2016/3/9:
●バリウム検査は危険?死亡例があるのは事実
●気分が悪くなったら身体は横にすべきか?
●バリウム検査では落下事故で別の死亡例も
●胃カメラなどバリウム検査以外の選択肢もある
●落下死亡事故という言い方は不正確?
2019/01/08:
●医師自身はバリウム検査より胃カメラを選択?
●バリウム検査は危険?死亡例があるのは事実
2016/3/9:『
バリウム検査は危ない: 1000万人のリスクと600億円利権のカラクリ
』という本を書いたジャーナリスト・岩澤倫彦さんの話。
こういう~は危険という話は胡散臭いことが多く疑ってかかるのですが、バリウム検査の必要性はともかくとして、死亡例があること、また、死亡した例の対応が悪かったことは納得できるものでした。
バリウム検査で死亡の50代女性 実施財団が事実もみ消し工作 NEWSポストセブン / 2015年11月6日 16時0分
以前本誌でレポートした際には、2012年に滋賀県東近江市のバリウム検査で50代女性が死亡したケースを取り上げた。
日本対がん協会グループの滋賀県健康づくり財団は、取材に対して「女性が以前のバリウム検査で気分が悪くなったことを申告しなかった」と回答。その結果、アナフィラキシーショック死(※注)したものであり、「自己責任」と示唆した。だが、筆者は疑問を呈する記事を書いた。
記事自体はこのもみ消しに関する話がメイン。財団の会議の録音資料では、「一刻も早く原因を究明して、ご遺族に報告するのが筋です」という意見を、死亡事故の現場にいた天下り専務理事の医師が以下のように言って隠蔽をはかった様子がわかったそうです。
「それは言うなって! 後のことは僕が責任もって引き取りましょうって言うてまんねや」
●気分が悪くなったら身体は横にすべきか?
ただ、私が気になったのは上記の隠蔽の真偽より、一般的な対応としてはどうすべきか?という話です。以下は内部資料にあったもので、この説明でしたら医療機関のミスによって亡くなったというのも納得できるものでした。
女性は気分が悪いと訴えて検査を中断してから、ソファにもたれるように、俯いた姿勢で放置されていたのです。この姿勢が気道を圧迫、心停止になった可能性があるとのこと。
他にも対応に不手際があったとされています。女性が痙攣を起こした際、財団の医師は血圧の測定をするのみで、人工呼吸などの救命措置をしていなかったことが提供された内部資料から明らかに。つまり、心停止した直後に適切な対応がされなかったことが、死につながった可能性が考えられるといいます。
このようにミスの連続が問題ということでしたが、"複数の救急医は、身体は横にすべき状況だったと証言した"ということで、とりあえず、第一段階として「身体は横にすべき」というのが、重要だと感じました。
●バリウム検査では落下事故で別の死亡例も
あと、検索していると、全然違うパターンの死亡例も出てきました。最近あったニュースですね。記憶に残っています。
群馬)検診車の台、落下死亡事故 実態解明へ - ニュース - アピタル(医療・健康) 2015年5月13日
検診車内で撮影台から落ち、台と車の内壁に頭が挟まれた。解剖の結果、死因は動脈損傷による出血性ショックだった。
協会によると、マスコさんは胃のX線撮影で様々な角度に傾斜する撮影台に寝て、頭が下になるように傾いた時にずれ落ちた。撮影台を傾斜させるのは、撮影前に飲んだバリウムを胃の全体に行き渡らせたり、撮影の時に様々な角度からX線を当てたりするためだという。
●胃カメラなどバリウム検査以外の選択肢もある
なお、協会は、再発防止策として、"撮影台から落ちないように体重制限を設け、糖尿病や高血圧、意識障害などがあり、診察が困難だと思われた場合は、中止するように周知徹底する"としていました。バリウム検査をしない方が良いケースがあるということです。
また、最初の記事の女性は死亡事故の3年前に別の病院の検査でも、気分が悪くなっていたそうです。その際には、検査を担当した放射線技師が適切な対応を取っていました。
「撮影は中止、女性には待合室に移動してもらい、横になって休んでもらいました」
放射線技師は「無理にバリウムの検診を受けなくても、胃カメラや血液検査(リスク検診)もあるので、自分の身体にあった検査でやったほうがいい」といった話もしています。バリウムが苦手な方は別の選択肢を考えても良いようです。
●落下死亡事故という言い方は不正確?
…で終わっていましたが、よく探すと2つ目の死亡例には続報がありました。こちらを読むと、多少印象が異なります。
X線検診で挟まれ事故死、その時何が 実施団体が報告書:朝日新聞デジタル 2015年6月28日08時43分
群馬県沼田市のブラジル国籍の女性が検診車内でX線撮影の際に死亡した問題で、検診を実施した全日本労働福祉協会(東京)は26日、設置した事故調査委員会の報告書を公開した。(中略)
報告書によると、撮影台にうつぶせになり、頭が下に傾き、そのまま左方向に傾いた際に、マスコさんが何らかの理由で手すりを離し、体が滑って頭部が左側角の縁を乗り越えたと推測。診察した放射線技師は女性の状況を十分に確認しておらず、滑落に気がつかず撮影台を水平方向に戻したため、頭が挟まれたという。
落ちたことよりも、台を動かして挟んだことが直接的な死亡の原因だと考えた方が良さそうです。
あと、この形式の検査はアクロバティックすぎて無理がありすぎ…と、非難轟々でした。確かに安全軽視ですね。仮に他の場面で同じようなことを求められれば、「危険すぎる」と批判を浴びるやり方です。
医療機関の仕事なのに他の仕事より安全意識が低いってのがおかしな話であり、もっと安全性の高いやり方に変えるべきでしょう。
●医師自身はバリウム検査より胃カメラを選択?
2019/01/08:最近は辛くなくなったとも聞くものの、私はバリウム検査より胃カメラの方が怖いなと感じます。ただ、
胃がん検査 バリウム検査凋落の反面、胃カメラは技術向上 NEWSポストセブン / 2019年1月7日 16時0分という記事もあったので追記。
記事によると、バリウム検査の優位性はもうほとんどないとされているとのこと。多くの医師が、「いまや消化器専門医で自らの胃がん検査をバリウムで行なっている人は周りにいない」と口にするほどだといいます。
「バリウム検査で撮った胃の画像は“影絵”のようなもので、シルエットだけでがんの有無を判断するのは難しい。発見率の低さだけでなく、被ばく量の多さや、バリウムによる便秘に苦しむこともあります」(浜松オンコロジーセンター院長(腫瘍内科)の渡辺亨医師)
週刊ポスト2019年1月11日号の情報であり、本当かな?と思うところもありますが、上記のように発見率は低いという話もありますし、そこらへんはさすがに嘘ではなさそう…。新潟市の胃がん検診では、バリウム検査よりも胃カメラのほうが、発見率が3倍も高かったといいます。
渡辺亨医師は、胃カメラ検査は「死亡率の減少が望める効果的な検査方法です」としていた他、カメラの挿入時に食道がんのチェックができる利点もあるとのこと。バリウム検査で見つかる胃がんは最近はあまりないとのことで、減少傾向は持続しそうでした。
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