犬猫などのペットを飛行機に乗せるときの話をまとめ。<「死んでも文句言いません」飛行機で犬猫のペット死亡事故の危険性>、<航空会社の人は絶対に自分のペットを飛行機に乗せない?>、<貨物室の温度は寒い?暑い? 正反対の二つの説がある理由>、<頭上の荷物入れに収納させて子犬死亡、酸欠のためか>などの話をやっています。
冒頭に追記
2022/05/06追記:
●犬猫といっしょに移動しづらい日本 旅行業界は稼ぐチャンスに 【NEW】
【クイズ】貨物船、貨物輸送機を意味する英語として正しいものは?
(1)flyer
(2)freighter
(3)fryer
●犬猫といっしょに移動しづらい日本 旅行業界は稼ぐチャンスに
2022/05/06追記:日本でもそのうち以前書いた韓国のようにペットに対する扱いが向上するのではないかと思われますが、今はまだ全然です。今回読んだ「ペット同伴の旅行に対応する新たなサービス」の記事であった対応もスタンダードなものではなく、「特別に」といった感じでした。
旅先もペットと一緒 ホテルや旅客機で新サービス:時事ドットコム(2022年05月03日07時15分)という記事によると、日本でペットを飼っている人は外出しづらいために、旅行業界はこれを商機と捉え、業績回復の切り札の一つにしようと知恵を絞っているといいます。
<ペットを旅客機に載せる場合、一般的に貨物室に預ける必要があり、不安を感じる飼い主も少なくない。航空会社スターフライヤーは3月下旬、小型の猫や犬を専用ケージに入れて客席に持ち込めるサービスを羽田―北九州で開始した。マナーウエア(ペット用おむつ)を着用してもらい、清掃を徹底するなど衛生面に配慮。利用状況を見極めながら、他路線への拡大を検討する。
マナーウエアを提供するユニ・チャームはスターフライヤーや旅行会社ハッピートラベル(福岡市)と共同し、2泊3日で愛犬を連れて九州の名所を巡る東京発のツアーを5月末に実施する。ユニ・チャームの調査によると、愛犬との遠出をためらっている飼い主は全体の4割に上る>
ユニ・チャームは旅行だけでなく、飲食店や娯楽施設でマナーウエア(ペット用おむつ)を着用の上利用できるケースも想定。記事ではもう一つ、愛犬との宿泊に特化したホテル「inumo(イヌモ)」というのも紹介されていました。こういったサービスが特別ではなく一般的になってくれると嬉しいですね。
●「死んでも文句言いません」飛行機で犬猫のペット死亡事故の危険性
2016/7/17:だいぶ前の話ですが、ANAでペットの死亡事故がありました。この件では例によってネットは自己責任論が出ていたことも覚えています。ネットの人は自己責任好きですね。
<ツイートによると、少女は両親と国内旅行に出かける際、国内航空会社のペットサービスを利用し、愛犬のチワワを空港で預けた。そして旅先の空港に到着しゲージを受け取ると、犬はひっくり返ってぐったり。すぐに家族が獣医に連れて行ったが、死んでしまったという。
犬は人のように汗をかいて熱を発散することができないため、あまりにも暑いと体温調節ができなくなり熱中症にかかってしまう。この預かりサービスの注意事項には飛行機に乗せ降ろしするときの外気について、「特に夏場においては駐機場の反射熱などにより外気温に比べて高温になる場合もございます」という但し書きがあり、さらにペットの死傷に対し、航空会社側に「迷惑をかけない」という同意書も求められる>
(
飛行機のペット輸送サービスでチワワ死亡 会社は対策検討中 NEWSポストセブン / 2013年8月29日 7時0分より)
●航空会社の人は絶対に自分のペットを飛行機に乗せない?
私はこの件のせいで貨物室は暑いのかと思っていました。しかし、寒いという指摘もあります。どういうことか?と言うと、むしろ放っておくと冷たくなるという説明です。考えてみればそりゃそうだという話。上空は余裕でマイナスというめちゃくちゃ寒い世界ですからね。
この話が出てたのはヤフー知恵袋。ヤフー知恵袋にありがちな話ですが、質問内容そのものは胡散臭く、信ぴょう性に問題がありそうなものでした。
飛行機にペットを乗せて死亡した原因で、単に機長との連絡ミスにより温度が急... - Yahoo!知恵袋
saranca777さん 2010/3/10 11:26:16
飛行機にペットを乗せて死亡した原因で、単に機長との連絡ミスにより温度が急激に下がり死亡した例が何件もあると聞きました。 航空会社の友人に聞いたので間違いない話しですし、その友人はペットを飼ってますが絶対に飛行機には乗せないって言ってます。
補足
単に連絡ミスで死んでしまった事が何回もあると聞きました。 機長との連絡ミスによりペットを預けているところが連絡ミスをしたら温度が荷物室と同じになり連絡がいってたら客室と同じ温度になるらしいです。ひどい話しじゃないですか。
●貨物室の温度は寒い?暑い? 正反対の二つの説がある理由
ヤフー知恵袋は回答もいい加減なことが多いですが、ここでの回答は具体的で比較的信頼できそうでした。そして、この回答が「むしろ寒い」って話になっていたのです。
ベストアンサーに選ばれたkyoumo_yoi_tennkiさんの回答(2010/3/11 10:27:40)ではまず、小型機は除く飛行機の貨物室の構造として考えていいというB747-400の構造について説明。旅客機の貨物室は前方の貨物室と後方の貨物室に別れており、垂直尾翼の下辺りに後方貨物室とはカーテンで仕切られたバルク貨物室があるそうです。
前方貨物室では空調がされず、上空に上がると貨物室内の気温は1℃±2℃くらいになります。つまり、寒いんですね。空域や飛行高度ならびに季節によって違うものの、上空の気温は氷点下30℃から77℃くらいまで変化するそうなので、そこまでは下がりません。とはいえ、ペット等の低温に弱い生き物を載せることはないそうです。
一方、後方貨物室には客室経由で空調がされていて、気温は18℃±2℃で保たれます。受託したペットが搭載されるバルク貨物室には後方貨物室の空気が流れて来ますから、気温は後方貨物室と同じくらいにはなるとのことでした。
●ヤフー知恵袋の質問内容は怪しい話だらけでデタラメか?
なお、ヤフー知恵袋の質問の方であった連絡ミスの話については、「そんな馬鹿なことをしている航空会社が有るってのは、初めて知りました」と懐疑的な感じです。ペットの有無の連絡そのものはあると書いているものの、その他の面で考えられないという説明です。
<通常、ペットを含めた生き物を搭載する場合には、搭載責任者から機長に対して「危険物搭載連絡票」で“Live Animal(搭載位置:バルク)”として伝えられ、それを確認したら機長が署名をし、一部をコックピットで保管しますし、副操縦士にも確認させます。
また、後方貨物室の空調については、生き物の搭載の有無に関わらず18℃±2℃に保つのがノーマルプロシジャーであり、Heat Swichを切るのはノンノーマルとなり、搭載責任者から「暖めてはならない物を搭載している」旨の説明を受けたとしか考えられませんが、通常、その様な搭載物は前方貨物室に搭載されますので、何故その様な事が発生するのかは、私には理解することが出来ません>
また、補足であった「連絡がいってたら客室と同じ温度になる」についても否定しています。さらに、最初の質問情報の信憑性を疑わせる話になっていました。
<貴方の航空会社に勤務しているご友人が言われた「客室と同じ温度になる」についてですが、そうはなりません(その方はパイロットとか整備士では無いのでは?)。
コックピットに有る貨物室の温度コントロールスイッチはON(何か無い限り、常時ON)かOFFしかなく、これはヒートシステムのON/OFFのみを行うものであり、客室の様に広範囲な温度調整は出来ません。
従って、ONにしておいても後方貨物室の温度は18℃を中心にして±2℃の温度調整となります>
●貨物室内の温度は約7℃か約18℃の二択
最も信頼できそうなのは、"日本航空機内誌・JALカード会員誌「Agora」連載 「コックピット日記」2004年11月号"の記事です。オフィシャルのものですから、信頼性が高いでしょう。
◆空の日ネット:働く航空機◆というページに載っていました。
まず、ペットが乗る場所はというと、皆さんの座席の下にある貨物室になります。ここは客席と同じ気圧に保たれていて(引用者注:同じ気圧であり、同じ温度とは書いていない)、運航中に揺れても大丈夫なようにペットの入ったクレート(檻)は床などに固定されています。
空港内の荷物預かり所は空調がなく、夏は暑く、冬は寒くなります。そこで、皆さんのペットは、貨物室に入るまでの間、空調の整った場所でお預かりします。
さて、飛行機の出発前、運航に向けてスタッフと打ち合わせを行う際に、機長の手元に一枚の依頼書が届けられます。この書類は、貨物室内の温度調整についてのもので、「貨物室に犬が搭乗しているので、温度を調整してください」といったような内容が記されています。これを見て、私たちはペットが乗っていることを知ります。
貨物室内の温度は機種によって違いがありますが、私の担当するB767の場合、コックピット内のスイッチを入れることで、空調を入れない状態(約7℃)と、温度調整と空気循環が行われる状態(約18℃)の2種類に設定できます。猫や小鳥などのペットがいると、高い方の温度に調整しますが、犬の場合は寒さに強いということもあり、特に温度調整のリクエストがない限り、低い方の温度にすることが多いようです。
貨物室内の温度は上記の通りであり、やはり暑くはなりません。最初の事故の例のような熱中症にはならなそうです。最初の記事に「飛行機に乗せ降ろしするときの外気について」の注意書きが紹介されていたように、温度調節がなされない貨物の出し入れのタイミングでの事故だったと想像されます。
●フライヤー、フレイター、ハイヤー…貨物輸送機の呼び名は?
クイズは最後の「コックピット日記」から。<ちなみに、フレイターと呼ばれる貨物専用便の場合は、競走馬をはじめさまざまな動物が運ばれるため、約4℃、10℃、16℃、23℃と、より細かい温度調整ができるようになっています>という記述があり、そこからの出題です。
【クイズ】貨物船、貨物輸送機を意味する英語として正しいものは?
(1)flyer
(2)freighter
(3)fryer
【答え】(2)freighter
「flyer」は飛行士の意味で、他にチラシ、ビラ という意味もあります。「fryer」は揚げ機の意味ですが、ノンフライヤーという用法の方が一般的かもしれません。また、カーゴ(CARGO)とは本来「積み荷」という意味なのですが、これを貨物輸送機そのものとしても使っているようです。
あと、ここの説明では、競走馬の話がありました。競走馬が死亡なんてことになるとそれこそ被害額がものすごいと思うのですけど、死亡例は聞いた覚えがありません。対策がきちんとされているのかもしれませんね。
●頭上の荷物入れに収納させて子犬死亡、酸欠のためか
2018/03/18:米ユナイテッド航空は対応の悪さで知られていますが、客室乗務員が乗客の子犬を頭上の荷物入れに収納するよう客に指示して死なせたというのがニュースになっていました。
(
米ユナイテッド機内で子犬を頭上に収納させられ……犬は死亡 - BBCニュース 2018年03月14日より)
当初、乗客は拒否したものの、客室乗務員が繰り返し言うために従ったところ死亡。座席上の荷物入れは真空状態ではないものの、酸素不足が子犬の死につながった可能性があると米メディアは伝えています。
乗客側に不備があったかどうかは不明ですけど、ユナイテッド航空は自己責任論を唱えず、全面的な責任があることを認めていました。
●日本の航空会社は「貨物室」だが海外では持ち込み可のところも
ここらへんのルールは航空会社によって異なるようです。日本 − 韓国間で犬を連れてきた方によると、全日空や日本航空をはじめとする日系航空会社は、ペット(犬、猫、うさぎ、鳥)はすべて「貨物室」となっていました。
一方、韓国系航空会社は、ペット(犬、猫、鳥)をケージに入れて総重量が5キロ以内であれば機内に持ち込むことができるとのことです。
作者は韓国アシアナ航空を選択。窓側の席を用意してくれた上に、どうもわざわざ隣を空けてくれたようで助かったといった感想がありました。
(
【実体験】海外からペットを連れ帰る方法 / アシアナ航空はVIP待遇で本当に感動した ロケットニュース24 / 2013年8月26日 14時0分 レイチェルより)
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