2018/10/22:
製紙業界、王子・レンゴー・大王が利益激増で絶好調!
業界が好調なのに、日本製紙だけ低迷の理由は?
日本製紙が賭けるのは「紙製ストロー」ブーム
●製紙業界、王子・レンゴー・大王が利益激増で絶好調!
2018/10/22:製紙業界を取り巻くキーワードはいくつかあります。その一つは、ペーパーレス化。会議などで使う情報やグラフなどを紙に印刷して配布するのではなく、プロジェクターに投影したり、タブレット型のPCに資料を保存して閲覧することが増えてきています。これは当然、製紙業界にとって悪い話題。そして、同様に悪い話題なのが、新聞や雑誌の購読数低下です。
じゃあ、製紙業界は暗黒時代なのか?と言うと、逆に「現在、わが国の製紙業界は久方ぶりの好況を謳歌している」という不思議なことになっています。
なぜか?と言うと、アマゾンや楽天などのインターネット通販の普及が理由です。これにより、宅配用の段ボールは空前のブームが到来。中国をはじめとするアジア新興国での紙おむつ事業やパルプ事業の成長など、M&A(合併・買収)を駆使していることもありますが、2018年4~6月期、各社の当期純利益を前年同期比でみると、業界1位の王子製紙は3.1倍、レンゴーは約1.9倍、大王製紙は約2.2倍増加と絶好調でした。
●業界が好調なのに、日本製紙だけ低迷の理由は?
ただし、この波に乗り切れていない製紙会社があります。売上高国内第2位の日本製紙です。上記の話があった記事のタイトルも、
「脱・紙」の日本製紙、経営に不安広まる…アマゾン効果で活況の製紙業界で一人負け 2018年 10月05日 19時50分 提供元:Business Journal(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)というものでした。
記事によると、日本製紙の事業領域は、紙・板紙、生活関連、エネルギー、木材・建材などの5分野。ただ、紙・板紙事業が売上高の70%と極端に偏っています。前述の通り、ここは需要が減っているところで、営業利益は赤字になっていました。
日本製紙と王子製紙、レンゴーの戦略は実に対照的。日本製紙は洋紙需要の低迷のため、生産能力を削減せざるを得なくなりました。一方、王子製紙、レンゴーは買収戦略を中心にして生産能力を増強。段ボールの需給がひっ迫するなかで両社の価格交渉力の向上に貢献し、売上高が増加する一因になったと考えられるそうです。
●日本製紙が賭けるのは「紙製ストロー」ブーム
日本製紙は先見の明がなかった感じですけど、一応逆転の可能性はあるようです。現在好調の会社は、規模の経済効果を重視した経営戦略を取っているものの、労働コストの観点からいえば、中国やアジア新興国の企業に敵わないと見られています。
そして、日本製紙は“脱・紙”の取り組みとして、生活関連事業(液体用の紙容器などの生産)を成長分野にしようとする構造改革を進めようとしているとのこと。これは最近世界で流行りのプラスチック製のストローをやめて、紙製ストローの使用を増やそうというあれです。
日本製紙は、2016年にウェアーハウザー社(米国)から紙容器の原紙事業を買収するなど、この流行よりかなり先に動いていました。洋紙需要の落ち込みのスピードからすると全然間に合わないと思いますし、紙製ストロー程度だと高付加価値で大きく稼げる製品ではなく先進国の製造業向きでもないと思うのですけど、日本製紙の一発逆転はあるのでしょうか?
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