VRの話をまとめ。<PSVR、ホリエモンは流行る派・ひろゆきは流行らない派 理由は?>、<ハードよりソフトが大事というなら、むしろPSVRは苦しいのでは?>、<失敗したとされるPSVR、ソニーや業界としては「成功」と言える理由>などをまとめています。
2023年9月25日:
一部見直し
●プレイステーションVRでソニー復活!という声が出る
2016/7/20:流行り廃りが激しいですが、最近の流行はVR(ヴァーチャルリアリティ、仮想現実)。これに関してのいい加減な推奨株特集も見かけましたので、トレンドなんだなとわかります。
で、日経新聞が
ソニー、仮想現実ならぬアップル追撃 証券部 浜岳彦 2016/6/22 5:30 日本経済新聞 電子版という@VRでソニー復活だ!」といった感じの記事を書いていました。これもブームなんだなとわかる話かもしれませんね。
<「ソニーがアップルを超える日」(中略)もしかしたらもしかするかも……そんなゲームチェンジャーたる期待がかかる製品が10月に発売される。仮想現実(VR)を体験しながら遊ぶ「プレイステーション(PS)VR」。頭にゴーグル型の機器を装着すると、周囲にゲーム画面が広がり、あたかもその中に入り込んだような感覚が楽しめる>
●VRで新たの市場を創出しソニーが変わる…というのが根拠
「プレイステーションVRでソニー復活!」としているのは、一応何の根拠もないわけはありません。PSVRの国内での予約受け付けを始めたところ、秋葉原の家電量販店では長蛇の列ができ、完売が続出したとのこと。勢いはありそうです。
記事では、市場が関心を寄せるのは、アップルにとっての「iPhone(アイフォーン)」のように、VRがソニーにとって新たな市場を創出する切り札になるかもしれない可能性を感じ取っているからだとしていました。いわばそれまでのルールをガラリと変えるゲームチェンジャーとしての資質だといいます。
さらに、VRはゲームだけでなく建設や医療など、産業用途への拡大も想定され、2020年までに市場規模が8兆円に膨らむとの見方もあるとのこと。でも、これはPSVRが…という話ではありませんので、どうなの?という説明なんですが…。
●PSVR、ホリエモンは流行る派・ひろゆきは流行らない派 理由は?
とりあえず、私は「PSVRでソニー復活!」というのは正直夢を見過ぎじゃないかな?と警戒しています。冒頭で流行り廃りが激しいと書いたように、こういった流行のワードは頻繁に出てくるものの、本当に世界を一変させるような技術・サービスはほんの一握りです。ほとんどが偽物なんですね。
で、そういう記事がないかと探したら、ホリエモンの話が出てきちゃいました。
ホリエモン×ひろゆきが懐疑的? 予約殺到のプレステVR、大ヒットするには… 週プレNEWS / 2016年7月9日 6時0分という記事です。まず、ひろゆきさんは「PSVRが流行るのは結構厳しいと思うんです」と否定的。これは、コンテンツの完成度の問題ではなく、価格の問題だと見ていました。最近のゲームそのものも、スマホが主戦場ですものでね。
「クオリティではなくて、値段の問題です。プレイステーション4(以下、PS)の本体が約3万5千円で、VRを楽しむために必要なヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)が約4万5千円するらしいんですよ。しめて約8万円なんですけど、今どきゲーム機に8万円出せる人ってかなりの少数派です。
一方でスマホと段ボールを使ってHMDを作り、安価でVR体験できる『ハコスコ』って商品があるので、僕は流行るなら、そっちのほうかなって気がします」
一方、堀江貴文さんは、価格よりもコンテンツの充実のほうが重要とした上で、以下のように肯定的な評価でした。
「いや、ハコスコはもう普及してるし、HMDでいえば『オキュラスリフト』もあるけど、みんなコンテンツが弱い。結局、この世界は最終的にはコンテンツ勝負になるわけで、今のところ『これはすごい!』っていうものがない。だから、ぶっちゃけるとPS陣営がどこまでエロ系のコンテンツを許容するかの問題なんじゃない?」
●ハードよりソフトが大事というなら、むしろPSVRは苦しいのでは?
実を言うと、堀江貴文さんが否定的なら逆に成功するかも…と思いながら、この記事を読み始めました。というのも、
情弱バカにしていたホリエモン、ハリボテ宇宙船で56億円詐欺られる?で書いたように、堀江さんは宇宙関係の投資でも失敗しているためです。
しかし、堀江さんはむしろPSVRに好意的なんですね。否定的なのはひろゆきさんの方でしたので、何ともコメントしづらい感じに…。
なお、堀江さんのハードよりソフトが大事という視点は良いと思いますが、ひろゆきさんもそれは否定しているわけではなく、「第三者のメーカーはPSVR専用のコンテンツにする必要がない」ことを指摘しています。つまり、コンテンツ・ソフトが大事だと考えると、むしろプレステで囲い込むのは難しいのではないか?って見方ですね。
また、堀江さんのエロ系のコンテンツが鍵だと言っているのも良い視点だとは感じますが、これもまたソニーとしてはむしろ難しい部分かもしれません。おそらくPSVR=エロといったイメージが定着するのはソニーとしては避け、エロ系のVRならPSVR以外…となっていくのではないかと思います。
●PSVR、成功か失敗か判断しづらい微妙な結果に
2017/06/04:半年ほど経って、PSVRはどうなったのか?とちょっと検索。ただ、そもそもその後頻繁にニュースになっていないわけで、社会的なヒットにはなっていないのが明らかです。
検索して見つけた
2017年第1四半期、PSVRはViveの4倍販売された | VR Inside(2017/05/11)は、ポジティブなタイトル。しかし、PSVRは1位ではありませんでした。
2017年第1四半期の販売台数(Superdataによる予測)
1位:Samsung Gear VR(78万2千台)
2位:Sony PSVR(37万5千台)
3位:Google Daydream View(17万台)
4位:HTC Vive(9万5千台)
5位:Oculus Rift(6万4千台)
"PSVRは、PCやコンソール機をベースとするヘッドセットの中では最も売れている製品"と言えるそうです。"PSVRを追うHTC ViveとOculus Riftを合計しても、この期間の販売台数ではPSVRの半分にも満たない"ということで、このカテゴリで見るとヒットしたといえます。
ただ、前述の通り、より広く見た場合には2位どまり。1位であるサムスンのGear VRは、"PSVRと比べても2倍以上を売り上げ"、大きな差をつけていましたので、数字的にも差が大きいです。しかも、"2017年の4月にリモコン付きで登場した新型Gear VRは含まれていない"中でのこの差です。
"ハイエンドヘッドセットの中ではPSVRが飛び抜けてよく売れている。しかし、Gear VRを筆頭にモバイルVRが強い状態も続いている"としたように、ひろゆきさんが指摘した価格の問題が一つありそうです。サムスンのGear VRは、100ドルだといいますので、だいぶ安いです。
一方、"サムスンのバンドル戦略によって同社のスマートフォンを購入したユーザに無料で提供されることもしばしばある"という事情もあるとのこと。これはたぶんサムスンが多く出ている理由であり、ソニーにとっての良い情報でしょう。
なお、ソニーとしては成功と見ているようで、吉田憲一郎副社長は以下のようにおっしゃっていました。
「昨年秋に発売したPSVRとPS4 Proの販売はいずれも順調に推移しており、2016年度はこうした新商品の導入でも成果をあげることができたと考えています」
(
ソニー、17年3月期は減収減益 PSVR・PS4 Pro販売台数は順調に推移 - ログミーファイナンス 2017年4月28日のログより)
●PSVRは本来もっと売れる?入荷したら即売り切れが続く
楽天で実際の販売価格を見てみました。Gear VRは12722円だというのは良いのですけど、PSVRは中古しかない感じ。これは65,800円でした。とりあえず、価格の差はわかります。
楽天で新品が見つからなかったというのは、PSVRはすぐ売り切れて常に入荷待ち状態だからかもしれません。これはPSVRが成功とみなせる要素ですし、生産台数が増えればもっと売れるという潜在能力があるとも考えられます。
ネットの噂という話になりますが、生産台数が少なすぎる理由は品薄商法をやっているというわけではなく、有機ELの不足と言われていました。有機ELは、スマホに今大量に取られていますからね。ソニーとしては大ヒットさせたくても、できない状態なのかもしれません。
●PSVRは任天堂の「3DS」そっくりの失敗路線と言われてしまう
2018/08/29:古い記事ですけど、流行らない派の話を見つけたので追加。
任天堂の「3DS」を彷彿とさせる、PSVRの末路 | ビジネスジャーナル(2017.08.29 森江利子/清談社)というものです。
前回の追記でした「入荷したら即売り切れが続く」について、ゲーム専門誌「ゲームラボ」(三才ブックス)編集部の後藤将之さんは、「ガンガン売り切ってブームを完全に終了させるよりは、小出しにしながら、なんとか発売当初の話題性を存続させたい」という品薄商法だと断言。初期出荷数200万台のうち、日本国内に出荷したのはわずか5万台程度だったといいます。
別のゲームライターは、11年に任天堂が発売した携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」に似ていると見ていました。
「3DSは発売当時、立体視による3D画面でのプレイが、従来のゲーム機にはない新機能として注目を浴びました。しかし、キラータイトルが不足し、また前世代機の『ニンテンドーDS』と比べて高価だったことなどから、販売台数が伸び悩み、発売からわずか半年で異例の本体価格引き下げを余儀なくされたのです」
「(引用者注:3DS向けのソフトには「3D機能非対応タイトル」が多く、)一番の目玉のはずの3D機能が形骸化し、ユーザー側も3D機能に期待していないという、なんとも皮肉な結果となっているのが3DSの現状です。『3D機能は新しいゲームとしてのインパクトはあったが、機能はあくまでおまけ。ゲーム性そのものの評価には直結しない』ということを、3DSが身をもって証明してしまったわけです」
なお、すぐ値下げではなかったものの、PSVRも2018年3月に1万円値下げして、3万4980円となりました。ただ、依然として爆発的なヒットとはなっていないようです。
●失敗したとされるPSVR、ソニーや業界としては「成功」と言える理由
2019/09/22:
PSVRの販売台数が500万台に。米メディアの取材にSIE社長自らが明かす | VRワールドニュース(2019.06.09)という記事がありました。2019年6月4日に米メディアCNETに掲載されたSIE社長Jim Ryanさんへのインタビュー記事によると、PSVRの販売台数が500万台に達しているとのことです。
PSVRを『PlayStation4ユーザーの20人に1人が持っている』ということも同時に判明。5%程度です。これを多いと見るか少ないと見るかは、人によって判断が分かれそうな感じ。個人的には大ヒットとはいえないものの、価格の割に健闘しているかなという印象です。加えて周辺機器までも購入してくれているということで、ビジネスとしては成功っぽいですね。
また、「PSVRは私たちの期待を超えるペースで販売しています」ともおっしゃっていたとのこと。ただ、これをもって成功とするかどうかは、また判断が分かれるところ。ビジネスとしては成功ではあるものの、当初日経新聞が騒いだような大成功というものではないでしょう。最初の反応が大げさすぎでした。
なお、こちらでは、「依然としてPSVRが世界で一番売れているVRハードである」としていました。「VR業界を牽引している」とも評価されています。「価格面で優位に進めてきた」とされていたので、VRとしては安い設定ってことですかね。これらの話からもPSVRが成功していると言えそうですが、最初にマスコミが大風呂敷を広げたために、まるで失敗のように見える形になっていました。
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