小池都知事の公約の一つに「満員電車ゼロ」というのがありました。この問題で小池都知事のブレーンである阿部等さんは過去にも書籍を書くなどして結構有名な方で、最近もインタビューを受けていました。ただ、内容的に無理があるという反応が多かった他、安全性に問題がありそうなもので、人命軽視なところを感じました。(2016/8/6)
2017/08/25追加:まるで中身がなかった小池都知事の満員電車ゼロ対策「時差Biz」
【クイズ】小池百合子都知事が特別秘書に任命した野田数・元都議ら東京維新の会のメンバーは、「我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべきとして、憲法無効論に基づく大日本帝国憲法の復活確認を求める請願に賛成していました。
この件に関して、上部組織にあたる日本維新の会の橋下徹代表は最初どのように言っていたでしょう?
(1)「憲法無効論は石原都知事も支持しており東京では受け入れられている」と理解を示した。
(2)「大日本帝国憲法復活なんてマニアの中だけの話だ」と不快感を示した。
(3)「憲法無効論は理論的にはともかく実際には一般有権者の支持を得られない主張」としつつも、「政治家の自由行動だ」と認めていた。
●小池都知事のブレーン阿部等の「満員電車ゼロ」公約が安全軽視しすぎと話題
2016/8/6:先にツイッターの反応を見ていたのですが、その反応がさんざんだった記事。
都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する 小池新知事のブレーンが5つの方策を提示 東洋経済オンライン / 2016年8月6日 7時0分 はてなブックマークも見たら、やはりボロクソでした。
“まともなの3番目だけ。他は実行したらすぐ事故を起こす。安全マージンがあるから事故を防げてる。長い運用経験と事故対策の賜物。3番目すら効果を要検証。対策はむしろ同時刻に人が通勤しなくて済む社会の構築。”(marmot1123 2016/08/06)
“なんか、全部安全性が犠牲になりそうな提案に思えるけど、大丈夫なんだろうか?”(kei_1010 2016/08/06)
“リモートワーク推奨しろよ”(asuka0801 2016/08/06)
“こういうのって、パッと聴いた限りではうまくいきそうな場合ですらいざやってみると…ってパターンが多いのに、パッと聴いた限りですらダメそうなのはなんなんだ。”(nemuiumen 2016/08/06)
“わざと無茶言って「そうなるよりは今の方がいい」と言わせようとしてるんだろうか。本気で言ってるとしたら頭が(略)”(IvoryChi 2016/08/06)
“在宅勤務を増やすという発想はないんですね…ここまでファンタジーな人だったとは”(bigburn 2016/08/06)
はてなブックマーク - 都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準より
●とにかく早く出発を!
こうなると逆に興味が湧いてくるので、読んでみることに。
(1)青信号と同時の出発
「東京駅の中央線ホームの2番線に列車が停まっていて、神田方面から次の列車がやって来る場面を思い浮かべて下さい。その列車が1番線に到着する数秒前に2番線は青信号が点灯します。点灯と同時に出発しても問題ないのに、25秒くらいしてようやく出発します。その時間は無駄ですよね。
25秒もかかるかのは、青信号が出てから車掌が発車ベルを鳴らし、ドアを閉め、それから出発するからです。だったら青信号になる25秒前に発車ベルを鳴らせば、青信号と同時に出発できます」
安全上の問題あるんじゃね?と思ったら、阿部等さんも「今までの事故の経験で、誤出発を防ぐため」としていました。
じゃあ、ダメなのになぜ?と読み進めると、「近年は、安全装置が導入されていて、運転士が誤出発しても列車はすぐに停まります」という主張でした。
次も似たような発想。
(2)ドアが閉まると同時の出発
「ドア挟みの検知感度を上げたうえで、パイロットランプ点灯と同時の出発を提案しています。それにより、(引用者注:目視確認している)JR東日本以外は停車時間が短くなる分だけ列車間隔を縮められ、(引用者注:同時出発の後にトラブル判明が多い)JR東日本は無用な停車を減らせます」
「車掌と駅員による確認を省略しても重大事故が発生しないよう、もう一つバックアップシステムを提案しています。万が一、ホーム上の乗客のコートの裾などを検知できずに出発した場合は、何らかのセンサーでそれを検知して緊急停止する仕組みも導入します」
これも同時出発やっているJR東日本はトラブルが多いということを認めていて、その分を新技術で対応という提案ですね。おそらくここらへんを鉄道会社に丸投げと批判されているのでしょう。
●今の鉄道会社は安全性を気にしすぎ
3番目は安全性のリスクというよりは、複雑化して乗り間違えが増えそうだというもの。
(3)選択停車ダイヤ
「西武池袋線のひばりヶ丘は通勤急行が通過して快速急行は停まり、保谷はその逆、いわゆる千鳥停車ですね。同時に各駅停車も走っています。
私が提案しているのは、優等列車だけでなく全列車を千鳥停車にします。快速A・B・Cを運行し、ある駅ではAとBが停車してCは通過、次の駅ではAとCが停車してBが通過、さらに次の駅ではBとCが停車してAが通過とします。すべての列車が停車する駅が途中に1つもなく、運行本数を増やせます」
しかし、その後は再び安全性軽視系に戻ります。
(4)列車の加速とブレーキの性能向上
「雪道で車を運転するとき、前の車と車間距離を開けますよね。あれと同じで、ブレーキがよく効くなら安全に車間距離を詰められ、運行本数を増やせます」
(5)信号の機能向上
「現行の信号システムは、位置検知や制限速度の表示がきめ細かくありません。最短でも100メートルくらいある軌道回路内の最も遠方を走行していても、最も手前を走行しているとして後続列車の制限速度を算定します。
また、指示できる制限速度が時速90キロ、65キロ、45キロ、25キロしかないと、本当は88キロ出せても、65キロしか選択肢がありません。
さらに、安全確保のために速度指示を引き上げるタイミングを遅らせていますが、ずっと短くできます」
●福知山線事故の教訓はどこへ?
これらの改革はコストの割にメリットないのでは?と思ったのですが、"これらの5方策すべてを中央線快速に適用した場合、現行の2分おきに対して1分20秒おきの運行が可能になり、輸送力は1.5倍にでき"るとのこと。この計算が事実なら、確かにかなり輸送力は上がります。
ただ、根本的な考え方として気になるのは安全への姿勢です。以下の発言はその思想が最もよく現れたところでした。
国土交通省の指示は「事故を起こすな」の一点張りです。国の姿勢が「効率を上げる」に転じたら、鉄道の利便性は上がり、コストは下がります。
私は効率重視という話をちょくちょく紹介していますが、工場で働いていた関係もあって、安全重視もしつこく言っています。安全>効率であって、絶対に安全は犠牲にしてはいけません。
なので、国の姿勢が「効率を上げる」に転じるというのは、かなり危険です。よほどしつこく「事故を起こすな」も言い続けていないと、効率に目が行って安全がおろそかにされる可能性があります。
JR西日本の福知山線事故はそういった効率重視、安全軽視があったのでは?と言われています。阿部等さんは、全然この事故の教訓を活かせていない感じですね。
脱線事故 JR福知山線 鉄道事故 安全 命
私鉄との競争路線ということで、過密ダイヤ化してきた、運行のスピードアップと本数が増加された、運転手の業務上の過失責任を問題とする一方で、JRの体質が事故を引き起こしたという指摘もある、経済効率優先、株主配当利益優先、巨大企業の強者の論理が引き起こした事故だという世論の批判も強い。
JR西日本の社長に、家族を亡くした親族が大声をあげた「利益優先が人を殺したんですよ。多くの人が犠牲にならないとわからないんですか。人命を運んでるんですよ。」
●小池都知事の好みがよくわからない
何が何でも今の通りじゃなくてはいけないとは私も思いませんし、個々の提案は十分に安全を確保できるものかもしれません。しかし、前述の発言部分が致命的すぎて、信用できそうにありません。
ただ、小池都知事は「できないと言って決め付けず、何からできるのかを考えるのは、政治と行政の責任でもあり醍醐味でもある」と断言されているとのこと。ブレーンなので当然でしょうが、好意的なようです。
この小池都知事と言うと、
小池百合子都知事、特別秘書に極右公認の野田数・元都議を起用の件もあります。
【クイズ】小池百合子都知事が特別秘書に任命した野田数・元都議ら東京維新の会のメンバーは、「我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべきとして、憲法無効論に基づく大日本帝国憲法の復活確認を求める請願に賛成していました。
この件に関して、上部組織にあたる日本維新の会の橋下徹代表は最初どのように言っていたでしょう?
(1)「憲法無効論は石原都知事も支持しており東京では受け入れられている」と理解を示した。
(2)「大日本帝国憲法復活なんてマニアの中だけの話だ」と不快感を示した。
(3)「憲法無効論は理論的にはともかく実際には一般有権者の支持を得られない主張」としつつも、「政治家の自由行動だ」と認めていた。
【答え】(3)「憲法無効論は理論的にはともかく実際には一般有権者の支持を得られない主張」としつつも、「政治家の自由行動だ」と認めていた。 (最初は認めていたのに、党内で批判されて慌てて(2)のように方向転換したらしいです。また、(1)は野田さんの発言)
正直、小池都知事自身も十分問題がある方という印象ですが、集まっている人材が見事にどれもヤバそうな感じ。大丈夫なんですかね?
●まるで中身がなかった小池都知事の満員電車ゼロ対策「時差Biz」
2017/08/25:まだ都知事の任期は多く残っているので、評価するのは早いと思うものの、「満員電車ゼロ」絡みの施策を酷評する記事が出ていました。
東京都政「時差Biz」は「都民ファースト」ではない ITmedia ビジネスオンライン / 2017年8月25日 7時0分(杉山淳一)というものです。
そもそも「時差Biz」というのが初耳であり、浸透していない感があるのですが、これは、東京都知事選挙で「満員電車ゼロ」を掲げた小池百合子都知事の公約実行策だったそうです。
ただ、中身がまるでなし。鉄道の乗客に対して「朝早く起きて通勤しましょうね。ご褒美もあるかもよ」、企業に対して「社員さんが時差出勤できるように配慮してあげてね」という、ただの声かけ運動に終わったと評価されていました。
また、時差Bizの公式サイトを見ても、参加企業がの取り組みを披露する発表会で、東京都が企業の宣伝を手伝っている程度であり、「満員電車ゼロ」には全然近づかないものだとのこと。唯一鉄道会社は頑張っていたものの、これらも以前からやっている施策がほとんどであり、時差Bizはあまり関係ないそうです。
なお、朝早く活動するというのは、健康に良くないことが既に判明しています。なので、
朝型勤務「ゆう活」やサマータイム制度のメリットとデメリットなどでやっているように、安倍首相が推し進めた朝型勤務も健康に悪影響を与えています。
政治家の皆さんには、思いつきの政策ではなく、きちんとした根拠のあるものを実行してほしいといつも思っています。
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