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渡り鳥みたいなウスバキトンボ 北上しすぎて寒くて死滅する習性


2019/04/16:
●渡り鳥みたいなウスバキトンボ 北上しすぎて寒くて死滅する習性
●羽ばたかなくても飛べる!渡りトンボになれる特別な理由とは?
●越冬する可能性もある?未だに謎が多いウスバキトンボ
2011/3/16:
●別名精霊トンボ…「ご先祖様の使い」として捕まえてはいけない地方も 【NEW】


●渡り鳥みたいなウスバキトンボ 北上しすぎて寒くて死滅する習性

2019/04/16:読売新聞のコラム「編集手帳」の切り抜きが出てきました。20年くらい前じゃないかと思います。とっておいたのは、赤とんぼによく似ているが全く別種のオレンジ色のウスバキトンボの話。「ウスバキ」とは漢字で「薄羽黄」だそうです。漢字にすると意味がわかりますね。

 コラムでは、新井裕さんの「トンボの不思議」から引用。変わったトンボであり、渡り鳥のようにはるばる南方から海をわたって飛んでくるとのこと。そういえば、うちでは、渡り鳥のようなチョウの話ならやっていました。チョウが鳥より速く飛べる理由 チョウのように飛ぶチョウトンボ(赤くない赤とんぼがいる!青い赤とんぼや黄色い赤とんぼがいる理由 にタイトル変更)で書いたものです。

 ウスバキトンボは当時まだよく生態がつかめず。わかっていたのは、春、第一陣が九州四国に飛来すること、そこから世代交代を繰り返しながら日本列島をひたすら北上していくことなど。世代交代をしながら渡っていくってのはおもしろいですね。渡り鳥にはない特徴。寿命が短く世代交代の早い虫ならではでしょう。

 さらに驚くべきなのが、北上をやめず北海道まで到達し、ついには寒さに耐えきらずに死んでしまうという壮絶な習性。新井裕さんは、「何か哀れなような、空恐ろしいような」と表現していたそうです。お盆のころに目立つために「精霊(しょうりょう)トンボ」という別名もあり、これがまた不思議さを増しています。「精霊(しょうりょう)」とは、「死者の霊魂」という意味ですからね。


●羽ばたかなくても飛べる!渡りトンボになれる特別な理由とは?

 本当かな?という妙な習性ですし、当時はまだよく生態がつかめていなかったということですし、Wikipediaを見てみました。珍しいわけではなく、全世界の熱帯・温帯地域に広く分布する汎存種の一つ。日本のほとんどの地域では、毎年春から秋にかけて個体数を大きく増加させるものの、冬にはやはり死滅するとありました。

 ウスバキトンボは、あまり羽ばたきません。かわりに広い翅(はね)で風を捉え、グライダーのように飛ぶことができます。これが長時間・長距離の飛行を可能に。チョウが鳥より速く飛べる理由 チョウのように飛ぶチョウトンボのチョウも風を利用していました。

 体はシオカラトンボやオニヤンマのように筋肉質ではなく、捕虫網で捕獲した拍子につぶれてしまうほど脆いのですが、理由があります。これも長距離移動に特化したためでした。体や翅の強度を犠牲にして軽量化し、飛行に適応した結果と考えられているそうです。

 ウスバキトンボのメス成虫の蔵卵数約29,000は、ほぼ同体長のノシメトンボの蔵卵数約8,800の3倍以上だとのこと。これを読んで、死ぬ確率がその分高いのかな?と思ったんですがそうではないみたいですね。十分に摂食しているメス成虫が1日に生産できる成熟卵は約840個で、産卵数の多さが日本における数か月での個体数急増を可能にすると考えられているそうです。

 日本に殆ど土着せず、東南アジア・中国大陸・シベリアから渡ってくるトンボはウスバキトンボ以外にも多くの種類があるのですが、他種はひと夏の間に個体数を急増させることはまずないという話もありました。なお、後述する「NET de びぶれ」では、ウスバキトンボの分布域は、世界で最も広いという話が出ています。


●越冬する可能性もある?未だに謎が多いウスバキトンボ

 Wikipediaでは、寒さに関する話も見つかりました。ウスバキトンボは寒さに弱く、幼虫は水温4℃で死滅するといわれているとのこと。毎年日本で発生する個体群は、まず東南アジア・中国大陸から南日本にかけてで発生し、数回の世代交代を繰り返しながら、季節の移ろいとともに日本を北上してゆくタイプです。

 南西諸島や九州、四国では4月中旬に飛び始め、本州南部では5〜6月、中部山岳地帯や東北地方では7〜8月、北海道では9月というように発生時期が徐々に北上。8〜9月頃には、日本各地で大群で飛び回る様が観察できるとのことで、日本ではこのイメージが最も強いのでしょう。

 寒くなり始めるとバッタリと成虫が見られなくなります。これについては、現在のところ、南下をする個体群なども確認されていないので、寒さで死滅すると考えられているとのこと。無効分散というらしいですね。

 ただ、「考えられている」であり、未だにはっきりしていない模様。一方で、九州南部や南西諸島では幼虫が越冬すると思われているものの、詳しいことはわかっていないそうです。さらに、これらが毎年春にどの地方から来るのかもはっきりしていないとのこと。

 最近の文献では、日本で繁殖できないのは、熱帯性であるがゆえに寒さに弱いことの他にも、冬の日本では幼虫のエサとなる水生小動物がいなくなることも原因ではないかという説もあるとのこと。ただ、この記述も要出典となっているものであり、未だに謎が多いトンボのようでした。


●別名精霊トンボ…「ご先祖様の使い」として捕まえてはいけない地方も

2011/3/16:最初のときに、お盆のころに目立つために「死者の霊魂」という意味を持つ「精霊(しょうりょう)トンボ」という別名があるという話を書いています。また、Wikipediaでは、お盆の頃に成虫がたくさん発生することから、「精霊とんぼ」と呼ばれる他、「盆とんぼ」などとも呼ばれるともありました。「ご先祖様の使い」として、捕獲しないよう言い伝える地方もあるそうです。

 南方から海を渡ってやってくるウスバキトンボ -薄羽黄蜻蛉- | NET de びぶれ|静岡新聞びぶれの生活情報サイトで、これに関連する話を発見。お盆の頃に群れで空を飛ぶ姿を「先祖の霊がトンボに姿を変えて帰ってきた」とか「霊のお使いとしてやってきた」などと言い、古くから人々に親しまれているとされていました。

 こちらによると、遠目にはオレンジ色っぽく見えることから「赤トンボ?」と聞かれることも多いとのこと。ただ、生物学的な分類としては、赤とんぼと近くありません。赤とんぼとされるのはアキアカネなどのアカネ属ですが、ウスバキトンボはそのまんまの属名であるウスバキトンボ属のトンボであり、生物学的には全然違うんですね。

 ウスバキトンボは日中ずっと空を飛び続けていることが多いため、その色柄をしっかり見る機会は少ないともいいます。見づらいために、赤とんぼと誤解されるんでしょう。実際には、細いしま模様のある胴体、半透明にも見える胸、黄色の顔面に、茶色と青のツートンカラーの目であり、他のトンボとはかなり違う個性的なトンボだとされていました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■チョウが鳥より速く飛べる理由 チョウのように飛ぶチョウトンボ(赤くない赤とんぼがいる!青い赤とんぼや黄色い赤とんぼがいる理由 にタイトル変更)

【関連投稿】
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