中国と日本の製造業の話をまとめ。<シャープも東芝も中国の企業に買収された…は二つ間違っている>、<都市住民と違って、中国の農村出身者は日本への信奉がない>、<中国人の日本製品人気はいつまで続くのか?すでに日本離れも…>などをまとめています。
2023/08/12:
一部見直し
●シャープも東芝も中国の企業に買収された…は二つ間違っている
2019/09/07:「シャープも東芝も中国の企業に買収された…は二つ間違っている」というタイトルで当初書いていた話。今は全く読まれていないので、他のシャープ関係の話とまとめようと思ったのですけど、中国メインの話という視点でタイトルなどを変更して再投稿してみます。
2016/4/3:「シャープも東芝も中国の企業に買収されちゃうんだってねえ」「そうだってねえ」こういった会話を山田泰司記者がランチを食べていた中華街にあるインド料理店で聞いたそうです。しかし、この理解には二つの間違いがあります。中華街という場所柄的に中国に詳しそうなのにも関わらず、さっぱりわかっていないようです。
<東芝が中国の美的集団に売却するのは白物家電事業のみで、シャープのように会社を丸ごと身売りするわけではない。また、シャープが売却交渉をしていた鴻海(ホンハイ)精密工業は台湾の企業であり、中国の企業ではない>
(
夜の写真は早死にと信じる中国人に家電を売る:日経ビジネスオンライン 山田 泰司 2016年3月31日より)
●日本の劣化の現れ?時事ニュースの理解度が低すぎる日本人
これが高校生だとか大学生だとか、バイトっぽい人たちだった…というのならわからないでもない話。時事的なニュースに詳しくないということはあるでしょう。ただ、記者の見たところ、身なりもしっかりしている感じだったとのこと。このクラスの人ですら時事的なニュースをわかっていないというのには、ちょっとがっくりしました。
<年の頃は共に60歳前後。2人の身なりや雰囲気から感じたあくまで想像だが、1人は大企業の子会社の重役クラス、もう1人は中小企業の経営者で、店員に対する接し方などを見ると、共に紳士と呼びたくなるような風格がある。(中略)
2人とも、それぞれの企業でかなり上の立場にあるように見えるが、彼らの会話を聞いて、日本のビジネスパーソンの少なくない人たちにとっては、中国も台湾もまだまだ一緒くたなのかな、と思った>
昔からこんなものだったのかもしれませんけど、日本のビジネスマンは劣化しているのでは?と思ってしまいそうなエピソード。台湾や中国企業の買収話でいうと、「こんなんだから落ちぶれて海外企業に買収されるのも無理はない…」とも言われてしまいそうです。
●都市住民と違って、中国の農村出身者は日本への信奉がない
日本人にいっしょくたにされている中国と台湾ですが、もちろん国の事情はかなり異なっています。記事でおもしろかったのは、中国における根っからの都市住民と、農村出身の彼らとの、日本製品に対するとらえ方の違いという話でした。
中国の都市住民の中には、農村から都会に出稼ぎに来て肉体労働をしたり工場で働いたり家政婦をしたりして働いている人たちがいます。根っからの都市住民ではない人たちですね。彼らは「農民工」と呼ばれます。2015年末時点の中国の都市人口約7億7000万人のうち、農民工は約2億7000万人(中国国家統計局調べ)だそうです。3人に1人くらいですね。
この農民工もまた生活レベルは千差万別で、いっしょくたにできるようなものではありません。ただ、海外旅行に出始めている層は、概ね世帯収入が月1万元(約17万円)強あり、子育てを終えた50代、60代の世代だとされていました。この層は日本に大挙して訪れているわけではなさそうです。彼らにとって日本のツアー料金が高すぎるというのもあるのですが、日本に対する認識が漠然としているためだとされていました。
<簡単に言えば、ソニー、東芝、シャープといった日本ブランドの名前は知っているものの、一方で日本製品に実際にはなじみがなく、「日本製は壊れない」「日本製にはニセモノがない」といったような日本信奉の感覚もほとんど見られないということだ。>
●そもそも彼らは日本メーカーの家電に出会わない…というのが理由
これは日本バッシングでもなんでもなく、納得のいく比較的単純な理由があります。農民工たちにとって、出稼ぎ先の都会の住居は仮住まいということもあり、家電は中古で間に合わせることが圧倒的に多く、これらが中国ブランドであるということが挙げられていました。
というか、中国の賃貸って、家電は備え付けが多いと聞いたことがあり、これだと上記の話と違います。ただし、そうだとしても、大家さんが日本製を使っていないと出会えないということになり、同じようなことに。また、備え付けも実際日本製じゃないことが多いと聞いた記憶があります。こういうのに高級品は使いませんし、そりゃそうだという話です。
また、都会で稼いだお金で農村部に立派な自宅を持っている人も多いものの、十数軒お邪魔して見た限り、家電に日本製を使っているお宅にお目にかかったことがないとのこと。実際に日本製品は使われていない可能性が高そうです。
日本メーカーだけでなくテレビに強い韓国のLGやサムスンもないということで、韓国嫌いの人は発狂せずに済みますが、要するに美的、ハイアール、TCLなど中国国産ブランドばかりなのです。
<出稼ぎ先の上海や北京には日本ブランドの家電はいくらでもあるが、自分たちの生活には関係がない。故郷の農村に帰るとそもそも販路の問題で日本ブランドの製品がない。触れる機会がないから、日本ブランドに対する親しみを持ちようがないのである>
●中国人の日本製品人気はいつまで続くのか?すでに日本離れも…
一方、作者は農民工でも若い世代には可能性を感じていました。ただ、この記事の中で話が出ているのはゲーム機だけなんですよね。ゲーム機が良いから家電も…となるだろうか?と正直、疑問に思います。これを日本人で当てはめて考えれば、「そうはならんだろう」と思いますよね。
<彼ら、すなわち現在50歳前後の農民工の子供たちは現在、大学生~20代後半の年齢にある。この世代は、ソニーの「プレイステーション」や任天堂の「Wii U」など家庭用ゲーム機を通じて日本製品に馴染みを持つ人がいる。また、スマートフォンの普及で情報収集が容易になったことで、日本製品の情報などもよく知っていて、日本で売っているモノにニセモノが少ないという認識もある。親の世代とは日本に対する情報も認識も異なる。つまりこの世代が、日本へ爆買いに行く次の一団を形成する可能性はある>
今回これを書いていて思い出した話がありました。
アジアの親日度低下中 ドラえもんなどの日本アニメも韓流に劣勢、中国では時代遅れです。この中では、最近の中国の子どもは国産アニメコンテンツに浸って育ち、ドラえもんのような日本アニメを見ることはないという話が出ていました。ただし、今でも日本アニメファンは多いとも聞きますけどね。これも微妙な世代の違いかもしれません。
それから、
この国では誰も靴を履いてません!ジョークで学ぶマーケティングだと、日本では洋画のテレビ放送が少なくなったせいで、入り口がなくなって洋画ファンが減ったという話も出てきました。
絶えず新しい世代を日本製品に触れさせていかないと、やはり日本製が良いと思う人も増やせないのではないかと想像します。
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