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マザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文


【クイズ】死を目前にした人の身体的ならびに感情的な苦しみを緩和する目的でつくられた療養所などを何と言う?

(1)サナトリウム
(2)ホスピス
(3)ホスピタル


●改宗の強制し慈善の金を浪費したのに聖人に列せられるマザー・テレサ

2016/6/29:マザー・テレサさんを批判する記事が出ていました。マザー・テレサは聖人ではなかった | Krithika Varagur(投稿日: 2016年04月12日 21時56分 JST 更新: 2016年04月13日 11時03分 ハフポストUS版「)というものです。マザー・テレサが聖人に列せられるというタイミングでの記事でした。

 書いているのは、インド出身のクリティカ・ヴァラグールさん。インド人にとってマザー・テレサさんは馴染み深い人でしょう。マザー・テレサさんは、今の北マケドニア共和国・スコピエ出身でしたが、小さいころから将来インドで修道女として働きたいという望みを持っていて、実際に、インドに行ってインドを中心に活動するようになりました。

 さて、記事の内容です。マザー・テレサさんが問題なのは、改宗の強制、独裁者との疑わしい関係、収益の不適切な管理、それに、質の悪い医療などといった点。また、彼女が慈善の金を第三世界に浪費した典型的な白人だったこともされていました。


●マザー・テレサは聖人などではない オタワ大学で批判的な研究論文

 彼女の崇高なイメージは、2013年、オタワ大学の研究で、マザー・テレサを取り巻く「人のために尽くした寛容な行為の神話」は覆えされたとしています。崇高なイメージは、事実と異なっており、現実は、基本的に弱体化したカトリック教会がメディア・キャンペーンを強要した結果だったと結論付けていたそうです。

 マザー・テレサさんはその生涯に、100カ国で計517の慈善活動を行っていますが、研究では、医療を求めた者はほとんど診療してもらえなかったと指摘。医師は不衛生な、「適していない」環境で診療しなければならず、食料も不十分で、鎮痛剤もなかったそうです。

 一方で、マザー・テレサさんの名声があったため、資金が足りなかったわけではないといいます。研究者らによれば、診療環境が十分でなかったのは、彼女が「苦しみと死に対する独特の信念」を持っていたからだとのこと。キリスト教では忍耐を神聖視しており、それをひねくれた見方で理解した結果ではないかといったことも書かれています。

 実際、ジャーナリストのクリストファー・ヒッチェンスさんが投げかけた疑問に対し、マザー・テレサさんは、「キリストの受難のように、貧しい者が苦しむ運命を受け入れるのは美しいものです。世界は彼らの苦しみから多くのものを得ています」と答えていたそうです。


●「マザー・テレサ批判はすでに反論済みである」という主張も

 「他の国の人間を助けようとするよりも、身近な人を愛してあげてください」といった彼女の言葉に共感は覚えます。ただ、私は、人生に関する名言 (世界平和のためにできることは)「家に帰って家族を愛してあげてください」(マザー・テレサ)で書いたように、マザー・テレサさんに引っかかるものを感じていました。

 前述の通り、彼女自身は自分が生まれた国よりインドに感心があり、さらに世界中を飛び回っていた…という方。「他の国の人間を助けようとするよりも、身近な人を愛してあげてください」という言葉とは矛盾しています。ただ、上記の話も本当かな?と思うところがあるので、都合よく信じるわけにも行きません。

 反論はないか?とはてなブックマークを確かめました。すると、“このへんで反論済みの話 http://s.ameblo.jp/marco-s/entry-11495553063.html なんだけど、USサイトでもゴシップサイトに釣られたライターがおるんか”(KoshianX 2016/04/12)というコメントが人気になっていました。

 ただ、このコメントの「ゴシップサイトに釣られた」は誤解かミスリードですね。リンク先は、日本のゴシップサイトで見かけたマザー・テレサ批判に反論しているものなのですが、ハフィントン・ポストの記事の方はこの日本のゴシップサイトもしくは別のゴシップサイトを元にして書かれたものではありません。

 記事ではきちんと「2013年、オタワ大学の研究」と、参考にした文献名を挙げています。本来でしたら、マザー・テレサ批判への反論も論文の形になっているものが望ましいと思いますが特にそういうものは見つかりませんでした。他の投稿でよく書いているように論文がすべて正しいわけではありませんが、相対的に見て個人の文章の方が信頼性が落ちます。よほど論理的で説得力あるものではないと、なかなか信用しづらいです。とりあえず、この反論についても後で見ていきます。


●「洗脳看護」「カルト施設」…日本のゴシップサイトも同じ論文が元ネタか?

 先に、問題の日本のゴシップサイトとされていた記事について。これは、聖女ではなかったマザー・テレサ 「洗脳看護」「カルト施設」、その実態とは!? - ハピズム(2013.03.13)というもの。こちらはインドの新聞からの孫引きっぽいですが、結局、論文が元ネタのような感じ。論文ベースの記事でしたら、むしろ好ましいと感じるほどです。

 この記事によれば、インドの日刊インターネット新聞「The Times of India」に、「Mother Teresa 'saint of the media', controversial study says」とのタイトルで、マザー・テレサのこれまでのイメージがメディアによって作られたものであるという研究結果が出たと、掲載されたそうです。

 カナダの宗教学専門誌「Religieuses」最新号で、モントリオール大学とオタワ大学の研究員たちが書いた論文が発表されました。マザー・テレサの美談や名声は、カトリック教会の誇大宣伝のためにでっちあげられたものであり、聖人には程遠い人物だったという内容です。

<彼らは、マザー・テレサに関する文献資料、約300件を調査し、「マザー・テレサが世界中に開設した517もの『死を待つ人々の家』ホスピスは、衛生状態が悪く、医薬品も慢性的に足りず、満足な治療が施せなかったと報告されている。しかし、彼女の修道会『神の愛の宣教者会』は何百万ドルもの多額の寄付金を受けており、金銭的に困っているわけではなかった」という事実を突き止めたと発表。
 そして、「マザー・テレサは、患者の痛みを和らげることはせず、痛みに耐えることを賛美して癒やすという、怪しげなことをしていた。多くの病人が、彼女の元を訪れれば、医師が治療をしてくれると思っていたにもかかわらず、彼女は、イエス・キリストの受難のように、痛みに耐えることは尊いことだと繰り返し言うだけだった」「人気が低迷しつつあったバチカンは、劣悪な環境で痛みに苦しむ人たちに『あなたは素晴らしい人間なのよ』と優しく接している、マザー・テレサのことをまさに“生きる聖女”だと大げさに宣伝することで、カトリックのイメージアップを図ろうとした」と指摘した>

 無神論者のジャーナリスト、クリストファー・ヒッチンズさんは、長年、マザー・テレサはとんでもない食わせ者だと主張し続け、それに関する本まで発行しています。こちらは研究論文ではないために信頼性が劣るわけですが、以下のように厳しく批判していたそうです。

「彼女が世界中から集めた寄付金を使えば、ベンガルにファーストクラスの病院を建てることだってたやすいことだった。しかし、彼女はそうせず、衛生状態の悪い、あまりにもひど施設に患者を収容し、ろくに治療を施さなかった。痛みを和らげるなど嘘だ。死ぬこと、痛みに耐えることを賛美する、まさしくカルトのような施設だったのだ」「信仰する宗教に関係なく看病したというが、それも嘘。朦朧とした患者に、痛みに耐えれば天国へ行けると、繰り返し言い、洗脳した」


●医療は目的じゃない!病気の治療や痛みの緩和より大事なものとは?

 これに対する反論というさっきはてなブックマークで言われていたものも読んでみました。ただ、そもそも反論っぽくないんですよ。批判と反論の内容が対応していないのです。ここでは、蘇生させるための医療行為を行うのが目的ではなく、道端でのたれ死んでいく人々を運んできて、お食事を差し上げる、キリストの福音の本質を語りかけるのが大事だという主張がなされていました。


【クイズ】死を目前にした人の身体的ならびに感情的な苦しみを緩和する目的でつくられた療養所などを何と言う?

(1)サナトリウム
(2)ホスピス
(3)ホスピタル

【答え】(2)ホスピス (サナトリウムは、長期的な療養を必要とする人のための療養所。ホスピタルは病院(・総合病院という意味です)


 コトバンクによると、ホスピスとは、死を目前にした人の身体的ならびに感情的な苦しみを緩和する目的でつくられた療養所や病院のこと。ホスピスの語源は中世ヨーロッパにさかのぼり,慈善による貧民の救済施設および巡礼者や旅人の休憩所をさしたそうです。

 上記のようにそもそもホスピスに「感情的な苦しみを緩和」という目的がありますので、それが目的というのはその通りではあります。マザー・テレサさんが作ったものは、蘇生させるための医療行為を行うのが目的ではないというのは事実その通りなのでしょう。


●痛みの緩和をしていないことには反論なし…つまり事実なのか?

 ただ、そもそも批判というのはお金の使い道として、患者の治療や痛みの緩和を選んだ方が患者さんに役立つんじゃないの?というものでしたから、反論になっていないように見えます。痛みの緩和をしていないことには特に反論していなかったようなのですが、こちらは立派にホスピスの目的の一つであり、これすらしていなかったのなら不可解です。

 また、世界中にある施設と修道院のシスター達を維持していくためには費用がかかるとも主張されていました。ただ、これも「だからその費用を患者さんに回したらいいんじゃないの?」という批判なので、やはり反論になっていません。反論に「キリストの福音の本質を語りかけるのが大事」をさらっと混ぜてきているように、ここらへんは結局キリスト教の布教が大事ってことじゃないの?とツッコまれそうなところでした。

 さらに、すでに金持ち用の病院はそもそもあるから作る意味はないという反論が出ていたのも、よくわからなかったです。金持ちのための病院を作れ!という批判はそもそも出ていません。出てもいない批判を持ち出して、それに対して反論してみせているという形。うーん、何か議論が噛み合っていないような感じですね…。


●海外の貧しい人たちを救う活動より目の前のできることをしましょう!

 私が共感すると書いたマザー・テレサさんの「他の国の人間を助けようとするよりも、身近な人を愛してあげてください」といった発言。これは、海外の貧しい人たちを救う活動に精を出すより目の前のできることをしようという意味だと解釈して良い呼びかけだと思っていました。

 この解釈で言うと、マザー・テレサさんにもブーメランな感じなんですよね。前述の通り、マザー・テレサさんは母国を離れてインドに行ってインドを中心に活動するようになりました。それだけでなく、その後は世界中を飛び回って活動していました。

 今回の話においても、たとえ1つでも設備の整った貧しい人のための病院を作れば良かったのじゃないの?という、彼女への批判の方にむしろ「他の国の人間を助けようとするよりも~」の理念に合いそうな言葉。なので、申し訳ないのですが、私はマザー・テレサさんの行動にはどうしても引っかかるものを感じてしまいます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■人生に関する名言 (世界平和のためにできることは)「家に帰って家族を愛してあげてください」(マザー・テレサ)

【その他関連投稿】
  ■ゴッドファーザー3が評価されなかった理由 キリスト教のタブーに触れたせい?
  ■サンタクロースはなまはげだった ドイツの黒いサンタ(ブラックサンタ)
  ■宗教勧誘はやめて!などの宗教批判をジョークにするとこうなる
  ■救世軍少佐「クリスチャントゥデイは統一教会」で訴訟 結果は?
  ■キリスト教のクリスマスの起源はパクリ キリストの誕生日も無関係
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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