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選挙の勝利=民意の支持ではない理由 オストロゴルスキーのパラドックスとは?


 選挙に勝ったからと言ってその勝利した政党の政策が支持を得たわけではない…という話をすると「感情論」と思うかもしれませんが、実はこれが逆という話。冷静に考えればそっちの方が自然なのですが、政策は一つではないために複合的な結果として投票されただけで、むしろ特定の政策で支持を得たと考える人の方が感情的になっていることがわかります。

 「オストロゴルスキーのパラドックス」というのはさらにインパクトあるもので、理論的には国民の過半数の支持を得た政策が一つもない政党が、選挙で勝ってしまうことがあることを指摘したものになっています。

2024/02/02:
一部見直し


●安倍政権寄りの新聞も「安倍政権を全面承認したのではない」と指摘

2017/11/10追記:安倍政権を全面承認したのではないという記事がありました。朝日新聞の悪口を言うのを生業とするような人がいますので、朝日新聞の記事なら相当叩かれたと思われますが、残念ながらこれは朝日新聞の記事ではありません。むしろ安倍政権寄りと言われる日経新聞の記事です。

 その日経新聞のせいなのか、中身を見てみると、叩いていたのは安倍首相ではなく民進党の前原誠司代表でした。突然の衆院選がこれまでとさほど違わない与野党の議席配分で幕を閉じた「いちばんの責任」は、民進党の前原誠司代表にあるとしていました。これには自民党支持者も満足でしょう。

 ただ、そもそも保守派内からすら批判が出ていたように、安倍首相が「今なら勝てるから」という理由だけで解散したのですから、与党が勝ったのは想定通り。本来最も叩かれるべきは、自己の欲求のためだけに解散を行った安倍首相なんですけどね。
(関連:アメリカが北朝鮮を攻撃して戦争開始…を望むお花畑思考な人たち)

 記事ではその後も野党叩きをやっており、自民党支持者に気持ち良い内容。じゃあ、タイトルの「安倍政権を全面承認したのではない」はどこから来たの?というと、野党がだらしなかったから自民党が勝っただけということでした。これくらいの話なら自民党支持者は満足できそうですね。

 ただ、一応支持者が聞きたくないことも少し指摘しており、内閣の支持率が選挙戦に入って再び低下したことを挙げて、森友・加計学園問題などで生じた政権への不信感はなお払拭されておらず、「みそぎは済んだ」などと浮かれないことであるとしていまいた。

 そして、もともとうちで書いていたこれ以降の話というのは、このように選挙結果というのは、単一の問題に賛同する・否定するという単純なものではなく、複合的な選択の結果だと、理論的に説明できる…という話でした。


●選挙の勝利=民意の支持ではない理由

2016/7/10:最初に読んだときは紹介するつもりなかったのですが、ふと思い出してやっぱりおもしろいかなと思った「オストロゴルスキーのパラドックス」というもの。これは選挙の勝利=民意の支持ではない理由だとも説明できます。

「選挙に勝った=民意に支持された」は間違い!参院選の前に知りたい「間接選挙の欠点」|「決め方」の経済学|ダイヤモンド・オンライン
<大阪都構想が否決された約半年後、橋下氏が率いる「大阪維新の会」は、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙で勝利した。この結果を受け橋下氏は「都構想の案をバージョンアップしていくという民意が示されたのではないか」とコメントした(注1)。
 でも、知事や市長のみならず政治家を選ぶ代表選挙は、個別の政策を選ぶ直接選挙ではない。それでもこのように、選挙の結果が特定政策への支持と意味づけられることは多い。
 2005年に小泉首相が「郵政民営化への信を問う」と言って衆議院を解散したときには、小泉首相はその衆院選が郵政民営化への賛否を問うものだと意味づけた。でもそのような意味づけのもとで選ばれた国会議員も、任期中にはさまざまな仕事をする。決して郵政民営化のみに従事するわけではない。
 そもそも政治家を選ぶことと、政策を選ぶことは、まったくもってイコールではない。たんに思想的にあるいは概念的に違うだけではなく、選択の結果として起こることに、論理上の大きな隔たりがある。その乖離のありさまを鮮明に示したのが、これから見ていくオストロゴルスキーのパラドックス(逆理)だ。>


●オストロゴルスキーのパラドックスとは?

 5人の有権者がいて、政党AとBがあり、選挙で争点となるテーマが「金融」「外交」「原発」の3つあるという場合で、有権者らが以下のような政策を支持しているケースを考えてみます。

有権者 金融 外交 原発
有権者1 A党 A党 B党
有権者2 A党 B党 A党
有権者3 B党 A党 A党
有権者4 B党 B党 B党
有権者5 B党 B党 B党

 間接選挙で政党に政策を託す場合は支持しない政策があっても、どちらかの政党に投票するしかありません。なので、有権者1さんの場合は、原発政策は嫌でも他が良いA党に投票します。有権者1さんと同様に他の人もやっていくと、以下のようになって、A党が見事勝利しました。

有権者 金融 外交 原発
有権者1 A党 A党 B党 → A党 に投票
有権者2 A党 B党 A党 → A党 に投票
有権者3 B党 A党 A党 → A党 に投票
有権者4 B党 B党 B党 → B党 に投票
有権者5 B党 B党 B党 → B党 に投票

 しかし、仮に個別に直接選挙で政策を聞けた場合、A党の政策がすべて支持されるとは限らないというのはわかると思います。これが選挙の勝利=民意の支持=政策のお墨付きが得られたわけではないという話なのです。

 オストロゴルスキーのパラドックスの場合はこれがさらに極端で、よく見るとすべての政策において選挙で敗北したはずのB党の政策が有権者の過半数の支持を受けているという不思議なことになってしまいます。逆に言うと、A党はすべて過半数の支持を得ていない政策で勝っちゃったわけです。

有権者 金融 外交 原発
有権者1 A党 A党 B党
有権者2 A党 B党 A党
有権者3 B党 A党 A党
有権者4 B党 B党 B党
有権者5 B党 B党 B党
--------------------------------
過半数 B党 B党 B党

 これを見ると、橋下徹さんの「都構想の案をバージョンアップしていくという民意が示されたのではないか」は特にアホくさいですね。圧倒的に優先されるのは、直接選挙の「大阪都構想否決」の方です。


●抱き合わせ販売で国民が欲しくない政策まで実行されることに

 作者はこのことを「抱き合わせ販売」に例えていました。「抱き合わせ商法」というのは、Wikipediaだと、<本来の商品・サービス(主たる商品)とは別の商品・サービス(従たる商品)をセットで販売する方法・手法の総称>と説明。他に以下のような説明がありました。

<大抵の場合は、多くの人が入手したいと考えるような購買率の高さが期待できる(人気商品)と、人気がなく売れ行きが芳しくない商品(不人気商品)をセットにして販売する例を指す。
 不人気商品と入手しにくい人気商品を組み合わせて販売に及んだ場合、消費者が後者の人気商品を手に入れるためには、前者の不人気商品も同時に購入しなければならない。この場合、販売者にとっては不人気商品の購買率が高められることが期待できるが、消費者にとっては廉価で良質な商品を選ぶ環境でなくなってしまう。(中略)
 日本においては、このような販売方法は不公正な取引方法の一般指定(10項)により指定されており、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)第19条違反となる[1]。

 今回の話は選挙で負けた政党の政策の方が正しいとか、選挙で負けた政党の政策の方が民意を得ているとか…そういった意味ではないですよ。選挙で勝った政党の政策も国民に支持されているとは限らないという意味です。

 なので、数の暴力で反対の多い法案を強行するのではなく、国民の支持が本当に得られているかを確かめながら丁寧に説得していく必要があるということでしょう。ただ、まあ、そんな紳士的な政権運営をする政治家というのは実際にはおらず、ほとんど空想上の存在でしかないので、国民は被害を受けまくっています。

 この弊害を和らげる制度が必要だと思うものの、そもそもそれは議会で多数派になっている与党にとって都合が悪いことですから法改正は難しいでしょう。我々はめげずに根気良く文句を言っていくしかないかもしれませんね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■アメリカが北朝鮮を攻撃して戦争開始…を望むお花畑思考な人たち

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