「先生」の話をまとめ。<むしろ尊敬できない「先生」と言われる職業 教師、医師、議員など>、<先生という呼称が原因?肩書や服装だけで人間の行動は狂う>などをまとめています。
2023/08/11:
一部見直し
●自民党の先生の暴行はよくある?「あれくらいなら多い」と擁護
2017/7/2:自民党の豊田真由子議員のブチ切れは、
秘書に暴行で告発された豊田真由子・河井克行議員 評判も以前から悪かった二人でも紹介しています。
豊田真由子議員は政策秘書に対し、普段から「鉄パイプでお前の頭を砕いてやろうか!」「お前の娘にも危害が及ぶ」と恫喝。運転中に「このハゲェー!!」などとキレた上に、暴行まで働いていました。普通の企業であれば到底許されません。パワハラブラック企業として叩かれるでしょう。
しかし、驚くのはこれについて、同じ自民党の河村建夫元官房長官が、「かわいそうだ。男性の衆院議員なら、あんなのはいっぱいいる。気持ちは分かる」と言ってたこと。同じ投稿で自民党の河井克行議員の暴行も紹介していましたが、自民党の男性議員ではキレて暴行を働く議員は珍しくないのだそうです。
●むしろ尊敬できない「先生」と言われる職業 教師、医師、議員など
この豊田真由子議員の暴行事件に絡んで、
このハゲ! キレるセンセーと立派な先生を分ける「ノブレスオブリージュ」 | オトナンサー(2017.07.01)という記事が出ていました。ファイナンシャルプランナーであおばコンサルティング代表取締役の加藤圭祐さんという方が書いています。加藤圭祐さんは、"確かに「先生」と呼ばれる職種の人が「キレやすい人」である確率は高いように感じます"としていました。
"理由の一つは、先生を頂点としたヒエラルキー"にあるのではないか?と予想。"先生と呼ばれる方々は、その集団では圧倒的な力を持って"いるため、"周囲にいさめる人がいない「小さな世界の独裁者」となった先生の振る舞いは年月とともに、どんどんヒドくなっていきます"。"先生方は「自分が尊敬されているか」というセンサーが過剰で「普通に扱われる」ことを極端に嫌"うそうです。
そういえば、学校の先生から政治家の先生になったという経歴の、やはり自民党の議員である義家弘介文部科学副大臣も紹介順が後ろだったというつまらないことでキレていました。特別に扱われないと気が済まないようです。
(関連:
ヤンキー先生義家弘介、紹介順が後になり「民意の否定」と抗議 厚木市の成人式で)
一方、自然に尊敬を集める先生は、「ノブレスオブリージュ」を意識しているとしていました。"これは「高い地位にある者は社会的責務を負う」という欧米の貴族社会の考え方"です。"「いばるのではなく責務を果たす」ノブレスオブリージュの考え方は、チヤホヤされて勘違いしている先生方が自らを律するために必要"だとしていました。
●先生という呼称が原因?肩書や服装だけで人間の行動は狂う
私も教師、医師、議員など先生と呼ばれる人たちはむしろ尊敬できないことが多いという印象です。尊敬されているように思える「先生」という呼び名のせいで、「増長しているのではないか」とも常々思っていました。ただ、これらの話は個人の経験談であり、裏付けなどの話は一切ありません。それっぽい話ではあるものの、あまり良くない記事でした。
なので、もう少し別なアプローチで。実は過去の研究で、ある役割や格好などをすることにより、その人の行動が変わってしまうということがわかっているのです。
例えば、
カジュアルな服装の企業はビジネススーツの企業より優れている?で出てきた話では、スーツを着ることで、自信を持ったり、物事を見る視点が変わることなどがわかっています。服装だけで、人は影響を受けてしまうのです。
より強烈なのが、
ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験 ネットリンチと正義の暴走でやったミルグラム実験やスタンフォード監獄実験という人体実験でしょう。
このうち、ミルグラム実験では、参加者を「生徒」役と「教師」役に分けて、「生徒」が答えを間違えると、「教師」は「生徒」に電気ショックを流すよう指示さえるという実験です。
この電気ショックは次第に強くなっていくということになっていました。そして、数回電気ショックを流すように指示されてもなお「教師」役が拒否した場合は、その時点で中止することを密かに決めていました。研究者らが見たかったのは、この「どれくらいで彼らが中止を求めるか」というところでした。
実験では、あらかじめ録音された「偽の『生徒』が苦痛を訴える声」などのリアクションがだんだん悲痛になっていくため、多くの「教師」役が早い段階で実験中止を申し出るだろうと事前に予想されていました。ところが、早い段階で実験中止を申し出た「教師」役は一人もおらず、壁を叩いて実験中止を求めたところでやっと初めての中止が出るといった結果。用意されている最高の電圧まで上げきった「教師」役も多かったそうです。
同様にスタンフォード監獄実験というのも、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうというのを証明した実験でした。
●
これらの実験は極端なもので批判もあるのですけど、肩書によって人が暴走してしまう可能性を感じさせる研究結果であり、「先生」と呼ばれる人々が傲慢な態度を取りやすくなるのもわかる気がします。
これはもちろん彼らの行いを擁護する意味で言っているわけではありませんよ。「だからこそ注意せねばいけない」という話です。
私はさらに一歩進んで、こういった傾向があることを定期的に周知したり教育したりする、部下からの評価を査定に組み込んで暴走を食い止める、勘違いを少なくするために「先生」と呼ばれる人々の特権や権利を制限したりむしろ権力を周囲より弱める、「先生」という呼称を改めるなどなどの対策を行っても良いんじゃないかとも思います。
●お医者さんの卵の学生、遊んでいるのを注意されて「看護師のくせに」
2018/07/30:京都大学医学部医学科は、問題ある医師を世に送り出さないためには、学生のころから「プロフェッショナリズム」を評価・指導することが重要であると考え、2013年から「アンプロフェッショナルな学生の評価」という取り組みを行っているそうです。
これは「先生」という呼び方によってトンデモ医師ができるという考え方と異なるのですけど、「アンプロフェッショナルな学生の報告例」に上がっている事例の一つが、医師は特別だという意識がもろに現れたものでしたのでここに追記することに。以下のようなものでした。
「ナースステーション内でゲームをしていたので看護師が注意をすると『看護師のくせに』と逆ギレした」
(
常識はずれの医師を作らないために 京大が挙げた問題事例の驚愕 : J-CASTニュース 2017/6/ 9 18:36より)
また、他の事例でも「自分は特別だ」といった感覚がありそうなものが見られます。
「患者に失礼な態度を取り、クレームが来たことを伝えると『あんな患者は来なくていい』と言い出した」
「実習で担当した外国人の患者からクレームが入ると、差別的な発言を患者に聞こえるような大声でした」
すべてが実際に報告された内容ではなく、他の施設での事例などを参考に作成したものだそうです。でも、他のところで類似例があるってだけでも十二分にやばい内容ですよね。
これは、研修医になってからでは教育できないとして、2013年から始めたばかりの新しい試みですので、その前に医者になった人には適用されていません。つまり、このレベルの人たちがそのまま世に出ていたというわけ。勘弁してほしいです。
【本文中でリンクした投稿】
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カジュアルな服装の企業はビジネススーツの企業より優れている? ■
ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験 ネットリンチと正義の暴走 ■
秘書に暴行で告発された豊田真由子・河井克行議員 評判も以前から悪かった二人 ■
ヤンキー先生義家弘介、紹介順が後になり「民意の否定」と抗議 厚木市の成人式で【その他関連投稿】
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