(2021年の衆議院選挙の前に再投稿。今回が初めての本格的な野党統一候補であり、プラスとなるかマイナスとなるかは正直やってみないとわからないと思っているのですが、過去のアンケート調査を見ると、無党派の人に野党統一候補批判・共産党アレルギーはあまりなさそうな感じ。その後もこの説を強化する出来事が起きています)
野党統一候補、特に共産党との選挙協力を盛んに批判する人がいます。私もこうしたことを嫌う人はかなりいるのでは?と思っていました。ただ、日経ビジネスオンライン読者のアンケートを見ると、賛成の方が多く、反対の割合は与党や保守政党を支持する人と同程度。声がでかい人が騒いでいるだけで、無党派層など、一般人は全く気にしていない可能性があります。
2017/10/17追記:
●完全に逆…左翼・リベラル派排除は一般人はむしろ望んでいなかった?
2017/11/01追記:
●野合を希望?アンケートで見える「左右を問わない野党再編への期待」
【クイズ】日経ビジネスオンライン読者のアンケートで、「消費税を10%に引き上げることについてどう思いますか」で「引き上げるべきだ」「どちらかと言えば引き上げるべきだ」と答えた人はいくらくらいだったでしょう?
(1)およそ3割
(2)およそ5割
(3)およそ7割
●野党統一候補批判・共産党アレルギーは保守だけ?反対は3割のみ
2016/7/1:精神論で勝てもしない戦いを挑んだり、互いに潰し合って勝てるチャンスを潰すのは馬鹿だと思いますので、そういったところで立候補者を立てないというのは当然だと思います。ただ、野党統一候補とまでなると、副作用が心配されます。自民党支持者が「野合だ」と盛んに批判していたように、敏感になる人がいるかもしれません。
特に共産党アレルギーというのはネックになりそう。私自身も野党統一候補がうまく作用するのかな?と懐疑的だったのですが、日経ビジネスオンライン読者のアンケートを見ると、それほどアレルギーはない感じでした。どちらかと言えばを含む賛成に近い回答が6割の一方、反対に近い回答は3割程度しかいなかったのです。
<Q6 民進党、共産党などによる野党統一候補についてどうお考えですか?>
賛成 30.1%
どちらかと言えば賛成 32.8%
どちらかと言えば反対 11.8%
反対 20.2%
わからない 5.1%
(
舛添問題、自民党の致命傷にはならず:日経ビジネスオンライン(林 英樹 2016年6月27日)より)
●3割の中身が問題…野合批判を真に受けているのは与党支持者だけ?
初見では大したことないと思ったこの3割という数字。実際、どうなのでしょうね? 3割でも十分に怖いと考えられるかもしれません。一方で、与党であってなおかつ共産党が大嫌いな自民党や公明党・創価学会を支持する人が野党統一候補を評価するはずがないとも考えられますから、3割はかなり少ないと考えられるかも知れません。
なので、支持政党や投票したい候補がいる政党も見てみましょうか?
無党派層獲得レース、民進党が自民党抑える:日経ビジネスオンラインによると、自民党は支持政党・投票したい候補どちらも3割前後。公明党はどちらも1、2%程度でした。公明党低いな! ついでに言うと、自民党に近いおおさか維新の会は5%ちょっとです。
ということで、与党・保守政党支持の割合と野党統一候補を評価しない人の割合は3割程度とほとんど同じくらいの数字になりました。この数字からすると、自民党などの支持者以外は特に気にしていないのではないか?というふうに見ますね。。野合批判は一般向けではなく、支持者向け・内輪向けのパフォーマンスと考えるべきかもしれません。
●信頼性が高い調査ではない…調査対象がかなり特殊であることに注意
ただ、気になるのが上記のような公明党の異常な支持率の低さです。そもそもこのアンケートは、日経ビジネスオンライン読者のものですからね。なので、かなり偏りがあります。学歴や所得などのプロフィールは、一般的なものとは異なるでしょう。アンケート結果をそのまま理解するのは危険です。
こうした特殊性を感じたのは、同じアンケートであった消費税増税への質問でした。「Q8 消費税を10%に引き上げることについてどう思いますか」ではなぜか具体的な数字が書かれていないものの、最も多いのが「引き上げるべきだ」であり、4割ほど。「どちらかと言えば引き上げるべきだ」と合わせると7割ほどにもなっています。高いですね。
【クイズ】日経ビジネスオンライン読者のアンケートで、「消費税を10%に引き上げることについてどう思いますか」で「引き上げるべきだ」「どちらかと言えば引き上げるべきだ」と答えた人はいくらくらいだったでしょう?
(1)およそ3割
(2)およそ5割
(3)およそ7割
【答え】(3)およそ7割
ちゃんと確かめていませんが、このように将来的な消費税増税には強く理解を示しているという傾向は、国民全体を対象にした普通のアンケートでは、あまりないんじゃないかな?と想像します。いずれにせよ、こういった読者にだけ聞いたアンケート(ニコニコ動画やヤフーのアンケートなど)を、一般のものといっしょにしてはいけないというのは常識。ここらへんは気をつけなくちゃいけません。
●完全に逆…左翼・リベラル派排除は一般人はむしろ望んでいなかった?
2017/10/17追記:この投稿であったアンケートを思い出す話がありましたので追記します。野党統一候補の話ではなく、左派の話でもないのですが、民進党と希望の党との合流において、小池百合子都知事や前原誠司代表がリベラルを排除した件です。左派アレルギーに似たものがあります。
(リベラルについては、
リベラルは左派・左翼ではない 中道右派なのでむしろ右寄りを参照)
希望の党は当初、民進党のメンバーで新たなプラットフォームを作るものだと説明されており、実質的に民進党全員を丸呑みするという説明でした。ただ、野合批判を続けられることを恐れたのか、地が出たのか、小池百合子さんが民進党の議員に踏み絵を迫り、リベラルを排除する発言をして方針転しています。
左翼アレルギー的なものがあるのであれば、この小池百合子さんの判断は悪いものではなかったでしょう。ところが、これが完全に裏目に出ました。国政政党・希望の党への支持率は、むしろ野合という批判が出たときで高く、排除発言後で低くなりました。一部から出ていた野合批判が的外れで、実際には多くの人は気にしていなかった可能性があります。
こうした誤解と思われる批判が出るのは、自民党などの政治家や支持者がそうであるように、保守派自身が中道や左派を大いに嫌っているためでしょう。自分の気持ちと、一般人の気持ちとの違いがわからないのです。もともと小池さんも前原さんもバリバリの保守であり、同じような勘違いをしていたのだと予想されます。
なお、ネトウヨ的な記事が増えて最近ほとんど読んでいなかったダイヤモンド・オンラインでも、排除発言はむしろマイナスだったという見方の記事がありました。
<合流が明らかになると、小池氏は「(民進党を)まるごと受け入れるなどさらさらない」「排除します」などと上から目線の発言を連発。この発言は、元々、前原氏の提案した合流構想に懐疑的だった民進党の議員たちを怒らせてしまい、希望の党に対する国民の期待感もしぼんでしまった。
「排除」発言は、小池都知事に対する有権者の期待までも損ねてしまった。権力者に対して立ち向かう「チャレンジャー」がウリのはずなのに、「排除いたします」と冷たく言い放つその姿は、権力者としての振る舞いそのものだったからだ。結果的に、マスコミ各社の世論調査でも、希望の党の支持率は伸び悩み、自民党との差を縮められないでいる>
(
小池代表「慢心発言」はなぜ飛び出した?野党再編劇の舞台裏 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン 2017.10.17より)
(2017/10/23追記:希望の党の結成に中心的な役割を果たした若狭勝さんも「小池氏が『排除』という言葉を述べて、風が変わった。さらに小池氏の衆議院選挙への立候補に対し、有権者の期待が高まる中、公示直前に『出ない』と言ったのは戦略的によくなかった。より一層風を止めて、アゲインストの風になってしまった」としていました。
落選の若狭氏「『排除』発言で風変わった」 10月23日 15時54分NHKより
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171023/k10011194481000.html)
個人的には主張が違う人はなるべくいっしょにならず、別々でまとまるべきだと考えており、民進党の分裂は良いことだと思いますし、自民党も「野合」的政党なので分裂すべきだと思います。ただ、自分の考えがそうだからと言って、他の人が同じ考えとは限りません。これがわからない人は問題があります。
●野合を希望?アンケートで見える「左右を問わない野党再編への期待」
2017/11/01追記:ユーザー限定の調査より、世論調査の方がはるかに信頼性が高いです。日本テレビが2017年10月27~29日に実施した世論調査によると、国政政党である「希望の党」の政党支持率は共産党より下になりました。さらに、調査では、選挙で「希望の党が振るわなかった理由」も聞いています。こちらについても続けて紹介します。
<政党支持率>
自民党(36・5%)
立憲民主党(13・8%)
公明党(4・7%)
共産党(4・5%)
希望の党(4・2%)<希望の党が振るわなかった理由>
「小池代表は国政よりも都知事の仕事を優先するべきだから」(28・9%)
「小池代表が合流を希望する人の一部を排除すると発言したから」(27・1%)
「結果的に民進党に所属していた人の多くが希望の党から立候補したから」(15・2%)
(支持率共産以下…希望“凋落”のワケ 小池氏「排除」発言で大ダメージ 日テレ世論調査 夕刊フジ / 2017年10月31日 17時12分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/31fujizak20171031011/
「結果的に民進党に所属していた人の多くが希望の党から立候補したから」が15%で全体の3位になっていますが、自民党・公明党の支持者の回答が4割を占めることを考えると、全く高い数字ではありません。それより多い3割程度ある「都知事の仕事を優先」と例の「排除」発言が、野党に投票する可能性がある人の本音に近いと思われます。
なお、「都知事の仕事を優先」という批判であった「自治体の首長が国政に」というパターンでは、橋下徹大阪市長(当時)や松井一郎大阪府知事の日本維新の会にも言える話でしょうね。私は小池代表が大嫌いではあるものの、ここらへんの批判にはダブルスタンダードがあることは指摘しなくてはいけません。
さらに調査であった一番望ましい野党再編においても、以下のように「立憲民主党を中心に」という声が最も大きくなっていました。「今のままでよい」がそれに続く多さですが、前述の通り、回答者に与党支持者が多いことを考えなくてはいけません。したがって、これも野党に投票する可能性がある人は、左右を問わない野党再編を望んていると考えられそうな結果です。
<一番望ましい野党再編>
「立憲民主党を中心に再編する」39・9%
「今のままでよい」31・8%
「民進党を再び結集する」7・5%
希望の党を中心に再編する」6・0%
前述の通り、私個人としては望みませんけどね。立憲民主党は、自民党の補完勢力的な存在である希望の党や日本維新の会とは距離を置いた方が良いと思います。
(2021/10/26追記:その後、希望の党は壊滅してバラバラに。このとき最も多い受け入れ先であったのは新党・国民民主党でしたが、こちらも再度分解してさらに議員数が減りました。結果として、かなりの人が望んでいた「立憲民主党への集結」が進んだ一方で、右派系にも一部流れています)
2021/10/27追記:読み直していて思ったのですが、無党派の人って支持政党ありの人より投票率が低くなりそうな感じ。なので、たとえ無党派の人に野党統一候補批判・共産党アレルギーがなかったとしても、野党の得票に繋がりづらくて結局勝てない…ということになりそう。野党としては投票率を上げて、無党派の人にたくさん来てもらわなくてはいけなそうです。
【本文中でリンクした投稿】
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