元記事は「猫を飼うと統合失調症になる」としているものの、かなり問題ありますね。猫を飼うと100%統合失調症になるわけではありません。また、「統合失調症患者の50.6%が子どもの頃に猫を飼っていた」とあるのも、子どもの頃に猫を飼っていた人の50.6%が統合失調症になるという意味でもありません。
ただ、統合失調症になった人を調べると「子どもの頃に猫を飼っていた」人が多いので、関係があるかもしれないという話です。さらには、後無関係だという話まで出ています。(2016/2/25、2017/02/27)
●統合失調症の半分が猫を飼っていた!トキソプラズマ原虫が脳に侵入し悪さ
2016/2/25:トキソプラズマの話は、
猫は寄生虫で人を操っている!?トキソプラズマの症状と
トキソプラズマは女性の天敵?妊娠の問題だけじゃなく自殺もの二度やっています。今回は、その追加版的な位置づけです。
統合失調症患者の50.6%が子どもの頃に猫を飼っていた、というのがわかったのは、当時はまだ科学者には分析されていなかった、1982年に行われたアンケートを調べてみて…でした。これは、精神障害国立研究所(NAMI)に所属する2,125世帯のデータです。
また、1990年代にNAMIメンバーの間で行われた2つの調査でも、似たような結果になっており、猫との関係が深いと考えたようです。
(
猫を飼うと統合失調症になる―3つの研究 | 健康 | 大学生活 | マイナビ 学生の窓口より)
スタンレー医学研究所のエドウィン・トーリー博士は、ハフィントンポストで以下のように語っていました。
(以下で出てきている「Tゴンジ」というのは、「トキソプラズマゴンジ」のこと。寄生性原生生物トキソプラズマの学名が「Toxoplasma gondii」であるためです)
「Tゴンジが脳に入り、微視的嚢胞を形成します。おそらくその後、神経伝達物質に影響を与え、青年期後期に活性化され、疾患を引き起こすことになると、我々は考えています」
●致死的な状態になったり胎児が重篤化したり
久しぶりにトキソプラズマのWikipediaを見てみましたら、恐ろしい話が出ています。
ただ、以前もやったようにトキソプラズマ症の感染者は3人に1人という多さです。感染者の強烈な多さからすると、ほとんどの人が重篤化しないということもわかります。
トキソプラズマ - Wikipedia 最終更新 2015年3月30日 (月) 12:12
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は、アピコンプレックス門コクシジウム綱に属する寄生性原生生物の1種。幅2-3μm、長さ4-7μmの半月形の単細胞生物で、ヒトを含む幅広い恒温動物に寄生してトキソプラズマ症を引き起こす。通常は免疫系により抑え込まれるため大きな問題とはなりにくいが、免疫不全の状態では重篤あるいは致死的な状態となりうる。特に妊娠初期に初感染した場合、胎児が重篤な障害を負うことがある。
●有効な予防策がわかっているトキソプラズマ症
重篤化する人が少ないとはいえ、現実的な対応で予防可能でしたら予防しておいた方が良いです。実は予防法がわかっています。
最初の記事では、"研究者は、猫のトイレに普段から蓋をすることと、猫同士の寄生虫感染を防ぐために、猫の室内飼いを勧めています"としていました。
また、トキソプラズマ症の方の
Wikipediaでは、以下のように書いていました。
予防
・調理の前後にはよく手を洗う
・園芸や猫の世話をする時にはゴム手袋などを着用する
・生食や無滅菌の牛乳を避け、加熱、燻製、塩蔵がしっかりされた食品をとる
・24時間以上冷凍した食品を使う
・野菜や果物は酢水で洗ってから食べる
・猫はできるだけ部屋飼いにし、生肉を与えたり狩りをさせたりしない
・肉類は十分に加熱し食べる
・妊婦はなるべく生肉を食べない
もし飼い猫が外出せず、かつ生肉を食べないのであれば、飼い猫から感染することはまずあり得ない。ゴム手袋などを着用して飼い猫のトイレを毎日清潔に保ち、さらに適宜ゴム手袋を消毒すればよい。ただし、どこで食事をしているかわからないようなネコは、近づけない方が感染の可能性を減らせるだろう。
生肉、動物、ネコの糞便に汚染される可能性があるものなどを取り扱う職業に就いている場合は注意が必要である。獣医師や繁殖家とその補佐、食肉処理場・加工場や肉屋の従業員や検査員、農家、造園家、研究施設や衛生試験場の技師、医師や保健衛生関連の専門家などが該当する。
外飼いでない猫ならまず大丈夫な感じですが、そうじゃなくても普段から清潔にしておくこと自体はもちろんプラスになると思います。参考にしてください。
●ネコを飼うことと統合失調症の発症は関係なかった?
2017/02/27追記:で、統合失調症の話限定であり、トキソプラズマの危険性は否定されていないのですが「猫の飼育と統合失調症に関連性がない」という記事があったので読んでみました。
ネコを飼うことと統合失調症の発症は関係がないことが判明 - GIGAZINE(2017年02月24日 09時00分00秒)
前述の研究をおかしいと思ったユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、The Avon Longitudinal Study of Parents and Children (ALSPAC)に登録されている1991年および1992年に生まれた5000人の子どもデータを調査。
その結果、妊娠中・若年期・成熟期などのネコを飼育している家庭で生まれる、もしくは育った子どもたちが、13~18歳の間に精神病を発症する危険性が特に高いということはないと結論づけられました。
また、以前の論文のデータは調査対象が少ないし、対象がどのように選ばれたかなどが不明で、偏ったのでは?という説明でした。この説明の方が納得できると感じます。
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