冒頭に追記
2022/04/01追記:
●日本が一生懸命働いて締結したRCEP、中国にとって最高の形に 【NEW】
2018/09/17:
●RCEPとはなにか?アメリカ離脱で魅力激減のTPPに代わって注目
●中国とインドの両方が入るのがすごい!RCEPの参加国一覧
●「TPPは中国包囲網」と言っていた保守派、RCEPでも中国を敵視
●アメリカのTPP離脱で、中国参加のRCEPに日本政府が傾斜?
2020/08/29:
●RCEPが大ピンチ!あの大国が離脱を示唆して閣僚会合を連続欠席
2021/01/08:
●中国主導RCEPに日本署名「中国の影響力が高まるとみられる」
●FTAがあるのになぜRCEPを作ったの?FTAとRCEPの重要な違い
●日本が一生懸命働いて締結したRCEP、中国にとって最高の形に
2022/04/01追記:RCEP反対派の話をもう少し見ておこうと検索。中国嫌いな人である遠藤誉さんが、すでにRCEPを締結した後に書かれた<
RCEP締結に習近平「高笑い」――トランプ政権の遺産(2020/11/20)というものを書いていました。
<RCEPの締結は中国のコロナ禍早期脱出とトランプ政権の一国主義のお陰だと、中国は大喜びだ。日中韓FTAまで内包してしまい、インドの不参加、台湾経済の孤立化も中国には有利だ。インドやロシアとはBRICSで結ばれている>
<中国共産党の機関誌「人民日報」やテレビ局CCTVは、アジアの自由貿易協定であるRCEP(アールセップ=東アジア地域包括的経済連携)締結を「多国間主義と自由貿易の勝利」と一斉に讃えた。これはトランプ政権が唱えてきた「一国主義と保護貿易」の反対側の立場としての中国を自ら礼賛する言葉で、中国はRCEPの締結を米中覇権競争における「中国側の勝利」と位置付けていることを意味する>
トランプ大統領はTPPからの離脱。一方、RCEPには、アメリカ大陸以外のTPP加盟国に加えて、TPP非加盟のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が参加。特に親米国である日本の参加が政治的にも経済的にも重要なため、むしろ日本が積極的に働いてRCEP締結にこぎつけたことは、中国嫌いな遠藤誉さんにはおもしろくないようでした。
<中国大陸のネットでは「中国を中心とした大東亜共栄圏」という言葉までがチラホラ出て来るような雰囲気なのである。
だというのに菅首相は10月26日における所信表明演説で中国包囲網の戦略であったはずの「自由で開かれたインド太平洋構想」から「構想」の2文字を外し、「自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す」と述べただけでなく、11月14日の日中韓3カ国とASEANの首脳会議にオンラインで参加した後、記者団に対し「ASEANと日本で『平和で繁栄したインド太平洋』を共につくり上げていきたい」と語った。
なんと、「自由で開かれたインド太平洋」とさえ言わずに、「平和で繁栄したインド太平洋」と言い換えたのである。何という中国への気の遣いようか!>
遠藤誉さんは菅首相には期待していただけに残念だ…としていましたが、その前の安倍首相が良かったというわけでもありません。そもそも遠藤誉さんは安倍首相が親中な動きを繰り返していたのにお怒りでボロクソに批判していたので、またしても裏切られた…という感じなんでしょう。
なお、インドの不参加は中国にとって有利との見方。これにより、RCEPで中国がダントツトップの存在に慣れれるためだそうです。一方で、「中国はBRICSにおいてインドやロシアと強く結ばれている」との指摘があり意外。これにより、他のRCEP参加国にはないインドとの経済的な繋がりも中国は保持しているようです。
●RCEPとはなにか?アメリカ離脱で魅力激減のTPPに代わって注目
2018/09/17:アジア太平洋地域の広範囲的経済連携といえば、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が注目されてきました。しかし、2017年のトランプ政権がTPPからの離脱を宣言してしまったことで、TPPの魅力は激減してしまっています。
その一方で注目を集めている…とされるのが、アジアの自由貿易協定である「RCEP(アールセップ:東アジア地域包括的経済連携)」。東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心にした国家群が参加する広域的な自由貿易協定のことであり、別名メガFTAとも呼ばれています。
ASEANはすでに、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国と個別にFTA(自由貿易協定)を結んでいました。RCEPは、こうした個別のFTAを包括的に束ねることで、広域的な経済連携を実現しようという構想のようです。
(
RCEPとは何か? TPPに代わって注目集める「経済連携」の基礎を解説 |ビジネス+IT 2018/07/02より)
●中国とインドの両方が入るのがすごい!RCEPの参加国一覧
注目すべきなのは、世界第二のGDPを誇る中国と、将来的に大国となるのが確実なインドが参加していることでしょう。実現すれば世界の人口の約半分である34億人、世界のGDPの3割にあたる20兆ドル、世界の貿易総額の約3割に当たる10兆ドルを占める広域経済圏が実現する…と言うと、そのすごさがわかります。
将来的にはさらにすごい!という話もあります。20世紀までは、北半球の先進国によって世界のGDPの8割が生産されていましたが、今世紀は、人口に比例する形で、東アジアにその割合が大きく推移してきているとの解説。世界の中心となる地域なのです。
<参加16カ国>
インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミヤンマー、ラオス、カンボジアに日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド
●「TPPは中国包囲網」と言っていた保守派、RCEPでも中国を敵視
ただ、中国が入るというのは、右派は気に食わないでしょう。TPPに関しては、中国包囲網だ!などとわけのわからない主張をしている論者もいました。じゃあ、なぜアメリカが離脱したの?という話なんですけど…。で、右派の代表格産経新聞を検索してみると、やはり
【主張】RCEP 前のめり交渉は許されぬ - 産経ニュース(2018.7.3 05:00)というネガティブなタイトルの社説を書いていました。
こちらの産経新聞記事では、"共同声明は、保護主義や管理貿易の手法を強める米国を念頭に、貿易摩擦がもたらす「深刻な危機」への懸念を表明した"としいました。産経新聞が好きなトランプ大統領がバカをやらかしたことにも触れざるを得なかったようです。
ただし、それでも「前のめりに合意へと突き進むことの危うさも認識しておく必要がある」として、やはり否定的。"不透明で恣意(しい)的な中国の貿易秩序を排し、ルールに基づく自由で公正な通商圏をアジアに広げるため"、日本は"早期妥結に必ずしもこだわらず、高水準の自由化を最優先に求めてきた"と、例によって中国を敵視しています。"合意を急ぐあまり、中国と中途半端な歩み寄りを図るべきではない"など、その後も中国、中国、中国といった感じで、中国にご執心でした。
●アメリカのTPP離脱で、中国参加のRCEPに日本政府が傾斜?
上記の7月の産経新聞の社説は、共同議長を務めた日本が、早期妥結を重視する姿勢を鮮明にしたことに焦っていました。大好きな安倍政権に裏切られてしまったようです。右派が自民党に期待して裏切られるってのはよくあることで、懲りないな…って感じですけどね。
7月の閣僚会合では議長が口頭で年内妥結の方針を説明しただけだったので、実を言うと、まだマシでした。その後行われた8月31日の共同声明には、初めて「実質妥結」が明記される、年内の実質妥結を目指す共同声明を採択するなど、むしろ進展してしまっています。保守派は気が気でないでしょう。
(
「年内妥結」声明で採択 毎日新聞2018年8月31日 22時06分(最終更新 8月31日 23時58分)より)
ただ、「TPPは中国包囲網」などというトンチンカンなことを言っていた中国アレルギーの保守派のたわごとは抜きにしても、実際問題、年内妥結は難しいでしょう。無理だと思います。また、焦りすぎるのはどうか?というのは私も思います。妥結ありきではなく、きちんと中身を詰めた方が良いでしょうね。
●RCEPが大ピンチ!あの大国が離脱を示唆して閣僚会合を連続欠席
2020/08/29:その後、あんまりニュースで見かけなかったRCEP。もちろん2018年中の妥結は無理でしたし、それどころか2019年も無理でした。さらに2020年も、<RCEP閣僚会合 離脱示唆のインドに交渉復帰働きかけを確認>(2020年8月27日 17時53分 NHK)という、たいへんなニュースが出ている状態になっていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200827/k10012586811000.html
最初のときに書いたように、インドが抜けると、アメリカの抜けたTPP同様に魅力が激減してしまいます。一大事です。記事によると、2020年8月27日、RCEP=東アジア地域包括的経済連携の閣僚会合が、テレビ会議の形式で開かれたものの、離脱も示唆するインドが欠席。以前から欠席しているみたいですね。
インドは中国との関係が悪化しているためにそういう理由かな?と思ったら、記事では違う説明。関税の引き下げなどによる国内産業への影響を懸念するためという説明でした。各国はインドに対し、今後も交渉に復帰するよう働きかけることを確認したものの、11月の署名に向けて時間が限られる中、日本を含む各国は難しい判断を迫られているとされていました。
●中国主導RCEPに日本署名「中国の影響力が高まるとみられる」
2021/01/08:てっきりRCEPのその後の話も書いていたと思ったのですが、実際には全然書いていなかったようなので追記。私は署名を遅らせる可能性も感じていたのですが、各国はインド抜きでの署名を選択。アメリカ抜きでやることになったTPPとちょうど同じような感じになりました。
<日本や韓国、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に合意、署名した。世界経済の3分の1近くを占める世界最大規模の自由貿易圏が誕生する>
(
日本など15カ国、RCEPに署名 世界最大規模の自由貿易圏に - BBCニュース 2020年11月16日より)
BBCニュースでは、「この合意により、同地域での中国の影響力が高まるとみられる」とも書いていました。ここでは、そこまで書いていないものの、「RCEPは中国主導」と書いているところも結構ありますね。また、トランプ大統領がTPPから離脱したせいでRCEPが成功しやすくなった…といったことを書いているところもありました。
●FTAがあるのになぜRCEPを作ったの?FTAとRCEPの重要な違い
なお、BBCの記事で出ていたBBCニュース(シンガポール)のティム・マクドナルドさんは、すでに多くの加盟国が相互に自由貿易協定(FTA)を結んでいるものの、それには限界があると指摘していました。アジア貿易センターのデボラ・エルムスさんは、「既存のFTAはRCEPに比べて非常に複雑だ」と説明しています。RCEPの方が利便性が高いみたいですね。
<国際的なサプライチェーンを持つ企業の場合、自社製品にほかの場所で製造された部品が含まれていることから、FTA内でも関税がかかる可能性がある。
例えばインドネシアで製造された製品にオーストラリア製の部品が含まれている場合、ASEAN自由貿易圏内のほかの場所でも関税が課されるかもしれない。
RCEPではどの加盟国の部品であっても平等に扱われることになるため、RCEP加盟国の企業は貿易圏内でサプライヤーを探すインセンティブを得るかもしれない>
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