日本でも自治体に議会を置かず、直接民主制が可能という話を書いていました(2016/6/11)。その後、今になって村総会設置を検討すると、高知・大川村が宣言したので追記しました。(2017/07/04)
2016/6/11:
●自治体に絶対議会や議員が必要なわけではない 町村総会の直接民主制も可能
2017/07/04:
●まさか!?高知県大川村が村総会設置検討 その理由とはいったい?
2020/08/28:
●町村総会設置は問題だらけの一方、議員のなり手がいないと永遠に再選挙!
●自治体に絶対議会や議員が必要なわけではない 町村総会の直接民主制も可能
2016/6/11:例えば、民間企業であれば、規模の大きさによって組織が大きく変わるということは当たり前です。グローバル企業と大企業と中小企業と家族でやっているところで皆同じようにやる…なんてことは、ナンセンスです。ところが、これが自治体という話になると、途端に保守的になってしまいます。今あるやり方を変えてはいけないと思ってしまうんですね。
一方、あまり融通は効かないのですけど、一応自治体で違う制度を取ることが可能な例もあります。議会です。町村議員は絶対に必要というわけではなく、議会を設けなくても良いことになっているんですよ。知っていました?
直接民主制 - Wikipedia
日本では地方自治法第94条及び第95条による規定により、「町村総会」の設置が認められており、八丈小島にあった宇津木村(東京都)では1955年(昭和30年)に八丈村と合併するまで村議会が置かれずに直接民主制による村政が行われていた。また旧制度の町村制の施行下における神奈川県足柄下郡芦之湯村(現在の箱根町の一部)の事例で村議会が置かれずに直接民主制による村政が行われていた。
「町村総会」という項目もありましたので、そちらも読んでみましょう。
町村総会 - Wikipedia
町村総会(ちょうそんそうかい)とは地方自治法(昭和22年法律第67号)第94条および第95条による直接民主制を実現する制度。町村においては、条例によって、議決機関である議会を置かず、それに代えて選挙権を有する者の総会を設けることができることとされる。なお、同法第94条では「総会」、第95条では「町村総会」と呼称が分かれているが、通常は後者が用いられる。
事例
過去の実例としては、町村制下における神奈川県足柄下郡芦之湯村(現在の箱根町の一部)の事例と、地方自治法下における東京都宇津木村(現在の八丈町の一部)の事例が報告されている。現在までのところ、町村総会の設置はこの2例(現行法上は1例)のみにとどまる[1]。
宇津木村では、地方自治法に基づいて同村が設置(それまで同村には島嶼町村制も施行されず、例外的に名主制度が存続していた)された1951年から、八丈村等と合併して八丈町となる1955年まで町村総会(名称は村民総会[2])が設置されていた[3]。
旧憲法下の参考事例ではあるが、芦之湯村では少なくとも1891年から1945年まで町村総会(名称は公民総会)が設置されていた記録が残る[2]。
ただ、まあ、実際問題、いきなり議会をなくすってのは極端ですよね。上記にあった宇津木村がそうであるように、かなり極端に小さいところでないと、直接民主制はできません。宇津木村は八丈小島にあったのですが、今は無人島だそうです。本来でしたら、うまいこと簡素化できる中間くらいの制度があると良いでしょう。
●まさか!?高知県大川村が村総会設置検討 その理由とはいったい?
2017/07/04:などと書いていたら、最近になって村総会を検討し始めるというところもあるそうです。過疎化の影響でしょうか?村総会の話があったのは、
高知・大川村が「村総会」設置へ検討 村長正式表明 :日本経済新聞(2017/6/12 10:39 (2017/6/12 11:51更新))という記事。"高知県大川村は12日、村議会を廃止して「村総会」を設置する検討を始め"ました。
こちらによると、「人口減少による議員のなり手不足を背景に」という説明。"大川村は離島を除く自治体で人口が全国で最も少ない"とのことで、人口が減ったからという話の推測はある程度当たっていたものの、直接的には議員になりたがる人がいないというものでした。
大川村の人口は約400人。段階的に議員定数を減らして、現在は6人。議員の平均年齢も70歳を超えています。和田知士村長は「議会を残すことが大前提だが、もしものために消極的な選択肢を用意する必要がある」と説明しており、村総会は本命ではないようでした。
ただ、記事が"過疎化が進むなか、地方自治のあり方を考える先行的な取り組みになる"としていたように、自治体の規模の大小を考えていない議会という制度には問題があります。村総会を検討しなくてはいけないほど、現在の制度には柔軟性がないと考えるべきでしょう。
●町村総会設置は問題だらけの一方、議員のなり手がいないと永遠に再選挙!
2020/08/28:高知県大川村の件を補足。まず、法律では議員の欠員が定数の6分の1を超えた場合、再選挙を行うことを定めているというのがポイント。定員が6の大川村では、4人しか立候補しなかった場合には再選挙となります。なので、立候補者がいなければ永遠に再選挙という困ったことになるのでしょう。「もし次の選挙で2人以上が引退し、新たななり手が出てこなければ、村はどうなるのか」ということでの「町村総会」の検討示唆だったそうです。
「総会」の実施方法は、法律では明確に規定されていません。村が実施に向けた課題を整理していくと、「数百人規模の採決を行う方法は?」「有権者の交通手段はどう確保するのか?」といったさまざまな障壁が明らかになりました。課題の洗い出しは40項目を超え、総会開催の難しさを示しています。
一方で、和田知士村長の覚悟は村民の心を少しずつ動かすことに。村がすべての村民を対象に行ったアンケート調査で、「将来、議員に立候補してもいい」という人が複数いることも判明。こうしたことから和田村長は、その年の9月議会で「町村総会」の検討中断を公表。総会は実現されませんでしたし、後に実際、立候補者が出たようです。
(
日本一小さな村の2年間 大川村の挑戦 | 各地からの報告 | 統一地方選2019 | NHK選挙WEB 2019.03.26より)
ただ、ここらへんはやはり日本のやり方に問題を感じますね。今回はたまたま立候補者が出てくれたものの、そううまくいくとは限りません。飽くまでたまたまであり、確実なものではありませんでした。また、今回の話で出てきたように、議員を出さない「町村総会」もハードルが高いもので難しいです。現実的に使える別の制度が必要でしょう。
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