Appendix

広告

Entries

中国人はなんでも食べる…はデマ 日本人の方が野生動物好き?


 新型コロナウイルスで注目された中国人の野生動物を食べる文化。ただ、「中国人はなんでも食べる」といった理解は正しくないと言われていました。地方による差が大きく、野生動物をよく食べる地方がある一方で、全然食べない地方もあるためです。

 この地方差で驚きなのは、中国ではむしろ「野生動物は食べるべきではない」と考える人がかなり多いという事実。日本の調査を見ると、日本人も多くの人が野生動物を食べた経験がある上に、野生動物を食べることにポジティブな見方をしています。むしろ日本人の方が中国人よりも野生動物を食べることが好きかもしれません。

2020/02/02:
●野生動物が市場で売られている中国、新型肺炎の原因にも?
●中国人はなんでも食べる…はデマだった 野生動物を食べるのは…
●国民のほとんどの人が犬肉を食べたことがある…その国とは?
●ジビエブームの日本の方が野生動物を食べるのに好意的かも…
●野生動物を食べるべきではない…という考えは非科学的なもの?
2020/04/19:
●日本人の7割が経験あり…野生鳥獣を食べるのは日本の伝統文化!
2021/04/21:
●日本伝統のいい文化「ジビエ料理」で町おこし…日本政府も期待? 【NEW】


●野生動物が市場で売られている中国、新型肺炎の原因にも?

2020/02/02: 2019年9月、中国、北京近郊の農場の納屋に約1万羽もの多数の生きた鳥が隠されているのを、環境保護団体が発見して警察に通報。鳥たちは違法に捕獲されたもので、中国南部の中華料理店や市場に売られることになっていました。

 この鳥の中には、シマアオジという絶滅危惧種も含まれています。シマアオジが近年激減している主な理由は、一部の中国人が好んで食用にしているからだと考えられているそうです。

 2020年に入って新型コロナウイルスの感染が拡大すると、感染源がさまざまな野生動物を売っていた武漢の市場から始まったと考えられていることもあり、再び中国での野生動物の取引に注目が集まっている…という状況です。

 メディアは中国の市場で売られる痛々しい動物たちの写真や、生きたままスープ鍋で茹でられるコウモリの動画を流していますが、中国政府は1月26日に、危機が終息するまで野生動物の取引を禁止すると発表しました。


●中国人はなんでも食べる…はデマだった 野生動物を食べるのは…

 ところが、上記の話があったのは、中国の野生動物取引はどうなる?「なんでも食べる中国人」は神話 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2020.01.31)というタイトルの記事でした。中国ではだれもが生きた野生動物を買って食べているという印象はマスコミが作ったものであり、事実ではないというのです。

 普段はマスコミの捏造を聞くと喜ぶ人々もこの指摘には納得しない人が多いかもしれません。むしろこの「中国人はなんでも食べる…はデマだった」という指摘こそ捏造だと言うかもしれません。

 ただ、これは、単純に中国が広すぎるという問題。四川料理が辛くない!日本の中華料理にショック…中国人の反応で書いたように、中国国内でも言葉が通じないというほど、多様性があります。「中国人」とひとまとめにして言いますが、中国内でもかなり文化的に異なるのです。

 そして、そのときのメインの話であったように、中国人が食べる料理というのもかなり異なっています。今回の野生動物を食べるかどうかというのも当然そういう話。先のシマアオジの主な渡り先でもある広州では野生動物を食べることはごく一般的なのですけど、一方で北京市民が野生動物を食べることはめったにないそうです。


●国民のほとんどの人が犬肉を食べたことがある…その国とは?

 実際には中国国外のイメージと全く異なり、多くの中国人は、野生動物を食べる文化に馴染みがないといいます。記事では、むしろ政府系メディアやSNSでは、厳しい言葉で野生動物を食べる習慣を批判し、野生動物の取引を永久的に禁止するべきだとしていることを指摘しています。

 例えば、犬の飼育頭数世界一は中国だが狂犬病ならインドがダントツで書いたように、犬肉を食べるのが好きなのは、中国国内でもごく一部の地方の人々。犬肉を食べない地方の人々では、むしろ強くこの文化を批判している人が多いです。

 中国以上?違法でも犬肉を食べるベトナム、驚きの調達方法とは?でやったように、ベトナムの場合はほとんどの人が犬肉を食べたことがあるとされていました。中国はこのような状況と全く違っており、かなり地域差があると考えられます。


●ジビエブームの日本の方が野生動物を食べるのに好意的かも…

 最近、中国との関係が悪化しているせいか、香港では研究者ですら偏見が強いのではないか?といった見方を中国にしていますけど、香港城市大学の社会学・行動科学助教のレベッカ・ウォンさんは、2019年に出版した中国の野生動物の違法取引に関する著書の中で、野生動物を食べることは「中国では一般的」であるとしながらも、以下のような指摘をしていたそうです。

<紋切り型の見方をしてはいけないと警鐘を鳴らす。「なんでも食べる中国人」のイメージは神話であり、仲間や社会からの同調圧力やステータスを求める気持ちなどの複雑な動機があるという>

 記事ではデータ的な話もあって、これが一番良いですね。2014年に中国の5つの都市で実施された1000人以上を対象とする調査では、前述の広州では回答者の83%が過去1年間に野生動物を食べていたということで、やはり高いです。一方で、上海では14%、北京ではわずか5%でした。

 より注目すべきだと思うのは、全国の回答者の半数以上が野生動物を食べるべきではないと答えていたこと。かなりネガティブな見方ですね。日本では野生動物を食べるジビエ料理がブームになっているので、ひょっとしたら日本人の方が好意的かもしれません。ここは今度データを探してみたいですね。


●野生動物を食べるべきではない…という考えは非科学的なもの?

 なお、広州の若い学生に話を聞いたところ、広州ですら全然食べない人はいるみたいですね。一人の学生は地域では食べるが自分たちの家族は食べないし、学生世代はあまり食べず高齢者が多いという説明。さらにもう一人の学生が住む地域ではそもそも食べないし、むしろ嫌いだと言います。

 若い人ほど食べないのは教育的な問題もあるのではないかと、学生本人は予想。ひとつは、そもそも野生動物が好まれる理由に迷信があるということ。一部の中国人は野生動物を食べるのは健康にいいと信じており、生きている新鮮な動物の方が効果があると信じられているのです。前述のベトナムでもやはり迷信の話が出ていました。

 もう一つ教育的な問題だというのは、コロナウイルスの原因だと言われているように、安全性の問題です。日本のジビエ料理ではここらへんどうなっているんでしょうね。ジビエ料理ブームがあると聞いたときに気になったところでした。

 とりあえず、記事では中国だけが特別危険だとは思えない説明があります。米ジョージタウン大学の微生物学・免疫学科のエリン・ソレル助教は、人獣共通感染症の70%は野生動物に由来するものだと説明。米国の野生生物保護学会の国際獣医チーフであるクリスチャン・ウォルザーさんも、動物たちはウイルスを持っていても病気ではなく、「無症状の病原巣」の状態にあるものの、人間の方はウイルスに接触する可能性が高くなるとしていました。


●日本人の7割が経験あり…野生鳥獣を食べるのは日本の伝統文化!

2020/04/19:実際に野生動物を食べている人の割合や頻度は、おそらく中国の方が多いんじゃないかと私は思います。ただ、前回書いていたように、野生動物を食べることへの見方は、むしろ日本の方がポジティブではないか?というのは気になっていたので、アンケートを探してみました。

 調査方法などが全然異なるのでそのまま比較はできないものの、やはり日本人の方が野生動物を食べることに良いイメージを持っているとわかりそうなデータが見つかります。また、予想外だったのは、野生鳥獣を食べる文化は「日本の郷土料理」的なイメージで広く浸透しているという結果も出ていたこと。むしろ日本の伝統文化という認識みたいでした!

 (PDF)野生鳥獣の料理に関する調査(2012年11 月14日 特定非営利活動法人SCOP )によると、全国の男女571人を対象に「野生鳥獣の料理に関する調査」を実施したところ、約 7 割の消費者が、今後野生鳥獣の料理を食べる機会があったら『食べたい』という意向を持っていたといいます。中国よりずっとポジティブに見える結果です。

 また、予想外だったのは、すでに野生鳥獣の料理を食べた経験があるという人が約 7 割もいたこと。むしろ食べていて普通な感じ。さらに、獣肉の料理を食べた感想としては、73.9%の消費者が高評価をしていました。これらはジビエ料理よりも「日本の郷土料理」的なものが多かったそうです。かなり日本人は野生動物を食べているみたいですね。予想外でした。


●日本伝統のいい文化「ジビエ料理」で町おこし…日本政府も期待?

2021/04/21:ひょっとしたら中国以上に野生動物を食べることにポジティブなんじゃないかという日本。どうも伝統文化として町おこしに使おうという狙いもあるようで、ジビエ(野生鳥獣の肉)の利活用などに取り組む自治体が集う「ジビエ振興自治体連絡協議会」の設立総会が2021年4月20日に設立されています。

 ジビエ活用へ、22自治体出席:朝日新聞デジタルを読んでみると、目的はもろに町おこしだとわかるものでした。<ジビエ料理による地方創生や、ジビエを普及させるための施策の実現を目指す>とされていたんですよ。ジビエの狩猟から流通、販売までジビエを扱って利益を生むシステムの構築の必要性や、狩猟者の高齢化問題などについて意見が交わされたそうです。

 「野生動物を食べるのは日本の伝統文化」「野生動物を食べることはいいこと」「町おこし」という3つの要素はセットになることが多いようで、マタギ文化、冬の観光資源に 4泊5日で無料養成 栄村:朝日新聞デジタルという記事もそんな感じですね。このケースでは観光庁も絡んでおり、国としても好意的なスタンスのようでした。

<長野県栄村で12月に初めての「マタギ養成講座」が開かれる。村内の秋山郷はクマやシカなどを狩るマタギの里として知られ、冬場の新しい観光資源とするほか後継者を育成する狙いがある。将来性のある事業かどうか検証する観光庁の調査に選ばれ、4泊5日の講座が無料で受けられる>
<過疎化が進む中、石坂さんはマタギから「後継者がいない。今まであまり教えてこなかった狩りの技術や知識を教えてもいい」と相談を受けた。最近は「狩りガール」に代表されるように狩猟やジビエ料理に注目が集まっており、養成講座を思い立った>


【本文中でリンクした投稿】
  ■四川料理が辛くない!日本の中華料理にショック…中国人の反応
  ■犬の飼育頭数世界一は中国だが狂犬病ならインドがダントツ

【関連投稿】
  ■中国人などの外国人観光客による観光公害・オーバーツーリズム
  ■中国人の日本製品人気はいつまで続くのか?すでに日本離れも…
  ■日本人のバブル期の逸話 海外で爆買い・マナー悪くたばこのポイ捨てなど
  ■パクリじゃない…日本でも人気のダウンロード世界一TikTokは中国製だった!
  ■海外・世界・国際についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由