どこに追記しようかと悩んで、"女性活躍の誤解 安倍首相の女性管理職を30%に…は間違っている"(2016/5/7)に入れました。"「リーマンブラザーズ」がもし「リーマンブラザーズ&シスターズ」だったら破綻しなかっただろう"と言っている人の話です。(2017/04/14)
2017/04/14:
●フェミニストうざい?「リーマンがブラザーズ&シスターズなら破綻なかった」
2016/5/7:
●会社の女性を増やすことがダイバーシティではない
●女性活躍の誤解 安倍首相の女性管理職を30%に…は間違っている
●女性の方が良い論文を書くのに男性より低評価
●論文や勉強、女性と男性どちらがよくできるのか?
2016/5/7、2019/04/15:
●それでも女性が管理職に向かない…と判断されてしまう理由
●フェミニストうざい?「リーマンがブラザーズ&シスターズなら破綻なかった」
2017/04/14:この発言がたぶん他の人だったら、ネトウヨらが「フェミニスト、キモい」と批判の嵐だったと思うのですが、実は安倍首相の持ちネタらしいんですよ。
"多様性を企業が持つのは極めて重要だろうと思っている。女性の重役がいる企業は破綻(はたん)する比率が下がっていくという統計もある。よく私が申し上げるのは、
「リーマンブラザーズ」がもし「リーマンブラザーズ&シスターズ」だったら破綻しなかっただろう。 その意味で、夫婦でお互いに協力し合う、家事も育児も協力し合うことは極めて重要な視点だ"
(安倍晋三首相、衆院予算委員会の質疑で
「リーマンが、ブラザーズ&シスターズだったら…」首相:朝日新聞デジタル 2017年2月1日11時56分より)
●会社の女性を増やすことがダイバーシティではない
2017/04/14:ここから元の投稿の内容なのですけど、安倍首相は多様性の意義を誤解しているようだったという話でした。これだけ先に言うとピンと来ないでしょうが、優れた企業の多様性は目的ではなく、結果なのです。
2016/5/7:
今の日本企業の女性・外国人採用はマイナスにしかならない 活用は可能?という話を過去にやっています。タイトルだけだと誤解されそうなのですが、女性の能力が劣っているという話ではありませんよ。今回の投稿の最後でも書くように、女性の能力はむしろ高いです。
この過去の投稿では、早稲田大学ビジネススクール・入山章栄准教授の話を使っていました。今回読んだのは、この入山准教授への別のインタビュー記事で、「国や社会全体から見たら、僕は女性の活用は大賛成」だとしつつも、私が
仕事の偏見:同じ論文でも著者の名前が女性だと男性より低評価にで書いたのと同じような理由で、数値目標には否定的だったのです。
「ダイバーシティ」というのは大雑把に言って「多様性」と理解してもらえれば良いと思いますが、入山准教授は"世間では「明確な数値目標が設定されていて、その数値に合わせて女性を入れることが『ダイバーシティ』だ」と思われている節があって、それは、学術的には違う可能性がある"としていました。
●女性活躍の誤解 安倍首相の女性管理職を30%に…は間違っている
安倍首相が「管理職全体の30%を女性にするように」としたので、「それを達成するために女性を入れる」となると、「ダイバーシティをそもそも何のためにやるのか?」というところが、置き去りになってしまいます。
経済全体という大きな視点で見れば、女性が社会進出すれば労働供給力だって上がるでしょう。良いことではあります。しかし、それと「女性を入れれば会社が儲かるか」は全く別の話だと指摘しています。
そして、平たく言ってしまえば、会社が「女性を入れれば儲かる」と感じたら増やせばいいですし、そうでなければ控えればいい、としていました。
(
「著者が女性の論文は評価が下がる」Googleも苦戦する、無意識バイアスの実態 - ウートピ 2016/04/01(小泉ちはる)より)
●女性の方が良い論文を書くのに男性より低評価
私が女性の採用が目的化してはいけないという話を書いた
仕事の偏見:同じ論文でも著者の名前が女性だと男性より低評価には、女性の評価に偏見があるというのがメインの話でした。今回のインタビューでもちょうどその話が出ています。
入山:経済学で、「論文を評価する」という研究があります。分析の結果、「著者が誰か分かっていない状態で論文の内容を評価すると、女性が執筆者である論文の方が評価が高い。しかし、著者が誰か分かった瞬間、女性が執筆者として加えられている論文は評価が下がる」ということが分かりました。
こういう話をしちゃうと、男性VS女性みたいに捉えられる方が多いですが、そうではありません。
入山:これはゴールドバーグ・パラダイムと言って、心理学の世界でもよく言及されているバイアスです。これは、男性のみの責任とは言えません。実は、女性の方が「女性の成果を低くみる」傾向があるとも言われています。人間全体が持つバイアスなんです。
●論文や勉強、女性と男性どちらがよくできるのか?
繰り返すように、対立構造にしたくはないのですが、一般的に男性より女性の方が勉強できるようだというデータはあちこちで見られます。例えば、
女性と男性、数学・科学・読解力が苦手なのはそれぞれどっち?でも、女性が良い傾向が見えていました。
女性活用という言い方はちょっとどうかと思うものの、こういったデータから女性を活用できていないことの社会の損失が極めて大きいことはわかります。
また、女性の能力が劣らないどころか、むしろ優れている人が多めなのですから、普通に能力本位で採用や昇進させていれば、自然と女性の割合は上がってくるはずです。
なので、女性の割合を増やすために女性を採用・昇進させるのではなく、能力がある人を男女関係なく(ついでに言うと人種国籍に関係なく)採用していくと、多様性が確保されると考えられます。女性の割合を目的にしてしまうのは、おかしいです。
●それでも女性が管理職に向かない…と判断されてしまう理由
2016/5/7、2019/04/15:「能力本位で採用や昇進させていれば、自然と女性の割合は上がってくるはず」と書いたのですけど、実はこれが簡単に行かないところがあります。女性には昇進させるような能力がない、管理職に向かないといった評価が出る可能性が高いのです。
この理由の一つが前述の通り、評価にバイアスがあること。女性は低評価になってしまうため、評価方法を公平にしないとやはり男性が多くなってしまうことが容易に予想されます。
また、リーダーのあり方にも偏った考えが蔓延しているということがもう一つの理由。
適材適所は夢か幻想か?IQの高い人は大体何でもできるという研究の残酷性でやっているように、すべての場面において優秀なリーダーはおらず、場面によって求められる能力が大きく異なることが研究でわかっています。ところが、世間では強さがあるようなリーダーが優れたリーダーだと思われている節があり、女性には不向きと判断される可能性が高いです。
さらに強い女性は、前述の評価に対する男女のバイアスによって嫌われやすいこともわかっています。なので、学習して社会に合わせて「女性らしい」女性になることで自衛して、強いタイプに見える女性が減っているという面もあるでしょう。
2019/04/15:あと、女性の方が男性より論文や勉強ができるという話を紹介したものの、結局、できない女性やできる男性もたくさんいるわけです。男女差よりも個人差の方がずっと大きくなるので、あまり大げさに捉えないでください。最初の方でも書いたように、能力本位で採用していくと、自然と男女の人数は偏らなくなっていくと考えられます。
【本文中でリンクした投稿】
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今の日本企業の女性・外国人採用はマイナスにしかならない 活用は可能? ■
仕事の偏見:同じ論文でも著者の名前が女性だと男性より低評価に ■
女性と男性、数学・科学・読解力が苦手なのはそれぞれどっち? ■
適材適所は夢か幻想か?IQの高い人は大体何でもできるという研究の残酷性【その他関連投稿】
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