【クイズ】以下の3カ国で、The Global Gender Gap Report 2013の男女平等ランキングの順位が最も高かった国はどこでしょう?
(1)韓国
(2)中国
(3)日本
●インドの効率の悪さはカースト制度のせい
カースト制度がインドをIT大国にした 内需型で外需が弱いのは強みか弱みか?では、カースト制の弊害について少し書いていました。
そこで問題が生じている例として出てきたのは、工場のライン作業でした。ライン作業に従事する場合でも、カーストの違う人間が同じラインに立つことすら軋轢の原因となるといったもの。これは第2次産業の弊害の例です。
同じところでやったように、インドは第3次産業が強い特殊な新興国でした。なので、ここはあまり影響がないのかと思いきやこちらも影響大アリだったのです。
経済成長が進むインドで今も変わらない身分差別(カースト)の弊害[橘玲の世界投資見聞録]ザイオンライン 2016年2月18日
カーストは浄と不浄の体系で、不浄な人間が触れた食べ物は穢れているし、穢れたものに触れると不浄になるとされる。このためインドのレストランでは、水や食べ物を運ぶウエイターと汚れた食器を下げる清掃係が厳密に分けられている。なかには、皿を提げる係とゴミを片付ける係が別の店もあった。1人でできる仕事(注文を取り、食事を運び、食べ終わった皿を片付け、テーブルを整える)に何人も必要なのは効率が悪いし、収入も増えないだろう(今回は南インドとスリランカを回ったのだが、仏教国でカーストは関係ないはずのスリランカでも食のタブーに関してはインドとほぼ同じだった)。
●効率の悪い働き方に救われる人もいる
一方で、橘玲さんはこの効率の悪さが職を生んでいることを指摘しています。橘玲さんは過去にもそういう話をしていましたし、
ネオ・ラッダイト運動 IT技術や機械の発達が人類から仕事を奪う?などで書いているように、これは事実でしょう。
アメリカや日本では海外に労働力を奪われたと思っている人が多くいますが、彼らは効率化の影響が大きいことを忘れています。
だがこの効率の悪さには社会的な効用がある。カーストとジャーティによって「できること」と「できないこと」が厳密に決められていると、ひとつの仕事を複数で分け合うしかない。これは、多くのひとがなんとか生きていけるだけの仕事にありつける、ということでもある。逆にいえば、効率のいい働き方は膨大な失業者を生み出し、社会を不安定化させるのだ。
●インドでは身分差別だけでなく女性差別も悪影響
また、どうもインドでの深刻な差別はカースト制度だけではないようです。
カーストによるきびしい身分差別はインド社会の発展を阻む桎梏だ。独立後のインドは差別とのたたかいの歴史でもあったが、残念なことに現在でもカーストはインド社会に深く根を下ろしている。(中略)
それと同時に今回気づいたのは、サービス業に女性の姿がないことだ。一般の店はもちろん、高級ホテルや大型ショッピングセンターのレストランでも働いているのは男性ばかりで、ウエイトレスはいない。これはヒンドゥー教が女性を不浄としているためで、女性がつくったものや、女性が運んだものを食べることを客が嫌うのだ。このタブーは、労働市場から女性を排除し、男性だけで仕事を分配するための方便でもあるのだろう。
インドは世界最大の民主国家であり、憲法では身分差別も性差別も明確に禁じられている。だがこの原則はごく一部にしか適用されない。
●中国はインドと違って差別は少ない
男女平等ランキングでは中国はそれほど悪くないのがいつも気になります。日本よりずっと良いです。(関連:
男女平等ランキング2013(男女格差報告) 105位日本は中東と同傾向)
記事では、その中国との違いにも言及していました。
インドと対照的なのは、同じ人口大国である中国だ。
よく知れているように、中国は皇帝とその家族を唯一の特権層とし、血縁による貴族制度を廃し、科挙に受かれば誰でも高級官僚に取り立てられる“進歩的”な行政制度を早くも10世紀の宋の時代に完成させた。もちろん中国にも少数民族への差別や深刻な地域格差があるが、インドに比べればはるかに平等で世俗的な社会であることは間違いない(中国では共働きが当然で、女性の管理職も多いから、女性の地位は日本より高いかもしれない)。
●高学歴の職業ならインド > 日本
ただ、おもしろいなぁと思うのが、高学歴の職業は日本よりも差別が少ないようだという話。かなり職業によって異なるようです。
今回の旅では国内線の飛行機に3回乗ったが、そのうちの2回は副操縦士が女性だった。高級ホテルのレストランでスタッフたちが打ち合わせをしていたときも、それを仕切っているのは女性のマネージャーだった。このように高学歴の職業では、日本以上に実力主義が徹底されている。
だがそれ以外ではほとんどの仕事が男性に独占されていて、インドの女性はファストフード店でアルバイトすることもできない。こうした制度は女性を家庭に監禁し、出産と子育てに専念させるためのものでもあるのだろう。
というか、
男女平等ランキング2013(男女格差報告) 105位日本は中東と同傾向によると、インドは101位。日本は105位であり、日本との比較で言うと大差ないというかむしろ負けています。
そして、中国69位、韓国111位でした。
【クイズ】以下の3カ国で、The Global Gender Gap Report 2013の男女平等ランキングの順位が最も高かった国はどこでしょう?
(1)韓国
(2)中国
(3)日本
【答え】(2)中国
●ポイントは第三次産業より高学歴?
上記の「高学歴の職業なら」という話とともに、最初の方で書いた第三次産業でも例外があるようだといった話で思いついたことがあります。
カースト制度の影響や女性差別の強さは、第三次産業かどうかよりも、単純労働ではない高学歴の職業かどうかというところがポイントなのかもしれません。
第三次産業 - Wikipedia
クラークは、経済発展につれて第一次産業から第二次産業、第三次産業へと産業がシフトしていくことを提示したが、クラークのいう第三次産業には単純労働も含まれており、後進的な産業が先進的な産業と同じ扱いになっているという批判がある。
インドはすごく期待している国なのですが、なかなか道は険しそうに見えます。
【本文中でリンクした投稿】
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カースト制度がインドをIT大国にした 内需型で外需が弱いのは強みか弱みか? ■
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