顧客に関する話をまとめ。<客は選んで差別せよ でんかのヤマグチはえこひいきする!>、<取引先は選んで差別せよ 徳島インディゴソックスはスポンサーを減らして黒字化>、<引きをやめたら客は怒るどころではなく、驚きの行動に…>などをまとめています。
●客は選んで差別せよ でんかのヤマグチはえこひいきする!
2018/10/29: もともとこのページで書いていた"安売りではなく高売り!でんかのヤマグチ山口勉が語る営業のコツ"は、
安売りせずに高売りするには? でんかのヤマグチ山口勉代表のやり方にまとめました。こちらは、でんかのヤマグチの別の話をやっています。
すでに読んでいたのに以前の投稿では紹介していなかった「でんかのヤマグチ」の別記事もあって、気になっていたんですよね。それはタイトルが気に食わなかった
お客さんはえこひいきしていいのです:日経ビジネスオンライン(山口 勉 2016年9月30日)という記事でした。「差別」と言うとかなりイメージが悪いですけど、一部の優良顧客を特別扱いするという話。私は好きじゃない話でしたが、後々いろいろな記事を読むと「ビジネスとしては正しい方法」であると感じたものです。
でんかのヤマグチは、庭の植木の水やり、食料品などの買い物代行、家の掃除といった家電製品と関係ないサービスをするのがすごい会社なのですけど、実を言うと、すべてのお客さんに平等にサービスしているわけではありませんでした。得意さんを絞り込んで手厚いサービスを提供しているとのこと。個人的には残念に思った話です。
直近に購入した時期が1年未満、1年以上~3年未満、3年以上~4年未満の3種類、累計購入金額を100万円以上、30万円以上~100万円未満、30万円未満の3ランクで分けて、お客さんを9つに分類。これによって、訪問営業やイベントの招待状やお得な商品のダイレクトメールなどを変える他、裏サービスも変えているとしていました。
●お金を使わない客はクレームも多いから捨てろ!
なお、お客さんの中には、残念ながら呼び出しばかりが多く、商品はめったに買わない人もいるとしていました。こうしたお客さんに人手と時間を取られてしまうと、当然、お得意さんへの対応が十分にできなくなります。厳しい言い方になりますが、そうしたお客さんは「捨てる」覚悟が必要だとしていました。
こういうのはありそうですね。もともとでんかのヤマグチは安売りせずに価格を上げるという点に興味を持って読んでいたのですけど、価格を上げたらトンデモなお客さんが減ったとか、安くすればするほどひどい客が来るとかいった話をよく聞きます。嫌な話になってしまいますが、お金を使わない客には、態度の悪い客が多いようなのです。
うちでは、タイトルがすでにそういった話になっている、
安いお店の客はクレーム多く民度低い?低い家賃で滞納率も高く?という別の投稿で、こういった「お金を使わない客はクレームも多い」系の例をいくつか書いています。客観的に見たデータや研究の類ではないですが、経験談としては多いです。安いお店が大好きな私としては残念な話なんですけどね…。
●取引先は選んで差別せよ 徳島インディゴソックスはスポンサーを減らして黒字化
この紹介していなかったでんかのヤマグチの話を今頃持ち出してきたのは、
徳島インディゴソックス、本日も奮闘中!:日経ビジネスオンライン(片瀬 京子 2018年3月29日)を読んだため。この成功例を見ていると、でんかのヤマグチと似た「客は選んで差別せよ」という共通点が感じられたんですよね。
万年赤字だった徳島インディゴソックスの場合は、厳密に言うと、「客」ではなく「スポンサー」を選別しています。なので、このケースでは「取引先は選んで差別せよ」といった方が、より正確かもしれませんね。ただ、考え方の肝となっている部分はいっしょだと思います。
33歳で新たな球団代表に就任した南啓介さんは、スポンサー契約の内容を調べて頭を抱えていました。スポンサーが球団を通さずに選手にサービスしたり、逆に選手が球団が知らないうちにお店の宣伝したり…と、しっかりサポートをしてもらっているスポンサーに対して説明がつかないケースが起こっていたそうです。
そこで契約の見直しを行ったものの、中には、チーム発足前から応援していたのにと、反発をされることもあったそうで、2015年度は338だったスポンサー数が、2016年度には40ほど減りました。ところが、スポンサー収入はかつての3000万円前後から、4400万円ほどに増えているのです。スポンサーが減ったのに収入は逆に増えたんですね。
この理由は詳しく書かれていないものの、1企業当たりのスポンサー収入が増えていることから、「本当にインディゴソックスを支えようと思っている企業」が増えたためと考えられます。それまでは競合他社がスポンサーであることを理由に、インディゴソックスとは縁がないと思っていた企業も新たにスポンサーとなった、と書かれていましたので、これも大きそうでした。
やる気のない取引先を増やしても仕方ないのでむしろ減らして、やる気のある取引先に力を入れるべき…というのは、スポーツチームに限らず、ビジネス全般で言える話。差別ではなくお得意さん重視といえば、むしろ普通の話ですね。お得意様を重視するというのは、ビジネスの一つの正解であるようです。
●倒産寸前の小さな電器店が顧客を半分近くにして増収増益!
2019/11/19:こちらに追記できそうな話だなと思った
顧客を半分近くにして増収増益:日経ビジネス電子版(日経トップリーダー 2019年10月17日)という記事。3年前まで倒産寸前だった東京都八王子市の小さな町の電器店が復活したということで、また電器店。あれ、これも「でんかのヤマグチ」だったかな?と思いました。
読んでみると、パナソニック系列の電器店「パナピット イトウ」(現ライフテクト イトウ)という「でんかのヤマグチ」とは別の会社。幸い全く同じ店の話ではありません。ただし、「でんかのヤマグチ」の山口さんに助言をもらった…ということで、結局、「でんかのヤマグチ」関係の話ではあったみたいですね。
ライフテクト イトウの伊藤直樹社長は、まず過去5年以上購入実績がない顧客の訪問営業をやめる候補にしたそうです。逆に言うと、過去5年以上購入実績がないところにも訪問販売に行っていたんですね。不思議です。次に、基本的には車で片道1時間以内の場所の顧客ということで、距離でも絞り込みしました。
その上でさらに購買頻度と累計購入額で9つに分類しています。ここらへんは、まるっきりヤマグチ方式ですね。そうして、累計購入額と購買頻度が高い得意客から順に、集中的に訪問営業を実施。また、ちょっとした頼み事にも応じる、値引きはやめるなど、その他も成功体験のあるヤマグチ方式でやりました。
●値引きをやめたら客は怒るどころではなく、驚きの行動に…
とはいえ、伊藤直樹社長はこわごわの実行。そりゃそうですよね。わかります。しかし、得意客からの価格に対するクレームはほぼなく、提示した価格のまま買ってくれて拍子抜け。それどころか、きめ細かく訪れて相談に乗る伊藤社長の姿勢に共感し、今まで以上の高額商品を買ってくれる客すら登場。えらいことになりました。
不思議に思えますが、今回の記事はわかりやすい説明がついています。ライフテクト イトウの得意客というのは、そもそも店に価格の安さを求めていなかっと指摘されていました。価格を重視するお客というのは、とっくに量販店やインターネット通販に流れていて、それよりサービスを求めていたという指摘です。
他に「ネットを使えない」などの理由もあるのではないか?とも私は思いました。ただ、そうであってももっと安い家電量販店に行くという選択肢もあるでしょう。わざわざよくライフテクト イトウで買っていた客というのは、そういった選択をしなくて、なおかつお金を持っている客だというのは納得できます。
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