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なぜ伝統を守る必要があるのか?人口減少に苦しむ島の自業自得な伝統


 「人口減少に苦しむ島の自業自得な伝統」から始まって、伝統とかしきたりとかそういったものをあれこれ。部活・体育会系文化、ブラック企業、宴会芸といった感じで、いろんな話を出しています。その後、<地域を廃れさせないために!祭りを休んだ人から青年会が罰金1万円徴収>なども追記しました。

4番目に追記
2023/02/12追記:
●移住者募る町が広報誌に「移住者は品定めされていることの自覚を」
●検討に検討を重ねた結果が「移住者は都会風を吹かさないように」
2023/04/17追記:
●移住の成功例・人が豊かな町の悲惨な実態…マスコミは嘘だらけ
2023/05/23追記:
●憲法違反指摘も「町民感情」「今更やめたら不公平」と変更拒否 【NEW】


●なぜ伝統を守る必要があるのか?人口減少に苦しむ島の自業自得な伝統

2016/3/15:以下のツイートが話題になっていて、おもしろいなと思いました。




 これは新人などに宴会芸を強要するのと似ていますね。残念ながらすべてのケースでパワハラとなるとは限らないようですが、宴会芸の強要はパワハラになるケースがあります。男性上司 KARAのお尻ダンスを女子社員にやらせ処分される 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版(更新 2012/2/14 16:26) でそういった例が出ていました。

 韓国の女性グループ「KARA」の歌に合わせて、若い女性からいい年をしたオジサマまでがお尻をフリフリ…。2011年の日本の職場の忘年会や歓送迎会などで、残念ながらよく見かけた一コマだったようです。ただ、これは問題あり。エンターテインメント業界で働く、とある部長は、この宴会芸が原因で処分されたといいます。

 「同社の関係者」という人によると、異動してきたばかりの女性社員が『余興を強要された』と、社内の相談窓口に訴え、会社側もパワーハラスメントにあたると判断。女性の上司である部長は減給処分を受けたとされていました。 ただし、この話を紹介した同社の関係者は、むしろパワハラ部長に同情的だったんですよね。

 この関係者は、「お堅い金融機関ならともかく、エンタメ業界は人を楽しませてナンボでしょ。しかも、際どい服装をしろなどとムチャなことも言ってないのに……」と驚いていたとのことでした。一方、記事では「これは立派なパワハラだ」と釘を差しています。これではパワハラが起きるのは当然といった感じです。


●地域を廃れさせないために!祭りを休んだ人から青年会が罰金1万円徴収

2017/05/22:最初の「人口減少に苦しむ島の自業自得な伝統」に近いケースを発見。淡路島の北部、兵庫県淡路市育波の里地区では、春と秋のお祭りに、なんと「罰金制」が存在するというもの。祭りは、宵宮と本宮の2日間、春と秋合わせて年4日催されるが、それぞれ、休むなら罰金として1万円を支払わなければならないそうです。「青年会」が徴収しています。

 ただ、最初の島のケースと違うのは、むしろこの罰金が過疎化を食い止めていると、地元の人が理解しているということ。「罰金は問題ない」ですらなく、むしろ「罰金が最高だ」と考えてみるみたいですね。取材では、「祭りがなくなれば、地域そのものがすたれる」という言葉をよく聞いたといいます。

 でも、これが本当に過疎化を食い止めているかどうかは不明。まず、罰金を課す習わしが始まったのは約30年前。少子化や勤め人が増えた影響で、重さ数トンの布団だんじりを上げる担ぎ手の不足になり、だんじりを担ぐことはおろか、祭りの存亡に関わると罰を与えることにしたんだそうな。需要ないのなら祭りの方を廃すべきなんですけどね。

 で、私が効果に懐疑的になったのがこの後の部分。罰金が始まってから10年ほどたった1998年4月、淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋が開通し、「仕事を求めて島を離れる人がさらに増えた」と書かれていたためです。罰金で祭りを存続することでは、地域が廃れるのを防げない、という証拠じゃないですかね?
(神戸新聞NEXT|社会|祭り休むと罰金1万円! その深層には… 淡路島 2017/5/21 10:50神戸新聞NEXTより)


●理由を説明できない…伝統を守るべきという無意味で非論理的な主張

2018/09/26:タイトルにした「なぜ伝統を守る必要があるのか?」に関連が深い投稿として、伝統を守るべきという無意味で非論理的な主張 なぜと聞かれて説明できない暗黙のルールというのも後に書いています。ここではいくつかの話が出てきますけど、アルジェリアの山奥に住むカビル族の「伝統」の話が一番わかりやすいかもしれません。

 彼らの住居は必ず長方形で、低い壁によってふたつのスペースがあるもの。そこで、「なぜ家をこのように配置するのか」と尋ねてみても、カビル族は怪訝な顔をするだけで、誰も理由を答えることができませんでした。そもそも彼らには、これ以外の家の配置はあり得ないため、説明しようがなく、合理的な理由があったわけではないのです。

 しかし、私たちのように外部に済む人間であれば、世界にはそれ以外にも多くの部屋の配置の仕方があることを知っています。「伝統」を無条件にありがたがるというのは、このように意味のない非合理的なことを作り出すことがあるんですね。しかも、世の中にはこうした非合理的な伝統はよくあることで、なおかつそれがときには思いもよらないような甚大な被害を及ぼすことすらある、という話をそちらでは紹介していました。


●移住者募る町が広報誌に「移住者は品定めされていることの自覚を」

2023/02/12追記:「伝統」ではなさそうのですが、自業自得という話を思い出した記事があったのでここに追記。移住者は「都会風吹かさないで」…福井県池田町の広報誌に載った“七か条”に住民反発、考えた区長会の思いとは | 「ふく特」取材記事 | 福井新聞ONLINE(2023年2月9日)という記事です。

 タイトルの時点で衝撃的なのですが、さらに驚くべき情報がいろいろあります。まず、「都会風吹かさないで」などの「池田暮らしの七か条」が一般の住民単独の意見ではなく、「区長会の提言」という地元有力者らの総意であること。さらに、福井県池田町公式の広報誌に掲載しており、問題に全く気づかずに掲載したことなどに驚きました。

 加えて、私が最も驚いたのは、この提言が出た福井県池田町というのが、「移住・定住政策に力を入れている」ということ。移住者を拒否している町ではなく、歓迎する町で起きたことなのです。以下に紹介するように、移住者を求めているのにも関わらず、移住者をバカにした記述の連続であり、信じられません。

<移住・定住政策に力を入れている福井県池田町で、区長会の提言として移住者の心得を説いた「池田暮らしの七か条」が広報誌(引用者注:町が1月中旬に発行した「広報いけだ1月号」)に掲載され、町民の間に波紋が広がっている。「都会風を吹かさないよう心掛けて」「品定めがなされていることを自覚して」などの文言が並び、福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)には「高圧的」「移住の選択肢から外されてしまう」と反発する声が寄せられた>
<「池田町の風土や人々に好感を持って移り住んでくれる方々のための心得」と前置きし、地域行事への参加などを促している。第4条では「今までの自己価値観を押しつけないこと」とし「都会風を吹かさないよう心掛けてください」。第5条には「品定めがなされていることを自覚してください」などと記してある>

 もちろん福井県池田町の町民全員が頭おかしいわけではないため、常識ある町民がこれを問題視。「移住してほしいのに、なぜ上から目線なのか理解に苦しむ。田舎の人間の高圧的な感覚が見えて本当に嫌」「『品定め』って上下関係があるみたい。過疎化が進んでいるのに、町はどういう意図で広報誌に載せたのか」といった声が出ました。


●検討に検討を重ねた結果が「移住者は都会風を吹かさないように」

 池田で生まれ育ったという住民は批判しつつも「えざらい(用水路の清掃)や枝打ちなど、地味な営みの延長線上に田舎暮らしがあるのは確か」としています。これはひょっとしたら以前から私が書いている町内会問題の関係かもしれませんね。町内会は本来ボランティアなのに、義務化しようとしてトラブルになることが多いのです。

 以前上で書いた<地域を廃れさせないために!祭りを休んだ人から青年会が罰金1万円徴収>なんかも似たもので、地域の伝統行事や風習を強制させるためにトラブルを招くパターンかもしれません。で、この後を読むとやはりそんな感じで「伝統」問題と言って良さげ。また、前述のひどい記述が検討を重ねた結果だというまた衝撃的な話もあります。

<昨年末まで区長会長を務めた男性(68)に尋ねると、「個別に重大なトラブルがあったわけではないんです」と切り出した。
 男性によれば、集落の集会や行事が年々少なくなり、参加に消極的な人もいて、コロナ禍でさらに拍車がかかった。年配者の間で募っていた「独自の風土、池田の良さが失われてしまう」という危機感を踏まえ作成に取りかかったという。「どの町民も集落の義務は最低限果たしてもらいたい。かといって、あつれきを生んだり、池田に来て『こんなはずじゃなかった』と逃げてしまったりするのを防ぎたかった」。原案に修正を重ね完成させた>

 同町は地域おこし協力隊員を積極的に受け入れてきたほか、空き家情報バンク、住宅新築補助制度などに力を入れ、年間20人程度が移住してきているとのこと。ひょっとしたら移住者の多い成功例の自治体としてマスコミにも出ていたのかもしれません。その実態がこれだった…となると、これまた衝撃的ですね。

 前述の前区長会長は「刺激的とも受け止められる言い回しは不適切だったかもしれない。ただ、今後も新たな町民を受け入れていく目的だと理解してもらえたら」としており、あまり悪かったと思っていない様子。広報誌に掲載した池田町の担当課長も「移住ウエルカム、という町の政策に変わりはありません」などとトンチンカンなことを言っていました。


●移住の成功例・人が豊かな町の悲惨な実態…マスコミは嘘だらけ

2023/04/17追記:前回書いた池田町は「むしろ移住・定住政策に力を入れている町」「成功例の自治体としてマスコミにも出ていたのかもしれません」の関係で追記。やはり成功例と紹介している記事がありました。<まちづくりのヒントを求めて。自然と人が共存する福井県池田町を巡る旅>(ココロココ 2016年12月8日)という記事です。

移住者で盛り上がる池田町
<池田町の取り組みは、町外のひとを魅了し、少しずつ移住者が増えつつあります。今回のプレスツアーでは池田町に移住した皆さんとふれあう機会もありました。
「マルシェを開いていると、県外から来たお客さんと話すことが多いんです。『池田町っていいところだね』とか『移住したい』という話を聞くことも多くて、嬉しい限りです」(中略)
池田町の魅力は?と尋ねると、皆さん口を揃えて言っていたのが、「自然の素晴らしさ」「ごはんの美味しさ」「人のあたたかさ」。 たしかにその通り。私たちも実際に池田町に訪れてみて、もうすでにその魅力にハマりつつありますから…。>
https://cocolococo.jp/13979

 さらに、これ以前の記事<福井県池田町に国内最大級の冒険の森が誕生!町も人も豊かな生き方を目指す「木望のまちプロジェクト」とは? | ココロココ>(2016年1月12日)では、「人が豊か」と書かれていて笑いました。悪いのは一部だけという可能性もあるものの、前回のものは、区長会と町という町の中心による提言ですからね。

「前職はスポーツ関係の仕事だったため、池田町にはサッカー教室の開催などで訪れたことがあったんですが、その頃から『いつか絶対ここに住んでやろう!』と思っていました。もうね、自然はもちろん豊かなんですが、人が豊かなんです。地域のみんなでこどもたちの成長を見守っているから安心だし、思春期真っ只中の中学生が見ず知らずの人に挨拶するくらいこどもたちが真っ直ぐ!こんな場所で子育てできたら最高だなと思いました。」
https://cocolococo.jp/6986

 こういうマスコミ報道が当てにならないというのは、私の親戚の地元でも実感あります。町に溶け込んでいるように紹介された移住者の店などが、地元の人が知らないというのは頻繁にある話。また、テレビで華々しく紹介された移住者のプロジェクトが、口だけで全く計画が進まず放置状態というのもちらほら。かなり話が盛られてますね。


●憲法違反指摘も「町民感情」「今更やめたら不公平」と変更拒否

2023/05/23追記:「移住者は品定めされていることの自覚を」などと広報に載せた福井県池田町ですが、実を言うと、以前から問題があった模様。職員における結婚退職ルールが、憲法違反のおそれがあると指摘されたのに、「町民感情」「今更やめたら不公平」として撤廃を拒否していたそうです。ちょっと信じられない思考の町ですね。

<1993年から、町職員同士が結婚した場合、夫婦どちらかに退職を促す慣習があり、憲法違反のおそれがあると指摘された[4][5][6]。この慣習は、採用時に説明されない「暗黙のルール」であり、過去20年で3組ほどの夫婦が対象になったが、2人とも役場に残った例はない[7]。町議会で問題が取り上げられ、町の職員組合も撤廃の要望書を出しているが、町側は「職員の高い給与水準を批判する町民感情」「人事ローテーションの制約」「過去に退職した人がいるので、今更やめたら不公平」などを理由に「撤廃する予定はない」と回答している[7][8]。 >


●受け継がれる部活のしごき・体罰 なぜか「いい話」的な扱いに…

2016/3/15:最初にあった「人口減少に苦しむ島の自業自得な伝統」とは少し違いますが、理不尽な習わしと言うと、部活でもおなじみです。このテーマを取り上げた爆笑!ああ、体育会の青春 先輩から人生の「理不尽」を学んだ日々(2012年02月17日(金) 週刊現代)は、実を言うと、批判的なものではありません。副題も「明大ラグビー部・PL学園野球部ほか あの頃には戻りたくないけど、なぜか語りたい」となっていて、悪いことばかりではなかったというニュアンスを感じさせます。

 しかし、この副題にあるPL学園野球部はこの後大問題になりましたし、体罰で死者が出る事件もありました。こんなものが良いはずがないと思うのですが、不思議な事に経験者ではプラスに捉える人が多いです。PL学園野球部「暴力は伝統」だった 番長・清原「1年生のときからアザだらけ」 : J-CASTニュース(2013/3/ 4 18:28)でもそういった面が見えます。
高校野球の名門校、大阪・PL学園硬式野球部で、上級生の下級生に対する暴力行為が発覚した。これにより春季大会大阪府予選への出場を取りやめるという。

大阪・桜宮高校バスケットボール部で起きた顧問教師による体罰と生徒の自殺で、体罰問題がクローズアップされるなか、PL学園卒業生の元プロ野球選手、清原和博氏がメディアで「大胆発言」をした。在学時に上級生から頻繁にしごかれたが、チームが強かったのは「しごきがあったから」というのだ。

清原氏は2013年3月3日放送のスポーツ情報番組「S1」(TBS系)に出演。司会を務めるお笑いコンビ「爆笑問題」の田中裕二さんが、PL学園で上級生が下級生に暴力をふるった一件についてコメントを求めた。すると口から出たのは、予期せぬひと言だった。

「PL学園といえば伝統ですから、暴力は」

(中略)清原氏は、「僕が1年生で甲子園に出ていたころから、体中アザだらけでした」と明かしたのだ。

これには田中さんも意外だったのか、「でも体罰はダメですよね」と問いかけると、自身が高校時代に母校が強かったのはしごきがあったおかげという趣旨を述べた。

 海外の話を出すと、外国と比べるなと怒る人がいますが、ここらへんはかなり感覚が異なります。(高校野球の球数制限 アメリカ「過酷な負担」日本「日本の良さ」も同様の例)
自身が学生時代に受けたしごきや体罰を告白する例はほかにもある。米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹投手は2012年7月5日付の米紙ニューヨークタイムズに高校野球部時代を語ったが、そのエピソードは強烈だ。「体罰が当たり前だった時代に育った最後の世代」と紹介され、(1) あまりの喉の渇きに監督の目を盗んで川やトイレの水をすすった、(2) 監督から「罰走」を命じられ、朝9時から監督の就寝時間まで15時間、4日続けて飲まず食わずで延々走らされた、といった経験が描かれている。

記者は、「米国では、こういった扱いは犯罪行為とみなされるだろう」と厳しく断じた。日米で文化の違いがあるとはいえ、子どもに対する虐待であり「暴力コーチ」と言われても仕方がないと、専門家も指摘している。

●戸塚ヨットスクールは甘い! 死者が出ても美談とされる部活の習わし

 先ほどの爆笑!ああ、体育会の青春 先輩から人生の「理不尽」を学んだ日々(2012年02月17日(金) 週刊現代)だと、以下のようなエピソードもあります。

「東海大学であった練習試合では、45km離れたグラウンドまで走りました。朝出発して、着いたのが午後3時半。(中略)7時間走りっぱなしで試合なんて、さすがに負けますよ」
「怪我をしても、病院に行ったらすぐに出てきて、ギプスをしたまま片足で走る。何しろ監督が『戸塚ヨットスクールは甘い!』って言ってましたから。ついていけない奴は3日で逃げます。合宿もすごくて、大分県にある監督の実家近くの自衛隊基地に、全員2ヵ月泊まりこんで練習です。基地から線路を辿って逃げた奴もいました。それでも誰も文句は言えない。子どもを預けるとき、親が『何があっても学校・監督の責任ではない』という誓約書を提出していますから」

 戸塚ヨットスクールの名前を出していますが、ここは何人も亡くなっているところであり、犯罪者の殺人自慢ならともかく、そこよりすごい!という流れで使える話ではありません。(関連:戸塚ヨットスクールの戸塚宏、体罰自殺を語る「あの子だけということは、あの子にも問題があった」)

 タイトル以上に記事の中身は美談というスタンスですね。"過酷で理不尽な環境の代名詞・体育会。強豪校であれば、その辛さは尚更だ。それなのに、出身者たちは当時の思い出を喜々として話してくれる"としていました。(語っている上重聡アナは、ブラック企業対策のかとくがABCマートを送検 上重聡アナ癒着疑惑の企業の人)
 猛練習、理不尽なしごきと並ぶ〝体育会系三大地獄〟の三つ目は寮生活。寮で上下関係や集団規律を徹底的に叩きこむ強豪校は多い。

 この寮制度があるからこそ、チームは強くなる。そう話すのは、PL学園高校野球部の元エースで、'98年夏の甲子園で横浜高校の松坂大輔と延長17回の死闘を繰り広げた、日本テレビアナウンサー・上重聡氏だ。

「僕の4級下の学年から、野球部も普通科の生徒と同じ寮へ移ったんです。その頃から、PLが甲子園で活躍する機会が減った。やはり関係があったんじゃないか、と思います。僕らの頃は寮で精神面も徹底的に鍛えられていたから、甲子園でも全く緊張しなかった」

●スポーツ選手はむしろ伝統を無視した方が良い?

 一方、最近若いスポーツ選手が活躍するようになったのは、逆に体育会系文化が薄れたためでは?という見方もあります。日本の20歳と21歳がスポーツ界を席巻する理由|SPORTS セカンド・オピニオン|ダイヤモンド・オンライン(相沢光一 [スポーツライター]2015年12月22日)という記事です。データ的な根拠が甘いのですが、可能性としてはあるでしょう。
 世界王者になった羽生、桃田、奥原、萩野、瀬戸、そして大谷、藤浪、浅野、南野らは同学年。その前後に生まれた選手たちにも将来のスター候補がずらりといるわけで、1994年と1995年は大豊作の年だったのだ。(中略)

 まあ、1994年、1995年生まれに大物アスリートが集中しているのは偶然だろう。注目したいのは20歳前後で世界王者になったり、日本を代表する実力を持つ選手が登場するのが当たり前になったことだ。昔も20歳前後で日本のトップになるアスリートがいなかったわけではないが、飛び抜けた才能の持ち主であり、そう数は多くなかった。「体育会系」と呼ばれる日本独特の選手育成環境があったからだろう。

 子どもたちが競技を始めるのは大体、中学か高校の部活。体育会系の育成は年上を敬い、礼儀を学び、部の規律や秩序に守るといった効果はあったが、その一方で無意味なことも多かった。たとえば球技の部活。入学後数ヵ月、あるいは1年生の間は球拾いと声だしに明け暮れるというケースも少なくなかった。走り込みなどはさせられるから体力はつくが、肝心のスキルを身につける時間を無駄にしているわけだ。大学ではさすがに球拾いから始めることはないが、それでも「4年神様、3年貴族、2年平民、1年奴隷」といわれるような厳しい上下関係がある。下級生は練習の後も上級生の世話などに忙殺されるわけだ。

 そんな環境にいれば才能にあふれる選手でも突き抜けることはできず、段階を踏んだ目標を立てるようになる。高校ではインターハイの上位に入り、大学で全国大会で戦えるレベルになる。社会人になっても競技を続けられれば日本のトップを目指し、世界に挑戦するのはそれからでいいや、と。そうした発想で行くと世界のトップレベルになる時は20代半ばになっているわけだ。

 しかし今は違う。多くの子どもたちが小学生の頃から競技を始め、そこで才能を見い出されれば英才教育をされるようなる。学校の部活も体育会系の残り香がないわけではないが、大分薄れている。

●体育会系の伝統が日本企業の文化を作る 不正の東芝社員も…

 体育会系の方には申し訳ないのですが、前述のような理不尽な伝統の強要が日本のブラック企業問題の基礎となっているという話を何度も書いています。(ブラック部活がブラック企業の源泉 体育会系社員が重宝される理由など)

 また、東芝の不正会計問題と、前述の宴会芸を繋げている方もいておもしろい視点だと思いました。宴会芸の強要が、東芝不正会計事件の温床? : brevaxen(2015年08月02日)によると、東芝出身の高橋雄一郎弁護士が以下のツイートをされていたそうです。


 ただ、例によってこれはプラスに捉えられています。


 というか、東芝の不正会計を擁護しだしましたよ、この人。弁護士なのに大丈夫なんでしょうか?


●内部告発者潰しも日本の伝統? おかしいと言えない社会

 ここの場合は、新人芸の伝統そのものは潰えていたそうです。


 しかし、これをブログ作者は、"もし、退職されなければ、今回のような不正会計はおきなかったかもしれません"と捉えていました。これは岡山大が不正指摘を理由に森山芳則・榎本秀一の2教授を普通解雇(懲戒解雇ではない)のような内部告発潰しの問題とも考えられますね。

 そういえば、同じく不正をやったオリンパスですが、ここは不正発覚前に激しい内部告発者潰しで裁判になっていました。(参考:オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視)

 さらに話が変わりますが、柔道の体罰(というか暴力)関連でも内部告発者叩きになっていましたね。

  ■内部告発者が匿名なのはおかしい、「痛み」も伝わらない 柔道五輪代表暴力問題で大手新聞社
  ■橋下聖子の内部告発者の名前公表要求に見る日本のパワハラ・いじめの背景


●伝統が素晴らしいという根拠なき妄想が日本人を殺している…

 最後は内部告発絡みの話に逸れてしまったのですが、伝統が本当に良いのか?という話では、町内会なんかもう不要 太平洋戦争の置き土産、戦時中の隣組がベースもあります。

 また、高齢者がお餅を食べるのが自殺行為であるにも関わらず、こんにゃくゼリーばかり叩かれるのも、伝統文化であるかどうかが大きいでしょう。(関連:高齢者のお餅は自殺行為と医療関係者 こんにゃくゼリーの30倍危険なお餅が許される理由)

 「伝統だから」という思考停止が理不尽を許し、むしろ害悪になっているという例は多数あります。伝統が素晴らしいという考えは一旦捨て去ってから物事を考えてみた方が良いでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■伝統を守るべきという無意味で非論理的な主張 なぜと聞かれて説明できない暗黙のルール
  ■町内会なんかもう不要 太平洋戦争の置き土産、戦時中の隣組がベース
  ■高校野球の球数制限 アメリカ「過酷な負担」日本「日本の良さ」
  ■高齢者のお餅は自殺行為と医療関係者 こんにゃくゼリーの30倍危険なお餅が許される理由
  ■ブラック部活がブラック企業の源泉 体育会系社員が重宝される理由
  ■内部告発者が匿名なのはおかしい、「痛み」も伝わらない 柔道五輪代表暴力問題で大手新聞社
  ■橋下聖子の内部告発者の名前公表要求に見る日本のパワハラ・いじめの背景
  ■戸塚ヨットスクールの戸塚宏、体罰自殺を語る「あの子だけということは、あの子にも問題があった」

【関連投稿】
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