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フラットな組織は辛い 管理職の9割は無能だが責任転嫁の対象として役立っている


 フラットな組織には当然メリットがあります。例えば、満足度と生産性が高まることがわかっているそうです。多くの人が否定的な反応を示すものの、フラットな組織がうまく行くこともわかっているとされていました。

 ただ、メリットだけでなくデメリットもあります。また、フラットな組織というと楽そうに感じるものの、実際には全く逆だとのこと。できることはできるものの、たいへんなんですね。管理職がやっていた仕事を、全員がやらくなくちゃいけないわけで、そりゃ辛いよね…という話になっていました。

2020/10/22:
●フラットな組織だと「事業効率は倍に上がる」と言える根拠とは?
●フラットな組織のデメリットは経験の乏しい社員に責任を負わせること


●利益だけでなく顧客よりも社員の成長を助けることを最優先に!

2016/3/20:スターバックスとあるホテルのおもてなしの違い ホラクラシーの概念で興味あると書いたザッポス。そのザッポス絡みの記事が、二つもダイヤモンド・オンラインで紹介されていました。こりゃ絶対読まねばいけません…と思いました。

 ただ、一つ目のザッポスが「管理職のない会社」に挑戦する理由 | DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2015年09月02日 ジャンピエロ・ペトリグリエリ  INSEADの准教授。組織行動学)は予想外の内容。タイトルから想像したのと違い、ザッポスが中心でありませんでした。

 自己管理および自己組織化の会社として代表的な会社として、ラルフ・ステイヤーさんのジョンソンヴィルというソーセージ会社の話。なので、ザッポス関連の投稿とは別に、これはこれでひとつ書くことにします。

 ラルフ・ステイヤーさんは、自身の会社で報酬制度の改革を試みます。難しい言い方でよくわからないのですけど、それに伴い、全社的にヒエラルキーを撤廃し、自己管理・自己組織化によるチームを導入することも表明。以下のようなことを書いていたといいます。

「会社の目的はお金を稼ぐことではない。メンバー(彼は「社員」という言葉を禁じている)の成長を後押しすることだ。イノベーション、顧客満足、利益はその結果として生まれる」
「人が潜在能力を十分に発揮できるよう手助けすることは、もちろん道義的責任ではあるが、ビジネスにとってもプラスになる。人生とは成長だ。学習と努力を欠かさない人は幸せであり、良い仕事をし、自発性と想像力に富んでいる。そのような人々が働く会社には隙がない」

 利益第一ではないとする企業はそこらじゅうにあります。ただ、顧客第一ではないってのは、珍しいですね。社員第一が近いですけど、単に社員を優先するというのではなく、社員の成長を優先するというのがミソのようです。


●管理職がいないフラットな組織は自由で楽…は嘘 むしろ辛い理由は?

 ステイヤーさんのジョンソンヴィルは、かくして管理職のいないフラットな組織になりました。こういった言い方をすると、管理されずに自由で楽な組織というイメージを受けるかもしれません。しかし、実際には全く逆で過酷なものだったようです。

 自己管理および自己組織化の体制は、変化を続ける市場において会社の柔軟性を高めることにつながるために、確かに強いのでしょう。しかし、それを実現するうえで、従業員への要求が高まるという大きな副作用が出てきます。

 管理職が廃止されるということをよく考えればわかるように、その仕事を誰かがしなくてはいけないということ。管理職がいないのですから、当然自分たちで管理しなくてはいけなくなります。

 管理職のいない組織だからと言って、管理がない組織にはならないのです。記事ではむしろ「従業員はそれまで以上に働き、管理はむしろ隅々にまで行き渡る。1人の上司ではなく、全員が管理するようになるためだ」としていました。


●管理職の9割は無能だとわかっているが無能なりに役に立っている

 "管理職の90%はマネジメント能力に乏しく、有能な人はせいぜい10%だ"と、ギャラップの調査結果は言っているそうです。しかし、この無能な管理職たちも、実は重要な役割をしていました。

 それはなにか?というと、部下が責任転嫁する対象です。フラットな組織の方がきついというのは、責任転嫁できないというのもあるかもしれません。

<物事がうまくいかない時には、自分以外の誰かの非を責めることができない。自由に伴うこの過酷さゆえに、実績と自主性が最重要視される現代社会でうつ病が増えているのだと主張する人もいる。失敗はすべて個人の責に帰するのだか


●リーダー不在の会社をつくったと思ったら、リーダーが去ると崩壊

 また、もう一つの逆説もおもしろいです。リーダーをなくし、一人一人が自己管理するようになれば、ラルフ・ステイヤーさんというこのやり方を始めた人物がいなくてもうまく行くはずだと思われました。ところが、これが全くうまく行かなかったのだそうです。
 ステイヤーが会社から距離を置くにつれ、大切に育くんできた企業文化は逆戻りしてしまった。逆説的だが、組織の自己管理化が進むほど、彼自身がいっそう必要とされたのである。財務面では移譲できたが、文化の形成はそうはいかなかったからだ。「最終的にわかったのは、私の行動や発言には文字どおりの意味と象徴的な意味があったということだ」と、ステイヤーは述べている。

 ジョンソンヴィルの従業員が暗黙のうちにステイヤーに求めたのは、次のようなことだったのだろう――「あなたが文化を育て続けるなら、我々は会社を運営し続けます」。

●想像上の産物でメリットもなさげ…本当に自己管理企業は良いのか?

 私もこんな会社がうまく行くのか?と思いました。ハーバード・ビジネススクールのケーススタディで使うと、多くのマネージャーもやはり否定的な反応を示すそうです。ただ、このやり方が機能すること自体は自明であり、問題はそれ以外のところだとしていました。本当ですかね。
問題の焦点は、自己管理および自己組織化という体制が「機能するかどうか」ではない。それが機能することは、かつてイギリスの炭鉱業が新たな技術によって破壊的変化に見舞われた時にこの方法が導入されたことですでに知られている。エリック・トリストとケン・バムフォースによる画期的な研究によれば、炭鉱労働者のチームにみずから目標設定、業務計画の策定、人材管理をさせたところ、テクノロジーの導入によって失われていた「責任感を伴う自主性」が回復され、満足度と生産性が高まった。この調査研究はステイヤーが社員に手紙を書くよりずっと前、1951年のものだ。

 ただし複数の研究によれば、こうしたシステムの実践は難しく、すべての参加者に大きな努力が求められる。そして有効であるという証拠があるにもかかわらず、多くの人々がその成果に懐疑的だ。

 議論によってあぶり出された教訓とは、組織の統率に伴う大きな(内在的な)矛盾である。つまり、リーダーは文化を形成しなければ、組織を率いていることにはならない。しかし文化を形成し導いても、全員がついてくるわけではない、ということだ。

 この「全員がついてくるわけではない」に関するところは、もう一つの記事で関係する話がありました。こちらはまた今度やりますね。 → 送料無料・返品歓迎・電話サポート充実でも利益で出る理由 ザッポスの例


●フラットな組織だと「事業効率は倍に上がる」と言える根拠とは?

2020/10/22:経験談や個別事例は思い込みが多く信頼性では劣るので、研究的なものがほしいと思ったのですけど、見つからず。今回読んだ管理職ゼロ、フラットな組織 早い意思決定 対応も迅速に:東京新聞 TOKYO Web(2019年3月11日 02時00分)という記事は、個別事例を紹介したものでした。

 東京のIT企業「ISAO(イサオ)」は管理職がいないだけでなく、業務遂行に必要な能力や経験、やる気さえあれば、好きな業務を選べる仕組み。取材していた入社六年目の33歳の人は、企画開発から広報、採用まで幅広く関わっていました。他の人からいろいろやることを咎められないのが魅力的だと語ります。

 また、フラット化とオープン化を並行して実施。仕事の判断材料となる経営や人事、予算などの情報は全てオープンにしたそうです。代表は「組織をフラットにすると上司に説明する資料を作る必要もなくなり、控えめに言っても事業効率は倍に上がる」と説明。ここの場合は赤字だったのが、黒字に転換できたといいます。


●フラットな組織のデメリットは経験の乏しい社員に責任を負わせること

 同じく東京の会社で、IT業界の転職者向け求人メディアを運営するアトラエの場合は、約五十人いる社員一人一人の裁量が大きいのが特徴。月の予算が一億円ある宣伝広告費でも、上司の決裁がいらないため、広告をどの媒体に、どのタイミングで出すかは担当者の判断するといいます。

 このメリットは、時機を逸することなく、広告を展開できるという点。最高経営責任者(CEO)の新居佳英さん(44)は「現場のことは、現場が一番知っている。任せた方が早くて、正しい」と言っています。一方で、記事ではフラット型は若手ら経験の乏しい社員に責任を負わせてしまう短所があるとしていました。

 ただ、失敗した場合の責任は上司…この場合はCEOが取るべきでしょう。フラットな組織を採用したのは、CEOであるためです。ただし、上司に責任があるというのは本来フラットな組織特有のものではありません。通常の組織でも意思決定権は上司サイドにあるために、基本はすべて上司が責任を取るべきです。ここらへんは組織形態の問題ではないと思われます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■スターバックスとあるホテルのおもてなしの違い ホラクラシーの概念
  ■送料無料・返品歓迎・電話サポート充実でも利益で出る理由 ザッポスの例

【関連投稿】
  ■フラット型組織とピラミッド型組織のメリット・デメリット アパッチ族の強さの秘密
  ■もっと早くできるでしょ?営業と技術が対立しない大企業GE(ゼネラル・エレクトリック)
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