2020/12/15追記:
●「水道水に毒」「拘置所内でも嫌がらせ」妄想がひどいから無罪?
2022/07/30追記:
●地裁が心神耗弱を認めた結果…妻殺害の犯罪心理学教授の判決が出る 【NEW】
【クイズ】統合失調症と精神分裂病の関係の説明として正しいものはどれでしょう?
(1)「精神分裂病」と呼ばれていたものを「統合失調症」と改名した。
(2)「精神分裂病」は「統合失調症」の一種。
(3)「統合失調症」は「精神分裂病」の一種。
●ネット民「統合失調症・精神疾患なら人を殺しても無罪に決まってる」
2016/6/22:きっかけは、
逮捕の男「死刑になってもいい」 釧路4人死傷(2016/06/21 17:55)などで報じられたイオン通り魔事件の話ですけど、特にこの話に限らず一般論として…というもの。ネットでは、統合失調症・精神疾患=無罪という理解で話をしている人がたくさんいて、本当かな?と思ったんですよね。
<21日午後3時すぎ、北海道釧路市の大型商業施設で、客4人が男に刃物のようなもので刺されました。60代の女性の死亡が確認されています。
(山上暢記者報告)
(Q.事件から3時間が経った現場の現在の様子は?)
(中略)容疑者の男の供述が入ってきました。男は警察の調べに対して「
統合失調症で悩んでいた。死刑になってもいいと思い、殺人が一番いいと思った」というような話をしているということです>
●統合失調症・精神疾患なら殺人でも無罪という誤解
で、検索してみると、弁護士の方たちはそんなことないよという話をしていました。
弁護士ドットコム -[犯罪・刑事事件]統合失調症と、犯罪の因果関係というQ&Aサイトで載っていたもので、この場合はそもそも質問した人が統合失調症を主張した人が有罪になる例が多いと認識しています。
<個人の認識では、昔は統合失調症で、殺人事件などの無罪判決をよく聞いた気がします。
最近は、統合失調症を主張したものの、有罪判決を聞くことが多い気がします。
統合失調症を主張し、有罪になる人とならない人の違いとは、どの辺りに有るのでしょうか?>
zyuuitigatuさん 2015年11月30日 21時59分
そして、弁護士さんの回答としては、例えば以下のようなものが出ていました。統合失調症かどうかだけではなく、その病気によってコントロールできなくなったことを弁護側が証明しなくてはいけないそうです。無罪を勝ち取るには、かなりハードルが高くなっている感じが伝わってきます。
黒岩 英一 弁護士 長崎 長崎市
<統合失調症の発症によって自分で自分をコントロールできなくなって犯罪を犯したといえるのかが問題となります。
統合失調症の発症やコントロールできなくなったことの証明が成功したかどうかが判断の分かれ目です>
●「統合失調症の主張でも有罪」が実は増えている
また、質問者の認識通り、有罪となる例が増えているとしている弁護士もいました。熊本 熊本市 南区の菅 一雄 弁護士は、以下のような説明です。以前は基準が不明確だったようですね…。
<昭和59年の最高裁判例が、5回の精神鑑定が行われ、医師の結論も統合失調症という点は変わりないがタイプなどの評価に差があった、そういう事件に関して、
・被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であるから専ら裁判所の判断に委ねられている
・原判決が、所論精神鑑定書(略)の結論の部分に被告人が犯行当時心神喪失の情況にあつた旨の記載があるのにその部分を採用せず、右鑑定書全体の記載内容とその余の精神鑑定の結果、並びに記録により認められる被告人の犯行当時の病状、犯行前の生活状態、犯行の動機・態様等を総合して、被告人が本件犯行当時精神分裂病の影響により心神耗弱の状態にあつたと認定したのは、正当として是認することができる。
と判示しました。
その後、心神喪失による無罪が統計的に減っています。 >
【クイズ】統合失調症と精神分裂病の関係の説明として正しいものはどれでしょう?
(1)「精神分裂病」と呼ばれていたものを「統合失調症」と改名した。
(2)「精神分裂病」は「統合失調症」の一種。
(3)「統合失調症」は「精神分裂病」の一種。
【答え】(1)「精神分裂病」と呼ばれていたものを「統合失調症」と改名した。 (「精神分裂病」という名称が、精神そのものが分裂しているというイメージを与えるために、2002年8月に改名されました。偏見の問題もありますけど、実際の症状とは異なっていますのでそもそも不適切で間違った病名だったと言って良いと思います)
●精神疾患で無罪のハードルは上がった
菅一雄弁護士は上記の前にも一度書き込んでおり、<歴史的には、統合失調症ほかの精神疾患患者の責任能力に関する重要裁判例がいくつか出されてきた結果、
現在では昔よりも厳密な説明を求められるようになった傾向はあるかもしれません>と記していました。先ほど引用した部分より平易な説明もあります。
<統合失調症という病気には、いろいろな病態があるとされています。単純型、破瓜型、緊張型、妄想型とかの分類があるようです。病気の程度もいろいろです。
ですから、統合失調症の方にも、違法かどうか分かる人もいれば分からない人もいる、踏みとどまれる人もいれば踏みとどまれない人もいる、というわけです。(もっと正確に言うと、犯罪行為を行ったその瞬間にそういう状態だったかどうか、ですが。)>
仮に統合失調症によって頻繁に殺人を起こしてしまうのであれば、その対策も必要だろうと私は思っていました。人権の問題があり、人権派の人は非難でするでしょうが、いつ人を殺すかわからない人たちを放置しておくのは危険ですからね。ただ、そもそも精神疾患患者が人を殺すような状況に至ることは稀なようです。
●「水道水に毒」「拘置所内でも嫌がらせ」妄想がひどいから無罪?
2020/12/15:実例を挙げていくときりがないと思うのですけど、たまたま
日置市5人殺害事件 - Wikipediaのケースが目につきました。2018年に鹿児島県日置市で加害者の男が自身の父親・祖母ら計5人を手や腕で次々と絞殺したという事件についての判決です。まだ地裁判決であり、確定ではありませんけどね。
このケースで争われたのは、「妄想性障害」の犯行への影響。
妄想性障害とは - コトバンク 知恵蔵miniの解説によると、妄想性障害は妄想が1カ月以上続く精神疾患の一種という説明で、やはり「精神疾患」です。妄想性パーソナリティ障害より重度であり、統合失調症による妄想ではないとみられる障害のことを指します。
彼の場合、同居していた母親に対し「誰かに監視されている」「俺の悪口を言っているだろう」などと言うようになって暴力も奮ったとのこと。また、事件後は「同級生を地元から転居させて孤立させようとしたり、自分の車を故障させたりした」「水道水に毒を入れられた。事件後、拘置所内でも同じような嫌がらせを受けている」などと述べているそうです。
弁護人は「被告人は事件前から幻聴があり、やがてその幻聴を伯父のものと妄想するようになった。この妄想性障害の支配を大きく受けて犯行におよんだ」と述べた上で、「事件当時、心神耗弱(=刑事責任能力が限定された)状態だった」と主張。起訴前に被告人の精神鑑定を担当した精神科医も「深刻な精神状態で、統合失調症の可能性もある」という見解を示していました。
ところが、起訴後に鑑定を担当した別の医師は「障害が犯行に与えた影響は少ないか、まったくない」という別の見解を示します。Wikipediaではそこに触れていませんが、ニュースによると地裁もこちらの見解を支持。2020年12月11日の判決公判で、鹿児島地裁は被告人が完全責任能力を有していたと認め、鹿児島地検の求刑通りに死刑判決を言い渡していました。
●地裁が心神耗弱を認めた結果…妻殺害の犯罪心理学教授の判決が出る
2022/07/30追記:
犯罪心理学の浅野正・文教大准教授が妻殺人容疑で逮捕で波紋で書いた話をこちらにも追記。浅野正・文教大元准教授は「妻の殺害を認める」一方で、心神喪失の状態のためとして、地裁の裁判で無罪を主張していました。検察側も妄想性疾患は認めていたようです。
<13日、さいたま地方裁判所で始まった裁判員裁判で、被告は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めました。
一方、弁護士は当時被告が心神喪失の状態だったとして無罪を主張しました。
続いて検察は「被告は弁護士に離婚の相談をしたり妻と別居したりする中で、妻と娘が自分を自殺に追い込み財産を横取りしようとしていると妄想するようになり殺害を決意した。被告は妄想性疾患にかかっていたが正常な判断で行った面も残っていた」などと述べました。
裁判は被告の責任能力の程度が争点で、判決は来月22日に言い渡される予定です>
(さいたま 妻殺害事件裁判 被告の元准教授の弁護士が無罪主張|NHK 首都圏のニュースより)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220513/1000079855.html
この判決では、裁判官も妄想や心神耗弱の状態にあったことを認めます。ところが、心神耗弱を認めても、無罪ではなく有罪だったんですよね。<路上で妻を殺害の罪 元大学准教授に懲役7年の判決>[テレビ朝日 2022/06/22 18:20]という記事によると、以下のような説明。無罪になりづらくなっていることがよくわかると思います。
<今月22日の判決で、さいたま地裁は「3人の娘を育てながら懸命に仕事をしていたのに突如、路上で絶命しており、その無念さは察するに余りある」と述べました。
一方、法代さんらが自分を自殺に追い込もうとしたなどと「妄想を抱えるなかで、怒りの感情が生じて視野狭窄(きょうさく)に陥った」と指摘しました。
そのうえで「犯行時に心神耗弱の状態にあった事案のなかで、重い部類に属するとまではいえない」などとして懲役7年を言い渡しました>
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000258876.html
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