忠臣蔵と大石内蔵助、浅野内匠頭などの話をまとめ。<義を重んじ少し無骨な現代の大石内蔵助、自堕落生活はわざと?>、<浅野内匠頭は女好きボンクラで滅亡の予言…『土芥寇讎記』に記載>、<浅野内匠頭と大石内蔵助はダメ主従?「昼行燈」と言われていた大石内蔵助>などをまとめています。
【クイズ】大名に辛辣な評価が書かれている土芥寇讎記』(どかいこうしゅうき)で比較的好意的に書かれているのは、親藩、譜代、外様のうちどれでしょう?
(1)親藩
(2)譜代
(3)外様
●義を重んじ少し無骨な現代の大石内蔵助像、自堕落生活もわざと?
2022/10/08追記:昭和の頃、『忠臣蔵』は日本人に大人気。「日本の心」といった感じでした。登場人物の大石内蔵助なども人気。昭和ほどではないでしょうが比較的最近でも大石内蔵助が人気なんだな…と思ったのが、
統率力、忠義心に溢れた“現代の大石内蔵助”、1位は小栗旬 | ORICON NEWS(2009-12-14)という記事が出ていたことです。
<“忠臣蔵”のなかでも主人公・大石内蔵助は義侠心に熱く、リーダーシップがあり、機を見極める冷静な判断力にも優れている、まさに“忠義の人”。そんな大石を現代の俳優が演じるなら、誰がふさわしいのか? ORICON STYLEでは「大石内蔵助を演じてほしい、熱い俳優は誰か?」というアンケートを実施したところ、20代の若手筆頭株【小栗旬】が1位に選ばれた。
義を重んじ、少し無骨な人間像が浮かぶ大石内蔵助を演じる役者として、1位に挙がった小栗旬。(中略)「画面を通してみても、男気を感じる。主人を立てる人情の厚い役柄にはまると思う」(沖縄県/40代/女性)と同年代だけでなく、幅広い層からの支持を得ている>
記事では、「義を重んじ、少し無骨な人間像」としていた一方で、<諸説によると、討ち入りの日にいたるまでの大石内蔵助は、周囲に仇討ちの意向が一切知られないように“昼行灯”と呼ばれるほど自堕落な生活を送り、水面化では赤穂浪士たちと綿密に計画を進行させていた>という話も書いていました。演技という解釈です。
ただし、「義を重んじ、少し無骨な人間像」などといった大石内蔵助のイメージが間違っていたのかも…というのがこのページで書いている話。これは「仇討ちの意向が一切知られないようにダメな人物を演じた」でも実は反論できないんですよ。浅野内匠頭の刃傷沙汰の前からたいへん評価が低かったためです。
●浅野内匠頭は女好きボンクラで滅亡の予言…『土芥寇讎記』に記載
2016/5/9:『土芥寇讎記』について書かれた『殿様の通信簿 (新潮文庫)』(磯田 道史)から忠臣蔵絡みの話を。この書籍のアマゾンの内容紹介やレビューでは、「あの赤穂事件の浅野内匠頭は、女色に耽るひきこもりで、事件前から家を滅ぼすと予言されていた」などと、不名誉な紹介のされ方をしていました。
これ以外にも「好色でボンクラな浅野内匠頭」「浅野内匠守長矩の女好きは酷くこのままでは家を滅ぼす」といった感じで、さんざんです。私は忠臣蔵の悪役吉良上野介を不憫に思っているところがあり、
浅野内匠頭が吉良上野介を恨んだ理由は?日本一の悪役も最近は擁護ばかりで悪人説が皆無というのも以前書いており、この話が事実であった方が嬉しいなと思いますが、どうなんでしょうね。
本当なのか?と、浅野内匠頭を擁護する反論もアマゾンでもありました。『土芥寇讎記』の評価は低いわけではないのですが、うわさ話などもあり、すべてに信頼ができるわけではなたいめです。とはいえ、たとえ事実でなかったとしても、少なくとも当時そういった見方が存在したということが、こうして書籍に残っていることでわかるわけです。こういう資料は多い方が比較して研究できますから、ありがたいことだと言えます。
●浅野内匠頭と大石内蔵助はダメ主従?「昼行燈」と言われていた大石内蔵助
アマゾンの浅野内匠頭についてのレビューでは、大石内蔵助とセットで書かれている<特に興味を持ったのは「浅野内匠頭と大石内蔵助」です。徳川幕府の記録では、だめ殿様とそれを放置していた家老と見られていたとあります>というものもありました。どうもダメ殿とダメ部下という評価があったようです。
(
殿様の通信簿 (新潮文庫)
より)
大石内蔵助の方の評価はWikipediaからも補足しておきましょう。
大石良雄 - Wikipediaでは、<平時における良雄は凡庸な家老だったようで、「昼行燈」と渾名されていたことは有名である。したがって藩政は老練で財務に長けた家老大野知房が牛耳っていたと思われる>といいます。
ただ、上記は「平時における」とあるように、松の廊下の刃傷事件後の活躍は十分評価に値すると思われます。とはいえ、その後も悪いところがあったとする説もあるようですね。元禄15年(1702年)4月に妻の実家の豊岡へ帰り、妻のりくは7月にのちに広島藩に仕える大三郎を出産しているのですが、以下のような話があるそうです。
<しかし、この帰京後から、良雄(引用者注:大石内蔵助)の廓などでの放蕩がひどくなった。『仮名手本忠臣蔵』の影響で、これは吉良家や上杉家の目を欺くための演技であるというのが半ば定説化している。しかし良雄はもともと赤穂藩時代から自由気ままな遊び人であり、本当に楽しんでいた面もあった可能性は高い。近年の『忠臣蔵』のドラマでも、「人間内蔵助」を描こうとして後者に描かれることが多い。
(一方そもそも放蕩の事実はないとする説も有力。良雄放蕩の根拠『江赤見聞記』は落合勝信の著と見られるが、脱盟者の進藤俊式と小山良師が言ったことをそのまま載せたものとみられており、『堀部筆記』にもまるで出てこないことから)>
●土芥寇讎記は身内に厳しく外様に優しい!それなのにひどい浅野内匠守
最後にクイズの回答です。
土芥寇讎記 - Wikipediaによると、土芥寇讎記は儒教に基づいた教訓や道徳に基づいて、辛辣な評価が書かれているのが大きな特徴。親藩、譜代、外様の区別を問わず、辛辣だそうです。ただ、浅野内匠守はさんざんに書かれていたので特に外様大名に厳しいのかと思ったら全く逆、むしろ外様大名に一番優しかったともいいます。
【クイズ】大名に辛辣な評価が書かれている土芥寇讎記』(どかいこうしゅうき)で比較的好意的に書かれているのは、親藩、譜代、外様のうちどれでしょう?
(1)親藩
(2)譜代
(3)外様
【答え】(3)外様
Wikipediaでは、<むしろ外様の大藩大名には比較的好意をもった評価が下されている>として、<伊達綱村に対しては「才知利発也、文武両道共に心掛あり」、島津綱貴には「文武両道を心掛(中略)家民に至るまで哀憐をたれ」>などといった例を出していました。
このように外様大名には好意的なのに、浅野内匠頭や大石内蔵助の評価がひどかったというのは、よほど彼らの評判が悪かったってことでしょうかね…。
【本文中でリンクした投稿】
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