エヌビディア関連の話をまとめ。<日本の半導体では動かない…台湾・韓国製のエヌビディアが必要>、<あのトヨタすら頼ったAI半導体王者エヌビディア、テスラに負けた?>、<エヌビディアの何がすごい? AI半導体で他社より選ばれる理由>などの話をやっています。
あと、実際にエヌビディアのAI半導体を使った自動運転だったのかは不明なのですが、その後、トヨタが自動運転を実現と主張していたので、<トヨタが五輪選手村のEVバスで自動運転レベル4実現と主張>、<絶賛の選手村トヨタ自動運転バス、パラ選手を轢いて欠場させる>という話もまとめました。
冒頭に追記
2022/06/27追記:
●エヌビディアの何がすごい? AI半導体で他社より選ばれる理由 【NEW】
●エヌビディアの何がすごい? AI半導体で他社より選ばれる理由
2022/06/27追記:
エヌビディア、AIが初のゲーム超え アーム買収焦点: 日本経済新聞は2020年8月20日という古い記事。タイトルになっている半導体のアーム社買収はすでに断念しています。ただ、エヌビディアの事業構造の変化がわかる良い記事でもありました。
<ゲーム用の半導体メーカーだった米エヌビディアの「脱皮」が鮮明になってきた。19日に発表した2020年5~7月期決算は、人工知能(AI)計算用の半導体を中心とするデータセンター事業の売上高が初めてゲーム事業を上回った。時価総額は米半導体業界で首位>
<売上高が38億6600万ドル(約4100億円)と9四半期ぶりに過去最高となった5~7月期決算は、ゲームとデータセンターの2本柱の成長ぶりを映した。(中略)
(引用者注:「巣ごもり需要」によって好調だった)ゲーム事業以上に好調だったのがデータセンター事業だ。5~7月期のゲーム事業の売り上げが16億5400万ドルに対して、データセンター事業は17億5200万ドルと初めてゲームを上回った。過去5年間の成長率はゲームが2.5倍に対し、データセンターは24倍にのぼる>
エヌビディアのデータセンター事業は、AIの計算スピードを上げるために使う半導体が中心。これは、エヌビディアが得意だったゲームに求められる高速な画像処理と通じる技術が多いそうです。このため、他社に先駆けてAIの用途拡大の波に乗ったといいます。また、もう一つ以下のような成長の理由も挙げていました。
<4月に買収手続きを終えたメラノックス・テクノロジーズ(イスラエル)が加わったことも業績を押し上げた。買収に69億ドルを投じたメラノックスは、データセンター内部のネットワークを構成する電子部品を手掛ける。早速エヌビディアのGPUと組み合わせて販売しており、相乗効果が出始めている>
●謎のAI半導体メーカー記事に「エヌビディアを知らないやつなんて(笑)」
2019/07/02: 2017年5月22日の
詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー:日経ビジネス電子版(島津 翔 日経ビジネス記者)は、当時ネットで非常に叩かれた記事でした。これは軽く炎上といって良い感じなのですけど、ちょっと変わった炎上の仕方。叩いていた人たちはいわゆる「マウンティング」だったんですよね。
このタイトルの言う「トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー」というのは、米エヌビディア(NVIDIA)のことでしたが、「エヌビディアが謎の企業ってことないでしょ、普通に知ってるだろ」、特に「できるビジネスマンなら常識だよね(笑)」と叩かれたのです。「エヌビディアを知らないやつなんていないっしょ(笑)」という感じでした。
ただ、客観的に見て、エヌビディアの日本での知名度は高くないでしょう。トヨタと比べて…どころではなく、普通にかなりマイナー。日本最高の企業である世界のトヨタが頼る企業としては、知名度が低すぎると考えられます。エヌビディアは半導体世界シェア10位以下であり、実際、シェアも低かったようです。
この記事が出たのは2017年でしたが、今この投稿を書いている2019年でも正直知名度はそれほど高くはないですよね。普段のニュースでもバンバンと名前が出てくる企業ではありません。マウンティング的な叩き方であまり気分の良いものではないと当時思いました。
●日本の半導体では動かない…台湾・韓国製のエヌビディアが必要
それは良いとして、<詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー>という記事タイトルの「トヨタが頼った」でわかるように、当時すでにエヌビディアの実力は、という知名度と比べ物にならないほど、非常に高く評価されていた有望企業だったんですよ。主力製品であるGPU(画像処理半導体)が評価されていました。
エヌビディアは、この種の半導体に限って言えば、世界シェア8〜9割を持つ圧倒的な世界ナンバーワン企業。同時に複数の計算をこなす「並列演算」がずば抜けて得意だといいます。自動車の頭脳であるAIでは、「超」が付くほど高性能な半導体が必要。トヨタが選んだのは性能が高いエヌビディアのGPUでした。
これまでトヨタは車載用の半導体を内製するほか、トヨタグループ最大の部品メーカーのデンソーや、株式を保有するルネサスエレクトロニクスなどから調達。ところが、あるデンソー幹部はエヌビディアのGPU以外だと動かせないプログラムがあることを認めています。日本の半導体では性能が低くて使えなかったのです。
なお、エヌビディアは全ての半導体製品の生産を外部に委託するファブレスメーカーというのも特徴となっています。自分で作っているわけではないんですね。実際に作っているのは、台湾積体電路製造(TSMC、中国語正式社名:臺灣積體電路製造股份有限公司)と韓国のサムスン電子だそうです。
●あのトヨタすら頼ったAI半導体王者エヌビディア、テスラに負けた?
以上のように、上記の記事はエヌビディアがこの分野の世界最高といった感じの記事でした。ところが、最近になって同じ日経ビジネス電子版で
自動運転半導体、「ドヤ顔」テスラと焦るエヌビディア(根津 禎 2019年5月10日)という記事が出ていたのです。
以前の記事によると、エヌビディアはドイツ勢ではフォルクスワーゲン、アウディ、ダイムラーと提携し、米国勢ではフォード・モーターに加えて、EV(電気自動車)のテスラとも協業する…とありました。そのエヌビディアの取引先の一つであるテスラが、今はエヌビディアに勝ち誇っているという話になります。
また、一時日本のメディアも含めて、テスラはもう終わりだ!といった感じの記事が大量に出ていた時期がありましたので、そういった意味でも意外性がありそう。テスラは終わりどころか、むしろトヨタどころかエヌビディアよりさらに先に進んで世界の最先端を行っている…といった感じに。興味ある話ですね。
●テスラが設計し、製造は韓国のサムスン電子が行った製品
記事によると、テスラは、完全自動運転向けの車載コンピューター「FSD」と、同コンピューターに搭載した半導体部品のSoC(System on a Chip)を開発。このSoCは、CPUコアや前述のGPU(画像処理半導体)コアなどを備えています。そして、車載コンピューター「FSD」は、完全自動運転の必要条件とうたう演算性能144TOPS(Tera Operations Per Second)を達成した、とされていたそうなのです。
最近ではプロセッサーなどの半導体部品の大手ユーザーが、自社製品の差異化のために自ら半導体製品を設計・開発し、台湾TSMCや韓国サムスン電子などのファウンドリーに製造を委託するケースが増えているそうです。今回のものも、製造委託先はサムスンで、サムスンの製造技術を適用しているとのことでした。
ただし、エヌビディアが「これまでテスラにSoCを提供してきた」ともあったので、エヌビディアも絡んでいるんですかね。エヌビディアが絡んでいるのだとすれば、「焦るエヌビディア」とはならないように思えますが、テスラが今回エヌビディアの製品と自社製品を比較してみせたので、エヌビディアは心穏やかではなかったようです。テスラの比較方法などに対し、異議を唱えていました。
●エヌビディアよりすごいテスラ…という発表にエヌビディアが抗議
テスラの発表であり、額面通り受け止めてよいかは不明ですので、実際不適切な比較だったのかもしれません。しかし、この「抗議」について、記事ではエヌビディアの「焦り」だとしていました。抗議ブログの最後に掲載した文言も、エヌビディアの対抗心と焦りが透けて見えるとされていました。以下のような文章です。
「(完全自動運転に向けた)AIコンピューティングを実現できているのはエヌビディアとテスラ。このうち、オープンプラットフォームなのは1つ(エヌビディア)だけ」
この文面を見ると、エヌビディア以上なのかどうかはともかく、テスラのAIコンピューティングの性能が高いことは認めていますね。テスラの手柄を褒めたくないエヌビディアですら認めざるを得なかった…と考えると、逆にテスラのAIコンピューティングのレベルが高いことは間違いない気がしてきます。
●レベル3自動運転は時期尚早、自動運転は「下手くそ」すぎる
2021/03/19:正直、うまくまとまっていなくて困った記事なのですが、
「もしかしたらSONYは、本当に自動車を造るかもしれない」ソニーの自動車産業参入は「YES」か「NO」か。|Motor-Fan[モーターファン](2020/08/31 牧野 茂雄)というのを読みました。このタイトルに関する話は、
ソニーが自動車産業参入?コンセプトカーのEV、公道でも走行実験予定に追記しています。
ソニーがタイトルになっていたのですが、記事では予想外に自動運転に関する話が多かったんですよ。それも悲観的なものでした。すでに何年間もAI(人工知能)に学習させてきたエヌビディアのような企業でも、まだ完全自動運転に使えるという確信が持てるAIは開発できておらず、果たして自動運転がどうなるか、という問題があるとしていたのです。
<人間は勉強からの応用ができるが、AIは「照合」しかできない。だから瞬時計算が得意なCPUと画像照合が得意なGPUを組み合わせている。しかし、開発は当初予測より難航している。
さらに問題なのはアクチュエーター側だ。完璧なAIができて瞬時に的確な指示を出せる頭脳を得たとして、その指令を確実に実行できるアクチュエーターがなければ話にならない。たとえばステアリング(ハンドル)だ。どの方向にクルマを向かわせるか、その方向はわかっても、タイヤの磨耗度や路面状況によって必要な操作量は変わる。これを瞬時に判断し、瞬時にアクチュエーションしなければならない。(中略)タイヤを交換すると、このデータはリセットしなければならない。それくらいデリケートなのだ>
さらに、「レベル3自動運転は時期尚早。そういう声が欧州を中心に増えている」とも書いています。<運転の訓練を受け、日常の運転操作のなかでも無駄な操作を排除しようとつねに意識を集中させているドライバーにとっては、現在の自動運転制御は「下手くそ領域」である>とされていました。
ただ、現在実用化されている自動運転部分では、人間よりずっとうまいことがデータで実証されていたはず。全部において自動運転が下手くそというわけではないと思われます。ちなみに時期尚早とされた「自動運転レベル3」というのは、基本は自動運転で、システム側の求めに応じて適宜ドライバーも運転するタイプの自動運転ですね。
あと、
遅れてる日本の無人自動運転ロボタクシー、米国や中国に劣る点などで書いているように、実際にはすでに実用化されている無人自動運転も結構あるんですよね。条件が限られたものが多いとはいえ、かなりのレベルのものも出てきているように見えたので私には意外だった記事。ちょっとここらへんは過小評価すぎる感じがしました。
●トヨタが五輪選手村のEVバスで自動運転レベル4実現と主張
2021/08/01:前回の追記記事では「レベル3自動運転は時期尚早。そういう声が欧州を中心に増えている」とされていたのですが、トヨタがすでにレベル4を実現したと言っていたみたいですね。これは、
「ドラえもんの世界みたい」――選手村を走る自動運転バスが国内外で話題に 運転しない乗務員の役割は?:東京五輪とネット(1/2 ページ) - ITmedia NEWS(2021年07月30日)という記事にあった話です。
TikTokは右派を中心に禁止の訴えがある中国生まれの動画アプリなのですが、オーストリアのカヌー女子代表ビクトリア・ウォルフハルト選手などがTikTokに、選手村を走る自動運転バスを公開し国内外で大きな話題に。トヨタ自動車が開発した自動運転EVバス「e-Palette」の東京五輪・パラリンピックモデルだそうです。
<自動運転については、独自開発のシステムと高精度3Dマップを組み合わせて、米自動車技術会(SAE)が5段階で示した自動運転の基準の「レベル4」(特定の条件・場所での完全自動運転)を実現しているという>
<最高速度は時速約19km、航続距離は約150km。周囲360度の障害物を常に検知し、状況に応じて速度を変えるという。自動運転だが人間のスタッフが同乗し、異常が発生したときには緊急停止などの対応を行う>
ただ、「レベル3自動運転は時期尚早」という主張の人が反論することは考えられそう。というのも、この小型バスは最高速度は時速約19kmで、選手村という限られた条件での運行でしかないのです。そもそもこういう限定された条件でしたら、かなり昔から自動運転車は実用化されており、特に珍しくありません。
とはいえ、以前も書いたように、海外では限定された条件ではない公道でも走っているらしいので、そちらの方が依然として問題です。また、恵まれた条件うんぬんを抜いても、トヨタは「レベル4」を実現していると主張しているらしいので、前回記事作者の牧野茂雄さんがトヨタと戦ってくれると、おもしろそうなんですけど…。
●絶賛の選手村トヨタ自動運転バス、パラ選手を轢いて欠場させる
2021/08/31追記:トヨタがレベル4を実現したと主張し、絶賛されていた自動運転EVバス「e-Palette」が、パラリンピック選手を轢いて欠場させる事故を起こしました。これについて自動車ジャーナリストがヤフーニュースで「自動運転は時期尚早」といったコメントをしていたものの、別記事を見ると「人間の運転より自動運転の方が安全」というケースに見えます。
<東京・晴海の東京パラリンピック選手村で北薗が村内を巡回する自動運転バスと接触する事故に遭った柔道男子81キロ級代表の北薗新光(30=アルケア)が28日、1回戦を欠場した。(中略)
事故は26日午後2時ごろ発生。交差点を右折中のバスが、横断歩道を渡る北薗選手とぶつかった。バスが事故直前に近くの警備員をセンサーで検知して停車し、乗車するオペレーターの操作で発進した直後に接触したとみられる>
(
自動運転バスと接触事故パラ柔道北薗新光が欠場、頭部打撲など2週間のけが - 柔道 - 東京2020パラリンピック : 日刊スポーツより)
上記を読む限り、自動運転の車は止まったにも関わらず、オペレーターが行けると判断してわざわざ発車させたように見えます。むしろ自動運転より人間の運転が駄目だろうと思う話。オペレーターの2人は、人がいることには気づいていたが、(バスが来たことを認識して)横断をやめるだろうと思った、という趣旨の説明をしているとの報道もありました。
この説明は言い訳にならず、完全に運転手失格。発言を伝えた記事
選手村で自動運転車と接触、パラ柔道・北薗選手が負傷:朝日新聞デジタルの
はてなブックマークでも当然この点は批判されていました。パラリンピックの選手村じゃなくても普通に交通違反(たぶん5万円以下の罰金)ですよ、これ…。
REV 「「人がいることには気づいていたが、(バスが来たことを認識して)横断をやめるだろうと思った」」横断歩道は歩行者優先なんですが
rakko74 別記事ではバスは警備員を感知し停止したものの、オペレーターが発進を押して接触とのこと。普段から歩行者優先が出来ていない人間が乗っていた不幸。
●実はレベル4じゃなくオペレーター頼り…トヨタ社員が操作してた
なお、同じ朝日新聞記事のよると、オペレーターの2人はトヨタの社員。トヨタ社員が交通違反にあたる理解で普段から運転していたのではないか?という衝撃的な話にもなっていました。さらに、同じ記事からは、そもそも自動運転のレベル4ではなかったことも判明。レベル3ですらなく、レベル2だとされていて、これもひどい話です。
<国土交通省によると、今回のeパレットの走行は、5段階の自動運転技術のうち、下から2番目の「レベル2」に相当する。システムが人の運転を支援するという位置づけで、運転の主体はあくまで運転者だ。安全運転に関する責任はシステムではなく運転者にあるという>
一応トヨタ側の「自動運転のレベル4を実現した」が嘘ではない可能性も考えられなくはありません。選手村ではレベル2での運転をしていたが、実験の中ではレベル4を実現していた…というケースです。ただ、レベル4を実現していた自動運転バスと言われてしまうと誤解して当然。詐欺的な感じがしますね。
あと、オリンピックではトヨタの宣伝がかなりひどかったんですよ。感染拡大が心配される中強行された聖火リレーでは、復興五輪を掲げながら聖火ランナーより目立つド派手なトヨタの宣伝者を走らせていました。トヨタ工場内の聖火リレーではトヨタの宣伝となるトヨタ関係者とトヨタ関連車などのオンパレード。五輪はトヨタのため…といった面が見えていました。
今回の自動運転バスのeパレットは、トヨタ工場内の聖火リレーでも使っており、マスコミに取り上げられて宣伝になっていたんですよね。選手村での走行も当然トヨタの技術を宣伝するためでしょう。実際、事故前までは「日本すごい!」になっていて、宣伝に成功していました。トヨタの強欲さが引き起こした事故かもしれません。
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