墓暴きをしていた日本人 アイヌ人の墓を掘り起こし遺骨を収集

2016/8/7：
●墓暴きをしていた日本人 アイヌ人の墓を掘り起こし遺骨を収集
●日本だけじゃない！学問的な理由による墓荒しは海外でも？
●外国人はダメだけど日本人による墓荒しならOK？反応に差
2018/11/24：
●アイヌ人遺骨を返還拒否 「返却した」と嘘の報告もした慶大教授
2021/08/13追記：
●アイヌ民族は滅ぶべき劣等民族！優生思想の団体がアイヌを調査　【NEW】


【クイズ】戦後７０年の節目に、旧日本海軍の戦艦「大和」の船体の一部引き揚げや乗組員の遺骨収集を検討していたのは、どの政党の有志議員らか？

(1)次世代の党
(2)自民党
(3)民主党


●墓暴きをしていた日本人 アイヌ人の墓を掘り起こし遺骨を収集

2016/8/7：北海道を中心とした地域の先住民族、アイヌ民族の遺骨が現在、全国各地の大学などで保管されているそうです。News Up アイヌの遺骨 なぜ全国に？ | NHKニュース(8月5日 22時17分)を読むと、単純に遺骨を持っていたというだけでなく、墓暴きしていたというひどい話のようでした。

　＜明治から戦後にかけて研究のためとして収集され、なかには、許可なく墓から掘り起こされたものもあります。最も多く保管しているのは北海道大学、実に１０００体余りの遺骨です。今、これらの遺骨をアイヌの人たちのもとへ返還する動きが出ています。このニュースをめぐって、ネットでは、「知らなかった」「なぜ長い間そのままになっていたのか」などの書き込みも見られました＞

　なぜ、各地の大学などにアイヌ民族の遺骨が保管されているのか？という話。これは、明治から戦後にかけて、全国の大学の研究者が人類学の研究のためとして墓を掘り起こしアイヌの遺骨を収集していたためだといいます。ただ、研究成果がはっきりしない上に、不純な目的であった可能性もあるようです。

＜当時の研究者は、主にアイヌの頭がい骨の大きさなどに関心を持って研究をしていたことが、論文などから分かっています。頭がい骨の大きさなどから、民族や人種の特徴が分かると考えられていたようです。
こうした研究の背景には、民族や人種により優劣をつける「優生思想」があったと指摘する専門家もいます。しかし、研究成果を具体的に何に生かそうとしていたのかなど詳しいことは分かっていません＞


●日本だけじゃない！学問的な理由による墓荒しは海外でも？

　研究のためだから良いって正当化する人が出てくるのではないかと思います。検索してみると、海外でも学問の関係で盗掘されていたところがあるようです。死体売買 - Wikipediaという強烈なタイトルのWikipediaページが出てきました。日本のケースよりだいぶ前の話ですけどね。

・西暦1832年に解剖に関する法律が成立する以前には、連合王国（イギリス）において合法的に解剖用として供給される死体は、法廷で死刑と解剖の刑を宣告されたものだけだった。また、死体の冷凍保存に電力が供給されるようになるまでは、死体は速やかに腐敗し研究に使えなかった。
・そのため医療従事者は器官や筋肉や脂肪の組織を調べるに足る新しい死体の供給を死体盗掘に頼るようになった。当局が必要悪には目をつぶる傾向にあったため、これは危険を冒しても十分儲かる商売だった。
・死体の盗掘があまりにも世の中に蔓延したため、死者の親族や友人が埋葬まで見守ることが珍しくなくなり、その後も墓地の監視を続けることが一般的になった。
・1827年から1828年、より新しい死体に高い対価が払われたため、エディンバラの死体盗掘者バークとヘアーは戦略を変更し、死体盗掘人から人殺しになった。彼らの犯罪行為に加え、それを模倣したロンドン・バーカーズと呼ばれる集団が現れたため、1832年に解剖に関する法律が設けられた。これにより、引き取り手のない遺体と、親族により献体された遺体が解剖学のために用いることができるようなり、解剖教師を免許制としたため事実上この風習は無くなった。


●外国人はダメだけど日本人による墓荒しならOK？反応に差

　ブログ内を「墓荒し」で検索してみると、自民党有志が戦艦大和の引き揚げ検討 税金の無駄遣いや墓暴きと批判が出てきました。


【クイズ】戦後７０年の節目に、旧日本海軍の戦艦「大和」の船体の一部引き揚げや乗組員の遺骨収集を検討していたのは、どの政党の有志議員らか？

(1)次世代の党
(2)自民党
(3)民主党

【答え】(2)自民党


　このときあれ？と思ったのが、墓荒しや死者への冒涜といった批判が、戦艦武蔵のときには多かったのに、戦艦大和のときには少なかったこと。武蔵と大和の引き上げ計画で大きく違う点は、前者が外国人、後者が日本人、しかも、自民党議員の計画だったというところ。これがポイントとなったのだと思われます。

　墓暴きは中国人や韓国人の野蛮な習慣だといった批判も非常に多いのですけど、容疑者が日本人となった途端に批判の声は静かになる感じ。結局、ポジショントークなんでしょうね。


●アイヌ人遺骨を返還拒否 「返却した」と嘘の報告もした慶大教授

2018/11/24：アイヌ人遺骨の返却のニュースなのですけど、だいぶ変わった内容。「返却した」と嘘を言ったり、返還拒否したりして、かなり長い間返さなかったという2017年３月に定年退職した慶応大教授の話でした。

(1)慶應義塾大学の文学部人類学研究室の教授が、北海道釧路市から１９９２〜９６年、遺骨の特徴についての分析などを依頼され、計６体を預かる。
(2)市は２０１６年３月に返却を求め、元教授は同年１２月に５体を返したものの、１体については「歯の状態を詳細に調べるため１か月ほど待ってほしい」と要請。
(3)ところが１か月が経過した後も、市からの要請に応じず。その後の再三にわたる返却要請にも応じなかった。
(4)慶応大の調査にも「全て返却した」と事実と異なる報告を行っていた。
(5)2018年２月、アイヌ関係者からの相談が北海道大を通じて慶応大にあり、元教授が自宅で遺骨を保管していたことが判明、やっと返却される。
(慶大元教授、アイヌ遺骨無断保管し「全て返却」 2018年 11月23日 19時55分 提供元：読売新聞より)
https://news.so-net.ne.jp/article/detail/1676986/

　不思議ですね。なぜ嘘をついてまで隠し持っていたのか、よくわからない話です。大きな話題になったニュースでもなく、反応もあまりありません。それでも、ツイッターでちょっと見ていると、「コレクター」的なものではないかという感想を発見。なるほど、完全に「趣味」的な理由ですかね。余計クソだという話になるわけですけど、そうかもしれないとちょっと納得しました。


●アイヌ民族は滅ぶべき劣等民族！優生思想の団体がアイヌを調査

2021/08/13追記：最初のときに、＜研究の背景には、民族や人種により優劣をつける「優生思想」があったと指摘する専門家もいます＞とする記事を引用していました。別件で、優生学 - Wikipediaを読んでいたら、アイヌ調査の話が登場。思った以上に、濃厚に「優生思想」と関わっていたのかもしれません。

＜1930年（昭和5年）には、永井潜を中心に日本民族衛生学会が結成された。これまでにない大規模な優生学者の団体である。『民族衛生』を刊行し、形態を変えつつも現在にいたっている。この団体は通俗講演会も積極的に行ったほか、優生結婚相談所の開設や映画『結婚十字街』の製作など注目すべき事業も行っている。またアイヌの調査も有名である＞

　このアイヌ調査というのが、人骨の研究であったかどうかは検索してもわかりませんでした。ただ、日本ファシズムと優生思想の書評によると、日本民族衛生学会は優生思想を広げ、優生政策を進める上で優生学的に「アイヌ民族」を劣等民族と規定し「滅ぶべき民族」として流布するために偏った調査を実施したとのこと。人骨の調査だったかは不明ですが、差別的調査であったことは間違いなさそうでした。


【本文中でリンクした投稿】
　　■自民党有志が戦艦大和の引き揚げ検討 税金の無駄遣いや墓暴きと批判

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