【クイズ】「参加しないとボーナスや給与を減らす」と告知された飲み会についての白鳥玲子弁護士の説明で正しいものはどれ?
(1)参加を強制する法的根拠はなくパワハラだが、ボーナスや給与を減らすこと自体は違法ではない。
(2)ボーナスや給与を減らすのは違法だが、参加を強制する法的根拠はある。
(3)ボーナスや給与を減らすのは違法だが、そもそも参加を強制する法的根拠はなくパワハラ。
●最高裁で画期的な判決!実質強制の会社の飲み会での事故で労災
2016/7/11:最高裁では保守的な判断が下されることが多いです。ただ、今回は1審と2審では「自分の意思で私的な会合に参加したので労災ではない」という冷酷無比だったものが改められるという逆転判決。保守的だった1審と2審の判決を覆す革新的な判決という珍しい形になりました。
飲み会後の事故は労災 最高裁が認める判決 | NHKニュース(7月8日 19時06分)によると、これは、福岡県苅田町でワゴン車が大型トラックに衝突し、ワゴン車を運転していた34歳の会社員の男性が死亡したことに関する裁判。以下のように報じられています。
<男性は上司から会社の歓送迎会に誘われ、忙しいため断りましたが、再び出席を求められたため酒を飲まずに過ごし、同僚を送って仕事に戻る途中で事故に遭いました。(中略)
8日の判決で、最高裁判所第2小法廷の小貫芳信裁判長は、当日の男性の行動は上司の意向を受けたもので、会社からの要請といえると指摘しました。
さらに、歓送迎会は上司が企画した行事だったことや、同僚の送迎は上司が行う予定だったことを挙げ、「当時の事情を総合すると会社の支配下にあったというべきだ」として、1審と2審の判決を取り消し、労災と認めました。
飲み会の後の事故は労災と認められないケースがほとんどですが、8日の判決は事情によっては救済される可能性を示すものとなりました>
●今回は特殊…逆に言うと、ほとんどのケースは労災と認められない?
でも、よく読んでみると、今回のケースはかなり特殊そうです。むしろこれでなぜ2審まで認められなかったのか?という方が不思議な内容でした。ひどすぎで一目瞭然に見えます。前述の通り、上司による事実上の強制参加である上に、事故は会社に戻る前に研修生をアパートまで送る際に起きていて、事実上の業務中と考えて良いものでしたからね。
<裁判の記録などによりますと、男性は翌日に資料を提出するよう社長に命じられていましたが、部長からはその仕事を分かったうえで、歓送迎会に参加するよう2度にわたって求められました。
最高裁判所はこうしたいきさつを踏まえ、「男性は歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ、その後、残業に戻ることを余儀なくされた」として、事故に遭うまでの一連の行動は、会社の要請によるものだと指摘しました。
また、最高裁は歓送迎会の性質も重視し、すべての従業員が参加していたことや会社が費用を負担していたことなどから、会社の行事の一環で、事業と密接に関連していたと判断しました。
さらに、同僚の送迎はもともと上司が行う予定で、会社へ戻るついでに男性が送っていったことも踏まえると、会社から要請されていた行動の範囲内だったと指摘しました。
最高裁はこうした事情を総合すると、飲み会が会社の外で行われたもので、上司に同僚を送っていくよう明確に指示されていなかったことを考慮しても労災に当たると結論づけました>
●飲み会=仕事だと認められるべき
私は会社は飲み会を仕事だと認め、飲み代どころか残業手当も出すべきじゃないか?という考え方です。無料で飲食できて得だろう?ってんじゃなくて、飲み食いの間も仕事であるので飲食代とは別に残業代を支払うべきということなんですよ。現在のやり方は、事実上のサービス残業です。
飲み会肯定派からは、飲み会が仕事にとって大切だという人がいるのですが、これを強調すればするほど仕事として扱う必要性が出てきます。なので、本来飲み会を大事にする人ほど残業手当を出すことを訴えるべきなんですよね。そうじゃないと、サービス残業の強制になってしまいます。
飲みニケーションは不要だった 飲み会を断っても必要とされる社員になどで書いているように、私はもともとこういう考え方なので、結局、この判決程度だと大いに不満。世の中の人はそこまで行かないかな?と思って、
はてなブックマークを見たら、人気コメントにもそういうものがありました。
“つまり参加したくない飲み会に残業代を出すべきなんだよ”(yasumo 2016/07/08)
“飲み会に参加させたいのなら、業務時間内にすればいいじゃねーか。当然ながらその飲み会の時間や費用も会社持ちな。そして定時になれば飲み会もきっちり終わらせろよ。”(hapilaki 2016/07/09)
他はこんな感じ。
“子供出来たばかりなのに単身赴任とか強制飲み会とか、日本の労働の悪い所が圧縮されたような事件。認められてよかった。”(take-it 2016/07/09)
“ここまで条件を積み上げないと仕事認定されないのはむしろ絶望感しかないな/労基署が労働者の味方とか嘘じゃないの”(uunfo 2016/07/09)
●これが画期的な判決というのは、逆に日本の労働環境のひどさを物語る?
人気コメントでは、以下のようなものもありました。私もそう思います。
“この件が最高裁まで行くとか、専門家の画期的な判断ってコメントとか、どんだけ司法が日本の労働環境の現状をを軽視しているかがわかる。職場の同調圧力もヒドイし、一審、二審もきちんと仕事しろ。”(X-key 2016/07/09)
最初のクイズにした話も、普通にどっちも法的根拠なしというものでした。
【クイズ】「参加しないとボーナスや給与を減らす」と告知された飲み会についての白鳥玲子弁護士の説明で正しいものはどれ?
(1)参加を強制する法的根拠はなくパワハラだが、ボーナスや給与を減らすこと自体は違法ではない。
(2)ボーナスや給与を減らすのは違法だが、参加を強制する法的根拠はある。
(3)ボーナスや給与を減らすのは違法だが、そもそも参加を強制する法的根拠はなくパワハラ。
【答え】(3)ボーナスや給与を減らすのは違法だが、そもそも参加を強制する法的根拠はなくパワハラ。 (
飲み会に強制参加、欠席でボーナス・給料削減 違法性やパワハラの可能性は?より
そもそも参加を強制する法的根拠はなくパワハラだということを考えると、今回の判決の件は参加を強制した時点で問題です。それはもう「自分の意思で参加する私的な会合」ではないでしょう。なので、参加が実質強制になっている飲み会は当然仕事だと認められるべきだ、という結論にやっぱりなります。
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