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出生率高い地域で過疎化 原因は別なので少子化対策では地域活性化しない


 出生率高い地域でむしろ過疎化が進行しているというめちゃくちゃ意外な話。つまり、少子化対策では地域活性化しないんですね。過疎化の原因は別なのです。じゃあ、なぜ過疎化が進行しているのか?と言うと、単純に人が移住してしまうため。ただ、こうした人の移動を逆に多くしていくことが問題解決になるとされていました。

2011/4/3:
●完全にイメージと逆!出生率高い地域でむしろ過疎化が進行している
●過疎化の原因は別なので少子化対策では地域活性化しない
●子育て世代支援は他の自治体からの「横取り」にもなる?
●逆効果っぽいのに…過疎化対策は人の移動しやすさを大きくすること
●人が移動しやすくなると勝ち組と負け組の差が明らかに
2018/05/26:
●神戸市より子育て支援します!明石市が次々と住民の獲得に成功
2020/06/01:
●「地方創生」で国から自治体に大量の交付金…一番得したのは誰?
2020/09/08:
●出生率が高い理由が真似できない!衰退地方にとって絶望的な結果に…


●完全にイメージと逆!出生率高い地域でむしろ過疎化が進行している

2011/4/3:地域活性化を促進するとされるITの発展、実は地方の過疎化の原因だったに続き、空振り」「ただ乗り」「横取り」 2011年2月8日 小峰隆夫 日経ビジネスオンラインから。

 ここで衝撃的だったもう一つの話が、都道府県別の人口変化率と出生率の関係でした。人口減少率の大きい順に県を並べ、それぞれの県の出生率が全国平均よりも高いかどうかを調べると、人口減少率の大きい上位10県のうち9県は出生率が全国平均より高いそうです。

 つまり、人口減少の度合いが大きい地域では、むしろ出生率が高いのです。これは出生率が高いことが原因というわkではないでしょうが、少なくとも過疎化の原因は出生率が低いからではないということを示しています。


●過疎化の原因は別なので少子化対策では地域活性化しない

 出生率が高いのに人口減少率が高いというのは不思議な気がしますが、これは結局「社会移動」によって人口が流出してしまう分が大きいとのこと。要するに田舎で育った人たちが、どんどんと都会に引っ越して行っているってことでしょうね。私もそうでした。

 なので、過疎地域の人口を増やすため、少子化対策によって子育てを支援するという考え方があるものの、これは、全くの無駄。地方部で子育てを支援しても、成人してから都市部に移ってしまうという現象が起きてしまうわけですからね。

 また、これは政策的に言うと、地方の子育て支援は「空振り」で、成人が集まってくる都市部は、子育て時のコストを地方に負担してもらっていることになるから「ただ乗り」であると作者は言います。

 ただ、これを日本全体で考えてみると、今のところはまだぽんぽん海外移住するわけじゃないですし、無駄金になるわけではありません。子育て支援は地域のためでなく日本全体のためであると考えて、国の役割だと考えるべきかもしれませんね。国の税金に占める割合は都市部が多いので、これでバランスが取れる気もします。


●子育て世代支援は他の自治体からの「横取り」にもなる?

 作者は、ある地域で子育て世代用の公営住宅を充実させると、周辺部から子育て世代が流入し、その分周辺地域の子育て世代は減少するから、一種の「横取り」となるともしていました。

 ただ、そうやって地域での住みよさを競争するのが、地方自治体の役割ですので仕方ないとも思います。住みづらい町で「来て下さい」「出ていかないでください」と言うのは、無茶な話でしょう。

 …と思ったのですが、これは先の「子育て支援」や「子育て時のコスト」との関係で言うと、どう考えれば良いのでしょう?「公営住宅を充実」も「子育て支援」であり、「子育て時のコスト」を負担する羽目にはならないんでしょうか?「横取り」ですのでこれは得なんだという著者の判断だと思いますが、正直よくわかりませんでした。


●逆効果っぽいのに…過疎化対策は人の移動しやすさを大きくすること

 とりあえず、これらの人口移動が地域の格差を広げているのですが、どのようにして解決したら良いでしょう? 人々から移動の自由を奪う…ってのは、まともな国ではできませんね。北朝鮮みたいです。

 でも、作者は逆に人口のモビリティー(移動性)を大きくすることが、地域問題の解決を容易にすると主張していました。ただ、これは過疎化の解決とはちょっと違う気もします。

<移住による地域の活性化>
 北海道の伊達市は、今後大量に増える引退後の世帯を呼び寄せることを狙っている。また、都市部から農業に関心のある人を探して、農業の担い手を呼び寄せようとしている。

<モビリティー(移動性)を高めることが施設整備の代わりになる>
 各市町村に病院を整備する代わりに、大病院のある隣町へのアクセスを容易にすれば、人が移動することによって利用可能性が広がる。

<過疎地の集約>
 今後人口減少社会で、人が便利なところに移動していくと、過疎地はますます過疎になる。すると、どうしてもサービスを提供するためのコストが高くなるので、人の方が中心部に移住してもらった方がずっと安上がりとなる。(関連:地域活性化を促進するとされるITの発展、実は地方の過疎化の原因だった)
 ただし、一般にはあまり賛同を得られないことが多く、「経済学者はこれだから」という反応をされる。


●人が移動しやすくなると勝ち組と負け組の差が明らかに

 移動性が高まると、発展する地域には人が集まり、停滞地域からは人が出ていく度合いが強まるという、競争の激化をもたらします。作者としては、そうして地域間の競争を促進し、伸びる地域はどんどん伸ばしていき、その中でどうしても立ち遅れた地域にのみ選択的に救いの手を差し伸べるしかないように思われるとのこと。

 確かに地域間競争はほっといても起こるのだから、そこを防ごうとしたって無駄なことです。それよりは、競争を前向きに捉え、地域の魅力を高めていくしかないでしょう。

 まあ、それがまたすごく難易度の高いことだとは思うのですが…。


●神戸市より子育て支援します!明石市が次々と住民の獲得に成功

2018/05/26:"子育て世代支援は「横取り」にもなる?"の項目に関係しそうな話がありましたので追記。実際に住民の奪い合い…というか、一方的に奪いまくっているところがありました。

 兵庫県明石市は、広報紙などで近隣市と比べた子育て環境の優位性を強調。「病院代、薬代、市外の病院ぜ~んぶ無料」「第2子以降の保育料が完全に無料(タダ)」など、手厚い子育て施策を宣伝。特に神戸市、姫路市、加古川市といった近隣市との比較に力を入れているといいます。

 このように具体的に比べているせいでしょうか、明石市は東隣の神戸市からの移住者を着実に増やしているそうです。狙いとしては大当たりです。ただ、住民を奪われる方は、たまったものではありません。名指しで比較ということもあり、神戸市は「人口減社会の中、隣同士で取り合っても意味がない」と反発しているそうです。
(隣の市に移住増、神戸市「取り合っても無意味」 読売新聞 / 2018年5月24日 16時40分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/20180524_yol_oyt1t50083/

 私はこうした競争があるのは仕方ないと思うのですけど、最初に紹介した記事ではこういうのが"一種の「横取り」"だという説明でした。


●「地方創生」で国から自治体に大量の交付金…一番得したのは誰?

2020/06/01:人口減少対策と東京一極集中是正を目指す安倍政権の「地方創生」。2020年3月で終了した第1期(5年間)では、地方版総合戦略を策定して、地方創生の国の交付金を受けるという形だったみたいですね。ただ、地方の人口流出に歯止めはかからず、大きな成果は得られませんでした。

 一方で、この「地方創生」によって得した勝ち組業界があります。コンサルタント業界です。コンサルタント会社に委託して戦略を作成した自治体が1037市町村(77%)に上り、「コンサルバブル」とまで言われました。また、本社が東京都にある会社の受注総額が全国の53%、計21億円というデータもあり、政府の地方創生でむしろ東京都が稼ぐということになっています。

 なお、福岡県宇美町のように、国に交付金申請をしていない地域もありました。宇美町政策経営課によると、直接の理由は「市町村の広域連携が条件になるなど町の現状に沿ったメニューが少ない」ため。ただ、示唆的だと思ったのは、「(予算がかさめば)逆に町の事業の足かせになる」という指摘。地方創生は逆効果だった可能性すらありますね。
(「地方創生」では防げない人口流出 九州の自治体、独自性に課題|【西日本新聞ニュース】より)


●出生率が高い理由が真似できない!衰退地方にとって絶望的な結果に…

2020/09/08:<出生率高い理由を市が調査、街の魅力1位は「職住近接」(2020年 09月07日 14時32分 読売新聞)>という記事によると、京都府福知山市が、子育て世代100人に「市の気に入っているところ」を尋ねたそうです。市の合計特殊出生率(2013〜17年)が2・02と本州3位の高水準になったことを受けた調査でした。
https://news.so-net.ne.jp/article/detail/2050697/

 これで1位となったのは、「仕事や買い物、学校などが近いところにまとまっている」。「職住近接」という言い方もされています。56%だったそうです。ただ、これは出生率対策として自治体が予想していたものとは違うでしょう。また、まず仕事がないといけない…ということで、過疎化が進む地域では対策しづらいところでもありそうです。

 ただし、2位も53%で1位とあまり変わりません。とはいえ、これも対策として予想外だし難しいだろうというもので、「病院が近い」と「家族や親戚が近く、協力してもらえる」でした。51%で4位の「子育てしている人が多く情報交換や悩み相談ができる」がやっと対策できそうなところ。ただ、ここで他の自治体と大きな差をつけて、衰退から脱出できるかというと怪しいですね。

 一方、「子どもと一緒に遊びに行ける場所が多い」は21%で12位、「教育や習い事の選択肢がある」は8%で13位であり、ほとんど重視されていなかったことがわかっています。「子供が自然豊かなところで遊べる」的な売りならむしろ地方で作りやすいものの、実際にはほとんどメリットにならないんじゃないんでしょうか…。


【本文中でリンクした投稿】
  ■地域活性化を促進するとされるITの発展、実は地方の過疎化の原因だった

【関連投稿】
  ■町おこし・地域活性化が失敗する理由 成功事例は真似できない…紫波町「オガールアリーナ」と日向市塩見小原地区「へべす」
  ■伝統を守るべきという無意味で非論理的な主張 なぜと聞かれて説明できない暗黙のルール
  ■伝統とは変わらないことではない 虎屋黒川光博社長は「伝統は変化の連続」と理解
  ■日本の古き良き伝統 年功序列と自治会(町内会)で移住者を村八分
  ■雑学・歴史についての投稿まとめ

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