2023/06/05:
一部見直し
【クイズ】一票の格差問題について、「『鳥取と東京に一票の格差があるから『けしからん』という声を、聞いたことがない」と発言していた議員は?
(1)高鳥修一
(2)土屋正忠
(3)中谷元
●日本の選挙の供託金は高すぎ!海外では廃止方向なのに数百万円も
2016/7/19:今日は「選挙の供託金」の話です。ただ、まず供託金が何かってことを知らない方も多いかもしれません。選挙に出るときには必ずいるお金で、簡単に言うと、得票数が少ない人は没収されてしまう罰金みたいなものなんですよ。
供託金 - Wikipediaでは、以下のような説明です。
<供託金(きょうたくきん)とは、法令の規定により法務局などの供託所に供託された金銭のことである。(中略)
選挙における供託金
選挙における供託金は、被選挙人(=候補者)が公職選挙に出馬する際、国によっては選挙管理委員会等に対して寄託することが定められている場合に納める金銭もしくは債券などのことである。当選もしくは一定以上の結果を残した場合には供託金はすべて返還されるが、有効投票総数に対して一定票(供託金没収点)に達しない場合は没収される>
日本の供託金が高すぎるというタイトルにしましたが、私も海外がそんなに安いとは知らなかったので驚きました。外国でもてっきり日本と同じようなものだと思っていましたわ…。Wikipediaによれば、日本でも町村議会議員選挙は供託金は不要であり、市区議会議員選挙も30万円程度とそこまで高くはありません。
ただ、衆議院、参議院、都道府県知事選挙などの注目度の高い選挙は300万円もします。比例区の場合はさらに倍の600万円です。これは海外と比較すると相当に高い供託金らしく、「そこまで高くはありません」と書いた市区議会議員選挙の30万円ですら高いとのこと。驚いたことに、海外ではそもそも廃止方向。例えば、以下は有名な国の供託金です。
イギリス(下院) £500(約8万円) 小選挙区制で5%
オランダ(下院) 1政党当たり€11,250(約150万円) 比例代表制で0.5% 現職議員が所属する政党は供託免除
カナダ $1,000(約10万円) 小選挙区制で10% 収支報告の提出により没収免除
オランダは唯一ちょっと高く見えますが、比例のみでしかも既存政党以外の新規政党のみって感じかもしれません。何だかんだ言って日本とよく似ていることが多い韓国の場合は、ちょっと高いです。それでも、日本よりは安いのですから、日本の高さが目立ちます。
韓国 1500万ウォン(約135万円) 小選挙区制で10%(15%未満は半額没収) 比例代表制では政党に議席の割り当てがない場合にのみ没収され、1議席でも割り当てがあれば全額返還される
Wikipediaでは傾向について以下のように書いていましたが、他にアメリカ合衆国やフランスなどでは「住民による署名を一定数集める」といった代替案があるという話もありました。
<日本以外においてはイギリス、カナダ、韓国、シンガポールなどにおいて供託金制度があるが、いずれも日本ほど金額は高くない。また供託金の代わりに手数料を求める国もあるが、いずれも日本の供託金に比べると微々たる金額である。供託金没収点もイギリスが投票数の5%であるなど、主要先進国では日本ほどシビアでない場合が多い。
またアメリカ、フランス、ドイツ、イタリアなどには選挙の供託金制度がなく、フランスに至っては上院200フラン(約4千円)、下院1,000フラン(約2万円)の供託金すら批判の対象となり、1995年に廃止している>
●事実上のお金持ち優遇策である供託金 これが必要な理由は?
供託金が批判されるのは、お金持ち以外の立候補を阻害するためです。ウィキペディアで「批判」という小見出しであった部分では以下のような記載がありました。ただ、ここを読んでわかるように、日本の裁判所は合憲としちゃってるみたいですね。
<また高額の供託金制度は立候補の自由を保障する憲法15条1項や、国会議員資格について財産・収入で差別することを禁ずる憲法44条の規定に反し違憲無効であるとしていくつかの訴訟が起こされているが、裁判所は憲法47条が国会議員選挙制度の決定に関して国会に合理的な範囲での裁量権を与えていることを指摘した上で、供託金制度は不正目的での立候補の抑制と慎重な立候補の決断を期待するための合理的な制度であるなどとして、いずれも合憲判決を出している>
では、そもそもこの供託金という制度はなぜ設けられたのか?と不思議に思うでしょう。私はこの供託金制度は、立候補者の乱立防止のためだと理解していました。Wikipediaでも、実際、そのような説明が見られます。ただし、「要出典」となっている部分であり、不確かな情報かもしれません。
<供託金の制度はイギリスが発祥であるといわれており、公職選挙において、売名や選挙妨害を目的とした立候補の乱立を抑制し、「政治家になりたいのならばそれなりの覚悟(供託金)を示すべき」という観点からこの制度が設けられたとされている[要出典]>
あと、Wikipediaを読んでいたら、日本で供託金が高騰した理由について以下のような話が。「日本の供託金は共産党潰しが狙い」とまで言い出すとあれですけど、小政党つぶし的な効果はある模様です。既得権保持的なところがありますね。
<1950年に制定された公職選挙法でもこの制度が引き継がれ、以後改正のたびに金額が高騰していった。選挙公営の充実化を理由に金額の上昇幅は物価の上昇幅よりも大きく設定された。勝算度外視でほぼ全ての選挙区に候補者を擁立していた日本共産党を除く55年体制期の主要政党(自民・社会・公明・民社)は供託金を没収されることが少なく、さらに供託金額の引き上げは新人候補や小政党の出馬を抑制する効果があるため、国会で金額引き上げを批判したのは共産党など少数に留まった>
●供託金制度がない海外で問題ないのなら別にいらないんじゃ?
私は供託金制度については特に批判的だったわけではなく、必要なものだと思っていました。さっきの乱立防止って目的のためですね。ところが、他の先進国で供託金が安い、もしくは供託金が存在しないとなると、この候補者の乱立というのがそもそも起きていない可能性が極めて高いです。
で、検索すると、実際そうだという主張がありました。
「選挙供託金は憲法違反」 埼玉県の男性が国を提訴 東京地裁 (産経新聞) 晴れ間では、いくつかの記事を転載しており、「海外じゃ候補者乱立が起きてないじゃん」という指摘があるみたいですね。
<産経ニュース
2016.5.27 13:12更新
http://www.sankei.com/affairs/news/160527/afr1605270013-n1.html
(中略)弁護団長の宇都宮健児弁護士は「海外では供託金の廃止が進んでいるが選挙の混乱は起きていない。日本は現在、国民の低所得化が進んでいる。仮に供託金が合憲と判断されたとしても、金額の妥当性や公平な選挙のあり方などを世に問いたい」などと話した。
弁護士ドットコムNews
2016年05月27日 17時00分
https://www.bengo4.com/other/1146/n_4701/
(中略)供託金制度は従来、売名候補や泡沫候補の立候補を抑制するものと考えられてきた。宇都宮弁護士は、アメリカ、ドイツなど供託金が存在しない国や、イギリスなど低額の国の例をあげ、次のように語った。
「売名候補者を供託金で防ぐことが民主的なのかどうか。その判断を有権者に委ねるべきではないか。日本はおそらく世界一高い。供託金がゼロの諸外国で売名候補が乱立しているとは聞いたことがなく、説得力がない」>
日本では政局やどの政党や政治家を応援するっていう政治の芸能人的・スポーツの応援的な感じの興味ならまだ多少はあるものの、一票の格差問題みたいな政治の話題は全く関心が無いと感じていました。このページの最初で一票の格差問題をクイズにしたのは、そういったわけです。
【クイズ】一票の格差問題について、「『鳥取と東京に一票の格差があるから『けしからん』という声を、聞いたことがない」と発言していた議員は?
(1)高鳥修一
(2)土屋正忠
(3)中谷元
【答え】(3)中谷元 (一票の格差があることで自民党が得意な地方の選出が多くなっており、こちらも既得権保持的な性格があります。
一票の格差の原因は政治家 司法が選挙制度に異論を唱えることを否定より)
でも、そういう国民の無関心の中で、日本では結構めちゃくちゃなものがまかり通っているようです。一票の格差みたいな話も大事なので、もっと関心持ってもらいたいんですけどね…。
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