東日本大震災の後に書いた
千羽鶴は迷惑?震災被災地でいらないものリスト 寄せ書き・古着などと似たようなことが起きないか懸念されているようです。
●わがままな被災者?被災地お断りの震災ボランティアはある
何様のつもりだ!?とお怒りの方もいらっしゃるでしょうが、これ、善意だからこそたちが悪いというか、怖いというか…。
同じ東日本大震災では、
デマ拡大は善意が引き起こす 地震時のTwitter拡散希望デマの研究というのをやっています。善意でやっている「迷惑」だからこそ大きな問題になりやすいのかもしれません。
さらに言えば、私がよく問題視している疑似科学(ニセ科学)なんかも、善意が関係してそうです。これは宗教で例えた方がすっきりするかもしれません。「私の信じる宗教をあなたも信じれば幸せになれるのに、なぜ入信しないんですか?」という押しつけがましい善意です。
…話が逸れてきましたので、震災の話に戻ります。ソーシャルビジネスに関わるコンサルタントの竹井善昭さんは、災害での迷惑になってしまう善意について、「間違った善意」という言い方をしていました。
熊本地震で、善意が「第二の災害」を引き起こさないために|社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭|ダイヤモンド・オンライン 竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]【第155回】 2016年4月19日
物資を送るには注意が必要。善意で送ったモノが被災地の混乱を招くこと、被災者にとって迷惑なことも多いからだ。これを「第二の災害」という。(中略)
まず基本的なことだが、第二の災害を生むのは「間違った善意」であるということだ。この場合の「間違った」とは、現地ニーズを把握していない、あるいは勘違いしているという意味だ(略)
●千羽鶴・寄せ書きなどの不要なものリスト
以前と重なる部分がありますが、「不要なもの一覧」として以下が挙げられていました。
1、千羽鶴・応援メッセージや寄せ書き
2、成分表が読めない海外食品(アレルギー成分がわからないため)
3、冷凍食品(冷蔵庫が使えないため)
4、保存食以外の食料(缶詰・瓶詰・カップ麺も賞味期限が切れたものは不安)
5、古すぎる古着・洗濯していない毛布・布団・下着など
6、自分で食料などを確保できないボランティア
「6、自分で食料などを確保できないボランティア」なんかは、熊本地震でもマスコミの行動が炎上していました。たぶんマスコミ批判でしたら皆さん賛成するんでしょうけどね。そうじゃない場合、何様のつもりだ?と被災者を責める人が出てきそうです。
被災地で食糧を現地調達 アナウンサーが弁当画像を投稿し非難殺到 BIGLOBEニュース編集部4月18日(月)19時55分
熊本地震を取材中の毎日放送(MBS)の山中真アナウンサーが16日、被災地で調達したと思われる弁当の写真をTwitterに投稿した。(中略)
山中アナは、15日朝から熊本県の被災地を取材。(中略)21時前に「やっと今日の1食目。食料なかなか手に入りにくいです」と弁当の写真を投稿した。Twitterでは、被災地の食糧を外部の人が消費すること、被災者の気持ちを鑑みないことに否定的な意見が多く寄せられている。
「あなた以上に現地の方は食料を求めているでしょうに」
「被災者の食べ物を横取りして、何がマスコミか」
「自ら食べる分の食事くらい持っていけばいくべきでしょ」
2016/04/21追記:やはり準備しないで行った感じの話がもう一つ。
【熊本地震】テレビ会議でおにぎり差し入れ要請、松本文明内閣府副大臣が陳謝 - 産経ニュース 2016.4.21 17:08
熊本地震の政府現地対策本部長を務めていた松本文明内閣府副大臣は21日の衆院総務委員会で、熊本県庁で行われた政府とのテレビ会議で河野太郎防災担当相におにぎりなど食料の差し入れを要請したことを明らかにし、「大変申し訳ない」と陳謝した。(中略)
21日発売の「週刊文春」が、松本氏が県庁職員に対し「救援物資は足りているんだから文句は言わせない」「こんな飯で戦えるか」などと発言したと報じたことについては、それぞれ「記憶にない」「事実無根」と否定した。
現地本部長、テレビ会議で差し入れ要請 おにぎり届く:朝日新聞デジタル 2016年4月21日05時03分
松本氏は、16日の「本震」の後、政府と県を結ぶテレビ会議で河野氏に「食べるものがない。これでは戦えない。近くの先生(国会議員)に差し入れをお願いして欲しい」と要請。河野氏が手配し、熊本県関係の議員4人の事務所からおにぎりが届けられたという。本来は県側の要請と政府の対応を調整する場であるテレビ会議を使って、自身への差し入れを求めたことは批判を招きそうだ。
●ニーズや事情を把握せずに一方的に支援
また、以下のエピソードなんかは、押しつけの善意という例としてわかりやすいです。これなら被災者が贅沢だ!という怒りも収まりやすいんじゃないかと思います。
僕らが作業をしている最中に、1台の車がやってきた。どうやら仮設住宅の人たちのために、何らかの支援物資(たぶん食料)を持ってきたようだった。彼らは飛び込みで来たようで勝手が分からず、僕の仲間が仮設住宅の町内会長みたいな人を教えてあげた。その来訪者は会長に会いに行ったが、数分後、彼は支援物資を抱えたままクルマに戻ってききた。そして、車内で待っていた自分の連れに向かって「要らないんだってよ!」と怒りの言葉を吐き捨て、仮設住宅を去っていった。
彼らにしてみれば「せっかく善意で来てやったのに」という気持ちだったのだろう。だがこれも、アポなしで仮設住宅の人たちのニーズを確認せずに、思い込みの善意でやってきた結果である。
●「心のケア」にもうんざり
時期によっては心理カウンセリングが必要なときもあるのでは?としていたものの、竹井善昭さんはこれ以外に「心のケア」という意外なものも挙げていました。
「心のケア」に関してはやはり東日本大震災に関して、
災害被災者に必要なのはカウンセラーの心のケアよりレジリエンスを書いています。
ただ、その投稿とは違っていて、今回はやはり押しつけがましいという点で、被災者を精神的にむしろ追い込んでしまっていたという話。さっき宗教の話を出しちゃったんですが、そういえば、被災地では宗教関係者による支援も活発になります。
僕が東北の避難所でよく聞いたのは、「あちこちから、いろんなNPOがやってくるけど、どいつもこいつも心のケア、心のケアってうるさいんだよ。俺たちはもう、心のケアと聞いただけで鬱になりそうになる」という声だ。もちろん僕は、心のケアや千羽鶴を否定するワケではない。ただ、心のケアや千羽鶴を被災者に届けたいと思う人たちは、避難所の人たちがそれをどのように受け取るか、想像力を働かせて提供すべきだと思う。
●押しつけの善意に潜む差別意識
善意でやっていることなのに文句言うなんて…と思ってしまうのは、かなりきつい言い方になってしまって申し訳ないのですが、ある種の差別意識的なものがあると思うんですよね。特に自分にとっての不要品を与えてしまうというケースは、そういった意識があると思います。
これは今回のような日本国内の被災者に限らず、発展途上国の恵まれない子どもに…といった話でもそうで、自分たちより下のかわいそうな人たちなのだから…という意識が根底にあるのだと想像されます。
また話が逸れちゃいますが、障害者ですとか、マイノリティですとかに関わることでも、本来不便で当たり前なのに俺たちがこれだけしてやっている…といった似たような潜在意識があると感じることが多いです。
とりあえず、被災者支援に関しては、竹井善昭さんが以下のような書き方をしていました。
このようなことを書くと「せっかくの善意を不要だというのは、被災者のワガママだ」と思う人もいるかもしれない。しかし、それは違う。当然ながら、被災者もまた、尊厳を持った人間なのだ。
●迷惑な支援と比べてありがたい支援ははっきりしない
逆に必要なもの、助かるものという前向きな話としては、以前、
震災時に役に立ったものリスト 支援物資や防災準備の参考にをやっています。ところが、これは正直言って参考になるかどうかは微妙なのです。
今回の記事でも実は「被災地ニーズは時と共に変わる」とされていました。あるときに嬉しかったものでも、別のときには迷惑になるということが十分に起こり得るのです。
これはまた「わがまま言いやがって!」と思われそうな話ですけど、物資の整理や管理での負担がたいへん大きいために望んでいないものまで持って来られるというのは、我々が想像するよりもずっと疲弊するみたいです。
したがって、ニーズなどの最新の情報を常に把握しながら、そのときどきで支援の仕方を変えていく…というのがベストだと思われます。
【本文中でリンクした投稿】
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千羽鶴は迷惑?震災被災地でいらないものリスト 寄せ書き・古着など ■
デマ拡大は善意が引き起こす 地震時のTwitter拡散希望デマの研究 ■
災害被災者に必要なのはカウンセラーの心のケアよりレジリエンス ■
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