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ファンデーションは肌に悪いの迷信 昔のおしろいに鉛使ったせい?


 <ファンデーションは肌に悪いの迷信 昔のおしろいに鉛使ったせい?>、<鉛中毒で死者続出で禁止されても日本人はおしろいを使い続けていた!>、<「化粧品は肌に悪い」は迷信だけど、最近でも健康被害出る事件>などといった化粧品に関する話をまとめています。

2022/03/21まとめ:
●「化粧品は肌に悪い」は迷信だけど、最近でも健康被害出る事件
●当初から医師やユーザーから問題が報告されたのにカネボウは軽視
●カネボウの白斑美白化粧品、引用論文を改ざんして認可された可能性


●最古のおしろい(白粉)は紀元前4世紀の遺跡で発見されている!

2022/02/08:女性が顔や首筋などに塗布して肌を色白に見せるために使用する化粧品であるおしろい(白粉)。Wikipediaによると、白色顔料をベースメイクにした最古の例は、現在のイラク地方にあったメソポタミアの遺跡から白粉が発掘されたものだそうです。メソポタミア文明が衰退したのが紀元前4世紀ですから、それより前みたいですね。

 その他の古い例としては、古代ギリシアの例が登場。自然な肉体美が賛美された古代ギリシアでは、ヘタイラと呼ばれる娼婦が専ら白粉を使っており、これが古代ローマの時代になると多くの女性が白粉を利用するようになったとされています。さらに欧州に関する説明では、以下のような事例が載っていました。

<ローマ帝国以後、化粧の文化は一旦衰退したが、中世後期からルネサンス期にかけてイタリアを中心に、顔に白粉を塗り、その上に頬紅を加えるメイクが流行した。このメイク法は18世紀にかけてヨーロッパ全域の王侯貴族に男女問わず広がった。貴族の時代が終わり市民の時代になると、多くの女性が白粉を利用するようになった>

 日本で最初におしろいが使われるようになったのは、ヨーロッパよりもだいぶ遅いようでした。7世紀ごろに中国から「はらや」(塩化水銀)、「はふに」(鉛白)という白粉がもたらされたのが最初だとのこと。当初は輸入品のみだったのようですが、その後、日本でも製造されるようになったと説明されていました。


●ファンデーションは肌に悪いの迷信 昔のおしろいに鉛使ったせい?

 資生堂 ファンデ100問100答によると、日本でおしろいが一般的になったのはさらにもっと後のようで、<日本では、白粉が大衆化するのは江戸時代に入ってからです>とされていました。ただ、このおしろいには重大な問題がありました。この資生堂のページは、<もともとファンデは「鉛」でできていたの?>というタイトル。鉛を使っていたため、健康被害があったのです。

<1887年、白粉を多用していたある歌舞伎役者が、演技中に足の震えが止まらなくなりました。後に、それは“鉛中毒”による症状だったことが判明。この「慢性鉛中毒事件」をきっかけに、鉛の有毒性が知られ、白粉の使用をめぐる社会問題にもなりました。
 この事件以降、安全性の高い「無鉛タイプの白粉」が登場したのです。さらに輸入品に影響を受けて、「色つき白粉」など西洋的美意識を取り入れた素肌の色に近い新タイプの白粉が登場するようになりました。鉛入りの白粉の製造が正式に禁止されるようになったのは、1934年のことです>

 資生堂では、<このような白粉の歴史があるので、「ファンデは肌にわるい」という都市伝説のようなイメージが残っているのかもしれません>としていました。もちろん今のファンデーションはそんなことはないのですが、このイメージがあって、「ファンデーションは肌に悪い」という迷信が広まっているのかもしれません。


●鉛中毒で死者続出で禁止されても日本人はおしろいを使い続けていた!

 ところで、資生堂のページでは、<「慢性鉛中毒事件」をきっかけに、鉛の有毒性が知られ、白粉の使用をめぐる社会問題にもなりました>と書いていたものの、上記を読んでわかるように、事件があった1887年の後すぐに禁止されたわけではありません。禁止されたのは、1934年とだいぶ後です。

 また、<鉛入りの白粉の製造が正式に禁止されるようになったのは、1934年のことです>と書かれていると、それで鉛入りのおしろいがなくなったかのように思えるのですが、実はこれも違います。具体的にどれくらい使用されたかはわからないのですが、Wikipediaの方では以下のように、その後もある程度使われていたという説明がありました。

<白粉に鉛白が使用されていた時代は、鉛中毒により、胃腸病、脳病、神経麻痺を引き起こして死に至る事例が多発し、また日常的に多量の鉛白粉を使用する役者は、特に鉛中毒の症状が顕著であった。また、使用した母親によって胎児が死亡や重篤な障害を蒙る場合もあった。胸元や背中に至るまで、幅広く白粉を付ける手法が、当時の化粧法として主流であったからである。
 鉛白による健康被害が明らかになったため、日本では1934年に、鉛を使用した白粉の製造が禁止されたが、鉛白入りの物の方が美しく見えるとされ、依然かなりの需要があったという>


●「化粧品は肌に悪い」は迷信だけど、最近でも健康被害出る事件

2022/03/21追記:「化粧品は肌に悪い」は迷信…といった感じで書いていたのですが、最近でもマジで健康被害が出る事件があったことを思い出します。過去に<カネボウの白斑美白化粧品、引用論文を改ざんして認可された可能性>などの投稿をうちでも書いていました。以降、これらの投稿もまとめておきます。

2013/9/9:とりあえず最初に、カネボウの白斑美白化粧品問題の概要がわかりやすい短い記事を紹介。<白斑問題、カネボウ開発の美白成分が原因 学会が発表>(日本経済新聞)では、以下のように報じていました。たぶん2013年9月7日の記事ではないかと思われます。

<カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」の被害が相次いでいる問題で、日本皮膚科学会(東京)は7日、同社が開発した美白成分「ロドデノール」が原因の可能性が高いと発表した。
 ロドデノールを含む化粧品の使用をやめた患者の多くは白斑の部分に色素の再生が始まり、改善傾向がみられるという。カネボウ化粧品によると、「白斑」の発症者は8月25日時点で8678人確認されている>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG07024_X00C13A9000000/


●当初から医師やユーザーから問題が報告されたのにカネボウは軽視

 カネボウの白斑美白化粧品問題はタイミングが合わず、うちでは投稿していませんでした。ただ、今回問題だなと思って、うちでも取り上げようと思うきっかけの記事がありました。それは、NHKクローズアップ現代の内容を記載した<カネボウ「白斑症の美白化粧品成分」大学教授の論文改竄して認可申請 : J-CASTテレビウォッチ>(2013/9/ 3 15:13)という記事です。

<白斑症状は使用を中止すれば多くの人は治るとされているが、2年以上経っても消えない人もいる。
 「クローズアップ現代」が注目したのはカネボウが独自に開発した美白成分のロドデノールだ。中村幸司NHK解説委員は「色素細胞が作り出すメラニンの量を抑えることで肌を白く保つ成分とカネボウは謳っていました」という。しかし、ロドデノールによって色素細胞そのものが破壊されるケースがあることがわかってきた。また、20年前、ロドデノールを生産していた工場で従業員が白斑を発症していた。
*NHKクローズアップ現代(2013年9月2日放送「最新報告 カネボウ『美白』問題」)
http://www.j-cast.com/tv/2013/09/03182825.html?p=all

 上記はまだ問題性の低い部分で、本当に問題なのはこれから。「美白化粧品の有害性について、早い段階から医師やユーザーによって情報が寄せられていた」(キャスターの国谷裕子さん)というのです。一方で、、「当初、カネボウの担当者は連絡があっても化粧品によるかぶれだろうという認識で、事態の深刻さを理解していなかった」(中村幸司NHK解説委員)とされていました。


●カネボウの白斑美白化粧品、引用論文を改ざんして認可された可能性

 この時点でも既に「悪質」。ただ、もっと問題な話がこの後出てくるんですよ。過去に白斑を発症させるという出来事があったにもかかわらず、ロドデノールは医薬部外品として認可されていたのです。「なぜ認可されたのでしょうか」という質問に、中村幸司NHK解説委員は以下のように回答していました。

「医薬部外品として認可するかどうかは、最初に医薬品医療機器総合機構で審査されます。この時、カネボウが提出した報告書が問題でした。山口大学医学部の福田吉治教授の論文を引用し、白斑は完治するという報告書を提出しました。しかし、オリジナルの福田教授の論文には完治しないと書かれていました

 事実だとすればたいへん悪質です。ただ、この記事でのコメントには、"山口大学福田先生の文献はラズベリーケトン(ロドデノールの誘導体)であって、ロドデノールそのものではない"とありました。なので、うちのタイトルでも「可能性」にとどめています。さらに、気になったので検索もしてみました。

<ロドデノールの原料は食品の香料などに使われるラズベリーケトンという物質です。実はラズベリーケトンも20年以上前、国内で白斑の被害を引き起こしていました。被害にあったのはラズベリーケトンを作っていた工場の従業員たち。時間が経っても白斑は完全には治りませんでした。カネボウはラズベリーケトンに水素を結合してロドデノールを生成。美白に有効だとして販売しました>
(カネボウ美白化粧品問題の新たな真相「ラズベリーケトン」|クローズアップ現代より)
http://tv-blog.blog.so-net.ne.jp/2013-09-02

 これ、J-CASTがNHKの放送内容を「ラズベリーケトン」を「ロドデノール」に勝手に書き換えているのかもしれませんね。元の放送は上のような事実関係だったのでしょう。なお、上記ブログは非常に丁寧に内容を記載していて、驚くほどです。クローズアップ現代の詳細を知りたい方は是非どうぞ。

 話が逸れちゃいましたけど、問題はカネボウが論文を改ざんして証拠とした可能性があるという点です。これはたいへん悪質です。許されません。たとえこの書き換えがダイレクトに認可の可否に繋がらなかったとしても、論文の内容を変えて提出したということ自体が問題。この時点で悪質性が高いです。

 改ざんが許されてしまうとなると、要するにどうにでもできるわけですから、認可そのものが意味をなしません。制度を根本から否定するものでしょう。検索してみると現時点ではこの論文の件でどうこうとはなっていないようですけど、大いに問題視し、事実であればカネボウには何らかの形で責任を取らせるのが妥当なくらいの不正行為です。


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