです>
http://blogos.com/article/70891/ 「貧しい人ほど消費税増税に賛成」とは直接書いていませんが、「お金持ちほど増税に反対」と書いており、なおかつ増税賛成派と反対派から拮抗していることを考えると、むしろ貧しい人ほど消費税増税に賛成していると言っているに等しいです。これはかなり通常の理解と異なります。
「庶民は皆消費税増税に賛成だ、反対する奴は金持ちなんだろうどうせ」という、現実とは逆のひどいミスリードじゃないでしょうか。作者紹介の説明文には「分かりやすく解説するのが使命だと思っています」と書いてありましたが、とんだペテン師さんだなぁと感じました。
●消費税増税に賛成多いのは庶民か高所得者か?調査ではっきり
直接的になデータがなかったので特にこれは取り上げていなかったのですけど、今日見たらそういうアンケートがありました。<消費税増税、年収が高くなるほど"賛成派"の割合が高くなることが判明>(マイナビニュース 御木本千春 [2013/09/30])ということで、小笠原誠治さんの主張と全く逆でした。
これは政治・選挙プラットフォーム「政治山」において実施した調査。2013年9月18日~19日にかけてインターネット上で行われ、20歳以上の男女1,114人から有効回答を得たものです。消費増税に対する賛否を尋ねたところ、「賛成」は34.3%、「反対」は34.8%、「どちらでもない、わからない」は30.9%でしたが、今回注目なのは、年収との関係性です。
<世帯年収ごとに見ると、
賛成した人の割合が最も多かったのは「1,500万円以上~2,000万円未満」で58.3%。他方、反対した人の割合は「200万円未満」が40.4%で最多となった。また、
年収400万円未満の層では反対が4割を超えたのに対し、年収1,200万円以上の世帯では、賛成が52.3%(全体平均34.3%から18ポイント増)と過半数となった。さらに、年収1,200万円以上の世帯では「どちらでもない、わからない」といった曖昧な回答が16.9%(全体平均30.4%から13.5ポイント減)と大きく減少。同社は「年収の高低と消費増税への賛意が相関関係にある」と分析している>
http://news.mynavi.jp/news/2013/09/30/143/index.html そりゃそうですよね。小笠原誠治さんが主張するような「お金持ちの方が消費税増税反対!」みたいなことがあるわけないですわ~。消費税増税の賛成・反対はともかく、賛成派がこういう詐欺をやっていては信頼が失われていくでしょう。ひどすぎて呆れてしまいました。
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