【クイズ】グラミー賞を何度も受賞したアメリカ合衆国のヒップホップ・ミクスチャーグループである、ブラック・アイド・ピーズのリーダーのウィル・アイ・アムさんは、レコードが出てくる以前に音楽で最も儲かっていたのはどの職業だと考えているでしょう?
(1)楽器屋
(2)建築家
(3)ミュージシャン
冒頭に追記
2022/04/13追記:
●オンラインライブは有望?リアルの10倍分のチケット販売を達成 【NEW】
●超大物しかオンラインライブは成功しない…業界は冷めた見方 【NEW】
●本当にオンラインは無理?韓国は海外で大成功して世界で人気 【NEW】
●「超大物じゃないと儲からない」って本当か?むしろマイナーで… 【NEW】
●オンラインライブは有望?リアルの10倍分のチケット販売を達成
2022/04/13追記:<日本の音楽市場規模は拡大中 CDは売れないけどライブは増加、年間公演回数・動員数とも成長>という話をやっていたのですが、その後状況が激変。新型コロナウイルス問題によるライブ会場の感染リスクで、ライブ業界は壊滅的な打撃を受けることになりました。
この対策として良いのがオンラインライブ。音楽以外の業界でもこうしたオンライン映像ビジネスは意外に需要があるという話を聞いたことがあったので、興味あるところでした。ところが、今のところビジネスとしては使い物にならないのかもしれません。ネガティブな記事が出ていました。
その記事というのは、
なぜサザン、嵐クラスしか稼げない? オンラインライブの頼りなさ:日経ビジネス電子版(2021.4.1 高尾 泰朗)というもの。とりあえず、タイトルになっているうちのひとつ、サザンオールスターズは以下のようにむしろ大成功な感じなんですけど…。
<2020年6月、音楽の聖地といわれる横浜アリーナで人気バンド「サザンオールスターズ」がライブを開いた。新型コロナウイルス禍の真っただ中で、約1万7000人入る会場に観客はゼロだった。
このライブは、事前にチケットを買った人へのオンライン配信という形を取り、購入者は約18万人に上った。横浜アリーナで10回ライブを開くのと同じ数だ>
●超大物しかオンラインライブは成功しない…業界は冷めた見方
ぴあによると国内の20年のオンラインライブ市場規模は448億円。記事では、<コロナ禍で19年比8割縮んだリアルライブの市場規模714億円(推計)に遠く及ばない>としたものの、思った以上の規模であり、私はむしろ有望に見えました。ただ、中身を見ると、この数字は一過性のものだと考えられるようです。
<しかも、オンラインライブのうち大部分は20年末で活動を休止した人気アイドルグループ「嵐」が稼ぎ出したともいわれる。
リアルなライブに比べ、チケットの単価は落とさざるを得ない。さらに、オンラインライブを定期的に開くと観客数が落ちていくというデータもあるという。サザンですら、20年末に実施したライブ配信では「6月ほどの盛り上がりはなかった」(業界関係者)>
80本ほどのオンラインライブを開いたという、エイベックス黒岩克巳社長CEO(最高経営責任者)はマネタイズが難しいと告白。「何十万人といった規模で視聴者を集めることができるようなアーティストであれば、ビジネスとして成立する。ただ、そういうアーティストが日本にどれだけいるだろうか」としています。
タイトルになっているような<トップクラスの集客力を持つアーティストが関わる場合しか、現時点では稼げる段階にない>というのが業界の見方だそうです。
●本当にオンラインは無理?韓国は海外で大成功して世界で人気
ただし、この方向性でも可能性がありそうだったんですよ。エイベックスは中国韓国という海外を強化中。海外市場を考えると、一気にパイが広がるためです。オンラインライブの成功の話ではありませんが、実際、韓国は海外で大量のファンを獲得しており、オンラインライブでも成功できそうな感じがあります。
<同じアジアでも、お隣の韓国を見ると勢いが違う。米音楽界で最も権威があるといわれるグラミー賞。韓国の男性グループ、BTSの「Dynamite(ダイナマイト)」が21年の最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートされた。この曲はYouTubeの公式チャンネルで9億回以上再生された。他にも男性アイドルグループのEXO、女性グループBLACKPINKなどK-POPアーティストの層は厚い。
韓国の音楽市場は世界2位の日本の4分の1ほどしかない。BLACKPINKらを抱えるYGエンターテインメントなど、米国に進出する事業者が多い。
ソニー・ミュージックエンタテインメント元社長の丸山茂雄氏は「楽曲制作に米国のカルチャーを理解した韓国系米国人が携わり、コンテンツの訴求力が強い。社員が短期間しか駐在しない日本のようなあり方ではなかなか良いコンテンツを作れない」と指摘する>
●「超大物じゃないと儲からない」って本当か?むしろマイナーで…
あと、記事では、大手レコード会社の視点だったのでそういう話が全くなかったのですが、超大物とは全く逆に小規模なところでの成功例が結構あるのでは?と思いました。最初からネットでファンを獲得していき、少数のコアなファンがアーティストを支える…という形です。
この形では当然レコード会社を成立させ、レコード会社の社員らの給料を賄っていくことはできません。ただ、もともとレコード会社や多くのスタッフが絡んでいないため、ビジネスとして成立している例がありそう。要するにユーチューバー的なものであり、これならいくらでも成功例があるでしょう。
なお、もともとやっていた「レコードが出てくる以前に音楽で最も儲かっていたのはどの職業?」という話は、時代によって音楽関連産業で儲かる人が変わっている…というものでした。必ずレコード会社が儲からなくてはいけないということではないので、ここらへんの構造が変わっても構わないと思われます。
●CDは売れないけどライブは増加、年間公演回数・動員数とも成長
2016/7/4:パソコンやスマホなどのハイテク機器のせいで音楽が売れなくなった…と言う人もいますが、
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会:ACPC(年別基礎調査報告書 平成27年)によると、ライブは好調だった模様。以下のように前年よりライブ動員が増えていました。
年間公演回数(単位:本)
1. 総公演数 29,546(107.1%)
年間動員数(単位:人)
1. 総動員数 47,533,118(111.5%)
ちなみに公演数・動員数ともに伸び方が大きいのは北海道、北陸信越、九州沖縄あたりです。むしろ「地方」というイメージがある地域の方が増えまくっている…というのは、おもしろいですね。
2. 地域別公演数
北海道 1,050(114.1%)
東北 2,037(101.4%)
関東 11,252(103.5%)
北陸信越 1,550(120.2%)
東海 2,682(108.1%)
近畿 6,218(102.7%)
中国四国 2,160(116%)
九州沖縄 2,582(123.6%)
2. 地域別動員数
北海道 1,390,268(130.1%)
東北 1,699,083(137.6%)
関東 25,026,098(107.2%)
北陸信越 1,253,148(125.3%)
東海 3,343,045(117.6%)
近畿 9,904,047(109.6%)
中国四国 1,748,864(114.5%)
九州沖縄 3,168,565(123.6%)
●人数だけじゃなくて売上も激増!日本の音楽市場規模は拡大中
上記はライブ数と観客の人数だけでした。ライブ数と観客の人数だけだと、儲かっていないのにライブ数だけ増えている…といった可能性もあります。ところが、以下を見てわかるように、売上もちゃんと伸びています。むしろ売上の方が伸びが大きいので、収益も良いかもしれません。
市場規模(単位:円)
1. 総売上額 318,634,672,225(115.9%)
(参考:
年間公演回数(単位:本)
1. 総公演数 29,546(107.1%)
年間動員数(単位:人)
1. 総動員数 47,533,118(111.5%))
2. 地域別売上額
北海道 10,151,201,488(132.5%)
東北 10,235,452,792(130.1%)
関東 165,190,852,392(119.3%)
北陸信越 6,351,768,792(135.7%)
東海 25,929,546,175(113.9%)
近畿 65,183,874,992(99.5%)
中国四国 10,851,160,769(111.6%)
九州沖縄 22,490,514,435(123.4%)
また、「著作権使用料総額 3,506,619,477(124.3%)」とのことで、著作権収入もバッチリ伸びていました。これはさらに伸び方が大きいです。念のために2014年も見てみると、売上は118.6%ということで伸びていました。さらに2013年はなんとさらに大きい136.3%。伸びまくっています。
●古い業界の基準で見ると間違う可能性
これらは飽くまでライブ・コンサートに限った増加ですので、CDやデータダウンロードを合わせたもので見るとわかりません。
ただ言えるのは、一部だけを見て市場が縮小しているというのは間違いということです。特に音楽CDの件のように、古い形式だけを見て衰退したと判断するのは危険です。
体感型の4DX映画館ブームの理由 シネコン増加やDVDで業界停滞のためでやったように、映画館業界の人がDVDのせいで映画人口に影響が出ていると感じでているようですが、それは飽くまで映画館だけを見た場合の話。
DVDで楽しむ人を入れて考えると、むしろ市場は大きくなっている可能性があります。
●いずれ音楽家はいなくなる
とはいえ、こういった変化がミュージシャンにプラスになっているか?となると、これはまた別の話になります。
しかし、そもそも昔からミュージシャンという職業は儲かるものではなかったのでは?という見方もあるのです。
あまり紹介したいと思わなかったので取り上げていなかった話ですが、このクイズは以下から持ってきました。
Seminar No.2これからは『鉄腕アトム』が人類を不幸にする|なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?|ダイヤモンド・オンライン 2015年3月3日 松村嘉浩
「ブラック・アイド・ピーズのリーダーのウィル・アイ・アムは、非常にスマートな人で、テクノロジーに関しても造詣の深い人です。彼が音楽産業について話した内容は非常に示唆に富んでいます」
(中略)
「彼の説によれば、80年前にレコード産業が産声をあげるまで、音楽産業でいちばん儲かったのは誰だと思いますか?」
「え~、誰でしょうね……レコードがないということは、生演奏ですよね。楽器をつくってる人ですか?」
「う~ん、いい線ですが、違います。じつは建築家なんですよ」
「建築家? どうしてですか? なんで建物つくるのと音楽が関係あるんですか?」
「ちょっと考えてみましょうよ。音ってどんな場所でも同じに聞こえるわけじゃないですよね」
「あ、わかりました。レコードがないということは、生演奏を聴く場所が重要ということですね」
「そうです。そのとおりです。オーケストラのような生演奏を聴く音響効果を高度に計算したコンサートホールは、当時の最先端な“ハイテク”だったのです。なので、それを設計できる建築家が、最も儲かったわけです。ビートルズのポール・マッカートニーが言っていましたが、彼が子どものころはまだレコードは一般的ではなかったので、だいたいの家に楽器があって、庶民は家に集まって自分たちで演奏して楽しんでいたようですから、楽器製造もそれなりに儲かったと思いますけどね。では、次の質問です。レコードが広まっていくことで、次はだれが儲かったでしょう?」
「この流れだと、オーディオメーカーですか?」
「正解です。レコードに刻まれた音を電気信号に変えて、再生する技術は、言うまでもなくその当時の“ハイテク”です。さて、この音楽の世界に次にやってきたのが、デジタル革命です。音源がアナログからデジタルに移行したわけです。この」
【クイズ】グラミー賞を何度も受賞したアメリカ合衆国のヒップホップ・ミクスチャーグループである、ブラック・アイド・ピーズのリーダーのウィル・アイ・アムさんは、レコードが出てくる以前に音楽で最も儲かっていたのはどの職業だと考えているでしょう?
(1)楽器屋
(2)建築家
(3)ミュージシャン
【答え】(2)建築家
ウィル・アイ・アムさんは、さらに「いずれ音楽家自体がいなくなる」としています。将来はコンピュータが速攻で簡単に音楽を作ってしまえるので、人間の作曲家は必要なくなるという見方でした。
「人類を幸せにするはずだったアトムが、じつは人を不幸にしていくのかもしれない」というのは、このようにロボットが人間の行為を代替してしまうからということ。特に知識や技能のない人は切り捨てられてしまうと予想されています。
ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?などでやっている話です。
ただ、技能があるという話で言うと、音楽はむしろ長持ちする分野かもしれません。ライブが好調だというのも、機器では味わえない「生」の体験が味わえるからだと考えられそうです。
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