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新型コロナウイルスは中国が人工的に作成?ノーベル賞受賞者も主張


2020/03/14:
●新型コロナウイルスは中国の研究所で人工的に作られた!に批判
●化学兵器の世界的権威・杜祖健(アンソニー・トゥー)氏が登場
●中国の人工的新型コロナウイルス陰謀論、産経新聞社の夕刊フジが報道
●新型コロナウイルスが生物兵器・化学兵器に使えない決定的な理由
2020/03/28:
●中国の報道官も「アメリカが中国にウイルス持ち込み」と陰謀論で反撃
●アメリカは大統領自ら「中国ウイルス」と差別発言して問題悪化
●中国の駐米大使、「米軍が新型コロナを持ち込んだ」を不支持
2020/04/13:
●新型コロナウイルスは15日ごとに変異している!遺伝子解析で判明
●感染力がすごい!は誤解、実は非効率で欠陥があるウイルスだった
2020/04/28:
●新型コロナウイルスは中国が人工的に作成?ノーベル賞受賞者も主張
●長崎大の安田二朗教授などの研究者「人為的な改変とは考えにくい」
●中国が新型コロナウイルスを人工的に作成した可能性はあるが…
2020/05/07:
●ほらやっぱり中国のせい!「武漢研究所のコウモリから人に」説が登場
●「武漢の研究所が起源であることを示す膨大な証拠がある」と主張
2020/05/16:
●新型コロナウイルス対策で失敗したトランプ大統領、起死回生狙う
●野党候補者ではなく中国を叩くのは、大統領選の選挙対策のためか
2020/05/27:
●日本のノーベル賞受賞者・本庶佑教授も人工ウイルス支持とデマ
●世界中で苦しんでいる人がいる中、デマに利用されて本庶教授は困惑
2020/06/07:
●食品市場から発生していない証拠があると主張していた米上院議員
●専門家から否定されて「それは私が言ったことではない」と言い訳
2020/07/02:
●産経新聞、米メディアが「武漢コロナ」と呼ぶと好意的に報道


●新型コロナウイルスは中国の研究所で人工的に作られた!に批判

2020/03/14:新型コロナウイルスをめぐっては中国の研究所で人工的に作られたウイルスが外部に流出したものだなどといった根拠のない情報が広がっているとのこと。一般人だけでなく、アメリカでは上院議員がテレビ番組で「調査が必要だ」と述べて政治の世界にも波及していました。

 こうした状況を受けて、2020年2月には、各国の医学研究者や公衆衛生の専門家など27人がイギリスの医学雑誌「ランセット」に共同で声明を発表。「このウイルスは遺伝情報の研究によって野生動物に由来するものであることが強く結論づけられている」と述べ、ウイルスが人工的に作られたものであることをまず否定しています。

 さらに「こうした『陰謀論』は恐怖心をあおるだけで、新型ウイルス対策のための各国の連携を危うくする」と強く非難しました。上記で政治の話に波及しちゃってる…という話が出てきたように、政治問題で対立して、新型コロナウイルス対策に支障をきたすようなことをイメージしているのかもしれません。
(新型ウイルス 陰謀論を科学者が批判「恐怖心あおるだけ」 2020年2月21日 11時58分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200221/k10012295101000.html


●化学兵器の世界的権威・杜祖健(アンソニー・トゥー)氏が登場

 こういうのは中国に対して差別的な感情を持っている右派ほどやりがちなんじゃないかと思うのですけど、我が国でも右派の産経新聞社の夕刊フジが報道していたようです。しかも、上記の研究者らの批判よりだいぶ後になってやっていますね。 2020年3月11日の記事ですので、20日後くらいの話です。

 なお、この記事は、毒性学や生物兵器・化学兵器の世界的権威である、米コロラド州立大学名誉教授の杜祖健(アンソニー・トゥー)さんという権威を利用したもの。オウム真理教による一連のサリン事件で、サリンの分析方法を警察当局に指導したことで知られたとも強調。また、2009年に日本の旭日中綬章を受章したことも書いていました。

 ただし、専門家で意見が異なるということはありますので、専門家の意見がすべて正しいということは論理的に不可能。間違っている場合が考えられます。今回がまさにそうですね。特に論理的におかしいところがあれば信用するべきではありません。後述するように、今回もおかしな点が見られます。また、かつては信頼できた研究者であってもおかしくなってしまう人はいますし、特に高齢の方になると悪化する方がいるので、信頼性には気をつけなくてはいけません。

 さらに、杜祖健さんの場合は、台湾出身ということで、政治的な意図もある可能性も気をつけなくてはいけないでしょう。あと、生物兵器・化学兵器の専門家なので、専門分野違いの可能性も感じました。この場合は、たとえ別分野の専門家であっても、畑違いの分野においては信頼性が高くないと考えなくてはいけません。


●中国の人工的新型コロナウイルス陰謀論、産経新聞社の夕刊フジが報道

 で、実際の報道内容でしたが、以下のような感じでした。

<「世界(の専門家の間)では『人工的なウイルスだろう』という意見が多い」
 杜氏は、新型コロナウイルスについて、河添氏から「天然のものか? 人工的なものか?」と聞かれ、こう語った(引用者注:前述の通り、実際には専門家らはこの説を批判しています)>
<、杜氏は「間接的な証拠から、武漢の研究室から漏れたというのが最も適当な説明だろう」と推測し、1979年に旧ソ連・スべルドロフスクの生物兵器研究施設から炭疽(たんそ)菌が漏れて、近隣に複数の死者が出た事例を挙げ、続けた。
 「旧ソ連のケースは、『空調のパイプがつまったために、外に意図しない形で漏れた』とされている。武漢では、焼却処分されるはずの実験動物を裏で転売して漏れたということもあり得る。また、1つの説として、『SARSのウイルスに手を加えたのではないか』という論文も出た。『(新型コロナウイルスは)SARSと近いウイルスだが、分子に4つの違いがあり、自然に起きる違いではない』と報告されており、人工的に改良された可能性がある」>
(新型コロナの正体、やはり“人工的”ウイルスか 中国当局「荒唐無稽で無知だ」と否定も…米専門家激白「分子にある4つの違いは自然に起きるものではない」 夕刊フジ / 2020年3月11日 17時11分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/00fujidom2003100002/


●新型コロナウイルスが生物兵器・化学兵器に使えない決定的な理由

 さて、杜祖健さんの主張のおかしな点の話。私がもともとこの陰謀論で疑問に思っていたのは、そもそも感染症は生物兵器・化学兵器に向かないのではないか?ということ。というのも、現在実際にそうなっているように、グローバルな現在の世界では、感染症は自国にも大きな被害をもたらします。

 上記で出た炭疽菌のようなものであればわかりますけど、全然生物兵器・化学兵器として使えないだろうと思うんですよね。ただし、感染症としては、天然痘ウイルスやエボラウイルスなどが生物兵器利用の懸念があるみたいでした。とはいえ、新型コロナウイルスはこれらとの決定的な違いがあり、感染症の中でも向き不向きがあるようです。

 大騒ぎされている新型コロナウイルスですが、生物兵器としては全然毒性が強くなく使い物にならないと指摘されていました。新型ウイルス「中国が秘密開発した生物兵器」トンデモ説が駆けめぐった一部始終 | Business Insider Japan(黒井 文太郎 [軍事ジャーナリスト] Jan. 31, 2020, 01:20 PM)では、以下のように書いています。

<筆者はかつて『生物兵器テロ』(宝島社新書、ジャーナリスト村上和巳氏との共著)という共著を上梓したことがあり、生物兵器についてかなり詳細に調査したことがある。
世界各国の関連研究機関で研究されている主な生物兵器に、コロナウイルスの名前はない。また同時に、「高い感染力と低い毒性」をもつインフルエンザウイルスも含まれていない。
一般的に、病原体を「兵器として使用」する際に重視されるのは強い毒性だ>

 また、毒性は低いが「適度な」感染で標的をしぼりやすい…というカテゴリーもあるそうですけど、コロナウイルスはこれにも該当せず。「高い感染力と低い毒性」というのは使いづらいようで、そんなところに貴重な金を使って研究しないと切り捨てられていました。論理的に考えりゃそりゃそうだ…って話ですよね。杜祖健さんは本当に生物兵器・化学兵器の専門家なんだろうか?と疑問が出てきます。

 なお、記事では、今回の新型コロナウイルスについては、ゲノム編集の痕跡などは発見されておらず、自然発生のものとみられていることも指摘。そのため、生物兵器として人工的に開発されたものである可能性はほとんどない、とも書いていました。


●中国の報道官も「アメリカが中国にウイルス持ち込み」と陰謀論で反撃

2020/03/28:ここらへんの問題が加熱して、追記するものが多すぎるといった感じになってきています。科学者たちが言っていた「新型ウイルス対策のための各国の連携を危うくする」は、このような状況が加熱してしまうことを懸念していたのではないかと思われます。

 今回の追記は、書ききれないのでいくつか選んで…ですが、まず、新型ウイルスは米軍が武漢に持ち込んだ、中国報道官が主張:AFPBB News(2020年3月13日 15:25)というニュースから。中国政府が米高官の「武漢ウイルス」との呼称に激しく抗議する中、逆にアメリカが持ち込んだという陰謀論を中国外務省の報道官が主張するという悪い事態になっています。

<中国外務省の報道官が12日夜、新型コロナウイルスは米軍が中国に持ち込んだ可能性があるとツイッター(Twitter)に投稿した。主張を裏付ける証拠は提示していない。
 趙立堅(Zhao Lijian)報道官は、米疾病対策センター(CDC)の所長が米議会で、インフルエンザで死亡したとされる米国人の中に死後の検査で新型ウイルス感染が確認された例が複数あると証言した際の画像を投稿。「CDCが白状した。米国で感染が始まったのはいつだ? 感染者は何人いる? その病院の名前は?」とツイートした>


●アメリカは大統領自ら「中国ウイルス」と差別発言して問題悪化

 上記にあった「武漢ウイルス」は病気を特定の地域に結びつける差別であり、陰謀論以外の別の問題もあるものです。ただ、現在のアメリカは大統領自らこれをやってしまう…という非常に困ったことになっています。

<トランプ米大統領は18日、新型コロナウイルスをめぐって中国が反発する「中国ウイルス」の呼称を再び使い、「中国由来だからであり人種差別ではない」と主張、改めて正当化した>
(「中国ウイルス」の呼称やめず トランプ米大統領、記者追放に不快感:時事ドットコム 2020年03月19日06時32分より)

 トランプ大統領は中国の初動対応の遅れも批判。これは確かに中国自身も認めている問題ではあるものの、批判して解決するか?というとそうはならず、科学者たちが懸念したような問題解決の遅れにむしろ繋がりかねないものです。


●中国の駐米大使、「米軍が新型コロナを持ち込んだ」を不支持

 さらに悪循環が続いていて、<中国の新型コロナ対応を非難する決議案提出 米下院、超党派で 産経ニュース / 2020年3月25日 10時14分>というニュースも出ています。ここではさすがに差別呼称はなく、陰謀論への反論と初動対応への批判ですけど、やはり協力しないということになりかねず、あまり良いこととは考えられません。

<決議案はバンクス(共和党)、モールトン(民主党)両議員が起草し、2人を含む17議員が共同提出。中国政府に対し、ウイルスは中国で発生したと公式に表明し、中国政府が流布している「米陸軍がウイルスを湖北省武漢市に持ち込んだ」とする陰謀論を非難するよう要求した>
<武漢市での感染の初期段階でウイルスの危険性に警鐘を鳴らした同市の医師や記者の口封じに動いた中国政府を非難。米疾病予防管理センター(CDC)の協力申し出を1カ月以上も拒否し続けたことも非難するとした>
https://news.infoseek.co.jp/article/sankein_wor2003250020/

 一方で、中国の崔天凱駐米大使は、中国外務省報道官が唱えた「米軍が新型コロナを持ち込んだ」とする説に関し、「そのような憶測は誰も助けることにならず、非常に有害だ」と述べて同調しない立場を示していました。理性的で素晴らしい対応です。

 ところが、産経新聞はこれを「中国政府による感染拡大の責任を米国に転嫁する工作を事実上頓挫させ、中国のディスインフォーメーション(偽情報)活動封じに向けて一定の成果を収めた」証拠だと大喜び。トランプ大統領が「この問題でもう騒ぎ立てないことにした」と発言したのも、この成功のおかげだと解説しています。

 この対立は早く収めなくてはいけませんでしたから、お互いにメンツを保って終了…というのは、実際、悪くない結末とは言えるでしょう。ただ、こうした幼稚な政治的動機による言動が問題を引き起こしているわけですから、そもそもそれが悪いんだぞ…と思う論調の記事でした。


●新型コロナウイルスは15日ごとに変異している!遺伝子解析で判明

2020/04/13:今回は生物兵器説に関しての追記。ただ、紹介する記事のタイトルは新型コロナウイルスはこうして広がっている、遺伝子技術で判明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2020.03.31)というものです。記事ではまず、平均15日ごとに変異している新型コロナウイルスのゲノムにより、ある程度拡散経路を追えるという話があります。

 新型コロナウイルスがさらに「変異」を続けている…などと聞くと恐ろしげな想像をしてしまうかもしれません。しかし、ウイルスの有害さが増しているわけではないとのこと。なので、今のところは、変異により感染経路をある程度知ることができる…という人類にとって有用なことだけが起きている状態です。

 この変異の追跡により、例えば、アメリカのシアトルで最初に感染者が見つかった1月21日以降、何週間もの間、シアトルの人々の間でウイルスがいわばひっそりと培養され続けていたということがわかりました。記事にはありませんでしたが、アメリカが14日以内に中国渡航歴のある人を入国禁止にしたのは2月2日であり、この措置では感染拡大を防げなかったこともわかりそうでした。


●感染力がすごい!は誤解、実は非効率で欠陥があるウイルスだった

 では、遺伝子解析データからは、「新型コロナウイルスは生物兵器として実験室で秘密裏に製造されたものである」などという陰謀論を否定する情報も得られるという話について。これは、3月17日付けで学術誌「ネイチャー・メディシン」に発表されたアンダーセンさんらの論文でわかります。

 そもそも、新型コロナウイルスの基本的な構造は、これまでに研究されてきたどのコロナウイルスとも異なっていました。さらに、遺伝子には、実験室で培養されたのではく、生きた免疫系と戦ってきたことを示唆する特徴が見られることもわかっています。

 加えて、感染力がすごいように見える新型コロナウイルスは、実を言うと、かなり効率の悪い感染の仕方をしていることも指摘。これ以外にもいくつかの欠陥が見られるため、アンダーセンさんは、人為的にウイルスを作るのであれば、このようなムダで効率の悪いウイルスは作成しないであろうと説明していました。


●新型コロナウイルスは中国が人工的に作成?ノーベル賞受賞者も主張

2020/04/28:人工ウイルス陰謀論に、ノーベル生理学・医学賞を受賞したフランスのリュック・モンタニエ博士まで参戦してきました。新型コロナウイルスは何者かがエイズワクチンを開発する過程でつくり出したという陰謀論です。

 モンタニエ博士は、エイズウイルス(HIV)の発見でノーベル賞を受賞した方だとのこと。ただ、今回は専門外な感じですね。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるな感じで、中には可能性を感じる陰謀論もあるのですけど、このノーベル賞学者の陰謀論は正直低レベルで工夫不足。前述までの話で十分否定できるものです。

 モンタニエ博士が根拠とするのは、これまたさらに専門外の数学者ジャンクロード・ペレズ博士の論文だそう。最近はニセ学術誌が問題になっていて、そういうサイトかどうかはわからないのですが、厳しい審査や評価を受けずに投稿できる科学論文の公開サイトに載ったものだそうです。

<新型コロナウイルスのゲノム(全遺伝情報)の1%未満の短い領域に、HIVに由来する情報の断片が6つあった。その入り方に自然にはあり得ない特徴がみられ、人為的に挿入したと考えられるという>
(コロナ「人為説」否定多く ウイルス全容解明には時間 (写真=共同) :日本経済新聞 2020/4/25 0:00 (2020/4/25 5:22更新)より)


●長崎大の安田二朗教授などの研究者「人為的な改変とは考えにくい」

 当然、仏パスツール研究所や国立科学研究センターの研究者はこの説を相次ぎ否定。他のウイルスの遺伝情報が入るのは自然界でよくあるためと、記事では書いていました。長崎大の安田二朗教授もゲノムを見て「不定期に変異が起きており、人為的な改変とは考えにくい」と指摘しています。

 以前、書いたようにむしろ自然に混入した形跡が見られるそうです。記事で出ていた、米スクリプス研究所のグループが有力科学誌ネイチャー・メディシンに発表した論文がその話ですかね。新型コロナウイルスが自然界で生まれた証拠を得たという内容です。

<ウイルス表面のスパイク状のたんぱく質を調べると、人の細胞などに入り込むのに最適な設計とはいえなかった。人為的につくるとしたら計算で最適な条件を求めるはずで、辻つまが合わないという。
 ウイルスの全体的な構造も分子レベルで精査した。人間がつくる場合は既知のウイルスの構造をもとに手を加えていくしかないが、新型コロナの構造はかけ離れていた>


●中国が新型コロナウイルスを人工的に作成した可能性はあるが…

 記事では、<もし中国が別のゲノム解析データを隠していたら多くの研究の前提が崩れる可能性すらある>としており、人工説は全否定してはいませんでした。私も中国の研究者などが関わっていた可能性は捨てませんが、今出てきている説は非科学的なものばかり。科学に政治を持ち込んじゃいけませんよ。

 あと、ちょっと違う方向性の話なのですけど、中国を叩けば叩くほど中国が情報を隠蔽する可能性が高まるという問題もあります。上司が怒ると部下が現場の危険を隠して対策が放置され死亡者が出るような大事故が起こる…のように、これは工場の安全対策などでも知られている問題です。

 こういうのは隠している方が問題なのは確か。ただ結果が悪ければ意味がなく、批判するだけでは科学的根拠のない精神論です。中国が重要な情報を隠してしまうことは現在の新型コロナウイルス対策に悪影響ですし、将来の未知の問題ではさらに脅威になるでしょう。中国を叩けば途端に世界が良くなるという単純な話でもないのです。


●ほらやっぱり中国のせい!「武漢研究所のコウモリから人に」説が登場

2020/05/07:トランプ米政権は、中国湖北省武漢市の中国科学院武漢ウイルス研究所が新型コロナウイルスの発生源となった可能性について調査に乗り出したことが報じられていました。これだと人工ウイルスではないために可能性は出てきます。以前「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるな感じで、中には可能性を感じる陰謀論もある」と書いたのは、この件です。
(東京新聞:<新型コロナ>米が「武漢研究所」説 調査 「コウモリから人に」示唆:国際(TOKYO Web) 2020年4月20日より)

 これを聞いて、「ほら最初から言ってた通りだ!」と差別主義者らは得意になるでしょうが、そもそも今までさんざん吹聴してきた人工ウイルス説が全部デマだったってことをアメリカも認めている状況。新型コロナ「人工でない」、発生源の特定に注力=米情報当局 - ロイター(2020年5月1日)などによると、米国家情報長官室(ODNI)は、新型コロナウイルスについて「人工でも遺伝子操作されたものでもないという科学的な総意に同意する」との認識を表明していました。

 私も中国は信頼できないと思いますが、お前らがさんざん捏造してきたことは反省なしかよ?とは思います。陰謀論を唱えた有名研究者らもアホだとバレてしまったわけです。たぶんいい加減で非科学的なことを言っていた彼らも全然反省しないんでしょうけど…。


●「武漢の研究所が起源であることを示す膨大な証拠がある」と主張

 その後、ポンペオ米国務長官も遺伝子組み換えや人工的なものではないとする米国家情報長官室の報告に同意するとしました。一方で、「武漢の研究所が起源であることを示す膨大な証拠がある」と主張しています。

 この件に関しては怪しい陰謀論ではなく、科学的な証拠があるとしてもっともらしいことを言っている人たちもいました。なので、私はアメリカ政府から明確な証拠が出ることを期待していました。ただ、その証拠は出してこず。分が悪いと判断したのか、巷で言われているストーリーにも言及していません。
(新型コロナの起源は武漢の研究所と米国務長官-トランプ氏も批判 - Bloomberg 2020年5月4日 8:36より)

 証拠があるものの、敢えて現在では出していないという可能性は考えられるでしょう。ただ、発言を見ると、そもそも確かな証拠はない感じの言い方。証拠を出してこないところを見ると、これも科学的根拠のないトンデモデタラメ陰謀論である可能性が高そうでした。とりあえず、証拠の提示待ちですね。

2020/05/08:などと書いていましたが、再投稿していない間に、ポンペオ米国務長官の発言が次々と後退。「膨大な証拠がある」と言っていたのに、まず「確信ない」と言い出します。さらに「確信ない」と言ってから、あっという間に「ウイルスが(武漢市の)研究所から発生したという証拠を見たが正しくないかもしれない」まで後退。そのレベルの話で「膨大な証拠」は無責任すぎるでしょう。


●新型コロナウイルス対策で失敗したトランプ大統領、起死回生狙う

2020/05/16:日本でもそうであるように、外国を叩くことは政治家にとって得点となります。トランプ大統領の新型コロナウイルス問題における中国叩きも、アメリカ大統領選挙をにらんだものではないかとの見方が出ていました。人工ウイルス説などとは異なり、単なる憶測ではなく、証拠と言えそうな資料もあります。

 <トランプの出口とバイデンの入り口~米大統領選まで半年~>(ワシントン支局記者 栗原岳史 NHK 2020年5月14日 17時11分)は、これまでのトランプ大統領のイメージ戦略について見ていっています。まず、最近のトランプ大統領は、絶好調なアメリカ経済をみずからの成果として最大限強調する戦略を取ってきていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012428151000.html

 しかし、楽観視する発言を繰り返していた新型コロナウイルスが、アメリカで感染拡大してしまう…という大失態をおかします。これにより、株価が急落し、雇用も不安定になり、「経済のけん引役」というイメージは使えなくなりました。元はと言えば自分で蒔いた種なのでマッチポンプくさいですが、これにより「危機下の大統領」を演出する方針へと変更しています。

 例えば、全米にテレビ中継される会見では、週末も含めてみずから連日1時間以上にわたって“舞台”に立ち、ニュースを独占する状態を作り上げる…といったことに成功。対策は良いわけではないのにとりあえずテレビに出まくって支持される…という現象は日本でも確認できています。実際に対応が良いケースを含みますが、欧州首脳の支持率は軒並み増えたそうです。

 ただし、トランプ大統領の場合はこれだけ恵まれた状態でも支持率は伸びませんでした。トランプ大統領が失言でついに殺人未遂?消毒液注射を提案、新型コロナウイルス問題でで書いたように、あまりにもアホなことを言い過ぎているため。これは日本と同じですが、大統領よりも州知事を評価する…といったことにもなっています。


●野党候補者ではなく中国を叩くのは、大統領選の選挙対策のためか

 そこで次なる選挙対策としてトランプ陣営が出てきたのが、「アメリカ経済第一」、「対外強硬」という伝統的な“トランプ主義”への回帰。しかも、より過激になっている可能性も指摘されています。そして、これらの見方の証拠と言えそうなのが、選挙戦略の担当者が運動員に配布した、共和党の選挙向けの内部文書だという話でした。

<57ページの文書は、大統領選挙で戦う民主党の候補者などを批判する方法などについても言及している。しかし、大半は中国への非難だ。そして、有権者を説得するための文言が、具体的に記されている。
 「ウイルスは中国政府が世界中に拡散させ、結果、アメリカ人の命や仕事を奪っている」「中国に立ち向かえるのはトランプだけだ」
 トランプ大統領自身も中国への批判を強めている。ウイルスは、中国湖北省の武漢にある研究所から広がったという主張を繰り返し、中国に対する関税の引き上げや賠償請求、制裁を加える可能性にまで言及>


●日本のノーベル賞受賞者・本庶佑教授も人工ウイルス支持とデマ

2020/05/27:本当は以前のノーベル賞話の次に書きたかったのに、中国叩きの話題が多すぎて書けていなかった「新型コロナは中国で人為的に製造された」とノーベル賞の本庶教授が語ったとする虚偽情報がインドで拡散 立岩陽一郎 | 「インファクト」編集長の話を紹介。記事は、4月29日に出ていたものです。

 これはタイトルにある通り、インドで拡散されたデマ。しかも、インド全土かつ多言語ということで広大に拡散されたようです。「日本の生理学・医学教授である本庶佑教授は、新型コロナウイルスは自然のものではないと言い、今日メディアの前でセンセーションを巻き起こした」の他、以下のような内容だったといいます。

「私はその研究室のスタッフ全員のことを十分に知っています。このコロナの事故の後、私は彼ら全員に電話をかけました。しかし、彼ら全員の電話はこの3カ月の間につながらなくなりました。それはすべての研究所の研究員が亡くなったということです」
「私はこの新型コロナのウイルスは100%自然なものではないと自信を持って言えます。これはコウモリ由来のものではありません。中国が製造したのです」
「もし私が今日言っていることが今、もしくは私の死後に誤りであることが判明したら、(日本)政府は私のノーベル賞を取り下げることができます。しかし中国は嘘をついており、この真実はいつか皆さんに明らかにされるでしょう」


●世界中で苦しんでいる人がいる中、デマに利用されて本庶教授は困惑

 当然これはデマでした。本庶教授はサイトでPCR検査を増やすべきだといった考えに言及していますが、こういった話はなし。本人に取材しても「武漢の研究所に在籍」を含めてフェイクニュースだと言っていますし、京都大で公式に否定・非難するコメントを出しています。

「新型コロナのパンデミックによって、この様な悲痛と経済的損失、そして、かつてない苦しみを世界が味わっている中で、私と大学の名前が、誤った非難と誤った情報の拡散に使われたことに、困惑しています」

 日本人はさすがにこれなら嘘だとわかる人が多いでしょう。ただ、出てきているのが外国人ノーベル賞学者の発言ならかなり騙される人がいると思われます。中国叩きしている人はこれを見て、客観的に見るとどれだけトンデモなことをしてきたのか…というのを理解してほしいですね。

 あと、上記の本庶教授のコメントは、新型コロナウイルスでたいへんなときに足を引っ張るデマを流して…といったニュアンスです。前回まで書いてきたように、トランプ大統領などの右派は問題を中国叩きに利用。資金停止まで言い出した他、WHOでも大きな対立を引き起こし、対策の邪魔をしています。自分たちは、新型コロナウイルス対策の邪魔をすることで、人を殺そうとしているということも理解してほしいです。


●食品市場から発生していない証拠があると主張していた米上院議員

2020/06/07:最初のときに、一般人だけでなく、アメリカでは上院議員がテレビ番組で「調査が必要だ」と述べたため、政治の世界にも波及した…といった話を書きました。こういう問題を引き起こすのは右派ではないか?と思って、すぐ調べようと思っていたのですが、この関連の書くことが多すぎてやれていませんでした。

 検索したところ、直接「調査が必要だ」と発言した上院議員はわからなかったものの、「真相を解明しなければならない」などと言いつつ、人工ウイルス説に盛んに言及している議員なら出てきます。やはり右派の共和党の人でしたね。トム・コットン上院議員という方です。

<トム・コットン上院議員(共和党 アーカンソー州)は16日、FOXニュースのSunday Morning Futuresのインタビューで、コロナウイルスが実験施設で作られた可能性について語った>
<コットン氏は「このウイルスは武漢のアニマルマーケットから発生したのではないということがわかっている。国際的な学術誌のランセットに研究を発表している中国で広く認められている疫学者は、オリジナルケースの複数人の患者が食品市場と接触していなかったことを示している」と述べた。発生源は不明としつつ、「真相を解明しなければならない」と語った。
続けて「食品市場の数マイル先に、中国で唯一の人間の感染症を研究するバイオセーフティーレベル4の実験施設がある」と発言。ワシントンポスト紙によると、コットン氏は病原体を研究する武漢国立生物安全研究所を指しているのだという。
コットン氏は「現在、この病気がそこから発生したものか証拠がない。しかし、当初からの中国側の偽りと不正直に故に、我々は少なくとも証拠が何を示すのか問いかけなければならない。現在のところ、この疑問に対して、中国はいかなる証拠も提示していない」と語った。
コットン氏は1月の上院軍事委員会でも同様の見解を示し、「チェルノブイリよりもひどい」などと発言していた>
(トムコットン上院議員 コロナウイルス陰謀説に言及 - mashup NY mashup NY 編集部 - 2020-02-18より)


●専門家から否定されて「それは私が言ったことではない」と言い訳

 当時でもすでに専門家にこの説は科学的に考えられないと否定されていた模様。トム・コットン上院議員はこれについて、「いわゆる専門家は、コロナウイルスが製造された生物兵器だという主張に誤って飛んでいるが、それは私が言ったことではない」と言い訳しています。クソですね。

 なお、右派の人たちも、トム・コットン上院議員が中国による細菌兵器を示唆していると解釈していたでしょう。マスコミが伝えないニュースを誠実に伝えるなどと主張する日本のあるサイトでは、大手メディアは人工ウイルスを陰謀論としていたが、トム・コットン上院議員の発言などにより一気に可能性が高まったと解釈していました。

 また、トム・コットン上院議員は「私が言ったのは、武漢の食品市場から発生したという中国の公式見解はほぼいんちきだということだ」とも言い訳。ただし、そのような主張をするのであっても結局、トム・コットン上院議員に証明義務があるわけなんですけどね。全くその義務を果たしていません。

 トム・コットン上院議員は、上記に引用した記事以外でも、中国を嘘つきと批判する記事がヒットするなど、新型コロナウイルス問題で激しく中国を非難しています。ただし、以前書いたように、アメリカ政府までもが人工ウイルス説を否定しているわけで、嘘つきはトム・コットン上院議員の方でした。右派はどこの国でも大体こんな感じですね。


●産経新聞、米メディアが「武漢コロナ」と呼ぶと好意的に報道

2020/07/02:このページの話題が多くて書けていなかっただいぶ前の話ですが、新型コロナ 米メディア、「武漢コロナ」と呼び起源を明確化 古森義久 - 産経ニュース(2020.3.8)という記事について。タイトルに「起源を明確化」とあり、、「武漢コロナ」という名前をポジティブに捉えていることをうかがわせます。似たようなものだと、日本の右派は「武漢熱」という言い方の方を好んでいる感じですね。

<中国の湖北省武漢市で発生し、全世界へと広がった新型コロナウイルスを「武漢コロナウイルス」と呼ぶ傾向が米国のメディアや専門家の間で広まってきた。中国当局はこのウイルスを中国とつなげる呼称に強く反対しているが、米国では発生の起源を明確にするためには「武漢」の名称を入れることが適切だとする意見も出てきたわけだ>

 ただし、<新型コロナウイルスは米国のメディアの多くでなおCOVID19と呼ばれている>とも書いており、言うほど広がっているわけではありません。近年になって地名などをつける病名などは差別的という考え方が広がっており、昔ならともかく現在ではこのような名称を正当化する理由はないでしょう。

mayumayu_nimolove そういうのやめようよ。後に絶対自分の身に降りかかるぜ?
kiyotaka_since1974 正式な名称があるのに何で古森さんは差別煽動するんだろうねぇ?
osudakeknowledge 武漢コロナは排外思想に基づく名称であり、日本政府の立場とも異なります。普段から「メディアは意見を主張するな、客観的な事実を伝えよ」とお怒りの皆様、是非とも同じ熱量で産經新聞に怒りをぶつけてください。
take-it 「意見も出てきたわけだ」に見える鼻息の荒さが新聞とは思えない。そこまでして他国を貶めたいかねぇ。
silentliberater そんな風に名前をつけられてしまうくらいなら隠蔽したほうがマシだわ、ってなるじゃん?なんだったらこっそり他国に感染者を送り込んでその国起源ってことにしちゃえ、ってなるじゃん?
welchman メディアの具体名も無く、何社なのかも明確でないので、「やはりアメリカにもレイシストがいるんだな」程度の話
ChieOsanai 産経とかいうゴミ新聞
yoshiyoc 有料コンテンツなのか、これが。。それで儲けてるのか、産経は潰れたらいい
([B! COVID-19] 新型コロナ 米メディア、「武漢コロナ」と呼び起源を明確化 古森義久 - 産経ニュースより)


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  ■トランプ大統領が失言でついに殺人未遂?消毒液注射を提案、新型コロナウイルス問題で

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