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イアン・ブレマーと石澤靖治 超大国アメリカの選択肢と中国への対応


【クイズ】ウォール・ストリート・ジャーナルの本社所在地はどこでしょう?

(1)ニューヨーク
(2)ロサンゼルス
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●イアン・ブレマー氏の示したアメリカの3つの選択肢

 アメリカの国際政治学者であるイアン・ブレマーさんは、近著『スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択』で以下のようなことを書いていたそうです。
トランプ氏の外交、ブレマー氏の選択  ワシントン支局長 小竹洋之 :日本経済新聞  2016/3/28 6:30 日本経済新聞 電子版

(1)国際問題に関与する責任からの独立を宣言し、国内の再建に専念することで自国の価値を高める「独立するアメリカ」
(2)国際問題に限定的に関与し、効率的な投資で国益を極大化する「マネーボール・アメリカ」
(3)自由や民主などの守護者として国際問題に積極的に関与する「必要不可欠なアメリカ」

――という3つの選択肢を提示したのだ。

●イアン・ブレマー氏は「独立するアメリカ」を選択

 イアン・ブレマーさん自身は何と言っているか?と言うと、「私は『独立するアメリカ』を選択する。それが最善のシナリオに近い」というものでした。
 アフガニスタン・イラク戦争やリーマン・ショックなども重なって米国の国力が低下し、世界を主導するのが難しいと考えたからにほかならない。

 「米国はいまだ唯一の超大国だ。それはしばらく変わらないが、超大国の役割を選択すべき時が来ている」。昨年末に会ったブレマー氏はこう語っていた。「干渉」と「孤立」の間で、昔から揺れ続けてきた米国の外交・安保政策。その均衡点をどこに求めるかは、大統領選の重要な争点になってしかるべきだろう。

●イアン・ブレマー氏の立ち位置は?

 記事でなぜドナルド・トランプさんの名前がいっしょに出てきたか?と言うと、彼がこの「独立するアメリカ」に近い孤立主義路線であるためです。

 で、気になったのが、イアン・ブレマーさんは保守派なんだろうか?という話。すぐに保守とリベラルに分けたがるのは悪い癖ではあるものの、保守派の論客から出てきた話なら興味深いなと感じたので検索してみました。

 すると、特にどっちかに与しているという感じではないですね。ただ、日本のネトウヨさんっぽい人からは「工作員」とレッテル貼りされていました。

 また、保守派の論客の反論があったということなので、少なくとも明らかな保守派ではないのかな?という感じ。ドナルド・トランプさんが共和党で異質だと言われるように、アメリカの保守主流派は「独立するアメリカ」ではなく、「必要不可欠なアメリカ」という路線です。

 日本の保守主流派も「必要不可欠なアメリカ」を支持しています。後述する他の理由が大きいと思われますが、ネトウヨさんが工作員呼ばわりしていたのはそういう理由もあるかもしれません。


●石澤靖治学長「アメリカは他の国と同列ではない」

 ところで、その保守派の論客の反論を取り上げた文章なのですが、イアン・ブレマーさんの元の主張を全く聞いていないだろう?というひどいものでした。
「アメリカの凋落」に異議あり~オバマのアメリカと60年代の違い~ : オピニオン : 学習院TIMES 学習院大学: YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 同国の言論人であるイアン・ブレマーからは、アメリカを含め、もはや個々の国が世界におけるリーダー役を担うことはできないとして、「Gゼロ」後の世界と定義されるようにさえなった。(中略)

 『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』(原題:America in Retreatブレット・スティーブンス著、藤原朝子訳、ダイヤモンド社、2015年)という興味深い著作に出会った。著者は米ウォールストリートジャーナル紙の論説副主幹兼外交コラムニストであり、保守派の若手の論客である。スティーブンス氏はその中で、それでもアメリカが現在の世界において主導権を取りうる力を十分に有しており、ブレマーの「Gゼロ」という指摘を否定する。同氏はアメリカの力の相対的な低下を否定しているわけではない。しかしながら単純に「凋落」という言葉を使うのではなく、実際に世界の様々な状況をつぶさに検証した上でアメリカの優位性を主張するのである。そうした中で問題なのは「オバマのアメリカ」が外交シーンで積極的な姿勢をとっていないことだと強く非難すると同時に、世界をリードしていけるのは、現時点ではアメリカしかないと述べる。

 確かに、「アメリカの凋落」という言葉は使いやすいし、その言葉を使うことで、アメリカの力の低下とそれに伴う国際情勢の変化を説明できたような気になる。(中略)しかしながら、だからといってアメリカの力を、その他の国々と同列だと論じるのもまた誤りであろう。要は相対的にやはりナンバーワンであるアメリカと、日本を含めた主要国が世界の安定に向けて役割を分担しつつ、ケースバイケースの立場で臨むことである。「アメリカの凋落」を訳知り顔で指摘することからは、有意義な議論は生まれてこないことを再認識させられた。

【クイズ】ウォール・ストリート・ジャーナルの本社所在地はどこでしょう?

(1)ニューヨーク
(2)ロサンゼルス
(3)ワシントン

【答え】(1)ニューヨーク


●イアン・ブレマー氏はアメリカは未だ超大国だと主張

 石澤学長は「アメリカの力を、その他の国々と同列だと論じるのもまた誤り」と書いていますが、イアン・ブレマーさんはそもそもそんなことを言っていません。

 例えば、最初の記事では、「米国はいまだ唯一の超大国だ。それはしばらく変わらない」という言葉がありました。この考え方はアマゾンの紹介文でも確認できます。こういう紹介文すら読まなかったんでしょうね、きっと。
スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択

Gゼロ時代に突入し、アメリカが世界を主導する力は以前ほど絶大ではなくなった。だが、しばらくはアメリカが唯一の「スーパーパワー (超大国)」であることに変わりはない。アメリカは今後、世界を舞台にどういった役割を演じるのか? 他国の問題解決から手を引いてしまうのか?

「Gゼロ」という言葉を世に送り出し、各国の政府首脳に対して外交問題に関する助言を行ってきた気鋭の政治学者が、国際社会の中でアメリカがとりうる外交戦略を3つのシナリオで示す。

●アメリカの選択は現在ではなく未来の問題

 問題はより長期的視野で見たときに、国際問題に積極的に関与する世界の警察のような役割が不可能になる時代が来るのではないか?という話です。現在ではなく未来を問題としているんですね。

 ですので、反論するとすれば、ここからアメリカが華麗に復活するという証拠を集めることです。私は、アメリカに世界の警察は無理!世界のGDPに占める米・日本・中国の比率で見たように、長期的に見て再びアメリカが圧倒的な時代が来るということは考えづらいと予想しています。

 ただ、私はイアン・ブレマーさんやドナルド・トランプさんのような急進的な対応は支持しません。かなり難しいのですが、なるべくアメリカの影響力を残しながら徐々に手を引くべきでしょう。そうではないと、大混乱が起きてしまいます。


●中国との関係強化、防衛・安保への傾斜是正の主張

 最後にイアン・ブレマーさんによる日本への提案について。ネトウヨさんが彼を敵視していた理由の一つが、中国との関係強化を進言していたためではないかと想像しました。
視点:日本に必要な「3つの変化」=イアン・ブレマー氏 | ロイター  2016年 01月 22日 20:02 JST

<中国との補完関係強化で政治・経済力の底上げを>

安倍晋三首相は、中国と補完し合える分野をできるだけ多く見つけるための内部プロジェクトを立ち上げるべきだ。

日本は、世界で最も強く、世界で最もレジリエントな(しなやかな回復力を持つ)サービス産業を有する。同産業は、世界トップレベルの消費材や優れた高齢者向けヘルスケアを提供している。

社会インフラの強靭さも際立っている。中国は今後、このすべてを切に必要とするだろう。日本はこれらを提供することで、自国の経済や政治にとって重要な推進力を得ることができる。

 2つ目の提案は、「女性の雇用拡大へ、より深いコミットメントが必要」というもの。これも保守はおもしろくないでしょうが、一応安倍首相も強化するポーズを取っていますので、そこまで問題はないでしょう。

 一方、3つ目の提案は自民党サポーターが激怒するものでした。理由としては、これが一番大きいのかも。
<外交政策の防衛・安保傾斜は是正すべき>

最後に、安倍首相の外交政策は、防衛・安全保障分野に偏向しすぎている。このようなアプローチの外交的な代償は明らかだ。日本は代わりに、経済・産業・通商政策という真の強みをもっと活用して世界と向き合うべきだろう。

 ドナルド・トランプさんは中国叩きも激しくしているものの、実は中国にはメリットもあります。「独立するアメリカ」路線で影響力を最も増す国の一つが中国のためです。

 ただ、アメリカに世界の警察は無理!世界のGDPに占める米・日本・中国の比率で見たように、中国が世界での存在感を増す流れはまだしばらく続きそうですから、どちらにせよ既定路線だと考えられます。

 また、中国に対してアメリカや日本が強引に対抗するというのも無理な話であり、それは経済を犠牲にするということにもなります。したがって、国を強く見せようとしても、実際には国力を弱めることになるでしょう。

 弱みを見せると中国は容赦なくつけこんでくるでしょうから非常に難しいのですが、将来を考えた場合、日米は中国との関係を徐々に見直していく必要があります。


【本文中でリンクした投稿】
  ■アメリカに世界の警察は無理!世界のGDPに占める米・日本・中国の比率

【その他関連投稿】
  ■ドナルド・トランプ共和党大統領候補、反日・日本批判発言集
  ■アメリカで初めて進化論派がキリスト教の創造論派を上回る 若者・高齢者の傾向やアメリカ大統領選・保守派とリベラル派との関係
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