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大学入試改革を訴える人は何か変『2020年の大学入試問題』(石川一郎)に酷評レビュー


【クイズ】キングス・クロス駅はどこの国にある駅でしょう?

(1)アメリカ
(2)イギリス
(3)カナダ


●グローバル社会に必要な人材とは?

 『2020年の大学入試問題』(石川一郎)という本のレビュー記事を読みましたが、何だかしっくり来ない話でした。
知識偏重から“突飛”な欧米式に 変わる大学入試問題 『2020年の大学入試問題』石川一郎著(講談社現代新書) WEDGE Infinity(ウェッジ) 2016年04月17日(Sun)  中村宏之 (読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員)

 入試を変えてゆかざるをえない背景には日本の大学の危機感がある。

 〈「知識・技能」に偏った入試問題を作成していたのでは、解なき社会、グローバルな社会で、世界の人材ネットワークと協働して問題を創造的に解決していける人材を獲得できません〉

 著者はこう主張するが、その通りだと思う。一度限りの試験で、しかも1点刻み、大学によっては小数点以下の点数を競うことと、世界に通用する優れた研究者を生み出すというのは、必ずしも結びつかないことは、冷静に考えればすぐにわかることである。(中略)

 真に必要なのは、点数に競争では得られない柔軟な発想であり、様々な応用動作である。そうしたことができる人材は世界から引っ張りダコであり、そうした人材を逃さず育成するためにも、入試は変わらざるをえない。知識や情報だけでなく、思考力を問い、柔軟な発想や応用思考ができることはどんな分野でも不可欠な資質だ。

●突飛な問題を出せば良いわけではない

 これ、一見もっともらしいことを言っているように見えるのですが、データや学術研究のような根拠がありません。結局、何となくという話で、説得力がないんですよね。きちんとした説明ができないというのは、むしろ日本人の悪いところであり、ダメな典型のように見えます。

 書籍の著者の石川一郎さんや記事の中村宏之・読売新聞主任研究員が評価していたと思われる入試問題の実例もまたよくわかりません。
 「キングス・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べなさい」

 2015年1月の順天堂大学医学部で実際に出た問題である。医学部でもこんな問題が出るのか、という意味で非常に印象的である。2020年にはこうした問題が出てくるという時代を先取りした問題だともいえそうだ。

 一方、"本書ではケンブリッジや、オックスフォードの入試問題、口頭試問の問題などが紹介されている"として出ていたのが、以下のような例。
 〈火星人に人間をどう説明しますか〉

 〈カタツムリに意識はあるでしょうか〉

 日本の入試の感覚では“突飛”な問題だと考えられがちだが、きちんと説明するにはそれなりの学習と知識が必要であるし、説得力ある文章を書くには相応の訓練も必要である。英国の大学進学希望者はこうした試験を経ているのである。日本の大学入試もこうした方向に向かいつつあるといえる。

 私はこれらと先ほどの順天堂大学の問題が似たものだとは思えませんでしたので、日本の大学入試が同じ方向に向かっているとも思えませんでした。

 「火星人に人間をどう説明しますか」は、普段当たり前と思って意識しないものを説明させようという問題だと思いました。言葉の定義なんかも「説明せよ」と言われると戸惑うものです。特にこの場合は前提知識のない人にどのように説明するか見たいのだろうと想像できます。サルとの違いを説明するには、倫理的なところにも突っ込む必要があるかもしれません。

 もう一つの「カタツムリに意識はあるでしょうか」というのは、命の定義などと同じように倫理的な問題に関わってきます。さっきといっしょで、「意識」という言葉の定義についても漠然とした認識ではなく、より深く考えなくてはいけません。どちらもよく練られた問題だと感心できます。

 したがって、これらは駅の写真の感想を書かせる問題と、レベルが異なると言えるでしょう。深みが全く違います。

 答えのないような問題を考えるのが大事だというのはわかるのですが、それはより本質的に物事を考えさせるという狙いがあるのだと私は解釈しています。石川一郎さんや中村宏之さんは、単に「突飛な問題を出せば良い」と理解しているのでは?と疑いたくなりました。


 良いクイズが思いつかなくて、この入試で使われた駅のある場所に関して。

【クイズ】キングス・クロス駅はどこの国にある駅でしょう?

(1)アメリカ
(2)イギリス
(3)カナダ

【答え】(2)イギリス

 『ハリー・ポッター』シリーズにホグワーツ特急の始発駅として出てくるそうで、ハリー・ポッター好きの人でしたらすぐイギリスとわかったかもしれません。


●酷評レビューだった『2020年の大学入試問題』

 記事の作者である中村宏之さんはこういった経歴。
中村宏之(なかむら・ひろゆき)
読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。共著に『御社の寿命』、『昭和時代 戦前・戦中期』(いずれも中央公論新社)など

 一方、この中村さんが感心したらしい石川一郎さんは、アマゾンによると以下のような経歴です。
2020年の大学入試問題 (講談社現代新書)

石川 一郎
かえつ有明中高等学校校長。1962 年東京都出身、暁星学園に小学校4年生から9年間学び、85 年早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒。暁星国際学園、ロサンゼルスインターナショナルスクールなどで教鞭を取る。2006 年4月かえつ有明中高等学校教頭、15 年4月より現職。「アクティブラーニング」をかえつ有明中高で実践、2011 年に教師の研究組織「21 世紀の教育を考える会」を立ち上げ幹事を務める。

 記事の感じからするとむしろわけわからん本なのでは?とレビューを見ると、やはり上位レビューはことごとくボロクソ。こういう社会人を作る学校はいけませんよという見本のような感じでした。
見出しほどすっきりしない内容
投稿者 チップとデール 投稿日 2016/3/1

結局、2020年の大学入試制度はまだ検討中で具体的な内容は明記されていない。本の内容もわかりにくい。しかも、読んでも心に残らない。未来の学生の能力をどうしたいのか?どう育てたいのか?どう評価するのか?まったくわからなかった。2020年に受験する子供を持つ親として勉強のつもりで読んだが、わかったことは考える小論文形式の問題が増える?ということだけ。


期待外れ
投稿者 ホッシー 投稿日 2016/3/23
形式: 新書
2020年に大学入試問題がどう変わるのか、その入試問題を解くにはどのような力が必要なのかについて書きたかったらしい。正直、何が言いたいのかよく分からない、微妙な本だった。第1章を読み切った時点で、あまりのつらさに1度読むのを断念したくらいである。


空回り
投稿者 nureyev_1968 投稿日 2016/3/21

カタカナ語と英語の略称が多すぎ、また自分の考えに酔っているところが多分にあって、読みづらいし結局なにが言いたいのかよく分からない 知識の詰め込みだけではダメでそれらを有機的につなげて独創的、創造的思考に至ることができる人材の育成が目標だろうが、評価が難しいし、評価側の高い能力と大きな負荷が必要になる 芸術と同じで、教えて身につくようなものではない領域のように思える


考察が不足しております。事実の羅列では物足りない。
投稿者 チャンくん 投稿日 2016/3/14

不思議なに興味を惹かれ読み始めたものの、著者の経営する学校の宣伝とも取れなくも無い内容に失望。それを差し引いても、だから何を言いたいのか伝わりません。

●大学入試改革を訴える人は何か変

 上記レビューで特に問題が多く指摘されていたのが、2番目のレビューです。

 一つは「論拠を示さずに主張をしている」ということ。これは私が前半で言ったことと同じですね。
「従来の断片的な知識を暗記するだけで乗り切れた問題とは違い、2020年には(中略)知識と知識のつながり、知識の背景を論じる思考力が要求されます」(pp. 7-8)と述べられている。しかし、従来の入試問題が「断片的な知識を暗記するだけで乗り切れた」という根拠がどこにも示されていない。(中略)

「[世界大学ランキング上位の大学は:引用者注]徹底的に「自分とは何か」という「自分軸」を表現する口頭試問や小論文は当たり前のように課しています」(p. 24)と述べられている。しかし、その根拠は示されていない。著者は「当たり前」という表現を好んで使っているように見える。「当たり前」と書くのであれば、読者を納得させられるだけの根拠を示してもらいたいものである。

 それから、「耳慣れない用語に関して、定義づけや補足説明をしていない」という問題点も指摘されていました。やはりきちんと物事を説明できないという困った大人になっています。

 ここらへんを疎かにする人だから、前半で指摘したケンブリッジなどの入試問題が物事の本質を説明させようとしている点を軽視しているのかもしれません。
「スペシャル入試」(p. 59)
「未来型の独自入試」(p. 60)
「アクティブブレイン状態」(p. 138)
以上のような筆者独自の表現がそこかしこに登場するうえ、何の定義づけも補足説明もされない。読んでいる最中に浮かぶ疑問(=「この用語はどういう意味なんだろう?」)が宙ぶらりんのまま放置され続けるため、読む気力がガンガン削られるのである。独自の表現を使うのなら、ちゃんと補足説明をしてほしい。

 さらにそもそも「日本語が不自然である」という痛烈な指摘もありました。私はあまりこういう重箱の隅をつつくような批判は好きじゃないものの、例示された一文は「なるほどよくわからんな」というものです。
たとえば、「冷戦が終焉し、経済の空白が、日本だけでの問題ではなくなったリーマンショック以降の世界同時デフレ経済に突入するまで、常に大山鳴動してネズミ一匹という情況でした」(p. 61)という記述である。冷戦は「終結」するものである。また、文章前半の主語がなんなのか判然としない。読点の位置から推測すると、「経済の空白」が主語のように読める。しかし、そうなると述語が「世界同時デフレ経済に突入する」なので、主語と述語がかみ合っていないのである。なんだこれは。

 大学入試改革を訴える人って、むしろ何かおかしいんじゃないのか?と感じさせる例になってしまいました。


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