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マシリトが少年ジャンプの原則「友情・努力・勝利」や王道を全否定


 少年ジャンプ関係の話をまとめ。<『週刊少年ジャンプ』の黄金期と復活の功労者である鳥嶋和彦氏>、<マシリトが少年ジャンプの原則「友情・努力・勝利」や王道を全否定>、<『進撃の巨人』の作家、「ジャンプらしくない」でデビューできず>などをまとめています。

2023/03/17追記:
●ジャンプなら進撃の巨人打ち切りかテコ入れで別物バトル漫画に? 【NEW】
2023/06/04追記:
●王道よりも流行!進撃の巨人ヒットでジャンプもパクリ路線か? 【NEW】

進撃の巨人(全34巻)




●『週刊少年ジャンプ』の黄金期と復活の功労者である鳥嶋和彦氏

2016/6/20:少年ジャンプの伝説的な編集者マシリトこと鳥嶋和彦さんのインタビューがおもしろかったです。【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話 | 電ファミニコゲーマー企画記事(2016年4月4日)というものでした。

 鳥嶋和彦 - Wikipediaによると、鳥嶋和彦さんは、『週刊少年ジャンプ』編集部に配属され、以後一貫してジャンプ関連の雑誌・書籍の編集を担当した人。

 漫画以外にも、企画ページの「ジャンプ放送局」、「ファミコン神拳110番」などの編集や、連載漫画のメディアミックス化を手がけたり、堀井雄二さんをゲームの世界に導いたり、『ドラゴンクエスト』誕生にも一役かっているとされていました。インタビューはここらへんを聞いているものですね。

 編集者として多くの漫画家を発掘・育成しており、中でも鳥山明さん、桂正和さんの2人が当人達の成功もあり特に有名。彼等は様々な場面で鳥嶋さんを恩師と呼んでおり、鳥嶋さんが『Vジャンプ』を立ち上げた際に連載を行うなどと繋がりが深いといいます。

 鳥山さんについては『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』(孫悟空少年編 - ピッコロ大魔王編)までの編集を、桂については『ウイングマン』の編集や『電影少女』の発案に関わっていました。このうち『Dr.スランプ』の作中で、鳥嶋さんをモデルにしたキャラクターDr.マシリトを悪役として登場させています。名称は「トリシマ」を逆さに読んだものであり、これにより、マシリトは鳥嶋のニックネームとなりました。

 また、1996年2月に『週刊少年ジャンプ』に復帰。売上低迷を打破する切り札として、ジャンプ本誌に呼び戻され編集長に就任したそうです。このときは、『遊☆戯☆王』など連載作品のメディアミックスを精力的に推進。前体制から続く発行部数下落傾向の結果、1997年(平成9年)には『週刊少年マガジン』に発行部数首位の座を奪われるなど、すぐには復活せず。しかし、この頃から『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』などの新人作家のヒット作が再び出てくるようになりました。これはでかいですね。


●マシリトが少年ジャンプの原則「友情・努力・勝利」や王道を全否定

 前述のように、最初のインタビュー記事は、ゲーム関係のシリーズであり、ゲームの話が主体であったものの、漫画の話も少し触れられています。インタビューアーは、ゲームライターで桃鉄の生みの親であり、『ジャンプ放送局』で構成を担当していた さくまあきらさんに取材したときに、さくまさんが「ジャンプで“王道”を学んだ」と言っていたという話をしていました。そして、さくまさんはジャンプのメソッドをゲーム開発に活かしてきたとしていたという話をします。

 ただ、鳥嶋さんは「……なにそれ。さくまさん、そんなこと言ってたの」と冷めた反応。そして、以下のようなやり取りをして、なんと少年ジャンプの特徴と言われる「王道」や「友情・努力・勝利」を否定してしまいました。

鳥嶋氏:「王道」なんてあるわけないじゃん。強いて言えば、そのとき流行ってるものが「王道」だよ。『バクマン』でもそんな話をしていたけど、あの作品は本当に世間に良くない影響を与えてると思うね(笑)。
佐藤氏:でも、ジャンプの方針として「友情・努力・勝利」とか言われるでしょう?
鳥嶋氏:ああ、全く無意味ですね。あんなのはバカが言うことですよ。


●子どもは漫画に「努力」なんか求めていない むしろ大嫌いなこと

 うちのタイトルを短くする関係で「全否定」と書いたものの、正確には「友情・努力・勝利」のすべてを否定しているわけではありません。「友情」と「勝利」は子どもにとって「正しい」としています。子どもにとっての正義、つまるところ、子供が大好きだというわけですね。一方で、"「努力」は子どもは大嫌いなんです"としていました。

鳥嶋氏:実際、昔アンケートをしっかりと取った結果は「友情・勝利・健康」だったんだから(笑)。(中略)まあ「健康」に関しては、さすがにその時代の雰囲気だろうから、今は違うとは思うけどね。

 なぜ努力を子どもが好きじゃないか?と言うと、単に嫌いというよりは信じられない、リアリティがないというのが、鳥嶋和彦さんの見方のようです。うちでたびたび書いているような努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切る的なものでしょうね。

――それにしても、昔からアンケートで「努力」の人気がなかったというのは面白いですね。それこそ、『テニスの王子様』以降の時代なんかであればすごく納得いきますけど。

鳥嶋氏:子供は本当に正直なんだよ。例えば、大人は「子供はどうせ世の中の理不尽さなんて知らないだろう」と思ってしまいがちじゃない。大間違いだね。
 だって、そんなのは学校のクラスを見渡せば分かることだよ。一番モテるのは、結局は頭が良いやつ、テストができるやつだよ。先生からも同級生からも一目置かれるよね。で、次はスポーツができるやつでしょ。カッコいいよね、運動会のヒーローだ。そして顔が良ければ、女の子にもモテる。
 じゃあさ、その全てがない子はどうしたらいいの? 「努力」なんかじゃどうにもならない現実があることくらい、子供は小さい頃からイヤというほど知ってるよ。
 もちろん、漫画というメディアは、そういう子供たちを励ますものとして発展してきたんですよ。でも、そのときに「滝に打たれて修行すれば強くなれます!」みたいなうさん臭い「努力」の物語なんかじゃ、そんな子供たちを励ますことはできない。子供をナメちゃいけないんです。


●ドラゴンボールも努力否定?悟空に置いていかれるキャラクターたち

 そういえば、鳥嶋さんの関わった後の時期ですが、ドラゴンボールは強さのインフレがすごくなって、取り残されていってしまう登場人物が多く出ました。これもよく考えてみると、残酷なストーリーですよね。例えば、ヤムチャとは (ヤムチャとは) [単語記事] - ニコニコ大百科では、以下のような説明があります。

<「強くて悪い砂漠のヤムチャ」として登場したが、天下一武道会でのジャッキー・チュン(亀仙人)戦からサイバイマンとの相討ちに至るまで、常に前座の引き立て役に甘んじ続け、最終的にはほぼモブキャラと化した>
<初登場シーンはラーメンを食べているところで、当時は悪党としての登場。その話のタイトルが上記の「強くて悪い砂漠のヤムチャ」だったが、後述のとおり、「強く」なくなった上に「悪い」人でもなくなり、「砂漠」にも住まなくなってしまい、初期からまったくの別人に変わったキャラクターでもある>

 IQを上げる意味なし 成功に必要なのはグリット、IQや才能は無関係でやったように、すべての努力に意味がないとか、すべては才能で決まるとかでもありません。それは極端すぎます。ただ、「努力は必ず報われる」の方がよほど残酷になってしまうケースもありますから、私は安易に使うべきではないと考えています。


●『進撃の巨人』の作家、「ジャンプらしくない」でデビューできず

2023/01/29追記:ジャンプらしさ…の関係でおもしろかったのが、大ヒットした『進撃の巨人』の作家が漫画をジャンプに持ち込んだものの、ジャンプらしくないと言われてマガジンへ行ったという話。ネットでは『進撃の巨人』を持ち込んだのに門前払いなどと言われていますが、これは誇張かもしれません。

 この件は最初信頼できるソースがわからず困りました。ただ、『進撃の巨人』の作家諫山創さんのオフィシャルブログ現在進行中の黒歴史 : 変身!!!!が元ネタだった模様。ご本人の説明でしたので、信頼性は高いですね。ここを読んでみると、『進撃の巨人』を持ち込んだとは明記されていませんでした。(以下、改行は変更しています)

<気づきましたか...そうですあの冊子は集英社に持ち込みとかしたらもらえるヤツです、二回持ち込みに行ったことがあります、
 たぶんジャンプに持ち込んだ人は解かると思いますが、対応してもらう編集さんは おそらく 本名を名乗らず一見様には「服部」と名乗っていると思います、一人はロン毛の服部さんでした、もう一人は国籍は解からないですが超絶イケメンの白人の服部さんでした、他に持ち込みした人も服部さんで容姿が一致しなかったりです、
 ちなみに二回ともボロクソでした...しかし適切な指摘ですごく勉強になったし、見返したいって気持ちになりました>

<でも子供のころから読んでるジャンプに固執せずマガジンを目指したのは、その二回の持込みで僕の力不足以外の欠点に「漫画」じゃなくて「ジャンプ」を持って来いって言われたことです、当然かもしれませんが編集さんは「少年ジャンプ」と言うジャンルを求めていたからです、
 僕はこう思いました「何かに合わせて漫画を描くってのは、僕が思う漫画を描く意味ってのが損なわれてしまう!(中略)自分の描きたい物は対象年齢とか考えずにやりたかったんで本当....好きに描かしてもらえるマガジンの雑誌でよかったって感じです、(汗)マ、マガジン最高!!(びびりつつ)そもそも自分には週刊連載なんて不可能です、週刊でやってる先生方は例外なく超人です!>


●ジャンプなら進撃の巨人打ち切りかテコ入れで別物バトル漫画に?

2023/03/17追記:最初のときに書いていたように、鳥嶋和彦さんはジャンプが「王道」という考え方で作っているというのには否定的でした。ただ、ジャンプがそういう考え方でやっていると考えている人は多いです。また、ジャンプは連載漫画を早い段階で容赦なく打ち切りして育てない…といったイメージも強いでしょう。

 ここらへんのステレオタイプな少年ジャンプのイメージに関連しておもしろかったのが、進撃の巨人をジャンプで連載しても10週打切りかテコ入れ巨人バトルになっていた - Togetter(2019年11月8日)というまとめ。飽くまで想像の話でしかないのですが、ジャンプなら大ヒットした『進撃の巨人』を育てられなかったのではないか?などといった話が出ています。

兎我野町の半期休学阪急イさん @arai_lovecomedy
進撃の巨人切ったのはやっぱり正解というか、あの時代の少年漫画って画力主導のエロやデスゲームが増えてきてアニメもそういうのになって飽和してきたから進撃が再燃した感はあるかな。ジャンプでやってたら時代的に潰されてたイメージがある。別マガぐらいが丁度良かった。

くまぞう @Whappines
進撃は倫理観のアクが強すぎるのと
残虐描写が克明すぎて週刊少年ジャンプにはあまり合わないと思う。
やっぱり講談社が引き受けて良かったと思う(諌山先生がのびのびと描きたいの描ける意味で)。

鵺ピヨちゃん @sajima_peacock
よく進撃を取り逃がしたジャンプというのは語られるけどジャンプだったらここまでこれなかったろうな…と思う


●王道よりも流行!進撃の巨人ヒットでジャンプもパクリ路線か?

2023/06/04追記:前回の進撃の巨人の話の続き。前回紹介したまとめでは、ジャンプらしくない『進撃の巨人』がヒットしたことで、ジャンプも『進撃の巨人』のような作品を入れるようになったという見方もあったのがおもしろいところ。これは鳥嶋和彦・元ジャンプ編集長が言っていた<「王道」なんてあるわけないじゃん。強いて言えば、そのとき流行ってるものが「王道」だよ>に通じるものがあるかもしれません。

その他のたmk @sntn_tmk
進撃はそのままジャンプでデビューしてたら絶対補正入ってストーリー破綻してただろうから、デビューの場所がジャンプじゃなくて良かったと思う。結果、ジャンプの方が方針変えてきたのは皮肉だが非常に面白いな。

stein@2日目セ23b@instovdr
一番進撃が当たって変わったのは実は少年ジャンプだと思う。アレを取り逃して以降、明らかにバトルモノはハードになったし、犠牲を踏み台にして戦う展開が増えたし、クセのある作家を上手く使う方法を模索し出した感じ。成功例は鬼滅やら呪術やらだが犠牲になった打ち切り漫画の多さたるや……

高遠ひじり@蛍系ゲーマー @ISAF118thMobius
進撃の巨人を取り逃がしたことでジャンプ編集を悪し様に言われることがあるけど(まあROMってるとネットではネタ9割って感じだったけど当時。なんせ絵がね)
ジャンプの本領は進撃の巨人のブームの影響は釣り逃がしてないトコだと思う

進撃の巨人(全34巻)




【本文中でリンクした投稿】
  ■努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切る
  ■IQを上げる意味なし 成功に必要なのはグリット、IQや才能は無関係

【その他関連投稿】
  ■ブラック自慢になりがちな漫画家 水木しげるは睡眠時間を大切にしていた
  ■オタク=金のなる木のはずがトヨタの萌えキャラ大爆死 プリウスのパーツを擬人化して美少女にするも反響なし
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