【クイズ】インドで鍵付きの冷蔵庫を発売して大ヒットさせた企業はどこでしょう?
(1)サムスン
(2)ハイアール
(3)パナソニック
●インドで活躍する日本企業は少ない…日本企業のインド進出が難しい理由
2016/6/10:
「日本ブランド」が効かない?--インド進出が難しい3つの理由 - CNET Japan( 佐々木誠(マイクロアド・インディア代表) 2016/04/19 08:00 )というタイトルを見て、
インドは儲からない 嫌われる国で成功したスズキとユニ・チャームとで書いたのと似た話かな?と読んでみた記事。
インドは将来中国とともに世界的に最も重要な国になると思って注目しているのですが、残念ながら日本企業はあまり活躍できていません。記事であった理由の一つ目は「(1)合弁でいくのか独資でいくのか、進出の仕方が定まらない」となっていました。ただ、これはわかりづらいまとめ方ですね。
これは要するに、「合弁会社・独資会社どちらにしてもデメリットが大きい」という話。独資会社の場合、「人材・労務管理」や「財政界との人脈」に課題があります。また、困ったことに「インドは外資規制の厳しい国」でもあるそうです。海外企業を喜んで受け入れている…というわけではないんですね。
じゃあ…と言って、合弁会社を設立すると、今度は意思決定が難しくなります。特に議論が苦手な日本人は、議論に強いインド人に負けてしまい、日本企業の思うようにはならないってことになるとの説明でした。同じ意思決定に関する理由で、日本企業は買収が下手だとする記事も過去に読んだことがあります。
また、信頼できる合弁パートナー企業を見つけることも難しいと今回の記事では説明。ただ、信頼できる相手が見つからないというのは、独資会社やインド以外の新興国においても同様でしょう。新興国では人の見る目に自信を持っていると豪語する社長があっさり騙されるということがしばしばあります。
●販売網を構築しづらい他、日本製品に価値を感じないインド人
1個目の理由はまとめづらくて困りましたが、2つ目は「(2)国土が広く、販売拠点を築くのに時間がかかる」というタイトルだけで何となくわかります。ただ、「販売拠点を築くのに時間がかかる」よりも「販売網を構築しづらい」と言い換えた方が、よりわかりやすいかもしれません。
<インドの国土は日本の約9倍である。人口100万人以上の都市が50近くあり、一つ一つの距離も非常に遠い。また、インド国内には小売店舗数が1400万超あるとされるが、その多くは家族経営の小規模店舗である。(中略)
日系のコンビニエンスストアが展開できておらず、日系企業にとっては「販売チャンネル」が大きな問題になっている。
元記事のタイトルで取り上げられていた日本ブランドというのは、最後「(3)「日本ブランド」が活かせない」でした。日本ブランドが世界中で信頼されていると思っている我々日本人にとってはショッキングな話なのですが、インドの人はあまり日本製品に価値を感じていないとのこと。中国や東南アジアとは異なるとされていました。
<中国や東南アジアにおいては「日本製品は優れている」という、これまでに築かれたブランドがある。また、街中にも日本製品があふれており、現地の人々に当たり前のように購入されている。一方、インドにおいてはそういったものが全くない。私は広告の仕事をしているが、最も困るのがその点である。
顧客からは「ジャパン・クオリティ」といった訴求軸を入れたいという依頼がくるが、インド人には意味が伝わらない。日本に対する印象は悪くはないが、インド人に対して「カレー」や「ターバン」を連想する日本人がいるように、インド人の日本への印象はそれほど明確ではない>
●「日本ブランド」にこだわるとダメ…日本が見習うべきはサムスン
「日本ブランド」が通用しない国でどうするか?と言うと、私の好きなローカライズを作者の佐々木誠さんは推していました。ローカライズが得意な稀有な日本企業と言うと、ユニ・チャームが思い浮かびます。大好きなので、
インドネシアで庶民の味方になった日本企業ユニ・チャーム アジアシェア首位など、何度も書いています。
インドは儲からない 嫌われる国で成功したスズキとユニ・チャームで書いたように、ユニ・チャームが数少ない成功企業であるのは、このローカライズゆえかもしれませんね。日本式が最高で海外でも通用するはず…という根拠なき「日本ブランド」の幻想を抱いている企業は通用しないのです。
なお、このローカライズの成功例は、記事だと韓国企業のサムスンを出していました。日本企業が見習うべきはサムスンだというのです。
安さ以外でサムスンが売れる理由 使いやすさとアフターサービスで書いたように、サムスンはアフターサービスでもアジアでは好評でした。
【クイズ】インドで鍵付きの冷蔵庫を発売して大ヒットさせた企業はどこでしょう?
(1)サムスン
(2)ハイアール
(3)パナソニック
【答え】(1)サムスン
今回の記事では、「やるべきことは、製品が素のままで受け入れられるようなローカライズ」と指摘。そして、サムスンの場合、「地域専門家制度」によって、多くの国への進出を成功させているそうです。これは若手社員を海外に派遣し生活させる制度だそうで、これだけ聞くとなんてことありません。日本企業もやっていそうです。
ただ、1年間は会社の仕事はせずに人脈づくりや言語・文化の学習によって現地に馴染むことに集中する…と説明されると特異性がわかります。若手社員を海外に派遣し仕事させる…ではなく、「生活させる」というのがポイントなんですね。サムスンの鍵付きの冷蔵庫は、こうした制度から生まれたヒット商品だとのこと。インドでは中流以上の家庭のほとんどはメイドを雇っているのですが、彼らによるつまみ食いを防ぐために鍵付きの冷蔵庫を発売してみたところ、大ヒットした…という経緯だそうです。
私は寄付みたいなものより、企業は本業で社会貢献すべきだといつも書いています。こうした喜ばれる製品づくりというのは、基本中の基本であるだけでなく、それ自体が立派な社会貢献になります。日本企業では最近「技術がある」とか「いいものを作れば売れる」とか、消費者より作り手の論理が優先されがち。日本企業も一度基本に立ち返って、消費者に喜ばれる製品づくりを心がけた方が良いでしょう。
【本文中でリンクした投稿】
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