米国の「有給取り放題」は、機能しているのか 実施しているのはたった3%だった 東洋経済オンライン / 2016年4月1日 21時20分 Shareen Pathak(原文 / 訳:BIG ROMAN)
アメリカのエージェンシー(広告代理店)業界では、有給休暇を取り放題とする制度が流行している。(中略)
同制度を実施しているエージェンシーに勤める中堅マネージャーは、彼より勤務期間の短い社員が、彼と同じくらいの有給を取得していることに対し、怒りで煮えくり返りそうだと話す。「欲張りだとか、器の小さい人間だと思われるので、絶対に口には出せないが、有給は仕事を担ったことへの報酬であり、そうであるべきだ」と某中堅マネージャーは指摘する。
「有給取り放題」制度を導入すると、実際に有給を取得する日数が減るということが、調査で明らかになっている。これは有給を取得する罪悪感や、出勤率を競い合う文化が要因になっていると考えられているようだ。
実際に、MRYでも有給取得の平均日数が、ほかのエージェンシーと比べ「下回っている」と、人事部門の取締役エド・マンギス氏は話す。(中略)
ドーキンス氏に2015年取得した有給の日数を聞いたところ、彼女はしばらく計算しはじめ、そして自らの有給取得日数に驚きの声を上げた。通算でわずか14日しか有給を取得していなかったのだ。彼女はもっと有給を取得していたつもりだったという。
だが、有給取得に関して、次のようにも認めている。「有給を取りすぎだと思われているのではないかと、潜在意識でずっと考えている。しかし、これも人間の性だから仕方がない」と、彼女はコメント。「管理部門とも、有給の日数や仕事とのバランスについて確認しなくてはならない」とも、最後に付け加えている。
前述の中堅マネージャーは、有給を取得する罪悪感は企業から押し付けられるのではなく、自らが考えてしまうことだという。彼は誰が有給で休んでいるかがわかり、自ら取得した有給日数も把握しているのだ。中堅マネージャーは、「怠け者にはなりたくない」と話している。
この有給休暇制度をすべての社員を対象にする際、人事部長であるセデフ・オナー氏は上級社員たちが怒りださないかと、心配したという。なぜなら、この有給休暇制度は上級社員たちが長年勤めることで得た特典だからだ。「無制限有給休暇制度は社員への信頼が基になっていて、管理することを基に考えていない。社員全員が気に入っている」と、オナー氏は話してくれた。
この制度は、社員への善意以外に企業の利益にもつながっている。たとえば、社員が退職する際、企業側は未取得分の有給に対する支払い責任がない。また、有給取得日数を管理する必要性がないため、経理が楽になるという点もある。
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