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聖徳太子もイエス・キリストも釈迦も馬小屋生まれ?元ネタはどれか?


●不思議な共通点…聖徳太子もイエス・キリストも馬小屋生まれ?

2016/8/9:ついに教科書の本文からも消える聖徳太子 「聖徳太子はいなかった」が意味するものを書いたときに、「聖徳太子」と「厩戸皇子」の考え方として、「イエス・キリスト」と「ナザレのイエス」の関係という例を出しました。

 これは何気なく書いたものでしたが、考えてみるとこの二人は生誕伝説に関していっしょに言及されることの方が多かったですね。例えば、聖徳太子 - Wikipediaの「出生について」では、以下のような説明と注釈がついています。

<「厩の前で生まれた」、「母・間人皇女は西方の救世観音菩薩が皇女の口から胎内に入り、厩戸を身籠もった」(受胎告知)などの太子出生伝説に関して、「記紀編纂当時既に中国に伝来していた景教(キリスト教のネストリウス派)の福音書の内容などが日本に伝わり、その中からイエス・キリスト誕生の逸話が貴種出生譚として聖徳太子伝説に借用された」との可能性を唱える研究者(久米邦武が代表例)もいる[注 14]>

[注 14]^ <久米邦武は、学僧が日本に持ち帰った景教(ネストリウス派)の知識が太子誕生説話に付会されたのだろうと推定している。佐伯好朗は、1908年に論文「太秦を論ず」において聖徳太子と関係の深い秦氏と景教とユダヤ人の関わりについて論じ景教博士と呼ばれた。さらに空想をたくましくして秦氏と古代イスラエル民族と直接に関連するという日ユ同祖論を唱える極端な仮説(手島郁郎『太秦の神-八幡信仰とキリスト景教』(1971年)が代表例)も存在する>

 キリストの方の馬小屋伝説の方も確認しておきましょう。同じくWikipediaからということで、キリストの降誕 - Wikipediaを見てみました。ここでは、<『ルカ福音書』は「飼い葉桶に寝かせた」と書いている>とした上で、以下のように書いていました。

<馬はこの場には居らず、代わりに牛とロバが居る。福音書には根拠がなく、『イザヤ書』(1:3)から採られている。また、西方教会では小屋(日本語では「厩」もしくは「馬小屋」と書くが、家畜小屋と考えたほうが良い)としての伝承が通例であるが、正教会では洞窟と伝承され、イコンにもそのように描かれる。新約外典『ヤコブ原福音書』は洞窟で産まれたと書いている>


●聖徳太子キリストパクリ説はデマ…キリストではなく釈迦が元ネタ?

 ただし、聖徳太子の生誕をキリスト教からパクったという説は眉唾のようです。実を言うと、最初の聖徳太子のWikipediaでは、上記引用部の後、<しかし、一般的には、当時の国際色豊かな中国の思想・文化が流入した影響と見なす説が主流である>と続いていました。

 さらにおもしろいのは、イエス・キリストではなく、仏教の釈迦の影響について言及されていることです。これは初耳でした。

<ちなみに出生の西暦574年の干支は甲午(きのえうま)でいわゆる午年であるし、また古代中国にも観音や神仙により受胎するというモチーフが成立し得たと考えられている(イエスよりさらに昔の釈迦出生の際の逸話にも似ている)。出生地は橘寺、またはその付近とされる。橘寺はタヂマモリが垂仁天皇の御世に常世の国から持ち帰った橘の実の種を植えた場所といわれる>


●ややこしい!お釈迦様が馬小屋で生まれた…という理解も実は怪しい

 上記の記述は釈迦も馬小屋生まれって意味ではなく、「救世観音菩薩が皇女の口から胎内に入り(中略)身籠もった」あたりが似ているって意味のように読めます。でも、念の為に釈迦も馬小屋生まれってのを探してみました。まず、Wikipediaの釈迦の項目を見たものの記述がなく、雲行きが怪しい感じ。

 検索すると信頼しづらいヤフー知恵袋ですが、どっちも馬小屋じゃないという話がありました。キリストについては前述のWikipediaからも諸説あることがわかりましたね。釈迦は馬小屋で生まれたのですか?よく仏教の要素をキリスト教が取... - Yahoo!知恵袋では、以下のようなやりとりが見られます。

<釈迦は馬小屋で生まれたのですか? よく仏教の要素をキリスト教が取り入れたと主張する人がいます。キリスト以後、つまり紀元後の仏典で釈迦がキリストと似た生涯を送ったと主張するものがあるのは知っています。しかし、キリスト以前の仏典で、釈迦が馬小屋生まれだとした経典はあるのでしょうか?>(改行変更)

<ベストアンサーに選ばれた回答>
<釈迦が馬小屋生まれだとした経典はあるのでしょうか?>ありません。ついでにイエスが馬小屋で生まれたと福音書には書かれていません。
ルカの福音書には「客間には彼らの泊まる場所がなかった」ので「赤子を飼葉桶に寝かせた」とあるだけです。
釈迦は宮殿で生まれました。紀元前6世紀頃ルンビニーで、シャカ族の王子としてお生まれた。というのが伝承です>(一部誤字訂正、改行変更)


●聖徳太子の「厩戸」も実は「厩戸の前で」とは関係ない可能性

 なお、厩戸皇子の名前の由来も「厩戸の前で」以外に異説があります。

<本名は厩戸(うまやど・うまやと)であり、厩戸の前で出生したことによるとの伝説がある[注 1]。また、母が実母である蘇我小姉君の実家、つまり叔父・蘇我馬子の家で出産したため、馬子屋敷が転じて厩戸と付けられたとする説や、生誕地の近辺にある厩戸という地名から名付けられたとする説もある>

 地名説については、橘寺というページで、以下のように言及されていることも紹介します。
寺伝では、橘寺は聖徳太子(=厩戸皇子)出生の地と伝える。出生地とされる伝承では、この地に欽明天皇の別宮があり、太子は574年(敏達3)にここで誕生したと言われている。厩戸皇子は太子の本名であるが、その名の由来は母の穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのみめみこ)が宮中の見回りの際にちょうど厩戸に来たところで産気づき太子を生んだため、とされている。

(中略)しかし、当時の習慣では皇族の皇子は出生地の地名か、あるいは誕生後に養育を任された乳母の氏族名で呼ばれるのが一般的だった。厩戸という氏族名は存在しないから、橘寺付近に厩戸という地名があり、その地名にちなんで命名されたとする説もある。

 といった感じで、どれもこれも怪しいんですね。何を信じて良いのやら?という感じです。ただし、少なくともキリストと釈迦の馬小屋生まれは眉唾…という理解で良さそうでした。これも結局、キリストや釈迦の馬小屋生まれを信じる人が後世に増えた…ということは否定しているわけではなく、ややこしいんですけどね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■ついに教科書の本文からも消える聖徳太子 「聖徳太子はいなかった」が意味するもの

【その他関連投稿】
  ■今の教科書では大化の改新は645年じゃない 645年は乙巳の変
  ■聖徳太子はいなかった!ついに教科書にも記述 日本書紀は捏造か?
  ■聖徳太子の作った法隆寺は焼失している
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