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経歴詐称・修士論文4枚の櫻井眞審議委員、無名で謎の人物だった


★2016/5/9 櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号・大蔵省は嘘か?
★2016/5/9 経歴詐称疑惑の櫻井眞(桜井真)日銀審議委員、無名で謎の人物とされていた
★2016/5/10 経歴詐称疑惑の櫻井眞・日銀審議委員の修士論文僅か4枚で中身もなし
★2016/2/6 安倍政権の意のままに動く日銀政策委 トヨタ自動車の布野幸利氏は利害関係者


★2016/5/9 櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号・大蔵省は嘘か?
●櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号は嘘か?

 任期を迎えたリフレ政策に非協力的な日銀審議委員の後釜に、リフレ派に協力的な人を呼んでさらにリフレ政策をやりやすく…ってことを安倍政権はやっていました。ところが、その中の1人に経歴詐称疑惑の人が混じっていたようです。
4月から就任した日銀審議委員の経歴疑惑に東大困惑 NEWSポストセブン5月9日(月)7時0分 ※週刊ポスト2016年5月20日号

 本誌記者が東京大学経済学部の資料室で、ある人物の博士論文の閲覧を申請すると、担当の助教が青ざめた顔で上司の室長代理を連れてきた。

「実は……」。室長代理は言いにくそうに切り出した。

「目録に該当論文がないんです。本学の資料室にも、図書館にも見当たらない。念のため、国内の博士論文をすべて所蔵している国会図書館のシステムでも検索しましたが、やはりありませんでした」

 そのうえで、こう続けた。

「結論を言えば、恐らくこの方は博士号を持っていないことになります」

 その人物とは、4月から日本銀行政策委員会の審議委員に就任したばかりの櫻井眞氏(70)である。日銀のホームページに掲載された櫻井氏のプロフィールには、中央大学経済学部を卒業後、〈昭和51年3月 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了〉とある。

 にもかかわらず、博士論文は東大になかった。東大資料室は「櫻井氏は博士号を持っていない」と結論づけたのである。

●ショーンK事件よりよっぽど問題

 現在これを書いている時点では大きな話題になっていないようですが、ショーンKさんのようなコメンテーターの事件より"日銀審議委員の経歴詐称となれば、事ははるかに重大"であろうと週刊ポストは書いていました。そりゃそうですよね。

 なお、ショーンKさんの件は、学歴詐称で報ステ降板!ショーンKことショーン・マクアードル川上氏で書いています。

 このときに書いたように安倍首相も一時期経歴詐称をしていたのですが、それほど大きくは叩かれませんでした。話題のなりやすさにはかなり差があるようです。
 同氏の公式の経歴書には、成蹊大学を卒業後、南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学したとされているが、USC広報者担当者によると、安倍氏が政治学部に在籍したことはなく、78年の春期、夏期、秋期にのみ在籍し、取得した6コースのうち、3つは外国人のための英語コースであり、そこには政治学は含まれていない。しかも安倍氏は、2年間留学といいながら、実際には1年間にも満たないことがこれで判明した。

安倍事務所は「南カリフォルニア大には78年1月から79年3月まで在籍しています。政治学は履修したが、途中でドロップアウトしたため、記録が残っていないだけで、留学の実態はあったと考えています」と答えている。(週刊ポスト 2004/02/13号)

高級カツカレーの次は学歴詐称?次期首相 安倍晋三の英語力は本物か?
2012/11/18 13:10 『TOEICでるでる単』
http://toeictown.blog.fc2.com/blog-entry-64.html

●「博士号取得」とは言っていないからセーフ?

 ただ、今回の件は「博士号取得」ではなく、「東大博士課程を単位取得退学した」のは本当だということで、嘘とも言い切れない感じです。
 念のため東大経済学部資料室の担当者が、博士課程にかかわる経歴の記載方法について、担当する同研究科庶務係に照会したところ、やはり「『博士課程修了』は、博士号取得済(博士論文が審査を通った)を意味する」とのことだった。東大資料室の室長代理は、こうも説明した。

「博士号を取得できなかった場合は、『単位取得退学』や『満期退学』といった言い方をします。櫻井さんはそれにあたるのでしょう(中略)」

(中略)一連の問題について日銀広報課に質問すると、こんな答えだった。

「櫻井委員は東大博士課程を単位取得退学したと聞いています。HPにも『博士号取得』とは書いていない」

●大蔵省経歴にも詐称疑惑

 ただ、日銀広報課は週刊ポストが指摘したもう一つの経歴詐称疑惑には回答していないように見えますね。それは以下の部分にあたります。こちらも深刻な問題です。
 櫻井氏の来歴には、その他にも不可解な点がある。日銀HPによれば、櫻井氏は大学院を出た後、1976年に政府系の日本輸出入銀行(現国際協力銀行)に入行、1984年から「大蔵省財政金融研究室特別研究員」を務めたとされている。

 しかし、大蔵省(財務省)の1984年の職員録を調べても同研究室の職員に櫻井氏の名前は見当たらなかった。

★2016/5/9 経歴詐称疑惑の櫻井眞(桜井真)日銀審議委員、無名で謎の人物とされていた
●経歴詐称疑惑の櫻井眞日銀審議委員、無名で謎の人物とされていた

 "櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号・大蔵省は嘘か?"で書いた櫻井眞(桜井真)さんは、過去にも一度書いていていたと思ったのですが、記憶違いでした。注目されないと思ってボツとしたのかもしれません。

 この櫻井眞さんを当時検索したものの、あまり情報がなくて困りました。それもそのはず、無名で謎の人物とされていたようです。

 ただ、おそらく安倍政権のスタンスとしてリフレ政策に積極的な人だろうという見方はありました。ちょうど任期を迎えていた人がリフレ政策に消極的な人でしたので、入れ替えてより日銀総裁らの意見が通りやすくしたものと理解されていたのです。
政府、日銀委員候補に桜井真氏を提示 政権に近いとの見方も | ロイター  2016年 03月 4日 17:40 JST

桜井氏は1976年に東京大学大学院・博士課程修了し、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)に入行。大蔵省、経済企画庁などで研究員を務めた。92年4月MSK基礎研究所(現MS&AD基礎研究所)国際金融研究センター長、同年6月三井海上投資顧問取締役を経て、2007年4月にサクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表となった。

BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、桜井氏について「自民党の勉強会などでも講演をしており、アベノミクスにもポジティブで政権と距離が近いとみられる」とし、「極めて積極的な金融緩和論者と感じられる。もし円高圧力がかかった際に黒田東彦日銀総裁が付利引き下げを決断した場合、賛成する可能性が高い」とみている。

●知名度は低かった櫻井眞氏

 以下の記事なんかははっきりと無名だと書いています。
日銀審議委員に桜井真氏、白井氏後任で政府案-黒田支持の見方 - Bloomberg 日高正裕、下土井京子 2016年3月4日 11:36 JST 更新日時 2016年3月4日 15:23 JST

 市場での知名度は高くないが、桜井氏は黒田東彦日銀総裁の路線を支持するとの見方が出ている。日銀は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利による追加緩和を5対4の賛成多数で決めたが、この時に白井氏は反対したうちの1人だった。この白井氏が桜井氏に入れ替わる。白井氏の前任、前々任は女性だった。(中略)

 日銀出身で日本経済研究センターの竹内淳主任研究員は桜井氏について「知らない。全く聞いたことがない」と話した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長も「桜井氏については何も知らない」とした上で「安倍政権による人事の提示なので、黒田東彦総裁をサポートするに違いない」と述べた。

●山本幸三議員「黒田日銀の路線と方向が同じ」

 市場だけでなく、自民党の政治家も同様の見方だったようです。"自民党の山本幸三衆院議員は桜井氏について、基本的に黒田日銀の路線と方向が同じだと評価している"と、ブルームバーグは別記事で書いていました。
(桜井真氏が日銀審議委員に、参院も可決-タカ派の白井氏は月末に任期 - Bloomberg 日高正裕 2016年3月23日 11:24 JSTより)

 山本幸三衆院議員の見方は、最初のブルームバーグの記事の方が詳しく、以下のような記載がありました。
 自民党の山本幸三衆院議員は桜井氏について「親友だ。世の中に知られていないけど、経済学の学識といい見識といい日本有数の人だ」と評価した。桜井氏は基本的に黒田日銀の路線と方向が同じだとして「どんどん追加緩和というより、よく見てタイミングが良ければやるべきだ」との考えの持ち主であることを示した。また浜田宏一内閣官房参与と同じ「トービンの愛弟子だ」ともした。

●岩田規久男副総裁も博士号なしで「博士課程修了」

 なお、今回の問題について、菅官房長官は9日の会見で「週刊誌の指摘は知っている。表現の正確さについての報道だと承知しているので、日銀が適切に対応すると思う」と述べたそうです。
(「博士号は取得していない?」日銀審議委員にも経歴詐称疑惑 政府が起用 | ハザードラボ(2016年05月09日 15時25分)より)

 櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号・大蔵省は嘘か?で書いたように、安倍首相も「表現の正確さ」に問題がある経歴を記載していたので強くは言えないでしょうね。

 ただ、以下のような説明も見つけたので、安倍首相の方が悪質かもしれません。
日銀「学歴詐称でない」 審議委員の博士課程修了:経済:中日新聞(CHUNICHI Web) 2016年5月9日 19時51分

 日銀は博士号の取得者を「経済学博士」などと明記し、桜井氏の経歴に関しては「一般的に博士課程修了と表記することがあると理解しており、これまでもそうしてきた」とし、学歴詐称ではないと説明している。

 日銀によれば、岩田規久男副総裁に関しても同様に記載、2人の学歴はいずれも「東京大学大学院経済学研究科博士課程修了」となっている。博士課程で必要な単位を取得したが、博士論文の審査を経て学位を取ることのないまま退学したという。(共同)

 しかし、これまた向こうでも書いたように、櫻井眞さんには大蔵省の経歴も怪しんじゃないの?と言われていました。こっちの話はなぜか関係者の反応が皆無ですね。


★2016/5/10 経歴詐称疑惑の櫻井眞・日銀審議委員の修士論文僅か4枚で中身もなし
●櫻井眞・日銀審議委員の修士論文僅か4枚

 櫻井眞・日銀審議委員に経歴詐称疑惑 東大博士号・大蔵省は嘘か?の件。

 経歴詐称疑惑の櫻井眞(桜井真)日銀審議委員、無名で謎の人物とされていたで書いたように、東大の「博士課程修了」はかなり紛らわしいものの、嘘ではないようでした。

 ただ、大蔵省時代の記録が見つからないという点は未だに解決されていません。

 それに加えて博士論文の一段階前の修士論文の話が出てきました。修士論文レベルですと立派じゃない論文は多く、あまり厳しく言うのは…と私は言いたいのですが、櫻井眞(桜井真)日銀審議委員の場合は、マジで考えられないレベルでした。
日銀審議委員の修論はペラ4枚で「こんなの見たことない…」│NEWSポストセブン 2016.05.10 07:00 ※週刊ポスト2016年5月20日号

 その後、さらに東大で取材を続けると、経済学図書館に収蔵されていた、『ケインズ的経済成長の動学的性格』と題された櫻井氏の修士論文に行き当たった。1972年に提出されたものだ。驚いたのは、その薄さだ。

 目次を含めて400字詰め原稿用紙にわずか「4枚」。本文は1258字しかない。他に参考文献リストが1枚ついているだけで付属資料もない。

 アブスト(要旨)のみが収蔵されているのではないかと思われたが、経済学図書館に確認すると、これが修士論文のすべてだという。

●「本当に本物ですか?」と驚く中身もない論文

 4枚ってのはちょっと考えられません。イメージとしては近年の最底辺大学の卒業論文(修士論文の一つ下)並みですね。

 わずか4枚という時点で驚きですが、中身もありません。
 内容はどうか。財務省出身の小黒一正・法政大学経済学部教授(公共経済学、経済学博士)は、櫻井論文をあっという間に一読すると、「本当に本物ですか? こんな修士論文、見たことありません」と驚愕の声をあげた。

「内容は当時の経済学で示されていた課題を要約しているだけで、どこに筆者の独自の分析があるのかわからない。学部生が書いた簡単なレポートのレベルです。そもそも修士論文は冒頭で筆者の問題意識の提示があり、何に焦点をあてて分析するかの説明、先行研究の要約……といった具合に続くものですが、この論文は分量以前に、修士論文の作法にさえ則っていません。

 私が指導教官なら通さない。東大がこんな論文で修士号を与えたこと自体、不思議でなりません。100人の経済学者が読めば、100人とも同じ指摘をすると思います」

●サクライ・アソシエイト国際金融研究センターも「幽霊団体」?

 無名だったという話は、経歴詐称疑惑の櫻井眞(桜井真)日銀審議委員、無名で謎の人物とされていたでやっていました。

 その無名さと経歴詐称との両方が関わるのが、「サクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表」という肩書について。幽霊団体だったとする記事がありました。
安倍官邸が送り込んだ日本銀行審議委員に「ショーンK氏」並みの経歴詐称と「小保方氏」ばりの杜撰論文が発覚|LITERA/リテラ 2016.05.09(野尻民夫)

 審議委員になる直前まで「サクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表」だったというが、そもそもこの「サクライ・アソシエイト国際金融研究センター」自体がインターネットで検索してもホームページすら出てこない“幽霊団体”だ。櫻井氏個人が投資家向けのリポートを出し、小銭稼ぎをしていたというのが実態らしい。

●大蔵省特別研究員は原則無給の非常勤か

 また、私がこだわっている大蔵省については、以下のように書いていました。
 経歴にある「大蔵省財政金融研究室特別研究員」についても同様で、大蔵省(現・財務省)の1984年の職員録を調べてみても櫻井氏の名前は見当たらず、同省秘書課の説明でも保存されている30年分(86年以降)の行政文書の記録を調べても櫻井氏が(日銀のHPに記載されている時期に)財政金融研究所(85年に改称)に在籍している記録は確認できなかったという。そもそも「特別研究員」という役職自体が存在しなかったようなのだ。ただし、痕跡はあった。

「90〜96年に、同研究所で非常勤、原則無給の特別研究官をされていた記録はありました」(同省秘書課、「週刊ポスト」より)

 これがなぜ、〈昭和59年4月/大蔵省財政金融研究室特別研究員〉という日銀HPの記載になるのか、はなはだ疑問だ。

 ショーンKさんよりは、バイトしていただけなのにNHKに就職したと言っていた上杉隆さんを思い出します。(13時20分追記:そういえば、上杉隆さんは、1回講義するだけなのに横浜国立大学非常勤講師と大々的にアピールするってこともやっていました)

 ただ、重大性としては、ショーンKさんや上杉隆さんどころじゃないという点には同意です。
これは細かいことでも、単なるミスでも許されない。ことは、ショーンKのようないちタレントの経歴ではないのである。

 なお、上記記事では、「ショーンK+小保方晴子事件のような話」としていましたが、論文の悪さは小保方晴子さんとは別方向ですね。

 小保方晴子さんはコピペで長さを稼いで体裁を整えて中身がデタラメだったのに対し、櫻井眞さんは意味は通じるが全く論文の体裁になっておらず、独自性がなく、論文の価値も全くないというものです。

 ただ、まあ、どっちの論文も合格にしてはいけなかった…というのは確かでしょうね。今はどうかわからないものの、かつては東大も早稲田大並みにいい加減だったようです。

 これは日本の大学の学位商法・ディプロマミル的な問題を浮かび上がらせるもので、そういう意味では小保方晴子さんなどに問題に近いかもしれません。(関連:イオンド大学の有名な教授・博士 矢追純一,羽柴誠三秀吉,清水馨八郎ら小保方晴子が早稲田大を初期化?全博士論文のコピペ不正など調査へ )


★2016/2/6 安倍政権の意のままに動く日銀政策委 トヨタ自動車の布野幸利氏は利害関係者

●日銀のマイナス金利導入、薄氷の決定ではない?

 日銀のマイナス金利政策の導入は、"政策委員会の表決は5対4でわずか1票差"であったために「薄氷の決定」といった言われ方をしました。しかし、実際にはそうではないのではないか?という記事が出ていました。
(真相深層)黒田総裁、票読みに確信 日銀、マイナス金利「5対4」で決定 政策委の合議制、色あせる? :日本経済新聞 2016/2/5付(石川潤、川手伊織)

 執行部は(中略)、票読みには自信があった。総裁・副総裁の3票に加え「異次元緩和に理解がある」(政府関係者)として安倍政権が指名した原田泰委員(内閣府出身)、布野幸利委員(トヨタ自動車出身)の2票も確保できる。過半数の5票は堅いとの読みだった。

 実際はどうだったか。決定会合2日目の29日、マイナス金利導入の提案は白井委員のほか、金融界出身の石田浩二、佐藤健裕、木内登英の4委員が反対を表明。「マイナス金利は危機時の対応だ」(木内委員)などと抵抗したが、執行部は事前の読み通りの5票の賛成票を確保し押し切った。

●政策委員会の合議制は名ばかり

 ある反対派の委員は「正論を言っても通らない」としていました。東短リサーチの加藤出社長は「今の政策委には反対派委員の意見を取り込んで合意形成を進める雰囲気がない」と見ています。

 これらはあながち外れた見方でもないようで、「非常時には合議制よりも強力なリーダーシップが必要だ」(日銀幹部)と上記の見方を認めるような声が出ていました。

 このために、記事では以下のような懸念を示しています。
 マイナス金利政策に対して反対に回った白井委員は今年3月、石田委員は同6月に退任する。安倍政権が積極緩和派を後任に据えれば、総裁は追加緩和にも打って出やすくなるが、政策委員会の議論がますます平板になる恐れはないか。

●安倍政権の意のままに動く5人?

 検索してみると、植草一秀さんがほとんど同じ見方をしていました。
黒田日銀のマイナス金利政策|データ・マックス NETIB-NEWS 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 2016年02月01日 13:49

 賛成したのは黒田総裁、岩田副総裁、曽根副総裁と審議委員の原田泰氏、布野幸利氏である。原田泰氏が審議委員に就任したのは2015年3月、布野幸利氏が審議委員に就任したのは2015年7月だ。原田泰氏は経済企画庁のOB、布野氏はトヨタ自動車の副社長経験者である。日銀の政策決定会合の議決権を有する参加者は9名である。5名を押さえると政策決定できる。原田泰氏は宮尾龍三氏の後任、布野氏は森本宜久氏の後任である。2014年10月31日の追加金融緩和策決定においては、森本氏は反対票を投じた。

 何を言っているのかというと、安倍政権は安倍政権の意向に沿う金融政策を遂行するために、日銀政策決定会合の9名の議決権者のうち、5名を支配下に置いているということである。

(中略)これは、政治権力による中央銀行の支配であり、極めて不健全なことである。

●トヨタ自動車の布野幸利氏は利害関係者

 上記以外にも、"2015年7月に、布野氏が審議委員に起用されて以降は、日銀の政策決定会合は基本的に極めて意味の薄いものになっている。政治権力の意向で金融政策が決定されるからである"という記述がありました。

 私が興味を感じたのはこのポイントになったという布野さんです。既に出ているように元トヨタ自動車の方ですね。検索してみると、就任当初はリフレ派とは見られておらず、むしろ無難な人事とされていました。

 ただ、問題なのは、トヨタ自動車出身であるがために円安派と見られていたことです。(ちなみにトヨタグループは、自民党への献金額がトップクラスに多いところです。関連:自民党への献金が多い企業ランキング 国民政治協会の寄付金の内訳)
日銀審議委員の後任は「円安」派 無難な人選だが官邸サイドの思惑は貫かれた J-CASTニュース5月6日(水)17時30分

政府は衆参両院の議院運営委員会理事会で、2015年6月末に任期が満了する日銀の森本宜久審議委員の後任に、トヨタ自動車元副社長で現相談役の布野幸利氏を充てる人事案を提示した。

大規模な金融緩和を主張する「リフレ派」の抜てきを予想する向きもあったが、東京電力元副社長の森本氏と同じ産業界出身者の枠が維持され、「無難な人選」との見方が多い。ただ、官邸周辺では以前から「円安に肯定的な人材が後任にふさわしい」との声が根強くあり、円安メリットを享受する自動車業界からの起用になったようだ。

(中略)円安の追い風を受け、トヨタ自動車の足元の業績は絶好調だ。布野氏の金融政策に対する考え方は明らかになっていないが、「少なくとも現在の緩和路線を支持するだろう」(アナリスト)との見方が強い。金融緩和の恩恵を最大限に受けているトヨタの関係に白羽の矢が立ったのは自然な成り行きだったといえる。

 政治家でも出身企業や業界のために動く人がいますが、こういうのは良くありません。本来、日本全体のことを考えて仕事するべきであり、利害関係が強い人は不適任です。


●安倍政権にべったりの新聞社ですらマイナス金利導入に戸惑い

 マイナス金利導入でおもしろかったのが、産経新聞。まずパッと読むと、普段の安倍政権へのスタンスと一致しているように見えるので、以下のあたりは「いつもどおり」という話です。
日銀マイナス金利は「妙薬」か、「劇薬」か 評価めぐって「社説」も分かれる J-CASTニュース2月6日(土)17時30分

市場と同様、大手紙の論調も評価は分かれている。決定翌日、一斉に取り上げた社説(産経は「主張」)を見ると、日経が「デフレ局面に戻る事態は避けなければならない。そのための日銀の対応は理解できる」、読売も「日銀が機動的な対応を取ったことは評価できる」と、日銀の決定をひとまず支持するのに対し、朝日は「内外経済が不安定になるたびに、新たなサプライズを市場に与える今のやり方がいつまでも続けられるとは思えない。その手法はいよいよ限界にきている」、毎日は見出しからして「苦しまぎれの冒険だ」として、「米国よりはるかに大胆な緩和策を続ける黒田日銀はこの先どこまで突き進むのか。不安は募る一方である」と批判。産経は「世界市場の混乱で脱デフレが滞る事態を絶対に避けるという、強い決意の表れである」と、否定はしない表現だった。

 しかし、おもしろくなるのがここから。"社説をよく読むと、日銀の決定に理解を示す社も含め、懐疑的な見方に大差はない"ということです。
マイナス金利導入の背景について、「効果がはっきりしない政策に頼らざるをえなくなっている日銀の苦しい事情が見える」(朝日)、「従来の異次元緩和策が期待した効果を上げずに行き詰まったから、である」(毎日)、「安倍晋三政権が期待するほどには経済再生を果たせていないことを示している」(産経)など、厳しい指摘が並ぶ。

効果についても、「金利はすでに超低水準にあり、わずかな追加的低下が、設備投資や消費を刺激して物価を押し上げるとは思えない」(毎日)、「巨額の内部留保を抱える大企業は、資金不足で投資を控えているわけではない」(読売)、押し並べてマイナス金利で投資などが増えることを疑問視している。

【本文中でリンクした投稿】
  ■イオンド大学の有名な教授・博士 矢追純一,羽柴誠三秀吉,清水馨八郎ら
  ■小保方晴子が早稲田大を初期化?全博士論文のコピペ不正など調査へ
  ■自民党への献金が多い企業ランキング 国民政治協会の寄付金の内訳

【その他関連投稿】
  ■日銀の「5分で読めるマイナス金利」がひどい 銀行儲けすぎ批判も
  ■日本がギリシャにはならない理由と日本がギリシャより悪いところ
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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