勉強場所という話で思い出したのが、薪を背負いながら本を読んで歩いたという二宮さんの話。彼についてのクイズを最初に出します。
【クイズ】二宮さんに関する説明で正しいものはどれ?
(1)小学校に建てられた像でもっとも古いものは、昭和初期である。
(2)二宮の諱(いみな)は「尊徳」。正確には「たかのり」だが、有職読みで「そんとく」と読まれることが多い。
(3)二宮の通称は「金治郎」の表記も見られるが、正しくは「金次郎」。
●静かな自習室が勉強場所に最適な環境という主張が見逃していること
"「静かなところを見つけて勉強場所に決めなさい」という昔からの教えを私たちは当たり前と思っているが、実はこの常識は間違っている"という書き出しの記事がありました。
実は静かな場所よりある程度喧騒があった方が良い、ホワイトノイズのようなものが集中できるとか、ボーカル無しのBGMがあると効果的とかいった研究も聞いたことあったのでそういう話かな?と最初思いました。
ただ、今回の話はそうでありませんでした。
勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?|脳が認める勉強法|ダイヤモンド・オンライン(2015年12月30日 ベネディクト・キャリー,花塚 恵 )というタイトルでわかるように、勉強場所の最適さの追及ではなく、勉強場所を変化させることの効果について見たものでした。
●同じ部屋で2度勉強するより違う部屋で2度勉強した方が良い
ミシガン大学の3人の心理学者スティーヴン・スミスとロバート・ビョーク、アーサー・グレンバーグによる研究は、1970年代半ばと古いものです。
学生を集めて4文字からなる40の単語(「ball」や「fork」など)を見せた。(中略)
2グループに、同じ単語を、同じ順番で、同じ時間をかけて覚えさせた。ただし、グループAは2回とも同じ環境で、グループBは異なる環境が設定された。(中略)
学生たちに10分の制限時間を与え、覚えた単語をできるだけたくさん思いだして書く課題を与えた。このテストは、ごく普通の教室という中立の部屋で実施された。この第3の部屋に入ったことのある被験者はひとりもおらず、彼らが勉強に使ったほかの2部屋とはまったく似ていない。
テストの点数には著しい差が現れた。2回とも同じ部屋で勉強したグループは、40単語のうち平均16個思いだした。勉強する部屋が変わった学生は、平均24個思いだした。単純に勉強する場所を変えただけで、思いだす数が40パーセント以上増えた。
●背景画像の違いで記憶力に大きな差が生じる
この実験では地下室や窓の外が見える部屋が使われましたが、その部屋の優劣については重要ではないと考えられているようです。さらに、"環境を変えさえすれば、どの部分を変えるかは大した問題ではない"とも考えられているみたいですね。
スティーヴン・スミスさんは、その後"学生に部屋を移動させるのではなく、短い映像を使って背景情報を生みだす"という実験も行っています。これでも顕著な差が出たのです。
まず、被験者を2グループに分ける。そして、一方にはスワヒリ語の単語20個を、10分ずつ5回の学習時間で覚えてもらう。単語は1個ずつスクリーンに映しだされ、その背景に同じ映像(駅の風景など)が無音で映っている。これにより「同じ環境」という条件が生まれる。
もう一方のグループも勉強する単語や学習時間は同じだが、背景の映像が5回の学習時間でそれぞれ違う(雨嵐、駅、砂漠、交通渋滞、居間)。視覚の情報は異なるが、それ以外の違いは一切ない。
ところが、2日後にその単語のテストを実施すると、背景が変わったグループのほうが点数が高く、彼らが平均16個のスワヒリ語を思いだしたのに対し、背景がずっと同じだったグループは9個か10個しか思いだせなかった。
●本番と違う環境の方が良い成績になるという別の研究
今回の話とは異なる話だとは思いますが、読んでいると
集中型学習は間違いだった!効率の良い勉強法は集中させないことで出てきた実験を思い出しました。
お手玉を3フィート先のバケツに投げ入れるテストにおいて、本番と同じ3フィートで練習したグループと、2フィートと4フィートで練習したグループを比較してみました。
普通は本番と同じ環境でやる方が良いだろうと思うところなのですが、何と逆に本番と異なる環境でやったグループの方が良かったのです。
これがちょっと違うだろうなというのは、"異なる条件の練習を複数行うことで1つの状況を成功させるという「多様型学習」"といった説明であったためですが、こちらと合わせて興味深いと個人的には思いました。
●薪を背負いながら本を読んで歩く姿は嘘?
小学唱歌にも『二宮金次郎』という曲があるんですが、正しくは「金治郎」。また、私も「そんとく」で覚えていたものの、「たかのり」が正式のようです。
【クイズ】二宮さんに関する説明で正しいものはどれ?
(1)小学校に建てられた像でもっとも古いものは、昭和初期である。
(2)二宮の諱(いみな)は「尊徳」。正確には「たかのり」だが、有職読みで「そんとく」と読まれることが多い。
(3)二宮の通称は「金治郎」の表記も見られるが、正しくは「金次郎」。
【答え】(2)二宮の諱(いみな)は「尊徳」。正確には「たかのり」だが、有職読みで「そんとく」と読まれることが多い。
小学校に建てられた像は、大正13年(1924年)、愛知県前芝村立前芝高等尋常小学校(現豊橋市立前芝小学校)に建てられたものが最古。ただし、「金治郎」の政治利用は山縣有朋人脈が中心だそうですから、政治利用自体はもっと早い時期かもしれません。
なお、薪を背負いながら本を読んで歩く姿は「負薪読書図」と呼ばれるもので、以前から既にこの図様に近い少年像は存在していたとのこと。
二宮尊徳は幼少期について語っておらず信ぴょう性が薄いですし、初出の明治14年(1881年)発行の『報徳記』の表記「書を懐にして」も、「胸の前で持って」ではなく「懐中」とも解釈できるそうです。時間があったら読むから持って歩くくらいの感じかもしれません。
私も本の歩き読みしちゃってるので人様のことは言えませんが、歩きスマホと同じですから現代の歩き読みは危険でもありますね。
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