【クイズ】1999年に流通した地域振興券の説明で正しいものはどれでしょう?
(1)小渕内閣時代の緊急経済対策の一つである。
(2)財源のうち半分を国が補助していた。
(3)2002年4月の内閣府経済社会総合研究所によると、発行額のほとんどが消費の押し上げに使われ、さらに波及効果が大きかったとされている。
●プレミアム商品券は高所得者への支援?
プレミアム商品券は使うあてがないと買いませんので当然と言えば当然ですが、高所得者層がたくさん買っているという調査がありました。
プレミアム商品券は高所得者が購入 秋田経済研究所調査|さきがけonTheWeb(2016/02/19 13:55 更新)
秋田経済研究所(秋田市)が行ったプレミアム商品券の使用状況調査によると、購入割合が高かったのは、1カ月当たりの生活費や年収が多い世帯だったことが分かった。(中略)
調査は昨年10月、県内1400世帯を対象とした県消費動向調査の一環で実施。703世帯(50・3%)から回答を得た。
商品券を購入した割合を1カ月当たりの生活費別でみると、10万円以上の各世帯では4割を超えたが、10万円未満は28・4%だった。年収別でも、300万円以上の世帯では4割を超え、300万円未満は32・2%にとどまった。
●低所得者では消費喚起効果が弱い
プレミアム商品券の役割・期待というのは、複数あるでしょう。そのうち、今まで買わなかったものまで買って欲しいという意味でしたら、この高所得者向けというのは悪いこととは言えません。
というのも、使い道を見ると、"年収300万円未満の世帯で日常の買い物に使った割合が94・6%に上った"ということで、単なる節約に留まっています。
一方、"年収が上がるにつれ、これまで欲しかったものや普段より高価なものを購入して"おり、消費喚起効果を期待するのであれば、こちらがの方がより効果的です。
嫌な気持ちになってしまいますが、消費喚起効果だけを考えるのであれば、プレミアム商品券は貧乏人には売らず金持ちだけに売った方が良い、と言えてしまいます。
●低所得層支援で大失敗した青森県弘前市
プレミアム商品券の役割・期待は複数あると書いたように、低所得者層の家計支援という考え方もあります。検索かけると、そういう効果を狙ったのに大失敗したというのが、秋田県の隣、青森県に関する記事でありました。
お得なプレミアム商品券をさらにお得に買える割引券を低所得者層に送ったのに、多くの人が買えなかったという話みたいですね。
即日完売 低所得層、割引券使えず 「想定3日だったのに…」苦情2800件、弘前市陳謝 /青森 毎日新聞2015年7月8日 地方版
弘前市は6日、先月販売された市プレミアム商品券が即日完売した結果、同商品券を市発行の割引券で安く購入できるはずの子育て世帯や低所得世帯などの割引券利用率が28〜44%の低率にとどまったと発表した。(中略)
市は事前に、18歳未満の子供がいる世帯や、市民税非課税などの低所得世帯などに対し、プレミアム商品券の購入時に使える4000〜1000円の割引券を送っていた。
当初、市は「発行日から3日間で完売」と想定していた。だが即日完売してしまったため、子育て世帯や高齢者らから「商品券を買えない」「割引券を使えない」などの苦情や問い合わせが発行日から8日間で約2800件寄せられたという。【松山彦蔵】
市は「プレミアム券12万8000セットに対し割引券を約9万5000枚発行したのは多すぎたかもしれない。見通しが甘く混乱を招いた」と言っていたとのこと。あまりにも杜撰すぎます。お役人さんは本当驚くほど常識ないですね。
●プレミアム商品券の消費喚起効果は期待できない?
なお、プレミアム商品券については、以前、
プレミアム商品券で地域活性化は不可能 典型的な愚策である理由を紹介しています。ここで使った記事では、プレミアム商品券の役割のうち、地域活性化というのは期待薄だとしていました。
ただ、今回最初に見た消費喚起効果も、結局弱い可能性があります。例えば、先の"年収300万円未満の世帯で日常の買い物に使った割合が94・6%"というのがそういう話でした。
また、高所得者はこれよりマシとされるものの、具体的に何%と書かれていません。10%、20%比率が上がったとしても、多くの人が日常品購入費の節約に留まるというものであり、かなり効果は低そうです。
最初のクイズも実はそういう効果がなかったよという話でした。
【クイズ】1999年に流通した地域振興券の説明で正しいものはどれでしょう?
(1)小渕内閣時代の緊急経済対策の一つである。
(2)財源のうち半分を国が補助していた。
(3)2002年4月の内閣府経済社会総合研究所によると、発行額のほとんどが消費の押し上げに使われ、さらに波及効果が大きかったとされている。
【答え】(1)小渕内閣時代の緊急経済対策の一つである。
90年代の経済政策と消費行動の研究1-地域振興券の消費刺激効果-(内閣府経済社会総合研究所、2002年4月)によると、使用せずに済んだ現金を貯蓄に回したため、消費の押し上げ効果は発行額のわずか10%程度にとどまり、波及効果もほとんどもたらさなかったそうです。
財源を国が全額補助していたのですが、このザマでした。今回のプレミアム商品券の消費喚起効果もあまり期待しない方が良さそうです。
ただ、失敗だった場合は過去の事例に全く学ばずに愚策を実施したということですので、「残念でした」では済まない話なんですけどね。
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