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ある国名が英語で漆を意味する…日本の高級漆器も実は中国製?


2016/2/29:
●~の98%は中国産 日本の高級漆器も実は中国製?
●日本産ではなく中国産であったとして、何か問題でも?
●中国産かどうかよりももっと大事な問題がある
●金箔の「金沢箔」にも日本産ではなく中国産がある
●ある国名が英語で漆を意味する…その国とは?


【クイズ】以下のうち、「漆」(うるし)と言う意味を持つ英単語はどれでしょうか?

(1)china
(2)japan
(3)vietnam


●~の98%は中国産 日本の高級漆器も実は中国製?

2016/2/29:日本の高級漆器も結局中身はほぼ中国製なのか?というと、決してそんなことはありません。ただ、元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、小西美術工藝社社長であるービッド・アトキンソンさんによると、日本では年間約50トンの漆が使われていますが、そのほとんど(98%)が中国産だそうです。

 日本産漆はたった1トン。その日本産漆も、ほとんどすべてが文化財の修繕に使われているとのこと。さらに、その文化財ですら、明治以降の復元では、中国産の漆を多用してきました。

 また、日本産漆のほとんどすべてが文化財の修繕に使われているということは、日本の漆器に使われる「漆」はほぼすべてが中国産だということになります。高価な漆器であっても「漆」は中国産だということみたいですね。

 小西美術工藝社に入る前にアトキンソンさんは、京都の有名なお店の人から「すばらしい日本の技術だ」と勧められて、高級な京漆器を購入したことがあるそうです。

 販売員は何千年も続いた日本の伝統技術を強調していました。あたかも漆から金箔から、すべて本物であるかのようなセールストークを受けたとのこと。実際、何よりも重要なポイントですが、その値段は「ほんまもん」にふさわしい値段だったといいます。

 ところが、小西美術工藝社に入ってから調べて、京都では文化財以外、日本産漆をほぼ使っていないことが判明。アピールしすぎなければ嘘にはならなかったものの、騙したような形になってしまいました。
(日本の誇りを守るため「伝統文化」も変化せよ なぜ、ここまで「ボッタクリ」がまかり通るか 東洋経済オンライン / 2016年2月29日 8時0分より)


●日本産ではなく中国産であったとして、何か問題でも?

 こうやって紹介していますが、私は別に漆が中国産でもいいじゃんと思っています。これについてはアトキンソン社長も触れていて、以下のように言っていました。

"漆は中国産かもしれないが、塗ったのは日本人の職人だから「すばらしい日本の技術だ」という売り文句にウソはないだろうと思う方もいるかもしれません。たしかに、伝統工芸品には原材料まで表示する義務はありませんので、法的には問題ありません。私も普通の製品ならばそこまで目くじらを立てる必要はないと思うのです"

 ただし、これを「世界一」とか「世界に誇る」などの宣伝文句で売って、最初から最後まで日本の職人がつくったと思わせるような値段設定をしている場合、看過できない問題があると思っているとのこと。


●中国産かどうかよりももっと大事な問題がある

 中国産でも日本産でも特に構うことはないと私は思いました。私はそもそも日本製品が良いみたいなものが、イメージだけで本質が伴わないということも実際にはよくあることです。
(2019/04/19追記:後に、エアバッグで有名なタカタのチャイルドシート、安心の日本製と宣伝されてたという投稿もしています)

 ただ、上記を読んでわかるように、アトキンソン社長は「詐欺的なのが問題だ」という趣旨みたいですね。この観点はなるほどと思います。食品偽装に近い感覚でしょうか。イメージ商売であるからこそ、余計偽ってはいけないとも言えそうです。

 元記事のタイトルになっていた「ボッタクリ」というのも、このあたりの話でした。まず、安い素材を使うならば、その分だけ消費者に還元すべきだとしています。一方で、伝統技術だから高いというイメージを利用して、値段は高いままで、中身はどんどん安い素材などに変えていくというのは、悪質だとの見方。安物なのに値段を高くするのは、「日本の伝統」を悪用したボッタクリだとしています。

 読み直していて思いましたけど、これは本来、日本製にこだわる人ほど非難しちゃいけなくちゃいけないことですね。私は日本製信仰がないので、中国産でも一向に構いません。それとは逆に、日本製が優れていると考えている人の方が、日本産の漆を使っているかどうかという情報の重要性が増すはずです。やはり悪徳な感じになっています。(この部分だけ2019/04/19追記)


●金箔の「金沢箔」にも日本産ではなく中国産がある

 なお、金箔も中国産が混じっているんだそうな。金箔といえば、石川県の金沢を思い浮かべる方が多く、国内の金箔の99%を生産しているというのもよく知られています。なので、アトキンソンさんも小西美術工藝社に入るまで、金沢の金箔はすべて日本産だと「妄信」していました。でも、違うんですね。

 これを知ったのは、中国の会社が売っている金箔を実際に買ってみると、「金沢箔」についているものと同じ説明書きがついてきたこと。その中国の会社に問い合わせたところ、それを日本のどこに納めているかまで教えてくれました。近年この「金沢箔」として売られているもののなかに、実は安価な中国産金箔がかなりの割合で紛れ込んでいたことわがりました。

 あと、金箔でのボッタクリ問題としては、「金の値段が1割上がったから、1枚あたりの単価が1割上がります」と言って価格を釣り上げているという話がありました。

 アトキンソン社長は元金融アナリストなので、"1枚あたりの単価のなかには、職人の賃金、固定費なども含まれている"のだからそんなことはあり得ないと反論したそうですが、金箔業界ではこうやって人を騙してきようだという話。ひどい世界ですね。


●ある国名が英語で漆を意味する…その国とは?

 さて、クイズの回答です。普通は漆は「lacquer」といいますが、「japan」とも言うようです。今回の話を踏まえると「japan」なのにほとんど中国産ということになります。


【クイズ】以下のうち、「漆」(うるし)と言う意味を持つ英単語はどれでしょうか?

(1)china
(2)japan
(3)vietnam

【答え】(2)japan
 

 社長は「漆」だけを言っていましたが、辞書やWikipediaによると、「漆器」も「japan」と呼ぶことがあるとしていました。

 なお、選択肢にした「(1)china」は「磁器」全般を呼ぶ「China」から。「(3)vietnam」は国名が食器の名前になっているというったものはないのですけど、漆器の工芸品で有名な地域のひとつだとのこと。日本以外の東アジア、東南アジアでも漆器はあり、日本だけにあるものではないようでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■エアバッグで有名なタカタのチャイルドシート、安心の日本製と宣伝されてた

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