2021/04/02追記:
●元有名ファンドの人が2兆円の損失、日本の野村ホールディングスなどにも影響
●一時的な成功でカリスマ化に注意!過去にはインサイダー取引も…
2021/07/03追記:
●証券取引所会長が運営の儲かるファンド → 史上最大の金融詐欺でした! 【NEW】
【クイズ】fund(ファンド)は動詞ではどういった意味を持つでしょう?
(1)すくい集める、かき集める
(2)~に資金を出す、資金を供給する
(3)利益を得る、得をする、もうける
●金融関係者は投資のプロではない インデックスファンドの方が良い
2016/7/31:私はしつこく金融関係者は金融商品を売りつけるプロであって、投資のプロではないと書いています。ですので、金融機関に相談するとか、株特集みたいなのを鵜呑みにするとかは、自殺行為です。そもそも私は投資そのものをオススメしないわけなのですが、投資商品の中ではインデックスファンドがマシだと思っています。
例えば、日本で言うと日経平均株価と似たような動きをするように工夫された投資信託があります。
インデックスファンド - Wikipediaでは、インデックスファンドとは、ファンドの基準価額がある指標(インデックス)と同じ値動きを目指す運用をする投資信託のことで、パッシブファンドとも呼ばれるなおと説明されています。
<通常当該ファンドがベンチマークとする株価指数に採用されている銘柄群と全く同様の銘柄構成を採り、各企業の株式のファンドへの組み入れ比率も株価指数への影響度に比例した割合となる>
<インデックスファンドは、いわゆる上場されていない狭義の投資信託と、指数連動型の上場投資信託の2種類が存在する。通常は、前者のみをインデックスファンドと称する>
インデックスファンドが連動を目指すインデックスとして主に以下のようなものがある。
・株価指数
・日経平均株価 (日本)
・東証株価指数(TOPIX) (日本)
・ダウ平均株価(米国)
・NASDAQ総合指数(米国)
・S&P 500(米国)
●ヘッジファンドが市場で荒稼ぎ…は誤解 運用成績は7年連続で負け
インデックスファンドがマシだという理由の一つは、最も重要な運用成績の問題。自称投資のプロは、実際、運用成績は良くないんですよね。例えば、
投資信託は損 ほとんどは平均以下の運用成績で、人気も比例せずでやっているように、インデックスファンドより手間暇かかっている投資信託は、インデックスファンドより成績が悪いことがわかっています。
さらに、今回初めて知ったのは何かえらく稼いでいそうなヘッジファンドというのも、インデックスファンドに運用成績で7年連続負けているという事実。全然大したことないというか、むしろヘッジファンドに任せない方が良かったという話です。ひどい話ですね。
その話をやる前に、先にヘッジファンドの軽い説明を見ておきましょう。
ヘッジファンド - Wikipediaでは、ヘッジファンドは、代替投資の一つ。通常は私募によって機関投資家や富裕層などから私的に大規模な資金を集め、金融派生商品などを活用した様々な手法で運用するファンドと説明。公募によって一般から広く小口の資金を集めて大規模なファンドを形成することを目指す通常の投資信託とは、私募である点が異なるとされていました。
で、気になる運用成績の話があったというのは、
世界のヘッジファンドの年間投資収益率7年連続でインデックスファンドに大敗北!|闇株新聞[2016年]|ザイ・オンライン 2016年5月27日公開(2016年5月27日更新)です。S&P 500というのは、さっきインデックスファンドが連動を目指すインデックスの例で出てきましたね。
<市場全体が上がっても下がっても利益を上げる「絶対収益」を追及するヘッジファンドですが、リーマンショック後の2009年頃から収益が上がらず苦しむところが増えています。ヘッジファンド全体の投資収益率はこの7年間、株価指数「S&P500」にも大きく負け続けているのが実情です。
昨年(2015年)も、「S&P500」の年間投資収益率がマイナス0.7%であったのに対し、ヘッジファンド全体のそれはマイナス1.0%と下回り、またも敗北を喫してしまいました>
●ヘッジファンドは運用成績が良くないのに、手数料は猛烈に高い!
投資信託よりインデックスファンドがマシだという理由というのは、実を言うと、もう一つあります。手数料の高さです。運用成績が大したことない一方で、当然ヘッジファンドはしっかりお金を稼いでいるんですね。運用成績が悪いのに、手数料はべらぼうに高いという奇妙なことになっていました。
<ヘッジファンドは顧客から、投資残高に対し平均年1.5%の「運用報酬」と、年間の運用益に対し平均20%の「成功報酬」を取っています。株価指数に連動するよう構成され、タダみたいな運用報酬しか取らないインデックスファンドやETFにすら負け続けるのであれば、存在意義が疑われます>
ヘッジファンドは市場で荒稼ぎしているのではなく、機関投資家や富裕層から荒稼ぎしていたというオチでした。ひどい話です。記事によると、やっとヘッジファンドにお金が集まりづらくなってきているようですが、気づくのが遅すぎでしたね。あと、クイズにしたfund(ファンド)の意味ですが、これもまた皮肉なんですよ。
【クイズ】fund(ファンド)は動詞ではどういった意味を持つでしょう?
(1)すくい集める、かき集める
(2)~に資金を出す、資金を供給する
(3)利益を得る、得をする、もうける
【答え】(2)~に資金を出す、資金を供給する
((1)すくい集める、かき集めるはscoop、(3)利益を得る、得をする、もうけるはgain)
ファンドというのは、「資金を出す」ということなので、資金を出してもらえば言葉の意味通りにはなりそうです。ただ、利益を出す…といった意味は一切なし。資金は出してもらうが儲かるとは一言も言っていない…と受け取れそうな意味で、まさに「養分」といった感じでした。
●投資が下手だと気づいたから?アメリカの年金基金などもヘッジファンド離れ
2016/11/24:
ヘッジファンドにはこりごり-米年金基金や寄付基金が別れ告げる - Bloomberg(John Gittelsohn、Janet Lorin 2016年11月16日 06:33 JST)は、最初の話と同じように多数料が高いくせに低パフォーマンスなのでヘッジファンドをやめるという話。ただ、ヘッジファンドが民衆に嫌われているという理由もあるそうです。
記事によると、米ケンタッキー州は約5年前に、職員年金基金の一部をヘッジファンドに投資し始めました。ところが、散々な目に遭った同州当局者らは、複数のヘッジファンドから8億ドル(約870億円)の資金の引き揚げを開始することを投票で決めました。ケンタッキー州だけではなく、年金基金や寄付基金、財団といった米国の大手投資家はヘッジファンドとの付き合いに終止符を打とうとしているともいいます。
ケンタッキー州の職員年金基金が抱える160億ドル規模のポートフォリオの最高投資責任者、デービッド・ピーデンさんは、期待外れのリターンももちろん一つの要素だとした上で、ヘッジファンドは高リスクで、運用している連中は大金持ちの道楽者という世間一般の認識も理由の一つだと説明。積み立て不足で加入者が拠出増を求められている中、「監視の目は厳しい」と話していたそうです。
●元有名ファンドの人が2兆円の損失、日本の野村ホールディングスなどにも影響
2021/04/02:野村ホールディングスやみずほフィナンシャルグループ、クレディ・スイス・グループなどが多額の損失…というニュースをテレビで見たものの、理由がはっきり説明されず何が何だかわかりませんでした。テレビはこういうのダメですね。で、ネットで検索してみると、元ファンドの人が大きなリスクをかけてやった個人的な巨額取引が失敗したということだったようです。
<タイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・フアン氏の資産を管理・運用するファミリーオフィスは、複数のグローバルバンクからのレバレッジ(借り入れ)を活用し、巨大な「クジラ」に姿を変えた。ポジションは一時500億ドル(約5兆5000億円)を上回った可能性がある。
しかし、同氏のアルケゴス・キャピタル・マネジメントに関係する200億ドル余りのポジションはわずか数日で解消され、破綻が訪れた。野村ホールディングスとクレディ・スイス・グループを含む金融機関が関連損失発生の可能性を警告し、レバレッジ比率の高い他の投資家がさらに市場の混乱を招くのではないかと臆測も呼んだ>
<株価が上昇し、ローンファシリティーの価値を担保価値が上回り続けることが確実な強気相場なら、株式を担保として差し入れても比較的安全だ。しかし、株価が下落に転じれば、借り手はマージンコール(追い証の請求)に直面し、デフォルト(債務不履行)回避のために資金を準備するか、投げ売り価格で資産の処分を迫られかねない。フアン氏を今回襲ったのは、まさにそうした事態だ>
(
アルケゴス、富裕層のレバレッジ危険浮き彫り-株を担保差し入れ - Bloomberg 2021年3月31日 13:29より)
●一時的な成功でカリスマ化に注意!過去にはインサイダー取引も…
多大なリスクをかけた取引はかっこいいし、成功すれば一時的に大きな利益を出すので祭り上げられやすいんですが、本当はあまりうまい投資家ではないんですよね。こういう人は失敗した後、また成功したときに「やっぱりすごい!」とまたカリスマ化されてしまい、模倣者を生んで悲劇を増やすこともしばしばなので今後も注意が必要でしょう。
<タイガー・マネジメントが閉鎖される中で同ファンドを離れた同氏はロバートソン氏の支援を受けながら自身のタイガー・アジア・マネジメントを約10年間運営し、リターンがトップレベルの大規模ファンドに育て上げた。
フアン氏への出資者によると、フアン氏は投資家に対し、自身のファンドのポジションやリターンの構成などの情報をあまり開示しなかったが、ファンドの平均年間リターンがプラス16%と高成績だったため顧客は離れなかったという。
ロバートソン氏は06年のインタビューでフアン氏について、「彼は最高のセールスマンだった」と高く評価。「当時、韓国に注目していた人は皆無だったが彼はわれわれに韓国への投資を勧めた。その後すぐにわれわれは彼を採用した。彼はスピード出世した」と説明していた>
(
ブロック取引渦中のフアン氏、タイガー「最高のセールスマン」の過去 - Bloombergより)
あと、<12年、フアン氏はタイガー・アジア・マネジメントにおけるインサイダー取引での有罪を認めた後、同ファンドを閉鎖>ということで、過去には悪いことやっていた人らしく、これもまた注意が必要。米司法省によると、フアンさんのタイガー・アジア・マネジメントは08、09年に不正利益1600万ドルを得ていたといいます。ズルをしてたので、すごいように見えた…というところも一部あったようです。
●証券取引所会長が運営の儲かるファンド → 史上最大の金融詐欺でした!
2021/07/03:有名人が亡くなると悪い話を隠していい話だけ紹介されることが多いのですが、日経新聞が載せたバーナード・マドフさんの訃報は
史上最大のネズミ講詐欺師 マドフ受刑者死去: 日本経済新聞(2021年4月15日 1:46)というさんざんなものでした。このマドフさんは「ファンドが稼げるとは限らない」の例として、最もわかりやすいかもしれません。
<史上最大のネズミ講詐欺とされる事件の首謀者で元ナスダック・ストック・マーケット会長のバーナード・マドフ受刑者が米ノースカロライナ州の連邦刑務所で死去した。82歳だった。事件は日本の金融機関も含む米国内外の著名投資家を巻き込み、被害総額は含み損ベースで650億ドル(約7兆円)に上った。禁錮150年の判決を受け、服役中だった。
マドフ受刑者は年率10%の利回りを着実に出すとの触れ込みの投資ファンド(引用者注:記事によってはヘッジファンドと記載)を運用し、口コミで国内外の投資家から資金を集めていた。もっとも運用の中身は投資家から集めた元本を取り崩しながら毎年の配当に充てるという自転車操業だった。しかし、「マドフ氏のファンドはもうかる」という噂が広がり、新規の資金が流入して運用資産残高は増えていった。
著名投資家からの投資資金はまさにネズミ講式に増えていった。ナスダックの会長や米証券業協会(NASD)の会長まで 上り詰めた人物が運用するファンドなだけに、ユダヤ人コミュニティーや知り合いの口添えを通じてしか投資できないという特権階級意識も手伝ったされる。被害者には映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏、米大リーグ球団ニューヨーク・メッツのオーナー、野村ホールディングス、あおぞら銀行まで米国内外の著名投資家や金融機関が名を連ねた。マドフ・ファンドへの投資家数は延べ約4万人、130カ国に上った>
ただ、そもそも実際には全然儲かっておらず、実態のない自転車操業でしたので、破綻する運命にありました。リーマン・ショックはそうじゃなくても大きな被害が出たものでしたから、こんな詐欺ファンドではどうしようもありません。結果、史上最大の金融詐欺事件(記事ではねずみ講としていましたが厳密には違うような?)が発覚することになっています。
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