2016/6/8:
●裁判員は命がけ 暴力団員の殺人未遂事件で圧力
●声かけのあった公判で、報復恐れたのか辞退者続出
●裁判をやり直す可能性も
●有名人なら報復も容易…裁判員制度ではどのように対応してる?
2020/05/05:
●傍聴人が裁判員に接触し「あいつは他にも20件くらい放火してる」
●裁判員への情報提供は違法 そもそも素人裁判員に公平な裁判は難しい?
【クイズ】有名人などが裁判員に選ばれた場合、その人の身元がわかる可能性が高いです。このようなケースの説明について正しいものはどれでしょう?
(1)身元が分かってしまう可能性が高い場合は辞退が可能。
(2)身元が分かってしまうというだけでは辞退できない。
(3)身元が分かってしまうことが明らかなケースでは、そもそも選出されない。
●裁判員は命がけ 暴力団員の殺人未遂事件で圧力
2016/6/8:裁判員制度の問題点について、以前シリーズ的に書いたことがあります。今回はその中でも、
裁判員制度最大の問題点?名前を知られて逆恨みなどで報復の可能性に関わる問題。圧力と見られる行為がありました。
工藤会系公判、裁判員に「よろしく」 被告知人?声かけ:朝日新聞デジタル 2016年5月30日16時17分
福岡地裁小倉支部で開かれていた殺人未遂事件の裁判員裁判で、被告の指定暴力団工藤会系組幹部(40)の知人とみられる男が5月中旬、複数の裁判員に閉廷後、「よろしく」などと声をかけていたことが関係者らへの取材で分かった。同支部は予定していた判決期日を取り消した。評議に影響を与える恐れがあると判断した模様だ。(中略)
関係者によると、知人とみられる男は北九州市小倉北区の同支部付近で、審理を終えて退出した複数の裁判員に、「よろしく」という趣旨の言葉をかけたという。裁判員から報告を受けて同支部が把握したとみられる。同支部は13日、判決期日を取り消す決定をした。同支部の川崎道治・庶務第1課長は取材に「判決期日を取り消したのは事実だが、理由は明らかにできない」とコメントした。
工藤会は2012年12月、全国で唯一の特定危険指定暴力団に指定された。裁判員法は、裁判員やその親族らに危害が加えられる恐れがある場合は、裁判官だけで審理できると定めている。これまで同会系組員らの刑事裁判をめぐっては、裁判所が「裁判員らの生命や財産に危害を加えるおそれがある」などとして、裁判員裁判から除外される例が福岡地裁と同地裁小倉支部で計5件あった。今回の事件では「組織性が薄い」として、除外対象にしていなかった。
●声かけのあった公判で、報復恐れたのか辞退者続出
上記のニュースのときにも書こうと思ったものの、忙しいときだったのでボツにしました。ただ、続報が来たので、このタイミングで書くことに。裁判員の辞退者が出たのです。そりゃそうですよね。仕事でやっている人ならともかく、こんなのに一般人が命をかけるメリットは何一つありません。
裁判員4人辞任申し出、解任 工藤会系公判、声かけ問題:朝日新聞デジタル 2016年6月8日16時01分
福岡地裁小倉支部であった殺人未遂事件の裁判員裁判をめぐり、被告の指定暴力団工藤会系組幹部(40)の知人とみられる男が複数の裁判員に声をかけていた問題で、地裁支部が裁判員4人から辞任の申し出を受け、7日付で解任の手続きをとったことがわかった。
地裁支部や被告側弁護人によると、4人から辞任の申し出があり、地裁支部が解任を認めたという。
●裁判をやり直す可能性も
「地裁支部は4人について、声をかけられた裁判員かどうか明らかにしていない」とのこと。裁判所の人って自分たちの非を認めたがらないんですよね。今後、審理をやり直すかについてすら「コメントしない」と素っ気ないです。
ただ、"解任で裁判員6人のうち4人が欠けることになり、補充裁判員2人を含めても補え"ません。これは無効になるんじゃないでしょうか?
実際、ある司法関係者も「新たに裁判員を選任しても審理を見ておらず心証も分からない。裁判をやり直すことになるのではないか」としていました。
というか、これはもう裁判員裁判から除外するべきでしょう。前述の通り、自分たちの非を認めたがらないので、意地を張ってしまうかもしれませんが…。
●有名人なら報復も容易…裁判員制度ではどのように対応してる?
クイズにした有名人の裁判員の問題は、
裁判員制度最大の問題点?名前を知られて逆恨みなどで報復の可能性で書いた話。
【クイズ】有名人などが裁判員に選ばれた場合、その人の身元がわかる可能性が高いです。このようなケースの説明について正しいものはどれでしょう?
(1)身元が分かってしまう可能性が高い場合は辞退が可能。
(2)身元が分かってしまうというだけでは辞退できない。
(3)身元が分かってしまうことが明らかなケースでは、そもそも選出されない。
【答え】(2)身元が分かってしまうというだけでは辞退できない。
有名人特権があったらあったで納得行かないでしょうが、一切特権はなく、辞退できないとのことでした。本当、もうちょっとどうにかならなかったのか?というひどい制度です。
●傍聴人が裁判員に接触し「あいつは他にも20件くらい放火してる」
2020/05/05:
東京新聞:傍聴人が裁判員接触「影響なし」 東京高裁、弁護側の控訴棄却:社会(TOKYO Web)(2020年4月22日 18時25分)という記事が出ていました。報復があったわけではないのですけど、裁判員との接触があったということから、危険性を感じさせるということでこちらに追記しています。
放火事件の裁判員裁判で、審理期間中に傍聴人が裁判員に接触し、「起訴された事件以外も被告がやった」(引用者注:別記事によると「起訴されていない別の放火も被告がやった」という言い方。さらに、「20件ぐらいやった」報じたところもあるようです)などと話したそうです。
この別件の放火が真実かどうかは不明ですし、そもそも起訴されていないということは証明されていない、さらに言うと証拠が不十分な事件だったとも言えます。ただ、このような働きかけがあった場合、裁判員が被告にとって厳しい判断をしやすいと考えられるでしょう。悪いやつに違いないと考えやすくなるためです。
●裁判員への情報提供は違法 そもそも素人裁判員に公平な裁判は難しい?
当然、不公平な裁判となった恐れがあるとして、弁護側が手続き違反を主張しました。ところが、控訴審判決で、東京高裁は「影響はなかった」と判断し、弁護側の控訴を棄却。問題を知らせていなかったことについて、「裁判所が検討すれば足り、情報提供する義務はない」と切り捨てました。
弁護人は判決後、「問題が起きても明らかにしなくて良いと宣言したに等しい判決。裁判員制度を信用できなくなる」と批判。私も問題を感じましたので、東京高裁の判断は理解できませんでした。
別記事の
傍聴人、裁判員2人に接触 情報提供でも「法令違反なかった」 東京高裁棄却:朝日新聞デジタル(2020年4月23日 5時00分)によると、そもそも裁判員法は審理に影響を及ぼす目的で裁判員に意見を述べるといった行為を禁じています。
裁判長は「傍聴人が裁判員に情報を伝えることは容認できず、裁判所は接触が起きないように努力すべきだ」とは言っていました。ただ、結局は問題なしって判断なんですね。「一方的に情報提供を受けただけの裁判員に公平な裁判を期待できなくなるわけではない」という意味がわからないことを言っています。
この件についての解説を探したものの、見つからず。なので、よくわかりませんでした。また、これはやはり素人である裁判員がやっているからこその問題のような気がしますね。裁判長はわけのわからないことを言っていましたが、素人なんですからこうした情報の影響を受ける可能が当然プロより高いと考えられます。
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