民主主義は戦争の副産物の続きです。
4.民主政治
細かいところはかっ飛ばしますが、重要だったのはペルシア戦争のようです。そう、また、戦争なのです。
当時の軍船は先端に鉄のかたまりが付いていて、敵船の横にぶつけて穴をあけて沈めてしまうというやり方だったようです。
これは船の機動力が高い方が勝ちますので、漕ぎ手がたくさんいた方が良いようです。その漕ぎ手は奴隷で、船が沈んだら自分も死んでしまうという、つらくしんどく危険な仕事です。
ところが、このペルシア戦争では、その漕ぎ手に貧乏平民が立候補。それまで戦争に参加することが出来なかったのが、やっと役に立てるというわけです。
彼らは自分たちのポリスを守るための戦いですから士気は抜群で、奴隷が漕ぎ手のペルシア海軍に勝ります。その他、地の利もあったようですが、これで勝利。
すると、「俺達が漕いだから勝てたんだ!俺達にも参政権を!」と漕ぎ手である貧乏平民の発言力が増します。前回書いた「財産政治」の開始と同じ流れで、彼らにもに参政権が与えられることになりました。
めでたしめでたしなのですが、ギリシアは奴隷制度の社会であり、アテネの場合、
民会に参加できる成年男子=4万人
成年男子を含めた市民=18万
奴隷=11万
といった内訳だったようです。
これはパッと見、市民と成年男子の割合が不思議です。
単純に半分を女子とすると、男子は9万人。そのうち民会に参加できる成年男子が4万人ですから、残りは5万人。
成年に達するまでの死亡率、成年になってからの死亡率ともに、今よりずっと高いとは思いますが、未成年の方が多いというのは妙な気がします。
ひょっとすると、この数字は参政権保持者が少なかった時期のものなのかもしれません。
先の身分のうち、奴隷にはもちろん参政権はありませんが、「喋る家畜」で人間としての権利など全くないとのこと。「奴隷に働らかせて、ぶらぶらしている市民達の民主政」とのことで、そう聞くとあまり美しいものではありませんね。
さらに市民でも女性は権利はなく、女は子供を産む道具で、男達からは対等な人格を持った存在とは考えられていなかったとのこと。ギリシャ神話からはそんな感じしないなと思い調べると、都市国家によって違うらしいですから、「アテネでは」ということかもしれません。
対等な人格がないから女とは愛も生まれずペット感覚、生死を共にするから男同士で愛が芽生えるのも当然といった話も書かれていて、びっくりです。本当なんしょうかね?(調べると、異説はありそうでした)
それはそうと、この民主制のしくみです。
民会=国政の最高機関です。18歳以上の男子市民による直接民主政。
公職担当者=抽選。くじなので役人もエリートだからと威張らない。腐敗もない。現代と違い、規模も小さいし、それほど複雑な行政制度でもないので抽選でやれた。
将軍=例外で抽選でなく選挙。戦争の指揮というのは、才能や人望が必要。
ペリクレス時代(前443~前429)にアテネの民主制は完成しましたが、この時代はアテネの絶頂期でもあったらしく、直接民主制素晴らしいねと思ったら、この話には裏があるようです。
このペリクレス時代のペリクレスとは人名で、さっきの例外の将軍職です。15年連続して選ばれ、その地位からアテネの政治を指導したようで、完全に平等のように見えてもやはり指導者は必要だったのだと説明されています。
さらに、アテネでは後に、目先の自分の利益を第一に考える衆愚政に陥ります。これは「民主政と見た目で違いはありません」とのことで、結局良い人がたくさんいないとまともに働かないようです。
とすると、
直接民主制が解決しないもので書いたように、間接民主制であっても民衆みんなが賢くならないと、良い政治は行われないという同じ結論に辿り着く気がします。(
直接民主制が解決しないものの方が後の更新なのは、私が投稿する順番を間違えたためです)
関連
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直接民主制が解決しないもの ■
民主主義は戦争の副産物 ■
直接民主制の長所と短所 ■
その他の政治について書いた記事 ■
思いやり予算はやはり日本の損? ■
浦安市前代未聞の選挙拒否 ■
リバタリアン・パターナリズムの例
Appendix
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