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ネオ・ラッダイト運動は起きない?心配している人は少ない可能性


 2016/3/30に書いた「機械が人間の仕事を奪う時代 ネオ・ラッダイト運動以外の対策は?」に、「ビル・ゲイツ氏、人の仕事を奪うロボットへの課税を主張 ネオ・ラッダイト運動よりよほど建設的」を加えて、タイトル変更しました。

2017/08/27追加:
●ロボットを「電子人間」として法的責任を…欧州議会で決議案成立
●人間が生物を改造して操作することは許されるのか?
2018/09/17:
●ネオ・ラッダイト運動は起きない?従業員の93%がロボットからの指示を信頼すると回答
2020/09/04:
●AIやロボットが人間の仕事を奪う!…実は心配している人は少ない可能性



●機械が人間の仕事を奪ってしまう第二次機械時代に突入

2016/3/30:引用する記事自体は短いもの。『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson))を紹介したものでした。

 まず、将来なくなる仕事ベスト10 将来性のない職業にコンビニ店員・コックなどなどでやっている、機械が仕事を奪ってしまうという話が出てきます。
世界各国の成長率は、なぜ低迷しているのか | 週刊東洋経済の書評から | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 河野 龍太郎 :BNPパリバ証券経済調査本部長 2015年09月05日

本書はデジタル技術の高度化で社会がついに変曲点を超え、第二次機械時代に突入しつつあると論じる。指数関数的な高性能化や情報のデジタル化が18世紀後半の第一次機械時代より大きなインパクトをもたらすという。

ならば未来はバラ色か。いや必ずしもそうならない。定型的労働の多くは機械に置き換えられ、少なくとも転換期には多くの職が失われるという。(中略)

近年の格差拡大は高スキルを持つ人に有利な技術革新が続いているためで、普通の能力しか持たない人には苦しい時代が続く。

●ネオ・ラッダイト運動以外の対策は?

 では、どういった対策を行えば良いでしょう? ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?で出てきたような「機械打ち壊し運動」でしょうか?

 ただ、記事では、"もちろん機械打ち壊し運動で技術進歩を止めるのは本末転倒だ"としていました。本末転倒というのは、"第一次機械時代より大きなインパクトをもたらす"第二次機械時代が、「成長につながる新技術」だと捉えているからだと思われます。

 では、本では何て書いているか?と言うと、「教育の充実」という"当たり前で拍子抜けする"提案でした。"新技術に教育が追いついていないことが最大の問題で、時間がかかろうとも正攻法で行くべきだ"としてたのです。


●教育の他のもう一つの対策はベーシックインカム

 ただ、私は教育における効果については懐疑的です。教育の効果そのものはそれほど大きくないって研究もあった気がするというのもありますが、どうしても脱落者が大量に出てくることを防げないという理由です。

 ですので、この脱落者を救う必要があると私は考えます。格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進で出てきたように、再分配政策そのものは経済にプラスでもあります。

 なのに、上記の前の部分において、なぜか再分配政策の否定的っぽいものがありました。
新技術で底辺の人の生活水準も上がるなら格差拡大は問題ないという意見もあるが、米国でも社会的流動性は低下しており、極端な格差拡大は成長を阻害する。

 いや、何で諦めるの?と思ったものの、紹介者の書き方の問題なのかも。本ではそれっぽい対策が出ていました。
 もう一つはベーシックインカムの給付だ。本来、生産性上昇が続けば実質賃金も上昇するはずだが、スキル偏向型の技術革新が続けばそうはならない可能性がある。支出性向の低い高所得者の所得しか増えなければ、総需要が回復せず悪循環に陥る。具体的には、給付つき税額控除として実施可能だろう。

 ただ、ベーシックインカムそのものはどうでしょうね? 世界初!フィンランドがベーシックインカム導入 全国民に11万円支給へ オランダもユトレヒトで試験制度の導入を決定でもちらっと書いたように、ベーシックインカムは問題が大きいと予想しています。

 まあ、いずれにせよ大まかな方向性としては、私は後者を支持します。ネオ・ラッダイト運動でテクノロジーを攻撃しても意味がありませんので、直接恩恵を受けられない人たちににはその恩恵の一部を分け与えていくことで納得してもらうという方が現実的でしょう。


●ビル・ゲイツ氏、人の仕事を奪うロボットへの課税を主張 ネオ・ラッダイト運動よりよほど建設的

2017/02/19追記:Microsoftの共同創業者、ビル・ゲイツさんが、2月17日に公開された米Quartzのインタビューで、労働するロボットへの課税の必要性について主張していたようです。
(ビル・ゲイツ氏、「働くロボットへの課税で人間を守るべき」 - ITmedia NEWS[佐藤由紀子,ITmedia]より)

 とは言っても、ビル・ゲイツさんは、こういった問題でテクノロジーを敵視する人とは異なり、“テクノロジーの楽観主義者”でを自称しているそうです。 どうもバランスを取ろうというスタンスですね。対策はともかく、スタンスとしては、私も賛同します。

 で、実際の対策なわけですが、「ロボットは将来、例えば倉庫作業や運転などの人間の仕事を確実に奪うことになるが、その置き換え速度を抑制するためにもロボット課税は有効だ」という主張。

 以下のようにも言っており、ネオラッダイト運動ではなく別の道を、という選択肢の提示です。

 「イノベーションについて、人々が熱狂するのではなく、恐れるのは実に良くないことだ。ロボットに課税するのは、ロボットを制限するより、よほど建設的だ」

 ただ、これはかなり課税範囲の決め方が難しいです。たぶんそれだけで相当揉めますよ。現時点で動いているロボットはどうなのか?というのもあります。

 "現在働いて税金を支払っている人間がロボットに置き換えられた場合、ロボットに同等の税金を課すべき"としていますが、これでは解決策にならず、やはり企業側とかなりやり合うことになるでしょう。

 新たな提案を安易に否定したくはないものの、率直に言って良い提案には見えません。非現実的だと感じました。

 また、私が気になるのは、訳の問題かもしれませんが、「ロボット」という言い方をしていること。実際にはロボットだけでなく、AIがかなりの雇用を奪うと予想されています。そして、マイクロソフトはこのAI研究に最も積極的な企業の一つなんですよね。

 まさかAIは無視して、ロボットだけに課税せよという主張ではないと思うのですけど…。


●ロボットを「電子人間」として法的責任を…欧州議会で決議案成立

2017/08/27:ロボットへの課税という話とはちょっと違うのですけど、2017年2月16日、欧州議会で「AIにも人類と同じような責任を負わせるべきだ」という決議案が成立しました。

 (AIと世界)見えてきた現実(1)ロボにも法的責任 倫理観 育めるか :日本経済新聞(2017/7/24付)によると、ロボットや自動運転車に法的な「電子人間(electronic person)」の地位を与え、損害を起こした場合などの責任を明確にするという考え方だそうです。

 他にもヨーロッパでは、ロボットの所有者に「ロボット税」を課したり、緊急時にはロボットの機能を停止させるスイッチを備えさせたりするなどの具体案も議論中。ロボットへの規制は、ヨーロッパが先行して、世界的な基準となるかもしれません。


●人間が生物を改造して操作することは許されるのか?

 同じ記事では、退治なんてもってのほか?希少種オオゴキブリは史跡保護が滞るほどの扱いで出てきた人命救助ゴキブリと似た話もありました。

 今回の場合は、日本人が大嫌いなゴキブリではなく、カナブンを使ったもの。背中に埋め込まれた電子回路が筋肉を刺激し、羽を動かし、衝突回避など虫が持つ生体機能とAIを組み合わせてを飛行を制御するそうです。「昆虫サイボーグ」「生けるドローン」などと表現されています。

 この研究は、世界大学ランキングで東大より上になることが多いシンガポール南洋理工大学で行われています。研究室には海外要人の訪問が絶えないといいますので、注目度が高いようです。
(関連:QS世界大学ランキング・日本の国内大学トップ10 昨年より良化見られる)

 シンガポールの大学ですが、中心となっている研究者は日本人っぽいお名前で、佐藤裕崇助教授さんという方が倫理的なところを説明していました。知らなかったのですけど、昆虫では動物実験の倫理規約の制約を受けないとのこと。やりたい放題できるわけです。

 ただ、「昆虫だからいいとは思っていない。医療研究と同様に生物を犠牲にする“罪”を認識したうえで災害救助など人を救う研究として進めている」としていました。この技術が確立されれば次は動物で…となりそうですので、やはり法的な問題になってきそうです。


●ネオ・ラッダイト運動は起きない?従業員の93%がロボットからの指示を信頼すると回答

2018/09/17:AIやロボットが人間の仕事を奪う!という話でいうと、そうしたじゃまになる機械をぶっ壊せ!といったネオ・ラッダイト運動的な話になりかねません。

 ところが、驚いたことに、OracleとFuture Workplaceによって最近実施された調査によると、職場における従業員の93%はロボットからの指示を信頼すると答えた…という調査があったそうです。信頼するかどうかと、ロボットに仕事を奪われる危機感は別のような気もします。ただ、意外にロボットやAIを憎む人は少ないという可能性も考えられます。

 今回見た記事では、後者の方を採用。"職場におけるAI革命という考えと、「ロボットが職を奪う」という可能性については、しばらく前から議論されているが、人々はAIに仕事を奪われることは心配しておらず、むしろこの最新のイノベーションを職場で活用できるようにしたいと考えているようだ"と書いていました。
(「従業員の93%がロボットからの指示を信頼」するも、組織は準備不足--AI導入意識調査 - ZDNet Japan Eileen Brown (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2018年08月22日 06時30分より)

 ただ、本当かどうか知りませんけど、AIやロボットが人間の仕事を奪う!という記事が多いのは日本だけの特徴だとも言われていました。だとすると、日本で同じ調査をすると、違う結果になるかもしれません。


●AIやロボットが人間の仕事を奪う!…実は心配している人は少ない可能性

2020/09/04:他のところにも追記したのですけど、情報処理推進機構(IPA)が2020年2月に公表した「AI白書2020」に関する「AI白書2020」を解説、IPAが示す日本の人工知能導入率が低いワケ |ビジネス+IT(ITジャーナリスト 田中克己)という記事の話。調査では、AIを実導入している企業はわずか4.2%であり、日本は遅れているという見方です。

 ただ、調査したIPATによると、AIを導入しないのは、AIを恐れているわけではありませんでした。不安視しているのは、「AIの精度や信頼性、責任所在の不明確」「AIの動作や判断の根拠が分からない」というところ。これは前述の海外調査の「ロボットからの指示を信頼する」とは違う結果ですけどね。

 一方で、おもしろかったのが、AI活用による雇用を懸念する声が少なかったということ。従業員側に聞いた調査ではないのであれですが、本当にAIを恐れていないのかもしれません。企業側としては、AIには「人手不足の解消」や「ホワイトカラーの労働生産性向上」を期待しているとされていました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?
  ■将来なくなる仕事ベスト10 将来性のない職業にコンビニ店員・コックなど
  ■格差是正が経済成長を阻害するという誤解 富の再分配はむしろ成長促進
  ■世界初!フィンランドがベーシックインカム導入 全国民に11万円支給へ オランダもユトレヒトで試験制度の導入を決定
  ■退治なんてもってのほか?希少種オオゴキブリは史跡保護が滞るほどの扱い
  ■QS世界大学ランキング・日本の国内大学トップ10 昨年より良化見られる

【その他関連投稿】
  ■将来なくなる職業ランキング 小売販売員,会計士,事務員,運転手など
  ■増えた職業ランキング・減った職業ランキング それぞれの1位は?
  ■テクノロジーの発展で貧富の格差が拡大 ネオ・ラッダイト運動に繋がるか?
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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