宇宙関係の話をまとめ。<政治家の方針のせいで日本の宇宙技術は中国・インド以下に>、<失敗の原因とされたNECのコメントがパワハラ受けてる後輩みたい>などをまとめています。
2023/05/11:
一部見直し
【クイズ】ここ10年ほどの日本の科学技術系の研究論文についての正しい記述はどれでしょう?
(1)日本の研究論文の総数は増えているが、重要論文数による順位は下がっている。
(2)日本の研究論文の総数は減っているが、重要論文数による順位は下がっていない。
(3)日本の研究論文の総数も重要論文数による順位も下がっている。
●政治家の方針のせいで日本の宇宙技術は中国・インド以下に
2016/4/6:日本の天体観測衛星「ひとみ」が宇宙で分解し、ド派手に失敗した際に、中国・インドが既に日本を超える成果を出しており、日本ももっとお金をかけなくちゃいけないという主張がありました。日本の場合、政治家のせいで、無駄なところにお金を使っていることも指摘されています。
衛星「ひとみ」の重大トラブル、いま打つべき手:日経ビジネスオンライン(松浦 晋也 2016年4月6日(水))という記事は、もっと予算を増やせ!という主張なので複雑な気分になりますが、日本の宇宙技術は既に中国やインドにも劣るという話でした。
<2008年の宇宙基本法成立以来、日本は安全保障を中心とした実利用に傾斜し、技術開発と宇宙科学への投資を抑制してきた。その結果、現在日本の宇宙開発は、世界から技術で後れを取りつつあり、かつ宇宙科学は長期計画を立てにくい状況におかれている。中国やインドは技術開発と宇宙科学に多大な投資を続けており、すでに日本を凌駕する成果も出してきている。それは、中国やインドが「日本以上に、人類社会の繁栄への寄与をしはじめた」ということに他ならない。
政府がこの態度を続けるならば、これまで世界最先端の一翼を担ってきた日本のX線天文学が衰退することになる。それは長期的に見ると日本の衰退に他ならない>
上記の部分ですでに、「中国やインドは技術開発と(中略)すでに日本を凌駕する成果も出してきている」とありました。その後も、「宇宙科学分野は中国とインドを中心に新興勢力が急速に力をつけている」と書いている部分があり、具体的に以下のような中国とインドの事例をあげていました。
<中国は2013年の「嫦娥3号」で月軟着陸と無人探査ローバーの月面走行を成功させた。一方日本は2000年代初頭から月着陸機「セレーネ2」構想を持っているものの、いまだ月軟着陸も月面走行ローバーも実現させていない。インドは2013年11月に火星探査機「MOM(通称マンガルヤーン)」を打ち上げ、2014年9月に火星周回軌道投入を成功させて、現在も観測を続けている>
●衛星ひとみトラブルで危機 政治家はカネがないと言いつつ無駄遣いも
もっと予算を!という主張だと書いたように、"衛星「ひとみ」の重大トラブル、いま打つべき手"というのは、予算のこと。<ひとみが、どこまで復旧できるかは今後の推移を見守るしかない。が、その間にも地上でできることはある。大きなダメージを被ったX線天文学へのてこ入れ――具体的には代替衛星への予算処置だ>とされています。
私はこういった単純に「予算を増やせ!」といった主張には、基本的に賛成しません。安易に認めればすべての「予算を増やせ!」に賛同する必要があり、他より優先すべき根拠が必要でしょう。ただ、説得力があると思ったのは、「今の日本にそのような余裕はない」と言いつつ、政治家の都合による無駄なお金の使い方ならしているじゃないか!という指摘でした。
<2003年11月29日、IGSの光学衛星とレーダー衛星を各1機搭載したH-IIAロケット6号機が打ち上げに失敗した。IGSの衛星は、H-IIAで2機同時に打ち上げる前提で開発された。が、事故後は基本的に1機ずつ打ち上げるようになった。「万一にも失敗して2機の衛星を同時に失ってはならない」という政治の意志に配慮した結果だ。(中略)
(引用者注:1機打ち上げにしたことで無駄になった)300億円は、実質的なシステムの安全にはほとんど意味がなく、政策担当者の「安心」のみを確保するものだった。H-IIA6号機の事故原因は完全に解明され、きちんと対策が施されたからだ。その対策が正しかったことは、その後H-IIAが24機連続で打ち上げに成功したことで実証されている。
日本の政治は、政策担当者の単なる安心のために300億円の追加投資を宇宙に投ずることができる。また、日本にはそれだけの財政的余裕もある。今はその意志を、宇宙科学に向けるべきであろう>
●すべての分野で衰退している日本の科学技術
予算が少ないこと、実利を取るという大義名分を挙げていることは、文部科学省の文系廃止路線の話も思い出しました。(関連:
文系縮小は非常識 教育予算が少なすぎる日本、海外はさらに増額)
また、
国立大学の予算・教員削減で日本の研究論文数減少 重要論文も全分野で顕著に低下でやったように、全体の論文数、重要論文数の順位どちらも日本は低下していることがわかっています。
【クイズ】ここ10年ほどの日本の科学技術系の研究論文についての正しい記述はどれでしょう?
(1)日本の研究論文の総数は増えているが、重要論文数による順位は下がっている。
(2)日本の研究論文の総数は減っているが、重要論文数による順位は下がっていない。
(3)日本の研究論文の総数も重要論文数による順位も下がっている。
【答え】(3)日本の研究論文の総数も重要論文数による順位も下がっている。
日本の宇宙技術は既に中国やインドにも劣るとだけ聞くと本当かな?と思ったものの、こうした他の分野での傾向を考えると、十分にあり得る話だと思えてきます。
●衛星ひとみ失敗はNECのせい?5億円をJAXAに支払うことに
2017/09/09追記:2016年2月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた「ひとみ」は、本格運用前の3月26日に機体が異常回転し、バラバラに分解したと見られています。
この原因について、JAXA側は、NECの担当者が姿勢制御用エンジンの噴射データを誤って入力したためとする報告書をまとめました。ただし、NECがこれをただちに全面的に受け入れたわけではないようで、互いに責任の大きさを巡って折り合えず、東京簡裁に2017年2月、民事調停を申し立てていたそうです。
しかし、その後、NECは「JAXAの期待に応えられなかったことへの反省と、道義的責任を感じたため、調停案を受け入れました」とコメント。9月5日、東京地裁でNECがJAXAに5億円を支払うという民事調停が成立しました。
(
NECが5億円支払いへ 観測衛星「ひとみ」失敗はプログラムミスだった 2017年09月05日 20時21分 JST 安藤健二 ハフポスト日本版ニュースエディターより)
●失敗の原因とされたNECのコメントがパワハラ受けてる後輩みたい
技術的なところがわからないものの、この報道だけ見ていると、何かブラックなものを感じてしまいます。「期待に応えられなかったことへの反省と、道義的責任を感じたため、受け入れました」というのは、まるで理不尽な先輩に責任を取らされる後輩のようなコメントです。
そういう感想はないかな?と
はてなブックマークを見ると、以下のように、やはりそんな感じのコメントが出ていました。当初の投稿内容とは別の意味で、日本の宇宙事業のヤバさを感じてしまう話です。
aike プログラムミスというか、異常発生時の復旧作業中で本来予定された手順とは異なることを短時間で発案・実施する必要があり十分なレビューができない状態でもJAXA側がリスクをとってGOを出したわけで同情の余地はある。
kuniku 「噴射データを誤って入力」から、異常値を受け入れる設計PGミス(下限、上限などの考慮漏れ) or NEC側の机上の計算ミスで設定ミスった ことじゃね? JAXAの押し付けじゃないかと推測
poko78 五億か…すごいプレッシャーだな、担当者
【本文中でリンクした投稿】
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