【クイズ】「震度6強」の一つ下のレベルの震度は?
(1)「震度5強」
(2)「震度6」
(3)「震度6弱」
●震度8・震度10・震度12の地震はない 最大は震度7と知らない人多数
最初、以下を見てマスコミは馬鹿なのだと思いました。
テレビ報道者も間違う「震度最大10」の誤解:日経ビジネスオンライン 2016年4月28日(木) 山根 一眞 2016年4月28日
テレビの地震報道番組内で、年季の入ったジャーナリストが「震度7以上の地震が来たら」と口にしたのだ。
巨大地震を論じる他のテレビ番組内でも、「今後、震度8の地震が来たら」と発言した論者もいた。
深刻な災害だからこそ、正確な報道が必須なのに「震度」を理解していないのは何ともまずかった。
震度を表現する数字を「震度階級」と呼ぶが、「震度7が震度階級では最大」であることを知らない人が思いのほか多いのではと前々から心配していたが、報道人ですら理解していなかったとは……。
ただ、驚いたことに学生らでも最大震度がいくつかを知らない人が多かったそうです。
私は獨協大学で2つの講義を担当しているが(受講生数は約450人)、学生たちに「震度7が震度階級では最大」であると話したところ、次のような感想が寄せられた。
・ニュースで震度7と知ったが、震度10ほど大きい地震ではないという誤った認識をしていた。
・震度は10が最大だと思っていた。7が最大震度だということに驚いた。
・震度7が震度階級で最大だと知り、熊本地震の揺れがいかに大きかったかを再認識した。
・震度は10まであると思っていた。
・震度は5と6だけに「強」と「弱」があるため実際は10段階だと初めて知った。
・震度が10段階でまさか7が最大とは知らず驚いた。
・震度の10段階の中に「強」「弱」などの階級があるのは地震への誤った認識を招く危険がある。
やはり「最大震度が7」であることを知らない学生が圧倒的だった。
●「震度6強」も理解されていない
こうなると、「~を知らないなんて非常識」とは言いづらくなります。知らない方が普通と考えた方が良いのかもしれません。
一方、このような状態で「なんてレベルの低い奴ら」という切り捨ててしまうのはマズイでしょう。高みに立つことは気持ち良いんですけど、問題はちっとも解決しないですからね。
地震の最大震度が多くの人に誤解されているという今回の話は特に問題があり、放っておくことは望ましくありません。
さらに、記事ではもう一つ、私が驚いた震度の話がありました。最初のクイズにしたものです。
【クイズ】「震度6強」の一つ下のレベルの震度は?
(1)「震度5強」
(2)「震度6」
(3)「震度6弱」
【答え】(3)「震度6弱」
たとえば「震度6強」とは「震度6より強いが震度7以下だ」と思ってしまうが、それは間違いだ。
なぜなら、震度階級に「震度6」はない。
同様に「震度5」もない。
「震度4」の上は、「5弱」「5強」「6弱」「6強」、そして「7」なのである。
●震度がややこしすぎるのが誤解のもと?
作者であるノンフィクション作家の山根一眞さんは、これは「震度5弱」などのややこしさの問題ではないかとしていました。
震度計が観測した揺れの程度(震度)の0.5刻みのモノサシを使い、「震度0~7」という震度階級として発表しているのである。
こうして決定される震度のモノサシは最大が「7」にもかかわらず、「7目盛」ではなく「10目盛」なのだ。「10目盛」は、常識であれば「1、2、3……9、10」と続くと思うが、人が揺れを感じない「0」が先頭にあるというややこしいことをやっている。頭に「0」があり最大が「7」なら8段階と思うが、これがまた違うのだ。
その不思議は、「震度5」と「震度6」が2つずつあることによる。「震度5」と「震度6」はなく、「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」の4階級が設定されているのである。
このややこしいことが、間違いの元なのだ。
●「震度6強」が混乱の原因という説明は無理
ただ、これも納得できない説明です。この後作者自身が説明していたように、「震度6強」などは以前からあった階級ではありません。
私の子供の頃は「震度5」と「震度6」で、「震度6強」などはありませんでした。しかし、後に強弱二つに分けられました(確か「震度6」などの持つ幅が広すぎるといった理由だったと思います)。ややこしい基準になっているのは、そうした歴史的経緯です。
なので、若い学生がこういったややこしさのせいで理解できないというのはわかるものの、震度6時代を知っているはずの年齢が上のマスコミ人が理解できないという説明には無理があります。
●「震度7」を「最大震度10より3段階も小さい規模の地震」と誤解
しかし、細かいところを抜いて、最高が7というのが感覚的にわかりづらいという指摘だけなら確かにそうだと頷けます。
また、以下のような誤解が起きてしまうというのも、明らかに望ましいものではないと言えます。
地震速報で「震度7」と聞いて、「最大震度10より3段階も小さい規模の地震」だと誤解すれば、生命の危機回避や避難行動にも影響をもたらすおそれがある。実際は、これ以上はない最大規模の地震なのに。
で、作者の山根一眞さんは、震度1~10に定義し直すように提案しているわけですが、これもまた混乱が起きるでしょうね。
"幾度かの改訂でも震度階級の最大を「7」にこだわってきたのは、過去の震度との比較で混乱が生じないための措置だと聞いたことがある"としていたように、今度は過去の震度との混乱が起きます。これも私はあまり軽視しない方が良いと思います。
私は妥協策として、「最大震度である震度7」「3番目に大きい震度である震度6弱」といった枕詞をつける機会を増やして周知をはかるというところかなと思いました。
それか、「震度」という言い方をやめて、別の言葉で定義してしまうってのはどうですかね? 震動値10とか、レベル10とか、EQ10とか、10Qみたいな全く別の言い方をこさえてしまうという方向性です。(EQは心の知能指数、Qはクォーターを意味する単位などとかぶっているんであれですが、そういう感じということで)
とりあえず、問題点の指摘自体はもっともであり、理解できる問題提起だと感じました。
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